私の弟子は緑色の半実体の刄を出せる神聖武器の自作に成功し、それを扱う為の第五の型【攻性】も今は身に付けている。チカラに関する他の技能も、それなりだ。【攻性】にも関係する、未来の出来事を感じ取ったり物体を触れずに動かしたり自身の肉体や神聖武器の刄を強化したり。新しい技能を身につけさせたというよりか元々のチカラに関する資質を伸ばした感じだ。私がそれほど得意ではない技能、過去の出来事を感じ取るとか他者の心に働きかけるとかも彼女に習得させてあげられた。チカラに関係しない機械弄りや語学や礼儀作法や文化学は自習に任せる面が大きかったが。
弟子の心身を鍛える手助けをしてもらうのを切っ掛けに、私と同じ中位メンバーだった角を頭部に生やす人型種族の男と親しくなったが、彼はすぐに高位メンバーに昇進し対等な付き合いは難しくなった。そもそも彼は心身を鍛え易い種族で私の弟子に同じ鍛え方をさせるのは無理があったし。
「私達は友として対等なままだ」
そう言ってくれるのは少し嬉しいが…
「そうもいかないでしょう。高位メンバーとなられたから、友情以上に敬意をはらうべきでしょう」
もともと彼の方が機関に長くいる先輩の1体ではあったが知識や技能に大差が無いので同じ中位メンバーという事もあり友人付き合いがし易かった。種族の違いはあったが、それを意識しなくても問題無く交流出来る程度の差しか無かったから、私の偏見を直す一助になるかもと当初思った事もある。
実際は、関節どころかそもそもの手足の数が違う種族とは違い、彼は人間に近いのだ。苦痛への耐性や強い自制心を持ち易いという種族特性が彼にはあって彼の種族自体に羨望を感じるが、人型種族以外への偏見は残っている気がする。
結構揉めたのだが、変わらない友情の証としてお互いの神聖武器を交換する事で決着した。…機関の格言を多く引用した会話は好かない。
強い執着を抱く事はチカラの悪の側に繋がるから避けるべきとされるし、私は自分の神聖武器にも執着しないべきだが…私だけの紫色の刃は気に入っている。それでも手放すけど。
柄の部分の違い以外は実用面で差はないし、柄はどれでも大まかには円筒形だし、交換した緑の刃を出す神聖武器を私は使いこなせた。が、友達の方は柄の形状の差が気になり遣い難いらしい。長い間自分用に造った神聖武器を使い続けていたから違和感が強いのだろう。
仕事で支障が出るようならお互いに返した方がいいだろうけど、どうも彼は意思決定部の一員に選ばれるかもしれないらしく、仕事が今後割り振られなくなる可能性がある。意思決定部の高位メンバー達は、基本は本部に留まり続ける。会議の際に本部の最高階の部屋に全員が揃う為に首都の惑星どころか本部の建物自体から離れにくい。
本部内では、弟子の教育に高位メンバーに上がってからも、もし意思決定部に参加する事になっても協力してもらえる。ただ、成長した私の弟子は私ではなくて他の下位メンバー達と組んでの仕事も意思決定部から命じられるようになってきて、本部から離れる時間が長くなってきた。単独での仕事を任されて中位メンバーに上がるのもそう遠くはないだろう。
まあ、彼女はまだ学ぶべき事が多いが急いで詰め込もうとは思わない。ただ、彼女は神聖武器の新しい型を学びたいと言ってきたが。【攻性】は合わないと思うらしい。一定の段階まで修めてから学ぶ型を替えた方がいいと思うけど。同時に2つの型を学ばせるのはな…