彼に始めて会ったのは二年前。彼に…アキラ君に命を救われた。それも、何度も。今から話すのは私、ギンガ・ナカジマとアキラ君が出会って、それからの話。
◆◆◆◆◆◆◆
JS事件が起こる二年前。
森の方にテロリストがマシナリーを使った事件が確認されたので陸士108部隊で駆逐しに向かった。
これがギンガの初任務だった。
「お前達はあっちを、俺とギンガはこの先をやってくる!」
「了解!!」
ギンガの部隊の隊長が指示をだし、それに従った部下が速やかに行動する。
「ギンガ、やっと任務につけてもらったからってあんまり先走んなよ?」
「はいっ」
二人は山の奥の方に入っていく。
しばらく進むとギンガの視界に三機ほどのマシナリーが写った。
しかも背を向けている。
ギンガはこれ以上のチャンスはないと思った。
(なにかするところかな…なら!)
「ウィングロード!」
地面にウィングロードを敷き、ギンガはそのまま突っ込んだ。
「!?ギンガ!!待て!!」
隊長はギンガを止めようとして飛び出したが近くに潜んでいたマシナリーに捕まってしまう。
「うぐっ!!」
「隊長!?キャア!!」
ギンガは隊長を助けようとしたが、横から大型のマシナリーが出現し、ギンガを拘束した。
(これくらい……っ!?)
「ぐう…っ!」
大型マシナリーは一機ではなくかった。
全三機でギンガを拘束している。
そして、ギンガの頭を狙ったエネルギー砲が発射されようとしていた。
「くっ…外れて…外れて…!」
魔力弾が発射された瞬間だった。
刹那、一筋の刃の光がギンガを拘束していた触手を叩き切り、大型マシナリー三機を真っ二つにした。
「間一髪ってとこか…」
一瞬何が起きたか理解してなかったギンガが口を開く。
「あ…なたは?」
ギンガを助けたのは15歳くらいの少年。白いコートを着て、右手には日本刀を一本。そして左肩には気絶した隊長が担がれている。
「無事か?あんた。」
少年は優しく手を差し伸べてくれた。
「あ…うん…」
ギンガは少年の手を握った。その瞬間、ギンガは感じた。少年のまるで怨み、悲しみを重ねたような、大きな殺意の様なものを。
ギンガはそれを感じた瞬間つい少年の手を離してしまった。
「!……」
少年は驚いた表情を浮かべる。
「あ…ごめん…その…」
ギンガがなにか言おうとした時、魔力砲が少年の頬をかすめた。
「チッ…こっちの始末がさきか…」
攻撃してきたのはさっきのマシナリーだった。
それに少年は一人で向かっていく。
「ちょっと、一人じゃ…」
「黙ってろ。俺も強い」
その言葉は嘘じゃなかった。彼は刀一本でマシナリーを次々と切り倒していく。
だが数が多すぎる。
「危ない!!」
後ろから狙われてたのを、ギンガが防いだ。
「まったく…一人じゃ無理っていったでしょ?」
「…さすがに数が多すぎるか…ECディバイダー!」
少年は一瞬で剣のついた銃を出す。それを構えると少年の足下に魔方陣が出現した。
「俺から10メートルは離れろ!!!!一撃で決める!!」
「え!?あ、うん!」
ギンガは慌ててウィングロードを出して、隊長を抱え、上空10メートル地点にいく。
「フロストシュート!!!!」
一撃。
本当に一撃だった。少年のデバイスの魔力砲は一撃でマシナリーを全て撃破した。
「ふぅ…こんなもんか…」
そう言って少年は刀を鞘に戻し、デバイスを消して立ち去ろうとする。
「まってどこいくの!?」
「さぁな」
「じ…じゃあ…名前は?」
「……橘アキラだ…覚え無くていい」
「えっと…私は…ギンガ・ナカジマ。ありがとうね橘君。あと…さっきはごめんなさい…悪気があった訳じゃ…」
「…」
「あ…」
アキラは無言のまま立ち去ってしまった。
◆◆◆◆◆◆◆
その夜、ギンガはPCに向かっていた。
「橘アキラっと」
PCでアキラの事を調べていた。前科者、時空管理局職員。色々なルートで調べたが、出てこない。
「やっぱりでないか…」
(…なんか気になるのよね…あの人)
ギンガが気になってる理由はなんとなく気になるだけではない。あの戦闘技術、それから、なんの関係もない自分を助けたこと。
[只今、現場は張り積めた空気で犯人の要求は…]
「ん?」
偶然つけていたテレビのニュースで立て籠り事件がやっていた。
犯人は銃を持って人質をとって、警察にベランダで要求を叫んでいる。
[おい、なんだよあれ…]
突然、現場がどよめく。
カメラが犯人のいるマンションの屋上を撮す。そこにいたのは…
「橘君!?」
屋上には確かにアキラが立っていた。
そしてそこから飛び降り、犯人がいるベランダに飛び込んだと思うと刀で銃を叩き切り、峰で犯人の首の後ろを叩いて気絶させる。
数秒のことだった。
[と…突撃~!!]
しばらくアキラに呆気をとられていた警察がようやく動いた。
「すごい…」
しかし、アキラは誰に何を言うのでもなく、そのまま立ち去った。
◆◆◆◆◆◆◆
「犯人確保ー!!」
さて、また違う日。ギンガ達はある事件に駆り出されていた。
「すいませんね。呼んでしまって。あなた…まだ新人でしょう?」
「いえ、いいんです。これが仕事ですし。怪我人を出さずに犯人を確保できてよかったです」
その時、確保されたテロリストが怪しい動きをしていた。しかしギンガ達はまだ気づいてない。
「今だ!」
テロリストが叫ぶと、テロリストの二人が拘束をほどいて逃げ出した。
「しまっ…」
逃げ足が速く、一瞬で出口に近づく。
「速いっ!?」
しかし出口は誰かが道を塞いでいるが、ギンガには、なんとなく分かった。
また「彼」だと。
「大人しくお縄にかかれ三下」
ギンガの予想は大当り。出口に立っていたのはアキラだった。
「オラッそこどけ!!」
「……」
「へぶっ!?」
アキラは無言で逃げ出したテロリストの一人の顎を思いっきり蹴りあげ、鞘が付いたままの刀でもう一人の後頭部を叩く。この速業で二人とも気絶してしまった。
「確保だ!!犯人確保!!」
テロリストは再逮捕された。そして今まで通り、アキラは誰にも気付かれないように、その場を去っていく。しかし、ギンガには見られていた。
今すぐ追い掛けたかったギンガは、近くにいた仲間に訪ねた。
「すいません」
「はい、なんですか?」
「私、もうやることないですよ…ね?」
「ええ、もう戻られて結構ですよ?」
―地下道―
(地下の道か…こんな裏道があるなんて…。この先に橘君の住み処かなにか…あるのかな…まさかね)
ギンガは帰ると見せかけ、アキラを尾行していた。どうしても彼が気になるのだ。
アキラが途中で止まり、後ろをみる。ギンガはあわてて隠れた。
少しするとアキラはまた前を向き、角を曲がって歩いていく。
(見失っちゃう…)
そう思い、少し急いで追いかけると曲がり角から刀が飛び出してきた。
「うわぁ!」
アキラは尾行の存在にとっくに気づいていた。
「誰だ…」
「えっと…私ですギンガです」
「なんだ…またあんたか」
ギンガが名乗ると、アキラは刀を納めてくれた。
「なんの用だ?」
続く