シルヴァリオ リポーゾ   作:一ノ原曲利

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 前回の続き。カウンセリングフェイズ。




ミズガルドの片隅の彼方にて / Country road

 

 

 

 

「で、あなたはどんなお悩み抱えてるんですか?」

 

「驚いたな、そんなこともわかるのか」

 

「いえ、こちらは純粋な診断結果です。特に肉体面に関して目立った外傷も潜在的な疲労もなし。神経系・消化器系・泌尿器系にも目立った異常は見られないとなると……あとは精神系(メンタル)でしょうから」

 

 服を着直したベルグシュラインに対し、ガリガリとカルテに書き込むダーインはそう断言した。

 基本的には、〝洗礼〟を受けた人間が病に罹ることはない。ましてや怪我などは瞬時に回復するし、肉体が衰えることもない。まさに不老不死である。

 目の前の医者は〝洗礼〟について知っているのか、と傍らにいるスメラギに視線で問うが、若き姿のままの教皇は見た目相応の悪戯っ気のある笑顔を浮かべ、肩を竦めた。

 判断には難しい返答ではあるが、恐らくダーインは()()()()()。本来であれば使徒の不老不死に関して知っている者は使徒と神祖のみであることが好ましいが、教皇自らそれを見過ごしている限りは第三者に漏れることも無いのだろう。

 それほど、教皇に信を置く者。

 それが、この若き医師ダーインということになる。

 

「ふむ、メンタルに関しては──うーん、時にベルグシュラインさん、あなたには悩みを打ち明けられる人はいますか?」

 

「我が師がいます」

 

「師?」

 

「剣の師、です」

 

 ふむむ、とダーインは唸る。

 師とは師弟のことであることは分かる。

 ベルグシュラインが弟子であり、師匠と呼ばれるものがいることもわかる。そしてベルグシュラインを以てして師匠が務まるのは、ダーインが知る限りたった1人しか思い至らない。

 あの、妙に胸元が肌蹴てご立派な大胸筋が露になった独特のエロティックさを兼ね備えた偉丈夫である。

 ぶしつけかもしれないが、神祖たる(グレンファルト)がそこまで気の利いたアドバイスをするとは思えなかった。

 師と弟子、という関係性もある。

 更に神祖という人生経験が、悪戯に拗らせている。

 これは難しそうだ、と気付く傍ら、それすらもグレンファルトの思惑通りだと気付くことは、残念ながら今のダーインにはできなかった。

 

「他に、悩みを打ち明けられるような人は? 若しくは悩みを言語化することが難しい体質だったりすることは?」

 

「特に、いません。悩みに関しては……思ったことをそのまま口にするまでなので、特に不得手ではありません」

 

「うーん……まぁ、誰とでも仲良くなれ──とは言いません。仲良くなった相手が寝返ったり、人質に取られれば太刀筋が鈍ることもあるでしょうし」

 

「いえ、誰であろうと我が剣の冴えが鈍ることはないでしょう」

 

「……そうか? じゃあ、もしあなたが窮地に──うん、想像しにくいな。あなたみたいな人が窮地……? まぁ、トンデモない事態が訪れて、窮地に陥ったとしよう。そんな時に手を差し伸べられるような、そんな間柄の人が少しでもいるといい」

 

「私に、手を」

 

 想像が、難しかった。

 しかし、想像ができなかったわけではない。如何にベルグシュラインといえども、最初から完全無欠にして最強の剣聖『斬空真剣(ティルフィング)』だったわけではない。

 

 血の滲む様な努力があり。

 泥を舐める様な敗北があり。

 骨身が砕ける様な鍛錬があった。

 

 常人であれば挫折していたであろう受難、しかし諦めるという考えを持たず、同時に並大抵の力では越えられない受難さえも踏破する才覚を持ち合わせていたのがベルグシュラインという男だ。

 グレンファルトにその才を見出され、使徒として選ばれ師事される前までは、刹那の時ではあったが肩を並べる同朋がいた。勇士がいた。

 

「ふむ、言いだした手前、矢張りあなたが窮地に陥り、誰かに助けられるというイメージが思い浮かばないな。いや失敬、人を見た目で判断するとは医師失格だが──矢張り、難しい。触診でもわかったけど、ここまでの無駄のない洗練された筋肉は見たことがない。おまけに足捌きも中々、柄を握られたなら死を連想させるほどだった。

