魔法少女リリカルなのは Partiality   作:瑠和

3 / 16
今回ちょっと短めです。
評価、コメント、投票等できたらお願いします。


第二話 事情

―地下道―

 

地下道ではアキラとギンガが二人で向き合っていた。ギンガがアキラを尾行していたが、アキラはとっくに気付いており、アキラはなぜついてきたのか問い詰めていた。

 

「うん…用っていうか…」

 

「…興味本意なら近づくな。あまり人を巻き込みたくない」

 

ボソボソと言うアキラの声がギンガには妙に悲しそうに見えた。

 

「いや、興味本意じゃなくて、その…心配なんだ…」

 

「………心配?」

 

アキラにとって意外な答えだったのかアキラは驚いていた。

 

「うん…事件現場にあなたが現れても特に何も言わず帰っちゃうよね?なんで?」

 

「…さぁな。ただ「正体不明のヒーロー」とかいって、ちやほやされたいだけの奴かも知れないぞ?」

 

アキラはあえて嫌われるよう、ウザく思われる様に言葉を選ぶ。

 

「……それは…嘘だよね?あなたは、そんな人じゃない…そんな気がするんだ。あ、いや…ただの勘だよ!?なんとなく…」

 

ギンガが優しく微笑む。

 

「!!」

 

アキラはさらに驚いた。その言葉はすごく懐かしかったから。

第一、自分を心配してくれる人もこの一年久しぶりだ。

(この人なら信じていい。大丈夫かもしれない。セシルと同じかもしれない)そんな考えがアキラには芽生え始める。だから柄にもなく自分のことを話始めた。

 

「…俺は…人から恩賞をもらう権利がない…」

 

「え?」

 

「あんたには隠し事できそうにないしな。話すよ…全部話す」

 

そう言うとアキラは、その場に座り込み、少しうつ向いた。

 

「………俺はな…昔、人を…いや、ある少女を殺した」

 

「え…」

 

アキラは口を挟まれる前に全部言っておく事にした。いや、いっておきたかった。

 

「そう、殺しちまったんだ。殺したとはいっても事故だがな。まだ未来のある9歳の少女を……俺のミスで殺しちまった。俺は罪を償う為に、せめて…あの子が許してくれる時なんか無いと思う。だけどせめて…あの子を守れなかった分まで人を守ろうって思っただけだ」

 

アキラにとって始めて昔の話をした相手だった。

 

ギンガは黙ってる。

 

(まぁどうせ嘘かなんかの冗談だと思われて、そのままおしまいだろうな…こんな話…)

 

「そう…だったんだ…」

 

何やら暗い声。

 

アキラは呆れられたのかと思った。それが当然だと思ってたから。

 

しかしギンガは違った。心配そうな目を見ると、本気で信じてる様だ。

 

「…お前、つぅ…が…」

 

アキラが突然右肩を押さえた。

 

「橘君!?大丈夫!?」

 

「問題ない…よくあることだ」

 

「問題無くないよ!ほら見せて…」

 

アキラは渋々と肩をギンガに見せた。

 

「この傷痕…」

 

「古傷だ…気にすんな」

 

ギンガが見るとアキラの体には所々傷がある。傷痕や新しい傷、アキラは傷の自然回復を待つだけだった。

 

もちろん病院にも言ってない。

 

するとギンガはアキラの肩を軽くおさえながらアキラに尋ねた。

 

「えっと、その…か、管理局に…来てみない?」

 

「…………は?」

 

「あのさ…なんていうか…今の橘君のやり方は今は良くてもいずれ支障が出ると思うんだ。傷だってちゃんと治療しなきゃだし…」

 

遠慮を見せながらギンガは喋る。

 

「……無理だ。管理局じゃやれる事に限りがある。ついでに保護者もいねぇから、管理局に入ろうとしても無理だ」

 

ギンガは顔をアキラに向ける。強気な顔だ。ギンガはアキラの目をしっかりと見ながら話す。

 

「じゃあ、保護責任者は私がなんとかする」

 

ギンガの最初の遠慮深さはどこに行ったのか、引き下がろうとしない。

 

次第にアキラは疲れてきた。

 

「はぁ………わかった…考えておく…」

 

「本当!?」

 

「…ああ。考えてといてやるからこれ以上はついて来んな」

 

アキラは冷たく言い放つと、右肩を押さえながら立ち上がり、去ろうとするが、ギンガは最後にアキラに言った。

 

「ちゃんと病院にいかなきゃダメだよ~!」

 

「はぁ…へいへい」

 

アキラはどうにも彼女、ギンガがセシルに似ていると思っていた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

1ヶ月後のギンガの帰路。

 

「よぉ…」

 

「橘君!?」

 

「…」

 

相変わらずの無表情で、暗闇から出てくるからちょっと怖いとギンガは思った。

 

「保護責任者はなんとかなったか?」

 

「え…ああ!うん!もし、管理局に来るなら、お父さんが引き受けてくれるらしい…の」

 

恐る恐るギンガが答える。保護責任者のことは聞いてきたが、まだ管理局に入るとはいってない。

 

「随分すんなり受け付けたな…」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない。そうか…わかった」

 

そう言ったかと思うと、刀袋に手を入れた。

 

「えっ!?」

 

刀袋からは刀…ではなく紙が出てきた。それを広げてギンガに向ける。

「この入局書はこんな感じでいいのか?」

 

「…」

 

「…どうした?おい?」

 

正直ギンガは驚いた。きっと駄目だと思った。彼は管理局にはこない。そう思っていた。

 

彼はギンガの言葉に答えてくれた。それがなにより嬉しかった。

 

「……い…おい!!」

 

「ふえ!?」

 

ギンガは嬉しさのあまりしばらく呆けていた。

その内にアキラはかなり顔を近づけている。

 

「う…うん。大体こんなのでいいよ」

 

「顔赤いぞ?大丈夫か?」

 

「え!?あ、うん」

 

「…まぁいい。じゃあな」

 

アキラはまた暗闇に消えようとしたがまたギンガが引き止めた。

 

「橘君!!」

 

「なんだよ?」

 

「また…会える?」

 

「…知らねぇ」

 

その日から3日後、アキラ君は時空管理局に入局した。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

そんな事があってから…アキラが入局してから一年半。

今、刀を携えた男が…アキラが、陸士108部隊の隊舎入り口の前にいる。

「やっとついた…」

そう言って前に進む。

「ようやく会えるぜ…ギンガ・ナカジマ…」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。