大きなチカラを内包する赤子は、移民の両親が盗賊に殺されて身寄りがなかったので機関本部に連れ帰り下位メンバーにする事にした。赤子の親と盗賊達の宇宙船2隻を、一仕事をしたばかりの星に持って引き返し、その星の政府に渡した。生き残りの盗賊達の処遇を任せ、私の乗ってきた宇宙船は1人乗りで居住空間も無いので、そこの政府から私の宇宙船を積み込める中型船と人員を出してもらい国の首都の星へ運んでもらう。
機関本部で仕事の達成と赤子について報告する。盗賊達を傷つけ殆どの命を奪った事は問題視されたが、意思決定部の12体の高位メンバーの前で状況を説明すると注意を受けるだけで済んだ。そして、赤子を私の弟子にする気があるか確認された。師匠が最初から付いている下位メンバーは珍しいと思うけど…私がこの赤子の面倒を見るべきだろうな。内包するチカラが強いし中位には上がれるだろう。高位にも。…私が位を抜かされる可能性もあるのか…ちょっと嫌だな。
私の初弟子が決まった。私とは種族が違うが、人間とほぼ同じと考えていいようだ。性別は女の子なのだけど。それに、彼女の妹が故郷の星に遺されていたとすぐ気付かなかったり負い目がある。
多少やりにくさはあるが、チカラに関する感覚をしっかり備えていて教えるのに支障は無い。機械知識や、礼儀作法に類する文化学や語学は私には教える自信がないが、まあ…あらゆる分野の基本は同世代の下位メンバーが纏まって高位メンバー達や最高位メンバーから授業を受けているし、私が教える必要性は薄いだろう。そもそもまだ幼いし機関の教育が本格的に始まるまで少し猶予がある。物心がつくまでと短いが。
私の師に相談してみるか。私の弟子と種族は違うが私とも違うし、女性だし、接し方の参考になるだろう。
自我の形成に合わせて行われるチカラに関する教育は、洗脳じみている様に思えてきた。私の弟子にちょくちょく会いに行く様にしているが、段々と穏やかさを始めとする好ましい性格へと矯正されていっている。仕事で取り締まったおかしな教義の狂信者達と本質的には大差が無いように思える。方向性が善いはずだから止めてはいないが…私が1対1で教える時期になれば彼女自身の気質を引き出して自由にさせたい。
神聖武器は私の弟子はまだ自前の物を造っていないので、出力を低く固定された神聖武器が貸し出されている。第一の型を教えられているが、私は第二の型と第六の型も軽く実演して見せている。他に師匠らしく教える事がないのだ。チカラについての教えは最高位の方が担当しているし、付け加える様な知識はない。
機関で重要視されるチカラに関する事柄の中で、神聖武器の振るい方ぐらいしか教えられないのは拙い。機関の歴史などの知識は記録庫に行けば分かる事だし、実践が役立つもの、感覚が重大要素のものをもっと鍛えないといけない。
チカラに関する独自研究は高位メンバーになるとほぼ必須だ。型の追及や独自技能の開発や特定状況下のチカラについてや未来予想など、まだ中位の私には学べる事が多い。しかし中位だから触れられる知識に制限もある。通常まだ師匠が付く時期ではない私の弟子にも与えるべきでない知識はあるだろうし。
高い能力を望むのは抑えるべきだと言う。悪の側面につながりかねないから、と。しかし研鑽しないのも怠慢、悪だ。弟子に知識、技能を詰め込むのは控え目がいいのではないか。第一の型【始め】の先にある型を見せるくらいで。
彼女の同世代の他の下位メンバー達に師匠が付く時期まで、私は自己研鑽に努めないといけないか。怠いけども。