 そうだな、ならば戦友はどうだろうか」

 

「戦友、ですか?」

 

「ああ、戦場で背中を預けられる友がいるならば心強いだろう。無論この戦友とはただの友人とかではない、もっと厳しい。少なくとも、あなたと鍔迫合うような腕を持っていないとね」

 

「……周りには、そのような武人はおりません。強いて言うなれば、我が師のみでしょうか」

 

「致命的なまでの人材不足、か。長い目で見てここ数十年、カンタベリーでは軍事力や武力の向上を急がせるような出来事が起きてない。最近は何やらアドラーが不穏な動きを見せているようだけど…まぁいつものことか。平和なのはいいことだ」

 

「それに関しては耳が痛いね。でも安心していいよ、例え他国からの宣戦布告があろうとなかろうと、我が国の侵略なんて一歩たりとも許したりはしないさ」

 

「はあ。そうですか」

 

 ダーインはスメラギの言葉を無感動に、つまらなそうに受け止めた。ベルグシュラインとて、一般家庭というものを人並みには知っているつもりだが、スメラギの家庭は一般のそれとは大きく異なるものだと理解した。

 一般と異なるというよりは大きく逸脱しているとは露とも知らず。

 

「なんなら、あなたが自ら弟子を取るのはどうだろうか。人を育てるのは案外楽しいものかもしれない。自分の教えにどこまで耐えられるか見物だろうし、自分だったらこうできた、自分には思いつかなかった発想、成長。いろいろなものが見られるだろう。弟子が師を超える瞬間というのも感慨深そうだ。きっといい経験になる、あなたにも、その弟子にも」

 

「……考えて、おきます。しかし私とて若輩の身。まだまだ師を名乗るには力が不足していましょう。何より、私は今の師を超えたとは思えない。これからも、精進せねば」

 

「そうですか。

 ……矢張り、出会いだな。運命でもなく出会いとは、人に変容を促す。急速成長を促す。時に悪影響ともなれば、良い影響にもなる。自分を変える、自分が変わることは自殺とほぼ同義だから。今までの自分を殺し、新生し新たな価値観と力を携えた自分が歩き出す……残酷でもあるが、もし()()()()()()()()()()()()()()、或いは、()()()()()()()()()()()()()()()()、いい刺激になるだろう」

 

「もし、私にその出会い(運命)が訪れるとしたら、いつでしょうか」

 

「いつ?」

 

 うーん、と小さく、考え込むように唸るが。

 

「死ぬ直前くらい、だろうかな」

 

 すらすらと。

 特に迷うことなく、ベルグシュラインの眼をしっかりと見て、そう告げた。

 告げてから、ハッと我に返り、ダーインは首を下げる。

 

「いや、ごめん。これは医師の助言としては大いに外れたもの。忘れてくれて構わない」

 

「いえ」

 

「えっ」

 

「このまま一生出会いもないまま枯れ征くと思っておりましたので、安心しました。つまり、貴方の慧眼でも運命の出会いは()()訪れると見ているのですね?」

 

「ん? ああ、それは間違いない」

 

 間髪入れず。

 さも、当たり前のように。

 内心、驚愕と興奮のさざ波が立つベルグシュラインを目の前に。ダーインは宣言した。

 

「間違いないと、断言する。必ず、あなたの価値観を変える誰か、あなたと相対し打ち負かすであろう誰かと出会う。

 っと、あなた方の上司、教皇様の言葉の方が、遥かに信憑性に長けたものだと思うけど。ましてや、たかが片田舎の医者の言う言葉だ、が……」

 

 ダーインは言葉を選ぶように、一瞬言葉を巡らせた。

 

「少なくとも、気休めで言ったわけではないということは断言しよう。医師として、カウンセラーとしてのプライドに賭けて。あなたに運命の出会いは必ず訪れる。願わくは、たった一度のそのチャンスをモノにしてほしい。

 雌雄を決する好敵手、背中を預けられる戦友、何者にも代えがたい心の友、魂の兄弟、あとは……前世からの腐れ縁、とか?」

 

 最後はやや疑問を含ませながら言い切った。その辺りは一介の医師でも予想できないものだからだ。経験則が万人に当てはまるものでもなし、運命と言えどその出会いは予想も予期もできないもの。

