魔法少女リリカルなのは Partiality   作:瑠和

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第六話 前兆

(…なぜ俺はこんなところにいるのだろうか)

 

気づけばアキラは機動六課のヘリの中。作戦の内容をリイン曹長から聞いている。

 

「………と言う訳でなにか質問はあるですか?」

 

「リイン曹長、質問だ」

 

アキラはゆっくり手をあげた。

「はい、なんです?」

 

「な、ん、で、俺が機動六課の初任務のお守りしなきゃなんねぇんだ」

 

「リインはちょっと分からないです…」

 

リィンは苦笑いを浮かべる。

 

「チッ!」

 

アキラは舌打ちをしてふんぞり返った。

 

(たくっ…なんでこんな事に…)

 

アキラはついさっきアラートがなった際に茶髪のサイドテール…噂のエースオブエースの高町なのはに引き止められ、この任務に同行してくれないかと頼まれた。

 

もちろんアキラは最初は断った。だがなのはの威圧感と柔軟な手管により今に至る訳である。ちなみになのはには出撃すると言われ、逃げられた。

 

アキラは今すぐ帰ってギンガの側にいたいと思っていた。

 

さて、アキラがそんなこと考えている内にいつの間にかスバルとティアナは出撃していた。

 

次はエリオとキャロだが、二人仲良く緊張している。特にキャロはエリオより緊張している。

 

「……たくっ」

 

アキラは頭を掻きながら二人の方にいく。

 

「よう」

 

「あ…えっと橘アキラ陸曹ですよね?」

 

キャロはアキラの事を少し怯えた目で見る。

 

「…大丈夫か」

 

「はい…ただ上手くやれるかどうか…不安で」

 

新人で一番多いのはきちんと結果を残せるか不安に思ってるやつだとアキラは知っていた。

 

訓練校時代のアキラのパートナーもよく結果が残せるか不安とぼやいていたからだ。

 

「はぁ…別に俺は機動六課の上司でもなんでも無いけどよ……ただ一つ言っとくな。満点取れとは誰も言ってねぇ。取りあえず今は自己ベストを取れ。満点なんてそんなん先の話でいいんだよ。な?」

 

「…はい!」

 

キャロが少し元気を取り戻した様子。エリオと一緒に飛び降りて行った。

 

「あー…六課の手伝い、橘アキラ、出る」

 

面倒くさそうにアキラも飛び降りて行く。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

(ねぇなのは、なんであの子を任務に誘ったの?)

 

戦闘中、フェイトはなのはに念話で話しかける

 

(ほら、あの子、六課候補でしょ?だから実力しっておきたいし…)

 

「頑張ってるけどまだFW部隊も心配だしね」

 

そう言ってなのはは車両を見つめる。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「じゃあ行くか」

 

アキラは車両の屋根に立つと、刀で屋根の一部を八等分にして車両内に侵入する。車両内にはガジェットがうじゃうじゃいた。

 

「こいつらが…ガジェットか…」

 

そう言ってアキラは刀を構え、ガジェットに突っ込んでいく。

 

「はあぁぁぁぁ!!!!」

 

少しすると、リインからアキラに連絡が入った。

 

[橘陸曹!いい忘れましたがガジェットにはAMFという魔力を無力化するフィールドが…ってあれ?ガジェットは…]

 

「俺の足下で鉄屑になってるが?」

 

ガジェットは意外と鈍感な動きでアキラは一機また一機と倒して行き、射撃の攻撃も見え見えなので楽にかわせたので一車両終わらせるのに10分かからなかった。

 

ちなみに簡単に終わらせた理由の一つとしては、アキラが使っている武器がただの刀という点もある。

 

「ふぅ…次」

 

アキラはドアを蹴り飛ばし、次の車両に入る。

 

アキラが車両に入った瞬間、魔力砲がアキラに向けて一斉に放たれた。

 

「おっと」

 

アキラはそれを華麗にかわし、刀を構える。

 

「はぁ…俺をとっとと帰らせろぉ!!」

 

刀を振るい、ガジェットを切り刻みながらやけくそに進んでいくと壁にぶつかった。

 

「いて!!」

 

どうやらちょうど中心の車両、保管庫に到達したようだ。つまり、今回の確保目標の「レリック」が保管されてる場所に。

 

アキラがいる場所からは入れないので一度上に出てからまた反対から入らなければいけないのだが…。

 

「めんどくせぇな…」

 

アキラは懐からガイアメモリを出した。あの黒いUSBメモリのようなものだ。

 

『ジョーカー!!』

 

ガイアメモリを今度は足に付けている装置に挿入する。

 

『ジョーカー!!マキシマムドライブ!!』

 

脚にエネルギーが溜まるのを確認したアキラは目の前の壁を蹴った。

 

「ライダーキック!!」

 

壁は見事なまでに粉々に砕け、保管庫にはそこそこ大きいケースが保管されている。

 

「これか…」

 

レリックを確保したアキラはリインに通信をとった。

 

「リイン曹長、目的の物を確保した」

 

[橘陸曹!わかりました!でもそこから先に行っちゃダメですよ!?]

