魔法少女リリカルなのは Partiality   作:瑠和

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第三話 過去

とある日、ギンガは少し浮かれた気分で出勤した。

 

その理由は今日、新人歓迎会があるからだ。

 

全員が108のミーティングルームに集まり、研修を終えた新人たちが前に出て自己紹介し、バイキング形式の昼食を共にする。全体的にはそれだけだが歓迎会はその日の帰りに新人達を誘い、夕食に108部隊のほぼ全員でいくのだ。

 

ギンガは意外とそれが楽しみだった。

 

そして、いつも通り仕事をしていると隊舎内に放送が流れた。

 

[連絡です。これより、新人歓迎会を始めますので、隊舎にいる方は、ミーティングルームに集まって下さい]

 

(来たっ♪)

 

 

―ミーティングルーム―

 

 

ミーティングルームに全員が集まり、式が始まった。まだ初々しい顔の新人達が緊張した表情で台の上で自己紹介をしている。

 

「懐かしいなぁ…」

 

「ねぇギンガ」

 

新人達にかつての自分を重ね、懐かしんでいるとギンガの同僚が話しかけてきた。

 

「どしたの?」

 

「ギンガは新人君に好みの子とかいた?」

 

「ううん」

 

「あたしもだよ~。でもあたしは次の成績優秀者に期待してるよ」

 

「成績優秀者か…」

 

新人歓迎会は、始めに通常入隊の者を名前を呼んで一人ずつミーティングルームに入れて台の上で自己紹介させる。その後は同じやり方で成績優秀者、つまり推薦入隊の者を入れる。

 

最後に名前を呼ばれた者が成績最優秀者だ。

 

「今年の最優秀者はどんな子かな~」

 

「さぁ…」

 

成績優秀者の名前が次々とよばれそして最後の最優秀者の発表になった。

 

「今年の成績最優秀者…」

 

「…」

 

「橘アキラ君です!!」

 

「え?」

 

ギンガは急に固まった。聞いた事のある名前…それも、自分と関わりの深い。

 

だが、同姓同名ということも考えられる。それに彼が管理局に入ってまだ一年半、少なくとも訓練校をでるには最短でも二年が必要…なはずだが。

 

「それではどうぞ!」

 

扉が開かれ一人の青年が入ってくる。

 

「嘘…」

 

アキラは台の上に立ち、敬礼する。

 

「アキラ陸曹です。本日付けで地上108部隊に所属になります。よろしくお願いします」

 

ギンガは唖然とした。

 

「ん?ギンガどうしたの」

 

同僚が話しかけたが、ギンガは硬直したままだ。

アキラの自己紹介が終わると、昼食会に移行した。

 

ギンガはアキラが席を立ったのを見て、また後をつけた。

 

「えっと…トイレは…」

 

「トイレならそこの角を曲がったところだよ」

 

「あん?」

 

アキラが振り向くとそこにはギンガがいた。

 

「ギンガさん…」

 

「久しぶり…一年半ぶりだよね?」

 

「……」

 

ギンガはなにか遠慮している様子で尋ねる。

 

「聞かせてくれないかな…君がなんでいきなり陸曹になってるのか…」

 

「不正をしたとか疑ってんのか?」

 

「ううん…」

 

「アキラ君?」

 

ガシッ。

 

アキラがいきなり抱きついてきた。

 

突然の出来事にギンガは茫然としていた。が、すぐに我にかえる。

 

「えっ…ええええ!?ちょっなに!?どうしたの?」

 

「………すまない。あと少し、こうさせてくれ…」

 

アキラの手は震えていた。表情は相変わらず無表情だが若干、口がひきつっている。

 

「橘君…」

 

「俺はな…あんたに会いたかったんだ…だから…上官に頼んで一気に位をあげてもらった。当然試験は受けたけどな」

 

「私に会いたかった?」

 

「…しばらくしたら後でまた説明する」

 

数分後、アキラはギンガを離した。手の震えは収まったらしい。

 

「大丈夫?」

 

「…すまない、いきなり変なことして」

 

「うん…まぁいいよ。それじゃまた…あとでね」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

アキラは自分の机に荷物を運び込んだ。

 