 そして言い切った当の本人であるダーインも、今の会話だけでベルグシュラインの遺恨を取り除いた、完全に処置したとは判断しなかったのか、僅かに眉根を寄せた。

 

「……より、剣の腕についての話を聞きたいのであれば、専門家に伺うのが適切だろう。なんせ、ボクは医者であって戦士でも剣士でも、ましてや剣術家でもない。本来、効果の見込めるか怪しい処方をするのは医者としては失格なんだが……一つ、アドバイスだ」

 

 ダーインはじ、とベルグシュラインの眼を見つめる。

 若干髪の影に隠れる赤眼が爛爛と輝く。ただ睨みつけられている訳でもないのに、己の根源を覗き見られているような──そう、神祖が見つめる眼と、少し酷似している。

 まだ、20にも満たない少年であるのに。

 その眼は、相対する者の何を視ようとしているのだろうか。

 

「居合、というものを知っている? 所作からしてかなり得手と見える」

 

「ご慧眼の通り」

 

「茶化さないでいい。ふむ……これはあくまでもボクが聞きかじったことなんだが、居合とは『鞘の中に勝利を含む』というらしい」

 

「ほう」

 

「己が〝居〟て、斬るべき相手と〝合〟えば抜刀する。

 居合で大切なのは斬る・斬れないではなく、刀の間合いを見極めること、だそうだ。敵の攻撃が届かず己が斬撃が届くか、または敵の攻撃が届くよりも先に斬撃が届くか見極められれば、抜刀と納刀の間の一太刀だけで相手を屠れる。

 これは情報戦でもそう。間合いを知れば、自ずと距離を取れる。相手があなたの間合いを知れば、刀が鞘の中にありながら勝利を手にできる。無暗に間合いに入ってきたら、居合で斬ればいい」

 

「なるほど。故に正に鞘の内の勝利、と」

 

「ただ技を技として使うのではなく、技に込められた意味や原理を合理的に考えたり、自分の中で解釈してみては? 勿論、一つ一つの技に対して戦闘中に雑音が入るような要らない感情移入をするのは言語道断だろうけど、訓練中や練習中くらいはどうだろう。

 解釈は人の数だけあるが、己が振るう技に対してくらい、自分の好きに解釈してもいいと思う。剣技が〝そうである〟と考えるだけでも、己が技が到達すべき域、という具体的な目標が見つかる、かもしれない」

 

「もし、その解釈が誤ったものであったなら」

 

「自己解釈に誤りはない。()()()()()()()()()()()()()──それが正しい。もし己が考えた解釈に誤りがあるのでは、と考えた時点で、それは自己解釈から手放された何かだ。そして己の裡に入った新しい解釈こそが、新たな自己解釈」

 

「……なるほど、後学のためになりました」

 

「ちなみにさっきの居合の話はどこで聞いたんだい?」

 

「さあ? 職業柄、たくさんの人と会うことが多いからいつ、どこで聞いたかは覚えていませんよ。ただ、その解釈はボクの中で正しいと思ったから、何となく覚えてただけですよっと」

 

「そうかい」

 

 神祖スメラギの茶々に嫌々返答するダーイン。こう見ると、その姿は年相応なものであり世話焼きの好好爺とお節介に不貞腐れる孫の姿にも見えた。

 確かに、スメラギと一緒でなければ見られない光景である。

 

「また、何か悩みを抱えたときは来るといい。イストラカン・エイル診療所はいつでも患者を迎え入れる」

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 構える。

 構える。構える。

 

 息を潜め、呼吸を乱さず、剣を構える。

 喧噪が遠くなる。人の気配が消える。眼も見えなくなる。感じられるのは、自分の鼓動と手に伝わる柄の重さだけ──本当に、そうか?

