猫と風   作:にゃんこぱん

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羅刹と大木 -5

8/25 羅刹と大木

 

 

 

 

メリィ・リ・ロゥという人物を語るのに、祖父の存在は欠かせない。

 

祖父であるワン・リ・ロゥのことを、メリィはこの大地で最も偉大な人物であると信じて疑わなかった。

 

幾分か孫煩悩の気のあるロゥは、孫娘であるメリィを大層可愛がっていた。ロゥの息子夫婦が貴族として使い物にならなかった反動もあり、色々と支配者気質のメリィはロゥのお眼鏡に叶ったのだろう。

 

それに、能力主義的な評価を抜きにしても、ロゥは世間一般的におじいちゃんが孫を可愛がるような、そんな一般的なステレオイメージの型には漏れなかったらしい。赤ん坊の頃から、メリィは天才だ、などと公言することを憚らなかった。

 

「おじいさま、おじいさま!」

 

──とは、幼い頃からのメリィの口癖だ。

 

偉大な父親に踏み潰され、貴族としてのプライドと卑屈さに苛まれた惨めなメリィの父、つまりロゥの息子を、メリィは子供心に蔑んだ。当然の帰結として、歴代で最も偉大な当主と謳われた祖父を強く尊敬し、懐くようになったのも──不思議な話ではなかったのである。

 

ということで、メリィは敬愛するお爺様の言う通りに、相伝の学問や祈祷、呪術を学びながら、将来はどこぞの社長か権力者と結婚することになっていた。

 

自分の意思ではなく、祖父のいう通りに生きていくことはメリィにとっては当然のことであり、光栄なことであり、安定したことであり、安全なことであり──……。

 

しかしまさか、インダストリアルの馬鹿息子や、リン家の有望株であるハノル、或いはウィ・ハン重工の跡取りのような、優雅さに溢れたような男ではなく──あの目、視界に映る全てを餌としか見ていないような、肉食獣のような瞳を微笑で隠した、漂白したように真っ白の髪をした青年と結婚させられることになるとは、世界広しと言えど……まさか、誰が想像出来たのだろうか。

 

企業や貴族の超有望な、将来と栄光の約束された何者かと結婚するのであれば、相手の男に不満──例えば性格や顔に関する不満などがあるにせよ、拒むほどではない。それが貴族の娘として生まれた者の宿命である。

 

ただ、エール──エールは、もはや人種的なカテゴリからして違っていた。チェスの駒のように、役割を割り振られた貴族社会、その盤外から、盤上を敵味方の区別なく吹き飛ばすためにやってきた爆弾。種類が違い過ぎる。金で動かず、利害で動かず、軍人ではなく、政治家でもなく──。

 

レオーネなど下らない思想基盤から生まれた偶然頼りの連中で、たまたま北部軍に勝っただけだと誰もが思っていた。少なくとも、ロゥ家内でレオーネの名前を出せば、鼻で笑われるのがオチだった。

 

何よりも、レオーネにはバックグラウンドがなかったのである。というよりも不透明というか、不明だった。

 

名目上のリーダーはグエン・バー・ハン。30年以上前のアルギア政治闘争主犯であり、元南部ゲリラの指導者、現Liberation Army of North Exalia(北エクソリア解放戦線)、通称LAoNE(レオーネ)元帥。当時はまだ階級でさえしっかりしていなかったので大将の地位にあった。南部領統領──こちらも通称は大統領と呼ばれる──も兼任している、南部全体の指導者である。

 

グエンはいい。政治闘争や、あるべきエクソリアの姿を説いた著『怪物との対話』などにより、もともと有名で、市井出身の背景から人々からの人気は高かった。頼りにならない南部軍にとって代わり、もはや滅亡は確実と言われていた南部エクソリアのための軍事組織を興した。頷ける背景であり、妥当性も高い。

 

問題はもう一人の方である。

 

エール。性はない。そもそも本名かどうかも怪しい。エールは過去を語ろうとしない。唯一明かしたことは、自身が感染者であることと、反ウルサス主義であること程度だ。

 

グエンと共にレオーネを興し、アルゴン内の大小様々な組織を纏め上げ、旧南部軍を吸収する形でレオーネを設立した。この時期に当時のアルゴン市長が消息を経っているが、新聞紙はそのことをほとんど伝えていないという。

 

エールは実は、自分から世間に姿を現そうとしたことは一度もない。結構有名な話で、表沙汰に出て行くのはグエンだった。が、しかし──五月に起こったバオリア奪還戦で、エールの名前は否応なく広まった。

 

