英語なんか誰も喋っていない   作:シューズ

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ダース・モール
パダワン ダーシャ・アサント


 機関本部についてる尖塔の上階の円柱状の部屋で、いつものように意思決定部の話し合いをする。部屋の側面はどこも透明な鉱物から造られた壁な上に、首都星の天気は国によって機械で管理され今日も殆どの日と同じく晴れているので、常に見通しはいいのだが…重苦しい気分だ。

 

 ここ暫く、国の中枢に緊張がはしっている。政治家達の護衛の仕事をするとかなりうんざりしてくる。

 

 機関としても、国からの離脱を望む星系へ交渉の為送った高位メンバーと下位メンバーの師弟1組が惨殺されて首都の星へ死体が送り返された1件から不安と憂慮が蔓延し始めた。

 

 国という多数の星系の連合体に罅が走ってきた。深く集中すれば、国からの離脱という思想は、国にとっての弱点だとチカラを通して伝わってくる。この感覚は私だけのもののようだが。最高位メンバーがチカラと深く繋がって曖昧な未来のイメージを読み取ると、私と違う考えになるようだし。今の意思決定部で重視されているのは複数の星系にまたがる何種もの犯罪組織や大企業の違法行為を咎めることだ。勿論、これらは重要な問題だ。

 

 弱い部分を感じ取るのはかなり上手くなってきたと思う。国や機関という概念的なものでもどうすれば破壊できるか何となくでも分かるようになってきた。意思決定部内で序列は明確には決められていないけど、意思決定部のかじ取りを私が任せられたら、その逆の行動をすればいい。もしくは犯罪組織の弱点をついて破壊すればいい。ただ、以前破壊する為の提案が通った時、その犯罪組織は崩壊したが構成員は捉えきれなかった。その組織への致命的な行動は、組織崩壊の一連の流れを作る切っ掛けに過ぎなかった。分かっていたつもりだったが…

 

 意思決定部では基本最高位メンバーの意見が優先される。しかし国が軍事行動をとるべきという一部政治家の動きへの評価は意見が割れている。国の要請なら軍事行動にも参加すべき、とか戦闘行為は機関の理念にそぐわない、とか。最高位メンバーが意見を保留していなくても割れるとはっきり感じられるほど、意思決定部メンバー達の信条がこの件についての面では対立している。

 

 私の元弟子も高位メンバーに死者が出る直前に意思決定部に参加し、紫のクリスタルを内包した私の神聖武器を以前交換していた友人も意思決定部メンバーであり続けているから、私の提案は敬意をかなり払われて通り易い。しかし、自分の意見に自信は持ちにくい。直接戦闘で機械や犯罪者を壊すのは得意でやり方を迷ったりしないのに。迷ったら単純に死にかねないから迷わないよう体に染み付いているのもあるだろうが。

 

 

 この瞬間も、強大な犯罪組織を破壊する切っ掛けになり得ると感じる証人を、首都星の地下のスラムから機関本部へと護衛して連れて来る仕事を誰に任せるか、思いついたメンバーに確信が持てない。

 

 虫系種族が統括する大企業へ、対立する政治家達による攻撃、一部宇宙域への関税の増加法案が国会で通ったこと。それへの反撃の兆候が見られる。だから機関の高位メンバーは皆、本部で待機が求められている。

 だからと言って下位メンバー1名に、中位への昇格試験の一環としてこの中難度の仕事を振っていいのか。

 

 これを提案すればまず通るだろう。この下位メンバーが同じ人間種族の若い異性だから気にしているのか。そんなことは、ない。

 

「証人を護衛してくることを、この下位メンバーに課しては_」

 

 さっさと終わらせて次の議題に移ろう。チカラに身を任せて仕事もこなせればいいのに。仕事をするのにチカラには頼っているけど、完全に身を任せられはしない…今の所は。

 出来るように修行しても、友人のように意思決定部の一時メンバーから生涯参加メンバーに変わらない限り、直ぐ意味をなくす。やめとこう。

 

 

 

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