「これで荷物は最後か…」

 

アキラはこの一年半、ずっと不安だった。自分を理解してくれる者がいなかった。訓練校での成績は優秀だった。いや、優秀過ぎた。だからみんなに邪魔者扱いされた。

 

だから飛び級で陸曹にまで一気上り詰めた。

 

すぐにでもギンガに会いたかったが、入局は他の連中と一緒になってしまったが。

 

唯一、ギンガだけが自分を理解してくれてると思っていた。だからついあんなことをしてしまった。我ながらどうかしてるとアキラは思う。

 

アキラは、陸曹になったのでこのあと同じ陸曹と教官をしなければならない。

 

新人がいきなり教官をするなど、異例中の異例だが、それ以外にアキラはまだ不安はあった。

 

「俺みたいなのが教えていいのか?」

 

―訓練場―

 

「整列!」

 

その場にいた全員が綺麗に整列する。陸戦が多いせいか皆体格がいい。

 

都合により陸曹とギンガさん、俺、その他サポート2人で教官を勤めることになった。教官とは言ってもやり方教えたらその後自分達も混じってやるのだが。

 

「えー皆さん。今回は私達だけでなく新しく配属されたアキラ陸曹も担当します」

 

「よ…よろしく」

 

陸士や陸兵が期待したような視線を送ってくる。

なんだこれ、きもちわるい。

 

「アキラ陸曹は、一年半前に時空管理局陸士訓練校から入局。一年半で陸曹まで昇り詰め…」

 

「ざわ…」

 

辺りがざわつく。周りが期待や尊敬に満ちた視線を送ってくる。嫌だ。やめろ。見るな。こわい。きもちわるい。目眩がする。

 

(アキラ♪)

 

「……うっ!うげえぇ!!」

 

俺は突然、嘔吐した。

 

「橘陸曹!?」

 

すぐにギンガさんが俺のもとにきて支えてくれた。

 

「私がアキラ陸曹を医務室まで連れて行きます。カイ陸曹、後の事よろしくお願いします」

 

「わ…わかりました」

 

ギンガさんは俺の歩く速度に合わせてくれ、肩を貸しながら医務室に向かっていった。そのまま手を洗い、口をゆすぎ、ベットに寝かされた。

 

一年半たっても俺の目付きや表情は変わらずむしろひどくなっていたらしい。

 

医務室の先生はすっかり震えている。ギンガは先生に耳打ちしたらしいが声がカーテン越しに聞こえた。

「あの…私が看病しましょうか?」

「お願いします~…アキラ陸曹恐すぎまよ~」

 

半泣きで頼んでいるようだ。

 

「それじゃ、ギンガ陸曹、後頼みます」

 

「はい」

 

二人の会話が終わり、カーテンで部屋が仕切られる。

 

「橘君、大丈夫?」

 

「…ああ」

 

「一体どうしたの?橘君。風邪でもひいてる?」

 

「………」

 

しばらくの沈黙。

 

「俺は…傭兵会社の家預けられたんだ…」

 

「…え?」

 

「小さい頃から訓練うけて、体は戦い方だけを覚えて…いつか、俺が少女を殺したっていったよな?」

 

「うん…」

 

「おんなじだったんだよ。後輩たちの目が。あの子と」

 

「目?」

 

「あの期待とか尊敬とか…そんな感じの眼差しが」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

俺は昔…14歳の時まで傭兵をやっていた。

 

それである屋敷のお嬢様の護衛を頼まれた。

 

傭兵+護衛でも、まるで使用人のような扱いをうけた。特に護衛対象のお嬢様………セシルはなついてくれた。

 

「ねぇアキラ!」

 

「どうしました?お嬢様」

 

「だから、セシルって呼んでってば!あと敬語を使わないで!!」

 

「はい、おじょ…じゃない。セシル?」

 

少し不満そうな顔になるセシル。でもすぐに

 

「まっいっか!」

と笑ってくれた。

 

「ところでどうしたんで…失礼。どうしたんだ?」

 

「ああ、アキラってなんで…なんていうか~愛想がない?っていうか、冷たいっていうか…人との付き合いが苦手そう感じなの?」

 

「ストレートだな」

 

