ミアハ「ステイタスにヤバ気なスキルが…秘密にしよう」
ウィル「ベルにナイフの扱い方を後で教えよう」
ベル&ウィル「ダンジョンいくぞ!」
原作突入です。
第一話 英雄譚の始まり
「うわぁぁぁぁぁぁぁー!」
「ベル黙って走れ!いや、俺たちが逃げていてもいずれ追いつかれるか、よしベル叫びながら走れ!いやいやlV.1のやつが来てもどうしようもないか...?」
「何ぶつぶつ言ってんの!?恐怖でおかしくなっちゃった?」
「なにぃ?俺がビビってるだぁ?野郎ぶっ殺す!」
「やめてよ僕たちが勝てるわけないじゃん!ミノタウロス倒せる人~!助けてくださーい!!!」
『ブモォォォォ!!』
此処はダンジョン五階層、ウィル達は今ミノタウロスに追いかけられていた。
~数分前~
「うーんやっぱり二人でなら四階層くらいなら楽勝だね」
「油断は良くないぜベル。とはいえ確かに作業感はどうしようもねぇな」
「ねぇ五階層に行かない?ウィルだって稼ぎたいでしょ?」
「ま、そうだな。ちょっと様子見るくらいはしとくか。いくぞベル!」「うん!」
ウィル達は五階層へと続く階段を降りていった
そうして到着した五階層でウィル達は何故かモンスターに遭遇せず、静寂が広がっていた。何かまずいのとではと思いながらも探索を続けて何度目かの曲がり角の先には...
「「えっ?」」
『ブモォ?』
全身を覆うこげ茶色の体毛、自分達の体躯を優に超えて厚い筋肉、そして妙に乱れた呼吸から感じる生臭いくて熱い吐息
うん、
ミノタウロスは推奨lV.2、十五階層より下の階層でしか生まれない。ダンジョンに入ってから一月にも満たないパーティーが戦うような敵とは格が違う。
そんなモンスターとウィルたちは遭遇してしまった。
「……よしベル逃げるぞ!」
「うん!」
「ブモォ!?」
そうして命を賭けた追いかけっこが始まった。
「ベル!五階層の道知ってるか!」
「ごめん!主要な道は知ってるけど逃げるのに必死で今の場所がわからない!」
「しゃあない、なら行き止まりに行かない事を祈ろう!
ってどうしたベル!」
「...この先もしかしたら行き止まり...かも」
そう言って次の角を曲がるとそこには壁しかなかった。ベルは走ったため赤かった顔を真っ青に変える。
「マジかよ畜生っ!ベル迎撃だ!生き残るぞ!」
「う、うん!」
そうして二人が武器を構えると
ドスン!ドスン!と足音が迫ってくる。ミノタウロスが現れた瞬間
「ブルアァァァァァ!!!」
「ひっ!うわぁぁぁ!」
「ベル!」
『尻餅を着いちまった。ベルは戦えねぇ』
「ならぁ!俺が守ってやらねぇとなぁ!」
「【
ウィルの渾身の一撃
それは魔力を一撃に籠めた剣の袈裟斬りである。ただの攻撃と思ってはいけない、
その一撃は確かにミノタウロスの肉体を斬り裂いた。だが
「くそっ!魔石に届いてねぇ!」
確かにその一撃はミノタウロスに通用し、咄嗟に防御した左腕を切断し胸筋に食い込んだが、ただそれだけだった。この程度の負傷では致命傷には届かず、ミノタウロスは止まらない。
「ブモォォォォ!!」
「がっ!!」
むしろ怒らせたのかミノタウロスは大技を放った隙だらけのウィルを蹴り飛ばし、受け止めようとしたベルもまとめて後方の壁に叩きつけた。咄嗟に魔力を放出して直撃の瞬間に跳び下がったとはいえ脚撃がかすっただけで防具が砕け散り、体からも骨が折れる鈍い音が響く。
「ウィル大丈夫!?」
「げほっ、これは…やべぇな…」
ミノタウロスはもう警戒する必要が無いと思っているのかゆっくりと歩いてじりじりと二人に近づいて行く。
一人は戦意喪失、もう一人は大怪我を負い武器を失った。
まさしく絶体絶命、凡人ならば命を諦め絶望し、才ある者なら後ろにいるベルを囮に逃げる事を考え実行するだろう。しかし
ウィルは立ち上がり剣身が半分となった長剣を構えた。
「かかってこいやぁ!」
『ブモォォォ!』
絶体絶命のその時...ミノタウロスの胴体が両断され、二人に血の雨が降った。
「「は?」」
ミノタウロスの上半身が崩れ落ち、立ったままの下半身の向こう側には...
