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―地下道―
地下道ではアキラとギンガが二人で向き合っていた。ギンガがアキラを尾行していたが、アキラはとっくに気付いており、アキラはなぜついてきたのか問い詰めていた。
「うん…用っていうか…」
「…興味本意なら近づくな。あまり人を巻き込みたくない」
ボソボソと言うアキラの声がギンガには妙に悲しそうに見えた。
「いや、興味本意じゃなくて、その…心配なんだ…」
「………心配?」
アキラにとって意外な答えだったのかアキラは驚いていた。
「うん…事件現場にあなたが現れても特に何も言わず帰っちゃうよね?なんで?」
「…さぁな。ただ「正体不明のヒーロー」とかいって、ちやほやされたいだけの奴かも知れないぞ?」
アキラはあえて嫌われるよう、ウザく思われる様に言葉を選ぶ。
「……それは…嘘だよね?あなたは、そんな人じゃない…そんな気がするんだ。あ、いや…ただの勘だよ!?なんとなく…」
ギンガが優しく微笑む。
「!!」
アキラはさらに驚いた。その言葉はすごく懐かしかったから。
第一、自分を心配してくれる人もこの一年久しぶりだ。
(この人なら信じていい。大丈夫かもしれない。セシルと同じかもしれない)そんな考えがアキラには芽生え始める。だから柄にもなく自分のことを話始めた。
「…俺は…人から恩賞をもらう権利がない…」
「え?」
「あんたには隠し事できそうにないしな。話すよ…全部話す」
そう言うとアキラは、その場に座り込み、少しうつ向いた。
「………俺はな…昔、人を…いや、ある少女を殺した」
「え…」
アキラは口を挟まれる前に全部言っておく事にした。いや、いっておきたかった。
「そう、殺しちまったんだ。殺したとはいっても事故だがな。まだ未来のある9歳の少女を……俺のミスで殺しちまった。俺は罪を償う為に、せめて…あの子が許してくれる時なんか無いと思う。だけどせめて…あの子を守れなかった分まで人を守ろうって思っただけだ」
アキラにとって始めて昔の話をした相手だった。
ギンガは黙ってる。
(まぁどうせ嘘かなんかの冗談だと思われて、そのままおしまいだろうな…こんな話…)
「そう…だったんだ…」
何やら暗い声。
アキラは呆れられたのかと思った。それが当然だと思ってたから。
しかしギンガは違った。心配そうな目を見ると、本気で信じてる様だ。
「…お前、つぅ…が…」
アキラが突然右肩を押さえた。
「橘君!?大丈夫!?」
「問題ない…よくあることだ」
「問題無くないよ!ほら見せて…」
アキラは渋々と肩をギンガに見せた。
「この傷痕…」
「古傷だ…気にすんな」
ギンガが見るとアキラの体には所々傷がある。傷痕や新しい傷、アキラは傷の自然回復を待つだけだった。
もちろん病院にも言ってない。
するとギンガはアキラの肩を軽くおさえながらアキラに尋ねた。
「えっと、その…か、管理局に…来てみない?」
「…………は?」
「あのさ…なんていうか…今の橘君のやり方は今は良くてもいずれ支障が出ると思うんだ。傷だってちゃんと治療しなきゃだし…」
遠慮を見せながらギンガは喋る。
「……無理だ。管理局じゃやれる事に限りがある。ついでに保護者もいねぇから、管理局に入ろうとしても無理だ」
ギンガは顔をアキラに向ける。強気な顔だ。ギンガはアキラの目をしっかりと見ながら話す。
「じゃあ、保護責任者は私がなんとかする」
ギンガの最初の遠慮深さはどこに行ったのか、引き下がろうとしない。
次第にアキラは疲れてきた。
「はぁ………わかった…考えておく…」
「本当!?」
「…ああ。考えてといてやるからこれ以上はついて来んな」
アキラは冷たく言い放つと、右肩を押さえながら立ち上がり、去ろうとするが、ギンガは最後にアキラに言った。
「ちゃんと病院にいかなきゃダメだよ~!」
「はぁ…へいへい」
アキラはどうにも彼女、ギンガがセシルに似ていると思っていた。
◆◆◆◆◆◆◆
1ヶ月後のギンガの帰路。
「よぉ…」
「橘君!?」
「…」
相変わらずの無表情で、暗闇から出てくるからちょっと怖いとギンガは思った。
「保護責任者はなんとかなったか?」
「え…ああ!うん!もし、管理局に来るなら、お父さんが引き受けてくれるらしい…の」
恐る恐るギンガが答える。保護責任者のことは聞いてきたが、まだ管理局に入るとはいってない。
「随分すんなり受け付けたな…」
「え?」
「いや、なんでもない。そうか…わかった」
そう言ったかと思うと、刀袋に手を入れた。
「えっ!?」
刀袋からは刀…ではなく紙が出てきた。それを広げてギンガに向ける。
「この入局書はこんな感じでいいのか?」
「…」
「…どうした?おい?」
正直ギンガは驚いた。きっと駄目だと思った。彼は管理局にはこない。そう思っていた。
彼はギンガの言葉に答えてくれた。それがなにより嬉しかった。
「……い…おい!!」
「ふえ!?」
ギンガは嬉しさのあまりしばらく呆けていた。
その内にアキラはかなり顔を近づけている。
「う…うん。大体こんなのでいいよ」
「顔赤いぞ?大丈夫か?」
「え!?あ、うん」
「…まぁいい。じゃあな」
アキラはまた暗闇に消えようとしたがまたギンガが引き止めた。
「橘君!!」
「なんだよ?」
「また…会える?」
「…知らねぇ」
その日から3日後、アキラ君は時空管理局に入局した。
◆◆◆◆◆◆◆
そんな事があってから…アキラが入局してから一年半。
今、刀を携えた男が…アキラが、陸士108部隊の隊舎入り口の前にいる。
「やっとついた…」
そう言って前に進む。
「ようやく会えるぜ…ギンガ・ナカジマ…」