例によってゴミみたいな駄文である。
身の丈程ある長さの大太刀を振り下ろす。
特殊な合金製のタワーシールドがバターか何かかのように真っ二つになる。
「た、盾が⁈」
驚きの声を上げるタワーシールドの持ち主のアーマーを着込んだ男にタックルをして押し倒して大太刀の切っ先を突きつけて、
「このまま死ぬか、貯め込んだその食い物出すか選べ」
「う、嘘だ!ど、どうせ殺すんだろ⁈」
「俺が欲しいのはその食い物だけだ。お前の命なんかいらない」
言って、寸止めしていた大太刀の切っ先を仰向けに倒れた相手の喉に刺さらないまでも痛みを感じる程度に力を込めて当てる。
「ほ、本当に殺さないんだな?」
「無駄に殺すのは好きじゃない」
男が腰のポーチを探って差し出して来たカードキーを受け取って突き付けた大太刀を引いて背負った鞘に納めて、そのまま男を踏み越えてその後ろにあった倉庫の入り口のカードリーダーに受け取ったカードキーを通して開けて中に入る。
倉庫の中には卸問屋もかくやな量の食い物やらが貯蔵されていた。その中から適当にカロリーバーを取って大太刀とは別で背負って来たバックパックにそれをガサガサと放り込んで、ついでにミネラルウォーターの入ったボトルも3本詰めて倉庫を出て、まだ外に居た男にカードキーを投げるように返してそのまま歩き去る。
何が悲しくてこんな盗賊生活をしなければならないのかとカロリーバーを齧りながら何度目か分からない自問自答をする。
俺はいわゆる転生者と言う奴だ。別にトラックに轢かれたり通り魔に襲われたりして神様に会ってなんてことは特になかった。むしろ気が付いたらこの世界に居た。
この、アークナイツと言うケータイのアプリゲームの世界に。
ここは文字通りの天災と言う超級の災害が日常的にあっちこっちで起きてる非常に生きにくい世界だ。
そして、この世界では源石。オリジニウムと呼ばれる天災が発生するようになってから発見されるようになった特殊な鉱石が石油や石炭と言ったものの代わりにエネルギー源と用いられているが、適切な装備や処置が無ければ源石病と言う病にかかってしまう。この源石病の厄介なところは人から人へと感染する上に現状では治療法が存在しない。だから、その感染者達は排斥されて迫害される。
俺がこうして盗賊に身をやつしてるのも源石病の感染者だからだ。左腕を見れば鱗のように肘から手首までを黒い結晶が覆っている。源石病が進行するとこうして源石が体表に現れて最終的には源石の塊になってしまうらしい。まあ、大体はそうなる前に源石の毒性で死ぬけどな。
ちなみに感染者である以上街には入れないどころか下手すりゃ殺されるし、食い物を始めとした物資なんて貰えるわけが無かった。
だが、悪いことばかりでは無い。まあマイナスが大きすぎるとは言え、自前で源石を生成して使いまくれるから、これのエネルギーを利用して様々な力を発揮出来る。アーツと呼ばれている技術で、本来は源石を利用した装備が無ければ使えないそれを俺達は適性さえ有れば自由に使える。源石病の進行が早まると言う代価を払ってだが。
「飯くらいゆっくり食わせろよ」
言いながらカロリーバーを一気に口に放り込んで大太刀を掴んで引き抜き様に真後ろに振り向きながら一閃する。
奇妙な外見のよくわからない生き物が真っ二つになってドサリと崩れ落ちるのを見ながら大太刀をしっかりと構える。
目の前には今斬り捨てた子供1人分くらいはありそうな大きさの名状し難い軟体生物のようなものが5匹。
オリジムシと言う源石の影響を受けて変異した生物だ。見た目は不気味の一言だが、こんなのをペットにする強者も居たりする。
ペットの奴はどうだか知らないが、野生のこいつらの主食は源石だ。大方俺の体の源石にホイホイされて来たんだろう。