金色の妖精がいた。剣を血に濡らした姿は残酷だったが気にさせない美しさがそこにはあった。
その姿はウィルは聞いた事のある人物を思いださせた。オラリオへの旅路の中で聞いた【ロキ・ファミリア】所属の第一級冒険者
【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン
そんな彼女の姿を見たベルは顔を一瞬にして赤くする。
「あの...大丈夫ですか?」
「いや、げほっ!」
「っ!ポーションです。飲めますか?」
「あぁ、ありがたい」
アイズに差し出されたポーションをウィルはすこしずつ飲み干した。するとすぐに折れた骨が治り、立てるようになった。
「これは...すごいな。全部治ったのか?」
「【ディアンケヒト・ファミリア】製の
「あぁもう大丈夫だ。いや、大丈夫です。...てかディアンケヒトって...すげぇな、高い金とるだけの品質ってことか」
「?」
そしてアイズは赤くなって動かないベルに顔を向け、首を傾げる。
「あの...大丈夫...ですか?」
「ほぁぁぁあああああああああ!!!」
「おいベル!?」
ベルは顔を赤くたまま走り去った。その勢いはまさしく脱兎、兎を想起させ、もしかすると先程の逃亡劇の時よりも速いのではないかと錯覚させる程だった。
「…大丈夫でしょうか?」
「あんだけ走れるなら大丈夫だろ...だと思います」
「あのそれで聞きたい事が...「おいアイズ!ミノタウロスはどうした!」ベートさん...」
声がした方を見るとそこには白毛の
「ミノタウロスならたぶんこの辺りにはいないと思いますよ。結構な間ここら辺走りまわったんで」
「てことはアレで打ち止めか。ていうかてめぇは誰だ?」
「あの...「すいません!俺もうアイツ追いかけないと!ありがとうございましたー!」えっ?」
アイズが顔を上げるとウィルは既に去っていった。
「むぅ」
「てめぇ驚いたのは分かるがなに先帰ってやがる!」
「すいませんでしたー!」
「まぁまぁウィル君もそのくらいで」
「止めないでくれエイナさん、俺がどれだけ苦労して地上までたどりといたか…ったくこれなら【ロキ・ファミリア】の人たちに地上まで送って貰えば良かったぜ」
「
「ベル!」
「はいすいません!」
「歯をくいしばれ!」
ベルは目をつぶって痛みに耐えようとする。ぼそりとウィルが声を発したことが分かるが聞き取れなかったので聴覚に意識を傾けた瞬間...
ばちんっ
「痛ったぁぁい!!」
「どうだ?ちっととはいえ
「ウィル君バカでしょ、全くもぉ~!ていうか二人はとっととその全身にかぶった血をどうにかしてきなさい!」
ウィルはふらつき、ベルは痛みに耐えるためにギルドの床を転がった。
そんなこんなでギルドから
騒動から少しして二人は被った血を落とすため、シャワーを浴びてからエイナと共に話していた。
「もぅ、で二人に何があったの?ベル君はウィル君の事を心配して騒いでたけど、大丈夫なの?」
「あぁ、
悪い、やりすぎた」
「ううん、僕も逃げてウィルに迷惑かけちゃったし、それに一緒に戦えなかった...」
「いやあれはしょうがねぇよ。駆け出し冒険者の前のにミノタウロスだぜ?ビビるの当然だろ」
「けど!ウィルは立ち向かったのに!」
「あの、二人共?」
「あれは俺が戦闘経験があったからで普通の奴はしょうがないだろ。」
「けど!僕はウィルと一緒に立ち向かいたかったのに...」
「ベル...」
「コホン!二人とも~結局何があったのかな~?」
「あぁエイナいたのか」
「えっとその、五階層でミノタウロスに会いまして...」
エイナの顔から表情が一瞬で失せたかと思えば取り繕ったのが簡単に分かる笑顔を浮かべた。ベルは察した。あぁ、マジキレだ。
「ウィル君後でちょっと話があるわ。ていうか五階層ですって?ミノタウロス?」
「よしベル!後は任せたぞ、借りはエイナの怒りを肩代わりでチャラということで!
というわけで、さらば!」
「え?え?」
「ウィル君待ちなさい!...しょうがないわね。ベル君!」
「はいっ!」
「ちょっとお説教があります」
「ウィルー!恨むからねー!!」
「さらばベルよ。エイナの生贄にしてスマン、後で面白そうなじゃがまる君醤油あんこ味~アボカドクリームを添えて~をおごってやるからな。てか今日の分の魔石全額
ベルを怒るエイナへの生贄にし、逃げたウィルはまたダンジョンに潜る気分でもないため【ミアハ・ファミリア】のホームである青の薬舖に帰っていた。
「てか長剣がなぁ...魔力ありったけ籠めたしミノタウロス斬ったしでボロボロになっちまったなぁ、どうすっか」
ウィルが持っていた剣は元々【ミアハ・ファミリア】に所属していた冒険者の装備でLV.1の冒険者が扱う装備としてはかなり上質な物だったが長年の劣化と今日の負担で半分になった剣身も芯が歪んで曲がっていた。
「ただいまー」
「あれ?どうしたのウィル?今日は早いね」
「まぁちょっとな、ミアハ様は?もしかしてまた?」
「うん…ウィルが入ったから余裕ができた分ちょっと浮かれてるみたい...」
「はぁ、飯抜きの刑だな全くこれだから我らの主神殿は」
ミアハは初心者冒険者にポーションを宣伝のためといって配ってまわる習慣があった。初心者冒険者やミアハの容姿に惹かれた女性冒険者達が主に受け取るが、宣伝としての費用対効果としては微妙なものであった。
「そんなこと言ってウィルちょっと喜んでる」
「まぁ俺がこのファミリアに入ろうと思ったのはミアハ様のあの優しさに助けられたからだからな。」
「そうだったね。でも今日は粘って一本100ヴァリスで売らせる事にしたから。」
「でもそれ結局赤字だろ?」
「それは...まぁうん。それで?今日はやけに帰りが早いけどどうしたの?」
「あぁ、それが...
ベルは説教の後にアイズの事をエイナに聞きました。