 

 伝わる気配を知る。

 視覚を絶つことで研ぎ澄まされる感覚を知る。

 握った柄の重みを知る。

 剣術の、居合の術理を知る。

 

 鞘の中には勝利があり。

 己はそれ(勝利)を、既に握っている。

 

 構え、構え、構え構え構え構え構え──今。

 

「シッ」

 

 一閃。

 鞘から抜き放つは一瞬。瞬きの間に剣は鞘に収まり。剣閃を見る者は1人としておらず。

 

「ふむ」

 

 ただ1人、ウィリアム・ベルグシュラインは鉄面皮のまま、地面を見下ろす。

 風に吹かれて舞い散った葉は23枚。

 地面に落ちたのは両断された46枚と、両断されていない葉は1枚として存在せず。

 

 居合完了、寡黙な神剣(ベルグシュライン)の名は以前違わず。

 

「調子を取り戻したようだな」

 

「はい」

 

 傍らで眺めていたグレンファルトはぱちぱちと惜しみない称賛と拍手を贈る。その程度の賛辞で喜ぶほどベルグシュラインも幼くはないが、自然と悪い気はしなかった。

 これが、師と弟子。

 弟子の成長を喜ぶのが師であり、師を超えることをよしとするのが、弟子。

 

「どうだ、悪くない医者だったろう。たかが片田舎の医者と馬鹿にできん」

 

「ええ、彼は本当に素晴らしい。時に我が主君」

 

「なんだね」

 

「こうなることを予想して、私を彼の元へ案内したのですか?」

 

 そう、今回の発起人はグレンファルト。

 曰く、教皇スメラギはあくまでも帰省という名目で診療所を訪れただけであり、たまたまベルグシュラインもそれに便乗したに過ぎない。確かに勝手知るスメラギと同伴していた方がベルグシュラインも余計に迷うことはないが、別にいなくても問題はなかった。

 時期、というのもあるが。

 それでも、スメラギと共に、あの時期にベルグシュラインをダーインの元に遣わしたことには何らかの意味があるはずだ。

 それを突かれたグレンファルトは含みのある笑みを浮かべ、

 

「神祖も、万能ではあっても全能ではないと思っただろう?」

 

「ッ」

 

「使徒に選ばれ〝神託〟を授かった者は、神祖から必ず託宣を賜る。が……お前ほど長生きした者には、神祖なぞという仰々しい者から告げられた運命なぞに現実味を持って待てという方が酷だ。だから、あいつの元へ送ってやったのさ。いい気分転換になっただろう?」

 

「ええ。神祖目の前にして言うのもぶしつけなことかもしれませんが……神祖の託宣を頂いたときよりも、これからを生きていくことが楽しみになりましたよ。来る日まで、腕を磨いておきたくなりました」

 

「それはそれは。送り出した甲斐もあったというものだな」

 

 お前が腕を上げたらこれから現れるその運命とやらのハードルも上がるだろうがな、とは口にしない。

 

「同じ種族として同じラインに立っているからこそ、信じられる声がある、言葉がある。これだから人間という種族は侮れない。あいつはそこいらの医者とは一線を画しているがな」

 

「やけに、彼を評価しますね」

 

「気になるか?」

 

「少なからず。神祖スメラギの直系の子孫と聞いておりますが、果たして彼にそこまでの力量があったかと問われるとそうでもない。どちらかといえば学者肌でしょう。医学という点では片田舎の医者とは思えないほど目を見張るものがありますが、それでも神祖の方々と比べると」

 

「そうだな。だが、別にどうというわけではないさ。ただ、あいつが我々の知る者と似ているだけだ。顔も、見た目もまったく似てはいないんだがな」

 

 グレンファルトは、懐かしむように目を細め、天を仰いだ。

 当然、グレンファルトの過去を知らないベルグシュラシンにはその過去がいつのものであるか、どれほど価値のある者か推し量ることはできない。ただ、神祖神祖と誰にでも崇め、称えられる人智を超えた存在と忘れるには十分な、何とも人間らしい姿であったことは確か。

 

「ところで一つ、提案があるのですが」

 

「なんだ?」

 

 だが、それはそれ。これはこれ。

 目の前にいる自分ではなく記憶の彼方の人物を見ていることへのささやかな嫉妬──とは気付くことなく、グレンファルトは剣を腰だめに構える。

 

「我が太刀筋の変わりよう、その身を以って試してみてはいかがでしょうか。何分、私としても()()()()()結果を確かめたいという思いがあります」

 

 ばちり、と。

 風舞う木の葉が独りでに弾けて散った。その様に然しものグレンファルトも背筋を震わせた。

 剣気だ。

 剣を抜いた様子はない。にも関わらず木の葉は弾け、ベルグシュラインから伝わる波動はグレンファルトの身をも揺らす。遥か昔、一流の剣客が放つことができるという空想上の御伽話、逸話どころか造話に過ぎない現象──それが、目の前で実現した。