見た目に反して素早く近付いて来るオリジムシの1匹に対して振り上げた大太刀を振り下ろしてぶった斬り、一歩踏み込んで返す刀で2匹目を斬り捨てる。そのままの動きで大太刀を引いて、突きを繰り出す。
「燃えろ」
突き出す大太刀の刃が炎を纏い、触れたオリジムシを焼いて行く。
身体能力の強化と発火が言ってしまえば俺のアーツだろうか。少なくとも本来の俺の筋力じゃこの大太刀どころか普通の太刀さえ満足に振るえやしないし、ましてや発火なんて出来るわけがない。ならばコレはアーツなんだろう。
今がどれくらいの時期なのかは知らないが、ロドスやレユニオンでなら俺のこの力の詳細なこともわかるだろうが、感染者間でもどちらの話も聞くことは無い。
突き出した大太刀を引きながら後ろに跳んでオリジムシの突進を躱してその隙だらけなツラ目掛けて、引いて肩に担ぐようにした炎の灯る大太刀を振り下ろす。
「逃げたか………」
そそくさと逃げて行く生き残ったオリジムシを見送って、軽く上から下に大太刀を振って火を消して鞘に納める。
これからどうなるかわからないが、ロドスでもレユニオンでもどっちでも良いから拾って貰えないだろうか。あ、源石病悪化上等でテロらされるレユニオンはやっぱ御免するわ。
それはそれとして今日の寝床はどうするかな………
天災の影響で体を休めれるような場所なんて岩と岩の隙間や洞窟くらいなもんだ。で、そのどっちも大体がオリジムシやその変異種の巣になってたりするから寝床一つ確保することすら厳しい。万一、突発的に天災にでも遭遇しようもんなら目も当てられない。
「ま、なるようになるか」
結局、ごちゃごちゃ考えるだけ無駄なので適当に割り切って歩き出す。
幸い今居る場所は天災で滅んでいるとは言えかつての都市だ、そこかしこに殆ど崩れているとは言え形を保っている建物もあるからそのうち見つかるだろう。
天災が頻繁に発生するようになってから、人類の住む都市は街を構成するブロックを載せた車輌のようになるのは必然だった。天災の予兆を発見すればすぐさま移動することで天災から逃げると言う訳だ。
遠くに見える地上を動く山のようなものがそれだ。アレが見えている以上はとりあえず、天災の心配はない。それに一安心して寝床を探して歩いて行くと半分ほど崩落しているが身を潜めて雨風から身を守るには十分なドーム施設の残骸を見つけた。
崩れた壁の隙間から中に入ると、そこにはボロ切れのような服に身を包んだ3人ほどの先客が居た。こんなところに居ると言う事は感染者だろう。大人の男女が2人と子供が1人の家族だろうか?
「か、感染者狩りか⁈私達が何をしたって言うんだ⁈」
背中の大太刀のせいだろう、そう勘違いされて発狂したように男に怒鳴られた。嫁さんと子どもを庇って前に立ってるのは中々立派だ。
「あんた方の同類だよ。寝床にするのに丁度良さそうだから来ただけだよ」
「証拠はあるのか?」
左腕の袖をまくって腕の源石を見せると、家族が安心したように小さくため息を吐いた。
安心してもらえたところで家族から距離を取って、かつてここでスポーツに汗水を流していた奴らが使っていたであろうブルペン内のベンチに寝転がる。
翌朝、まだ日も昇る前に目が覚めた。
家族が休んでいた方を見ると身を寄せ合って静かに眠っていた。
「慈善事業なんてやってる場合じゃないんだけどなぁ」
やれやれと自嘲しながら眠る家族達の近くに持って来たミネラルウォーターを2本とカロリーバーの箱を3つ置いて廃墟から出る。
「さて、今日も今日とて当てもなく放浪の始まりですよ、と」
軽くなったバックパックに軽く笑って歩き出す。
軽いオリ主設定
種族:フェリーン
年齢:20歳前後
感染状態:15%
アーツ適性:良好