『英雄』の呪い   作:信者2nd

2 / 5
はじめての投稿です。
どうぞよろしく。


序章
プロローグ


 白髪の少年は一人薄暗い迷宮を疾走していた。

 

 

 

 彼の後ろには人型の影が5体追いかけてきている。

 

 

 外見通り足の速さが違うのか犬と人を合体させた容姿の怪物が三体、少し後ろに着いていくのが精一杯ということがわかるほど息を切らした緑色の肌をした子供程の背丈の怪物が追いかけている。

 

 追いかけてられている白髪の少年は息を乱しながらも余裕を持ってあらかじめ仲間と決めていた場所へと駆けて行く。

 

 

 

 

 

「ウィル!コボルト3、ゴブリン2、もうすぐ!」

 

「おうよっ!」

 

 

 

  追いかけられていた少年が曲がり角を曲がり、コボルト達が彼にその爪を届かせようとした瞬間

 

 

「【剣に光を(アームズ)】」

 

 

 

 追いかけてきていた3体のコボルト達が灰と化した。足の速さの違いから少し遅れて角を曲がって追い付いたゴブリン達が目にしたのは、今まで追いかけていた白髪の少年をコボルトが追いつめている姿ではなく、足下に積もる灰とその中で輝く三つの小さい紫紺の結晶だった。

 

 

 

 3体のコボルトを一度に斬り殺したその少年の剣は残ったゴブリン達に向けられた。

 

 「さぁベル!あと二つだ!」

「うん!」

 そして2体だけ残ったゴブリン達は二人の連携によってほどなく灰と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはオラリオ 

 迷宮都市と呼ばれる世界で唯一迷宮(ダンジョン)を有し、生産される魔石を糧に繁栄している都市だ。

 そんなオラリオには魔石を産出するために必要な冒険者という職業が存在する。一山当てればオラリオの外では何世代も遊んで暮らせるような宝を求め、一攫千金を目論む者もいれば、強くなりたい、自分を高めるために迷宮(ダンジョン)に潜る求道者もいるし、はたまたハーレムを作るためにオラリオまで来る者もいる。

 

 

 これはそんなオラリオにある目的を持って来たとある少年のお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わぁ!今日だけで6000ヴァリスも稼げたなんて信じられないや!」

 「いやいや俺たちの稼いだ額なんてそうたいしたもんでもないだろ。

ほら、半分の3000ヴァリスだ。失くすなよ?ベル」

 「失くさないよ!そうは言っても6000ヴァリスなんて僕の村じゃあんまり見ない金額なんだもの。これで神様とご馳走を食べにいこうかなぁ」

 「いやいや俺たちはまだ新人なんだからこれからゆっくり拾ってもらった恩を返していけばいいんだよ」

 

 夕暮れのなかギルドの目の前で話している二人の少年達が話していた。

 一人は小柄な白髪紅眼のウサギのような人間(ヒューマン)

 もう一人は先の少年よりだいぶ大きい金髪紅眼のウィルと呼ばれている人間(ヒューマン)だった。

 

 

「これからどうするよ?飯でも食うか?」

「ゴメン、今日は神様と一緒に食べる約束をしたんだ」

「先に約束したならしゃあねぇな。俺はボッチ飯でも決め込むかね」

 

 二人は帰路に帰りながら話す。

 

「ミアハ様やナァーザさんと一緒に食べないの?」

「あの二人を二人きりにしてやるためにだよ。ただでさえうちの主神様は鈍感なんだからチャンスくらい増やしてやらねぇとな」

「えっ?どういう事?」

「え、お前もなの?...まぁ旨い飯屋探しておいてやるからヘスティア様と一緒に仲良くな」

「ちょっとどうしたのさウィル?なんで二人より家族(ファミリア)みんなで食べたほうがよくない?」

「わかんねーなら良いんだよ。また明日な」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま帰ったぜ。ミアハ様、ナァーザさん」

「おぉ、おかえりウィル、今日は少し遅かったな。怪我はないか?」

「ミアハ様は心配しすぎ、おかえり今日はどうだった?」

「心配しなくともポーション使ってねぇしベル共々無傷だったよ。

はいコレ今日の成果だ」

 

そう言いながらウィルはナァーザに2000ヴァリス入った革袋を投げ渡す。ナァーザは受け取りながらも心配そうな顔をして

 

 

「いつも言っているけどもう少し多く貰ってもいいんだよ?新人なんだし装備の整備とかにもお金(ヴァリス)はかかるでしょ?」

「いや俺の場合は魔法で武器や防具の損傷は軽減できるからなぁ、最初発現した時は感覚わかんなかったけどこの一週間である程度覚えてきたぜ」

 