 

 千年に1人の逸材に疑いなし。

 『斬空真剣』(ティルフィング)、未だ成長を止めず。

 覚醒の限界値も知らず、どこまでも切れ味は研ぎ澄まされていく。

 その刃、神祖の心臓に届きうるか。

 

「いいだろう、来い。つまらぬ戦いはしてくれるなよ? 『斬空真剣』(ティルフィング)

 

「無論」

 

 口元の線は弧を描かず。

 されど、胸の内には以前よりも溢れる期待と興奮を抱いていた。

 

 ウィリアム・ベルグシュラインは今日も剣を振るう。

 見果てぬ未来の好敵手たる存在との出会いに、思いを馳せて。

 

 

 ──東部戦線の火蓋が切って落とされる、少し前の話である。

 

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

「おはよう九条兄の方。今日も仕事量に見合わず健康体で何よりだお前はもうメディカルチェック受けなくていいぞ」

 

「相変わらず辛辣だな()()()研究所(ここ)に配属されてるカウンセラーはお前だけなんだ、形だけでも診てくれよ」

 

「だったらレーションで飯を済まさず精のつくものをちゃんと、三食、時間合わせて、食え。まずはそこからだ」

 

「……国のため、護国のための研究だ。寸暇も惜しい」

 

「だったら国を支えるお前が休まずしてどうする。正直なところ、国がどうなろうが戦争で勝とうが負けようがどうでもいいが、それに個人が振り回されるのは我慢ならん。

 悠也も、神代も、木花も、お前の妹も。自分がヒトであることを忘れるな。飯を食わねば力は出ないし、眠らなければいい仕事はできん。お前たちにしかできない仕事、()()()()()自分の身を軽んじるな。健全な生活サイクルを忘れるな。あまり我儘を言うなら実力行使するが」

 

「怖いことを言う……もしや、悠也が昨日夕方から見えなかったのって」

 

「安心しろ、副作用はない……筈だ」

 

「おい、ちゃんとこっちを見ろ」

 

「アーアーアー忙しい忙しい。手に負えない(ブラック)患者(ラベル)よりまだ見込みが(イエロー)ある患者(ラベル)の連中を診るので忙しいなぁー。

 相変わらず精力剤と電子ドラッグ乱用してないよなぁ神代ォ? また薬棚からアンプルの紛失あったぞぉ犯人お前だなしばくぞオラァ」

 

「ぎゃー!? 朝から乙女の寝室に入り込むなヤブ医者! いくら私が両刀だからって全然食指湧かないお前なんかお断りだって! あ、ごめんなさいドラッグ取るのやめて壊すのやめてそれ唯一の私の生命線なのォ!」

 

「適用量を守らないのは頂けないなぁ神代ぉ。そんな哀れな患者には少々キツイ処置が必要だなぁ?」

 

「やめ、なんだその金槌で何するつもりだおま……あ゛あ゛───やめろぉおおおおおお私の心のオアシスがぁああああああああ!!!」

 

「安心しろ、ショック療法だ」

 

 

 

「…朝っぱらからガサ入れで大忙しね、須久那」

 

「御先か。ああ、いつも通りだ」

 

「そうね、本当にいつも通り」

 

 

 

「え、お前BLにも手出してたのか……ああ、うん、まぁ…それでヌける女もいなくはないが…うわ、うわぁ…これ全部焼却処分な。とりあえず──あー、何だ、あのなんたら核融合炉とやらに捨てて燃やして貰おう。よく燃えそうだよな、アレ」

 

「「それはやめろ」」

 

「やめて! BLはテーマとその日の気分でヌけるヌけないの違いがあるから! あと、たまに降って沸いた様にしばらくご無沙汰だったやつを観てヌくこともあるの! だから捨てないでぇ! 捨てたら……アレだ、有り余る性欲を他の研究員にぶつけて淫行に耽るぞ! 犯すぞ! お前の幼馴染の皇も喰うぞ! 童貞奪ってやる!」

 

「うわ」

 

「わぁ…」

 

「………おう。わかった。全部ボッシュートな」

 

 

 

 

 

 

 






 公式はもっと掘り下げてもいい過去があったと思う
 ないなら書くしかない


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