持ち主の中のチカラと共鳴する宝石5つとまだ使える部品は私達に所有が認められたが、私の弟子は中位メンバーへの昇格試験に行く前に神聖武器を造り終えられなかった。私が残りを仕上げといてもいいとは思うが、機関では自分の神聖武器は自分自身で作り上げるものとしている。どのメンバーも私の知る限り使用部品の素材を、採掘や精製から始める訳ではないのだから、核である宝石の入手以外は面倒な組み立ても自力でなくともよさそうなものだ。まあ弟子の造りかけは放っておいて自分の新しい神聖武器を完成させるか。
チカラに従って造り終えると、初めの紫色の刃を出す方とは柄の細かい造形が違う。装飾は面倒だったがチカラの導くままに無心で仕上げたんだけど…
握り心地が友人の神聖武器とはかなり違うし、第六の型を練習室でなぞっていっても取り回しが楽になっている。
私の本来の神聖武器よりも遣い易いだろうな。友人とお互いに返しあう事になったら、返ってくるのを造り直そうかな。宝石だけ今のに入れ替えても宝石の形が少しでも違えば神聖武器は上手く起動しないものだし、あの唯一の紫の刄を楽に振るには造り直すしかない。
…結構、思ったよりも、私は神聖武器に所有欲を強く抱いてるみたいだな…良くない事だろう。神聖武器を大切に扱うのは機関も推奨しているけども、チカラの悪の側面に近付く感覚がうっすらとある。
身に付ける神聖武器が2本になった後、私の弟子は中位メンバーとして意思決定部から認められた。
そこまではいいんだけど、意思決定部から召喚を受けた。元弟子が中位メンバーになった後に私から彼女の評価を聞きたいわけでもないだろうし、何か重要な仕事でも振られるのだろう。
気怠い。機関本部内の壁や床、行きかう機関所属者達の肉体や所持品の脆い一点がチカラを通して伝わってくるので、ただでさえ機関本部の居心地が悪くなっているのに、高位メンバーの中でも特に尊敬を集めている意思決定部の12名の肉体の脆い場所なんて何度も感じ取りたくなかった。
この能力を抑え込む必要を感じ始めた。故郷の星での仕事の間から今に至るまで、あんまり気にならなかったのに。
「なにが気になっているのだ、『ウィンドゥ』?」
私の姓はウィンドゥじゃない。ウィンドゥという発音は、私の妄想に過ぎない。差別的だ。人間至上主義者の楽園の世界…それどころか姓ー
「どうしたかな」
しまった。
「すいません、『マスターがた』。お話に注意を払い直します」
なんだかいらつく…チカラが伝えてくる脆い箇所をどれも意識しないようにしよう。
「ふむ…再考の必要は」
「いや、話を聞いてからでよかろう。『ウィンドゥ』、なにに気を取られておる?」
理由を説明するべきか。心を感じ取る技能は高位メンバー達の方が上手だし。
「はい、チカラによる新しい感覚が今になって気に障っています」
高位メンバー達の多くがざわついた。いや、最高位メンバー以外は1、2名だけ動じているように感じられないかな。
「うむ、上位のものじゃな?弱点を見抜く技能の」
まあ、そうなのかな。
「…はい」
「それで何が気になるのだ」
顔を伏せたまま話してもそれぞれの脆い一点がどこかは伝わってくるな…
顔を動かし、直前の質問者に視線を合わせる。
「高位メンバー方の肉体の脆い箇所がどれも意識からうまく外せず、居心地が悪いのです」
気まずい…
「すいません」
…謝ってしまった。謝る所ではないのに…顔をまた伏せとこ…。
「貴重な才能だ」
「危険ではないのか」
「どこがだ」
「制御しきれていないようだ」
「…いや、必要はないじゃろう、制御するのは」
「…ふむ…」
「なぜです、『マスター・ヨーダ』」
「彼は虐殺者ではなく、なりもしないだろう、未来においてもな。チカラは澄み切っておる」
「………では、改めて決定でいいかな」
「…賛成だ」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」「賛成」
「ああ、賛成じゃ、うむ。では、『マスター・ウィンドゥ』。おぬしは高位メンバーとして認められ、『カウンシル・メンバー』として迎えられる」
ええ~…意思決定部に所属していない機関内で評判のいい高位メンバー達がいるのに…
「…光栄です」
「席につきたまえ」
意思決定部の仕事ってどんなだよ…いやまあ概要は知っているけど…