ウィルには【魔力放出(アームズ)】という魔法が最初から発現していたが人間には最初から魔力を自由に操るのは難しいため、ナァーザにコツを教えて貰い、武器に纏わせたり、攻撃される時魔力を放出することで攻撃を避けたり受けるダメージを軽減する事ができていた。

 

 

 

「しかしウィルよ、今日はずいぶんと遅かったな。さぁ皆で夕食を食べに行こう」

「え?今日は外で食べてくるから二人で食べててくれと言わなかったか?」

「…ミアハ様がウィルはまだオラリオに来て一週間だから良い店を知らないだろうから少し待って三人で何処かに食べに行こうって…」

「うむ!ウィルはまだ16で食べ盛りなのに我々に気を遣って金を節約するあまり食べて来なかっただろう?この前ポーションを配った冒険者が良い店があると教えてくれたのだ。確か豊穣の女主人といったか、新入りの男を連れて行くと良いとな」

「そりゃまぁ、腹にまだ入りはするけどよ…」

 

 チラリと見るとナァーザは残念そうな顔をしてこちらを見ている。

 ナァーザはミアハを好いている事は少し二人に関われば一目瞭然なのだがいかんせんミアハが好意に気付かないので、ウィルとしてはナァーザの恋路をサポートしようとしたのだが…

 

 

「しょうがないよウィル、こうなったミアハ様は止められないしウィルの歓迎会もまだだったしね、今日くらいはある程度贅沢しよう。フタリデゴハンタベタカッタケド」

「サーセン。それならお言葉に甘えますかね…」

「うむ!それではついてきてくれ」

 

 

 

「ふむ、ここが豊穣の女主人か、賑わっているな」

「店員さん達皆綺麗っすねー。あっもちろんナァーザさんには敵いませんヨー」

「そんなこと言ったってあまり贅沢はできないよ?借金あるんだから」

 

 

 そうこぼすナァーザの目は申し訳なさげに自分の銀の腕に向かう。

 少し前までは【ミアハ・ファミリア】は中堅どころの医療系ファミリアだったが、数年前、ナァーザが迷宮(ダンジョン)内で片手を失い、義手としてミアハが銀の腕(アガートラム)を用意した事で事態は急変した。

 

銀の腕(アガートラム)の値段その額1億ヴァリス

 

 八百万ヴァリスあれば豪邸が建ち、ましては1億ヴァリスもあれば第一級冒険者(Lv.5)の武具がオーダーメイドできる。そんな大金を失って 代わりに得たのはトラウマによって怪物(モンスター)と戦えなくなったLv.2冒険者の片腕だけ。

 もちろんその場で支払えず、借金になってしまったその金額は家族であるファミリアを離れると判断するには充分であった。

 義手を売った【ディアンケヒト・ファミリア】の温情で利子は無いもののこの借金は団員達の心を離れさせた。そうして残ったのは怪物への恐怖心で迷宮に潜れないLv.2の冒険者一人と主神のミアハだけだった。そうしてこれまでポーションを売ってなんとか生活していた所にウィルが加入してきたのである。

 

 

「わかってますよ。俺は助けてくれたミアハ様に恩返しがしたくて入ったんだからな。贅沢なんて期待してねぇよ。一目みて貧乏くじ引いてそうな良い(ひと)だってわかるからな」

「そ、そうか?親切にしているだけなのだがなぁ」

 

 

 怪訝そうな顔をしたミアハを挟んで眷族(ふたり)が笑う。

 ウィルはオラリオに一週間前来てすぐに、カツアゲに会った。相手はLv.1だったが恩恵を授かっていなかったウィルは反抗していたが逃げる事も出来ず困っていた所をミアハが助け、殴られた傷を治すためにポーションをくれたのだ。

 そんなミアハに恩を返すため、ウィルは【ミアハ・ファミリア】に加入したのだ。

 そんな経緯を思い出しながらウィル達は猫耳の獣人に案内され、席についた。

よくよく見周すと、店員は美人ばかりで他にも銀髪の可愛らしい人間(ヒューマン)の姿も見えた。

 

「むぅ、ミアハ様この店はウィルと()()で行くと良いと言われたんですね?」

「う、うむどうしたナァーザよ?そんなに怖い顔をして」

「イイエ?ナンデモナイデスヨ。」

「そっそうか、さて何を頼むかななぁウィル!」

 

 ミアハに豊穣の女主人を教えた冒険者は貧しい生活をしている男二人に行って日々の励ましにとして教えたのだろうが恋する乙女には関係なかった。ウィルとミアハは唯一の女性団員の冷たい視線に肝を冷やしながら旨い飯に舌鼓をうった。

