英語なんか誰も喋っていない   作:シューズ

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業務:平和

 ロボットか生物が滞在できる星々の大部分が国に属している。という事になっているけど、きぞん宇宙船で瞬間移動不能な星図外への、瞬間移動無しの調査行も機関は稀に行う。

 私は参加してもいいと思っていた。

 

 機関の重要な仕事として国内の紛争調停があり、師匠や他のメンバーと共に関わる様になってうんざりしている。幾つもの星々で内戦が起きかけている。こんな星図内から出てもいい気がする。中で長期間生活可能な仕様の中型~大型宇宙船なら一生そこでも平気だろう。機関の訓練で精神の安定は得意になっているし。

 星図内での、星図更新の為の調査があればそれでもいいのだが。

 

 機関の理念は、チカラを研究する、チカラの均衡をとる。後者の、チカラの均衡をとる為に国を安定させようと仕事をしている。その上で内戦を未然に防ぎ続ける仕事は重要だが、嫌過ぎる。チカラに身を任せればどうにかなるでもない。紛争間際の星では悪の側面のチカラが広がっているし、善の側面のチカラが使い難い。

 

 政治家や活動家との交渉、場合によっては彼ら彼女らの保持する武力との衝突。チカラが使い難いと、交渉も戦闘も大変だ。純粋な話術、言語や礼儀作法の知識、それに素の反射神経や体力が高水準で必要なのだ。何より先読みの精度が低いと遣り難い。

 戦闘用宇宙船同士の戦闘も、起こる事が他の仕事より多い。自分の肉体に内包するチカラの強さに頼る部分が大きくなる。感覚的に、機関最高位に比べれば私は大したことない。客観的には、チカラに関する体内の特定の微生物の量の多寡で潜在的な強弱が分かるが、私にはまだ伸びしろがあるらしい。私に近い微生物量のメンバーから感じられるチカラより、私から感じられるチカラは少し弱いらしい。チカラの限界は生まれつき決まっているようだから私は最高位には届かないだろう、今の最高位は長命種族で寿命まで人間の一生以上ある筈だし。

 

 紛争調停の為には悪の面を扱えれば楽だろうが、悪の面を抑えてチカラの均衡をとるのが目的なのだから、悪の側面の使用をするのはあべこべだ。機関ではそもそも禁止されている。悪のチカラと相対する訓練はあるが、危険過ぎるからと使用は許されない。研究もほぼ許されないが、高位メンバーになると、悪の側面を使う古代の敵の詳細の記録閲覧が可能になる。この既に滅んだ敵について、悪の側面を操る特に危険な集団だとしか知らない。

 

 機関メンバーからも悪の側面に変わる者が出ないとも限らないが、古代の敵とは別物でありそれ程危険でもないと教わった。そういう者なら紛争調停を楽にこなせるのだろうな。私の中にも悪の側面はあるのだろうか、もしあるなら…どうしようか。

 

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