護衛から始まった仕事は、何度か何事もなくこなしてから、犯罪者を捕まえるものが入る様になった。国が犯罪者を生け捕りにするのに高額な賞金を懸けて、それでも捕まらないと、機関に話が来たりするらしい。
目撃情報があった所へ師匠と共に、機関所有の武装した1人乗りの宇宙船で移動すると、運が良ければその場所か同じ星系で見付かる。目的の犯罪者の移動先が辿れなくなって仕事が果たせない事もあるが…。
私が対面した(というより、「できた」)犯罪者達は、銃で武装していた。砲身を備えた宇宙船から降りていれば、銃で武装していても取り押さえられる。宇宙船を撃墜したら生け捕りは無理だろうし、宇宙船を牽引する機能は私達の宇宙船の様な小型船には付けられないから、どこかの星に降りた所を捕まえるのだ。
まず話し掛けて対象の犯罪者か確認する、この時点で多くは銃口を向けて来る印象だ。周りに生物も知能のあるロボットも居ない場所に移動しようと誘う、機関所属者だと名乗る、そこまでしたら全員銃を撃ってくる。周りに対象者以外がいればその時点で漸く武器を出してスイッチを入れ、エネルギー弾を刃で受けて地面に向けてはじきながら近付く。
チカラを使える上にエネルギー体の刃もあれば簡単だ(失敗する機関所属者もいるらしいけど)。そして銃だけを紫の刃で破壊し、投降するよう勧告する。師匠が部分的にか全てかやる事もあったが、私1人でも可能だと示してからは、一時的に師匠と別行動する事もあるようになった。
機関特有の神聖な武器を用いた型は、実用の面から言うと銃の弾を弾く為だけに使われている。エネルギーの塊を刃の部分で受けると弾き返す。刃はエネルギー体だが半分実体のようなもので、弾を刃で受けても柄に衝撃が伝わるので、宇宙船に装備されるような大型の砲に対しては膂力が足らず避けるしかない。
善なるチカラによって感覚を強化できる事が念頭に置かれている型は、そもそもチカラを使えない多くの存在にとって戦闘でかなり有利だと実感していたが…私は機関所属者の中でもチカラに関する感覚が特に鋭いみたいで、型を極めていなくても実戦で強いらしい。
どの犯罪者と対面しても、何の脅威も感じず穏やかな気持ちのまま捕まえ続けた。銃が撃たれる瞬間ですら落ち着いていられた。
感情が動かないのは何故か、師匠はずっと気にしていたけど。
感情的になり易く特に危険だという悪のチカラと向き合う訓練も、機関本部で受けた事はあるけれど…その場所は隔離されていて、私1人で機関の過去の敵の幻と向かい合っただけだった。その時も、武装していなかったけど落ち着いたままで、善のチカラを全身に纏い立ち続けていられた。幻が消えるまで。
…そもそも脅威を感じた事が無いのかもしれなかった。脅威に直面した上で扱うチカラが悪に寄らないのかを気にしていたのかも。