 

 

 

 

 

ウィレム・トラキア

 

Lv.1

 

 力:H 134→H 163

耐久:H 107→H 119

器用:I 94 →H 125

敏捷:I 61 →I 90

魔力:I 82 →I 98

 

 

 

魔法

魔力放出(アームズ)

・魔力放出魔法

・魔力を放出または物質化する

 

 

スキル 

堕ちた才人(ブライト)

・常時全ステイタス上昇補正

・成長促進

 

 

 

 

 

 

 

 豊穣の女主人でウィルの歓迎会から帰るとミアハは一瞬顔を歪ませながらもそれを隠そうと笑顔を取り繕いながら言った。

 

 

「おぉ!器用と敏捷がかなり上がっているぞ!これもベルとパーティーを組んでおかげだな」

 

 

 

「まぁベルは足が速いし、味方がいると剣の振り方も気を使うからな、魔力で跳べないし苦労もあったが稼ぎは良いしダンジョンのことを色々教えて貰えるからな。ナァーザからも怪物(モンスター)以外の事...地形や採取をお願いされる薬草の生息場所とかは教えてもらえてるけど、あー、まあ怪物(モンスター)のことは実戦で知れることも多いんだこれが」

 

 

 

 

 

 ソロの時はウィルは敵がいれば魔力放出を使って接近し混戦に持ち込み、力をいかして剣を振るうだけで十分だったが、パーティーを組んでからは攻撃手(アタッカー)としての役割が多かった。

 

 

 パーティーを組んでからは、敵をベルに速さで混乱させ、仕留めるという戦法を使っていた。

 

 

 

 

「しかし器用の上がり幅がすごいな」

 

 

 

「ああ。ベルに当てないように気を使っていた事もあるがな、やっぱり技を使うと器用が上がるな。

更新ありがとう、俺はもう休む事にするよ。おやすみミアハ様」

 

 

「おやすみ、明日に備えるのだぞ」

 

 

 ウィルが自分の部屋に帰るのを見送りながら独り言を漏らす。

 

 

 

 

「あのスキルとこの効果について触れない方が良いのだろうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 ミアハは不安気にこぼした言葉はミアハがウィルに対してもつ悩みだった。

 

 

 【堕ちた才人(ブライト)】の精神汚染と 

 

 

 

 ウィルに見せた写し紙には書いていないスキル

 

 その名は 【英雄死願者(レクテット・オプス)

 

 

 

 そのスキルは無視する事ができないあまりに不吉な名前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_翌日 ベルと共にウィルはダンジョンに向かっていた。

 

 

 

 

 

「それにしてもウィルはすごいよね。もう僕じゃあ敵わないかもね」

 

 

「まぁ俺の場合は魔法の影響もあるが、俺は…実家で剣術も少しかじっていたからな。ベルは我流だろ?基礎くらいは教えようか?」

 

 

「えっ?いいの?そういうのってこう...『門外不出の奥義がー』とか『この禁断の技は使用者の心身に大きな影響がー』とかないの?」

 

 

「あるわけないだろそんなの、ナイフについては初歩の初歩しか知らんけどそれくらいならな」

 

 

「ありがとう!実家ってもしかして大きな道場とか?」

 

 

 

「…まぁそんなもんだよ。いいから行くぞ!稼ぎの種が他の奴らに狩りつくされちまう」

 

 

「そういえばダンジョンにはもう慣れた?僕の方が先輩なんだから何でも聞いてね?」

 

 

「まぁダンジョンに実際に入ったのはベルより遅いけどナァーザから一週間くらいダンジョンについて教わったり、装備の準備とか店の手伝いとかやってたから実は恩恵貰ってからの期間は同じくらいなんだぜ」

 

 

「えぇっ!なら僕もエイナさんにもっと教わらなきゃ!うぅ、でもエイナさんの座学は大変だって有名なんだよね」

 

 

「ははっ!とりあえずその話は後にしてダンジョン行こうぜ」

 

 

「そうだね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ウィレム・トラキア

Lv.1

 力:H 163
耐久:H 119
器用:H 125
敏捷:I 90
魔力:I 98


魔法
魔力放出(アームズ)
・魔力放出魔法
・魔力を放出または物質化する



スキル 
堕ちた才人(ブライト)
・思考汚染
・常時全ステイタス上昇補正
・成長促進

英雄死願者(レクテットオプス)
・自身が英雄と見定めた者と戦う時全ステイタス超上昇補正
・見定めた英雄への思いの丈により成長補正

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。