「うん!ストレート!で、なんで?」

 

果たしてストレートの意味を知りながら言っているのか…わかんなかったけどセシルはそんなふうな変わった子だった。

 

「まぁ…俺は今は護衛任務についてるがあくまでも傭兵だからな」

 

「………ようへい、愛想が無きゃ駄目なの?」

 

よく不思議そうな視線を送ってきた。

俺はセシルの頭を撫でながら目線をセシルにあわせてしゃがむ。

 

「傭兵はな、金さえあればなんでもする。…人殺しだってな。そんな奴が愛想が良くてもな…」

 

「アキラは…誰か殺したことあるの?」

 

今度は心配そうな顔をされる。セシルに嘘はつきたくなかったがこんときだけはしょうがなかった。

 

「俺はない…。それに人を殺したくない」

 

「そっか…よかった…」

 

 

数日後のセシルの登校中

、にこんな話をした。

 

「そういえばお嬢…んん゙…セシルは俺の前に一人、護衛がいたらしいけど…」

 

「え?……ああ。うん」

 

セシルは思い出したよう

に頷いた。

 

「なんで俺に変わったんだ?」

 

「あー…前の護衛の人、アキラ以上に愛想も何もなかったの。だからお父様に言って護衛変えてもらったの」

 

「それで俺に愛想なかったら意味なくねぇか?」

 

「ううん、アキラの方がまだマシー」

 

そんな会話をしながら学校に向かう途中、目の前で交通事故が起きた。

 

おまけに車の破片がセシルを目掛けて飛んでくる。

 

「セシル!!」

 

考えるより先に体が動き、俺は刀を抜いてセシルの前に飛び出した。

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

次の瞬間、セシルに向かって来てた破片は真っ二つになりセシルの横を抜けていく。

 

「セシル、大丈夫か!?」

 

「う、うん…」

一息ついて刀をさやに戻し、また歩き始めた。

学校までもそう遠くない。

 

―校門―

 

「それじゃ、アキラ!いってきます!」

 

「ああ、いってらっしゃい」

 

いくら護衛とはいえ、学校内までは入れない。

 

だが離れるわけにもいかず、外で放課後まで待つことになる。

 

セシルは体育の時間等、外にでる授業ではたまに気づいて手を振ってくれる。それがなんとなく嬉しかった。

 

そして放課後。

「アキラー!」

「セシル!」

 

HRが終わったセシルが手を振って駆けてくる。

 

「おまたせ!」

 

「ああ。じゃ、帰るか」

 

そう言って、帰っていく俺達はまるで兄妹のようだってよく言われた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ア~キラ!!」

 

「うわ!びっくりした!」

 

ある日、壁にもたれ掛かり、刀の整備をしていると二階の窓からセシルが話しかけてきた。

 

「いっくよ~……とう!!」

 

「え?」

 

二階の窓から飛び降りる。しかも、すんごい笑顔で。俺は手元にあった刀の鞘をもった。

 

「おおぉぉぉぉ!!」

 

セシルの着ていた服のフードに鞘を引っかけて、一回転してセシルを脇に抱え込む。

 

「たくっ…なんてことしやがる…」

 

「ねぇアキラ、なんでアキラはいつも一番に助けてくれるの?」

 

「あ?なんでって護衛対象だからだろ…」

 

なにを当然のことを。と言いたげな顔で俺は答える。

 

「そーゆうんじゃなくて…自意識過剰だったらあれだけど…なんか私が助かったらあとはどうでもいいっていうか…前の事故の時も私助けたら後は無視してたし、今だって大事な刀のお手入れ中だったのに…」

 

アキラはその質問にそっぽを向いて答える。照れているのかは不明だった。

 

「さぁな、単に金のためかもしれないぞ?」

 

「……そんなことないでしょ?だってアキラ、そんな人じゃないもん」

 

「セシル…」

 

俺はは嬉しかったこんな風に言ってくれる人がいてくれて…。

 

その時のセシルの目は期待や尊敬に満ちていた。

だから俺は心に誓った。この子を必ず守り通す、なにがあっても。

 

そう…決めてた筈なのに…奴は俺の前に現れた。

 

 

続く

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