師匠に付かされると、2人で国からの仕事に行かされるようになった。政治家の護衛とか。何事も無ければ武器のスイッチを押し紫の刃を出す事もしない。
というか、何事かが起こる時は、チカラから警告が来る。直感だ。なんとなくではないハッキリした感覚。それに従って移動ルートを変えて、原因らしき悪に近いチカラが僅かに感じられる箇所に治安維持機構の誰かを送って、終わり。暗殺者とか犯罪者に対面すらしなかった。
後から顛末を聞いても、興味が持てない。
で、私の感情を読み取ってそれに気付いた師匠から、よくわからない注意を受けた。私は他者の感情を読み取るのは苦手だが、機関所属者は、それに限らずチカラを内包する者達は、感情にすぐ気付く。機関の高位メンバーである師匠なら尚更だ、私の感情が動いていない事が気になったらしい。
内包するチカラが強くチカラを操る素養を持ち、更には物心がついて居ないほどに幼い、この基本条件を満たして機関に所属できる人材は限られる。その1人である私は、悪のチカラに傾倒しないように小さい時から教育されたんだから、感情の起伏がなくてもいいんじゃないのか?穏やかな善のチカラを扱うのに、私が向いてるというだけじゃないのかな。
…前世の妄想が妄想でなければ機関所属の条件を満たしていないな。機関に所属し続けたいという強い思いはないけど、妄想だろう。機関の教えでは死ねばチカラと一体化するらしいし。…機関が死を推奨しないのは妙な気もするな。
師匠の話は聞き流していた。私に具体的に注意したいわけでもないようで、何と無く気になるだけらしい。チカラは直感も強化するから、何と無く、というのは重要なのだけど、直感によるものを論理的に説明できていなかった師匠の話、その内容自体は聞き流してよかったんじゃないだろーか、多分。
一定期間の経過で護衛が終わる度に本部に戻って、機関の意思決定をする一部の高位メンバー達に完了の連絡を入れる。護衛対象者達が暗殺者に狙われたらしい時でも、暗殺者と対決したでもない私と師匠には、直接会って報告するほどのことが無い。
次の仕事が命じられるまでは、本部で勉強だ。神聖な武器を用いた型の内の第六、師匠が使う【合成】を学んだり、機関の記録庫からテキトーに借りて閲覧したりだ。
自室でぼんやりしている時間が長いが。結局私は刃部分が半実体でない古代の方は作れなかったけれども、自室に私物で鑑賞に耐える物なんて、自分の現代版の武器1つしかない。あー、現代の武器と言ったら銃が相応しいのか。というか古代から長く主流であり続け、かつ一般に流通している武器は銃の筈だが、この機関内は例外らしい。チカラがあれば銃に神聖武器は対抗出来るから不要だと機関所属の私は所持すら出来ない。機関も戦闘用宇宙船には銃器も搭載してるのに。他は…例えば服は、着用してるのは機関が配布するものだが私に拘りはないし、もし拘りがあったとしても機関が用意した服は意匠が統一された機関メンバーと示すものだから、これ以外は不要だろう。武器だけで特徴的だから服は別でもいいのか、支給品以外を纏うメンバーもいるけど。
で、自室で武器を持ってぼーっとしていると大体師匠が呼びに来る。光刃を出していないから訓練場に行けと注意されたりはしないが、変な顔をされる。別に師匠が来るのをチカラを通して感じ取ってスイッチから指を離したりはしていないし、師匠も武器をただ眺めていたと分かるだろう。師匠はそれが変だと感じたのだろうが。
記録庫から借りたものを見ている時か神聖武器の使用の型の訓練で疲れて横になっている時には来ないから、いつも武器を眺めていると思われるのだろう。どうでもいい誤解だ。
師匠が私の部屋に来る用事は、私へのチカラに関連した事の教授もしくは、仕事だ。