 

「あ?」

 

[アキラ陸曹がどうやって保管庫に入ったかは知りませんがレリックが保管されてた車両の入り口に…新型のガジェットが二機います!!新人には荷が重す]

 

アキラは途中で通信を切り、保管庫の本当の入り口に向かおうとすると、後ろから声がした。

 

「橘陸曹!」

 

「エリオ、キャロ」

 

 

―保管庫入り口前―

 

 

「くっ…新型が二機同時になんて…っ!」

 

ガジェットⅢ型が突如スバル、ティアナ、リインの前に現れ、行く手を阻んでいる。

 

「どうしよう…」

 

その時、保管庫の中から声が聞こえた。

 

「IS、ハッキングハンド!!」

 

すると、厳重な電子ロックがされていた筈の保管庫の扉が開き、中からレリックのケースを持ったアキラが出てきた。

 

「アキラ陸曹!?」

 

「…なるほど、確かにお前らならいい相手になりそうだ。さっきから溜まってる俺のストレス…発散させてもらう!!」

 

アキラは刀を構え、ケースを上に投げる。

ガジェットはそれを捕獲しようと触手を伸ばすが、瞬時に触手は切り落とされた。

 

「わっと!」

 

「キャロ、ナイスキャッチ!!」

 

投げられたケースをキャッチしたのはキャロだった。

 

「よくやった。それ持って早くこっから離れとけよ…うらぁぁぁぁぁ!!!」

 

アキラに向かって別の触手が伸ばされたがアキラはスライディングで触手から逃れ、触手を根本から切り落とし、二機の内一機に刀を突き刺す。

 

「ECディバイダー!!」

 

左手に銃剣を出現させ、もう一機に銃剣の刃を突き刺し、引き金に指を置く。

 

「AMFだかなんだか知らねぇが、零距離なら発動出来ねぇだろ?」

 

そう言ってアキラは引き金を引き、魔力弾を連射し、刀と銃剣を同時に引き抜くと二機のⅢ型は爆裂四散した。

 

「任務完了ってな」

 

その後レリックは六課により無事に確保され、封印処置をうけた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

機動六課の任務を手伝い、そのあと何故か報告書までまとめさせられた(もとい、アキラのお人好しにより)ので帰りは22時になってしまった。

 

アキラは夜道を猛ダッシュしている。理由はギンガを家まで送るため…とは言ってもきっと一人で帰っているだろう。だが、もしかしたら…と言う小さな希望にアキラは賭けていた。

 

 

―陸士108部隊入り口―

 

「ギンガさん…」

 

「あ、お帰り橘君」

 

22時を回ったのにギンガは入り口で待っていた。

 

「なんで…」

 

「なんでって…今日も送って行ってくれるんでしょ?」

 

ギンガは微笑みながら手を差し出す。

 

「あ…」

 

その仕草が、アキラの視界でセシルと重なった。

 

アキラは顔を赤くしながら差し出されたギンガの手を取り、顔を見られないようにギンガの手を引っ張る。

 

「と…当然だ!あんたは俺が絶対守る…」

 

「ありがとう。やっぱり橘君はやさしいね」

 

「し…知るか…」

 

(耳まで真っ赤…可愛い)

 

ギンガはそんな事を思いながら、アキラに引っ張られていく。

 

―ナカジマ家―

 

アキラに送られたギンガは一人部屋で悩んでいた。

 

(やっぱり言うべきなのかな…)

 

「ギンガ?」

 

「!。父さん…」

 

「お前…大丈夫か?今日は帰り遅かったし…」

 

「大丈夫です…私の私情だから…」

 

ギンガは布団に入ろうとしたがゲンヤの一言がギンガを止めた。

 

「またあのアキラとかいうやつか?」

 

「!」

 

ギンガはゲンヤを見ずに言った。

 

「だったら…なに?」

 

「いや別に…ただ…深い関係になる前に伝えるべきことは先に伝えとけよ。また面倒な事にならない内にな…」

 

「私は別に…」

 

「別に俺はあいつを否定する訳じゃねぇ。あいつは強いし仕事もできる、コーヒーもうまい。ま、無愛想なのが欠点だがな。そんなやつとお前が深い関係になるのは構わねぇ。だが…真実を伝えて離れないような人間かは…見分けとけよ?…前のやつみたいにならないようにな」

 

前のやつとは…ギンガが昔付き合ってた男の事だ。

 

ギンガが自分が戦闘機人だと打ち明けた瞬間にいなくなった男。

 

ショックのせいでギンガは一度自殺しようとした。自分がどんな存在か、理解した上での事だ、余計にショックだったのだ。信じていた人に裏切られるのが。

 

ギンガは…アキラを信じていながら、心のどこかで不安に感じている。まだ恋人でもないが…自分を大切にしてくれる以上、自分を慕ってくれる以上、速くとも遅くとも打ち明かさないといけないことだ。

 

返事をしないギンガをすこし見つめて扉を閉めようとする。

 

「父さん、待って!」

 

「うん?」

 

「ひとつ…聞いていい?」

 

「なんだ?」

 

「どうして…橘君の保護責任者を引き受けたの?」

 

ゲンヤはため息をしてから答える。

 

「少ししたら話す」

 

ギンガの部屋の扉が閉められた。

 

「…」

 

(気のせいかな…あんな顔の父さん初めて見た気がする…)

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

―スカリエッティのアジト―

 

「ふむ…レリックは取られたか…ではウーノ、タイプゼロのデータは採れたかね?」

 

スカリエッティがデータを整理しているウーノに尋ねる。

 

「はい…採れてはいますが…少ないですね。ただ興味深い人物を発見しまして…」

 

「興味深い人物?」

 

「彼です」

 

スカリエッティの前にアキラの画像が表示された。

 

「彼は…」

 

「AtoZ計画の一人です」

 

「彼はどれだ?」

 

「Aですね。脳は完全に人間のものですが、身体の50%は戦闘機人と同じで…あと、エクリプスウィルス、エクリプスディバイダーを持っています」

 

「そうか…」

 

(AtoZ計画のトップナンバーか…おもしろい…)

 

 

 

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