神聖武器の部品、動力源のチカラと呼応する宝石を合計5つと筒状を辛うじて保つ柄の残骸2つを持って本部へ帰還した。宝石以外は国で広く流通している物だが、消えた2名の機関メンバーの死を証明するには充分だろう。チカラを通じて所有者達の苦痛と死が感じ取れるから…
機関メンバーの死の原因はよく分からないし、そもそも私の出身の星は流通の要所でもないし。この仕事は危険得性ばかり高くて、あまり意義は高くないものだったかも。争いは一時的には抑え込めただけだし、チカラに関する資質を持つ私の出身一族に機関への好印象は与えられなかっただろう。争う両者のどちらにも公平に接するよう努めたが結局は自分達の能力を高めつつ武力で抑え付けた感じだし…
私の弟子は今回の仕事を通じて、チカラを用いた洗脳じみた話術と戦闘技術については大きく進歩したようだ。あまりいいことだと思えないが。彼女の発するチカラは穏やかなままだが、悪の側面にやや近付いてしまったのではないだろうか。
まあ、仕事の評価は意思決定部がするものだ。その評価が明らかにされない場合も多いけど、意思決定部の高位メンバー達の感情を読めば推測できる。
わざわざ意思決定部の部屋で報告をしたが、あまり喜ばしい感情は感じ取れない。私の弟子の補足も含めて、ここの高位メンバー12名なら起きた出来事はかなり正確に把握できただろうから、高位メンバー達の死んだ仲間を悼む気持ちや私の故郷の危険な状況への憂慮は当然だろう。
私達師弟の能力が高まった事への驚きと感心については、やや意外だな。チカラを使う一族が関わる案件だと知っていたのに。
「それでは、君は弟子が充分に能力を証明したと考えるかね」
急な問いだな…まさか、彼女を中位に昇格させるべきかもと考えているのか。中位に上がれれば彼女は喜ぶだろうな。私はどうだったか憶えてないけど。…質問の意図をはっきりさせるか。機関の教えをはじめとする国中の多様な格言を使った会話はもういいだろう。
「中位メンバーとして認められるのであれば喜ばしいことでしょう。彼女の能力はそれなりにあると思います。その証明も、できているのでは」
「それは我々の判断だ」
聞いたのは貴方方意思決定部の中でも最高位メンバーなのに。私の弟子の中位メンバーへの昇格は先走った深読みだったのかな。
頷いて黙っておこう。
「その通り。しかし…」
「ふむ、まだ彼は中位だったな」
もう私には話してないし。聞かせてはいるけど。
「よし。では、試験を受けさせよう。相応しければ中位に昇格するだろう」
「賛同する」「わたしもだ」「ああ」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」
ふーん…
私と弟子は機関が採用している礼儀作法に則った形で退室した。
「私はこの神聖武器の残骸を保管庫の高位メンバーに見せに行くが、君は自由だ。休んだらどうだ」
疲れてるだろう。
「はい、師匠…いえ、やっぱり鍛錬をみてもらえませんか、あっもちろん保管庫に行った後です」
中位になれるかもと気が急いてるのかな…そっとしとこう。
「じゃあ自室で待っててくれ。宝石を持っていていいか許可を取ってみるつもりだ、暫く時間がかかるかも」
彼女が私の顔を見上げたまま首を傾げた。彼女の種族は本当に人間と似ているな。仕草まで共通だ。
「もしかして神聖武器に付け足すつもりですか」
「そもそも私の神聖武器じゃないんだぞ。まあ確かにこっちの神聖武器と同じ緑の宝石だけどな、無理に動力源を増やしてエネルギー体の刄の出力を上げたいとは思わないよ。キミはやってみたいの」
不安定になって危険だろうし、チカラに導かれての設計でもなくなる。彼女にも分かっているだろうから言わないけど。
「…いいえ。では、どうしてです」
「新しく神聖武器を造ろうかな、と。宝石が3つあれば出力の調整をしやすいのができるし。まあ今なら宝石2つでもちゃんと造れると思うから、第六の型の派生型を使ってみたいならキミに3つ渡すよ。2人で見付けたものだし、私に認められるならキミにも所有権は与えられる」
神聖武器の管理は機関が厳しく行っているみたいだが、機関内ならそうでもないだろ。古代のメンバーの神聖武器の持ち出しは機関メンバーでも制限はあるみたいだけど。
宝石以外に、使える部品あるかな。腐食しきってはいないようにも見えるんだけどなー。