エールは指揮官としての参加ではなかった。事前準備では走り回っていたらしいが、いざ戦闘が始まると戦場に単身で赴き、神出鬼没で暴れ回ったという。その話が有名になったのは簡単な話で、エールが現れる戦場は決まって苦戦を強いられている地点、或いは重要な地点であり、目視で捉えられる竜巻が発生するのである。

 

アーツにしても、それは規格外と呼ぶ他なく──小規模な天災であり、余波であった。瞬きの間に戦局を変え、個人としての動きが戦いの命運に影響し、バオリアは奪還された。万に一つの可能性と言われていた、バオリア奪還の奇跡だった。

 

この無茶苦茶な綱渡りを成立させるために、エールも無事では済まなかった──というか、過剰なドーピングを行なっていた。一時的に生体親和性源石を腹に突き刺していたこともある。バオリア奪還の後、エールは一度死にかけていた。これはグエンが後に語ったことである。エールが生死の境目を彷徨った原因は敵からの攻撃ではなく、際限なく高まったアーツ出力が体に強烈な負担をかけていたことが原因だった。

 

()()()()使()()()。たったそれだけのことで、エールの体の血管は破れ、五感はぐちゃぐちゃになり、意識が彼岸を彷徨った。どうして死ななかったのか、グエンは今でも不思議だったと語る。エールのことを抜きにしても、バオリアを奪還できたのは奇跡を通り越して空想だった。あまりにも多くの奇跡が重なりあって共鳴していなければ、例えば兵士の朝食のメニューが変わっていたとしたら奪還は成し遂げられなかった。そのレベルでの綱渡りが起こったのである。

 

これらのことは全て、グエンや他の幹部、或いは兵士たちが喋ったことであり、エールがその功績を喋ったりしたことは一度たりともなかった。だがその姿がレオーネ内では鮮烈に写り、最終的にその存在は知れ渡ってしまった。

 

──話が逸れた。

 

8月に婚約が発表された、メリィ・リ・ロゥとエールの事である。

 

庶民に対しては大した意識も持っていない貴族ではあるが、その実──最もエールを恐れていたのは北部軍将校らではなく、むしろ南部貴族であろう。何せエールは──リン家の敷地内に居た、動く生き物という生き物を皆殺しにした。二人の例外、スカベンジャーとフォン……フェリーンの青年を除いて、全て。

 

これは、そもそもの性質として支配者で、喰らう側であった貴族たちにとっては晴天の霹靂であった。例え戦時下であろうと、貴族はその命を例外なく保障される存在である。捕虜としての価値はもちろんだが、それだけでなく危害を加えた場合の報復が恐ろしい。そのため、庶民出身の北部兵などが南部貴族を捕らえたとしても、傷一つつけることは出来なかった。その報復を受けて滅ぶのは自分自身であるばかりか、おそらく家族丸ごと処刑である。

 

その絶対的な階級の安全を躊躇なく打ち砕き、安全神話に土足で入り込んで荒らし回り、盗人猛々しいという言葉がこれ以上似合うくらいに暴れ回り、ブチギレた家主(リン家)がその外敵を討ち滅ぼそうとしたところ逆に返り討ちに遭い、一家郎党皆殺しである。とんだ災難という言葉では済ませられない。地獄で恨み尽くしても足りないほどだ。

 

急変する戦況の中で、盗人(エール)を止められる者は誰も居なかった。少なくとも警察機関は機能を停止するどころか、逆にレオーネに取り込まれる始末。貴族は自衛しなければならなかったが──それを試みたいくつかの貴族は潰れた。

 

手をこまねいている間にも、レオーネは成長し続けた。それが必然であるかのように人員を倍にし、倍にし、倍にし、倍にし──それは、もはや貴族よりも大きい存在になっていた。貴族たちの自衛的な武力が損なわれていたのには、当然北部との戦争ごっこの存在があった。降伏のポーズを見せるために、彼らは旧南部軍への影響力を手放し、本当に南部が敗北して行くように見せかけた。全て出来レースである。

 

──そのツケが回ってきた。エールはその象徴であった。

 

ロゥはエールに降伏した。

 

ロゥ家とエールの婚姻は、そう受け取られても仕方のないことだったのである。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「──エールさん、エールさん! この報告書、ご覧になられたかしら!?」

 

ぐーすかぴーって調子で寝ていたエールを叩き起こす勢いで、メリィ・リ・ロゥは押し込み強盗のような調子でドアを開いた。

 

一応結婚するという体なので、ロゥ家の一室がエールに与えられることとなった。豪華な調度品の溢れた部屋、ともすればヴィクトリア貴族の一室かと勘違いさせるような内装の中で、唯一エールが希望したのは寝っ転がれるだけの長さを持つソファーである。

 

そのやたら柔らかいソファーに仰向けで寝ていたエールを、メリィは躊躇なく叩き起こした。

 

「ほら、これですわよ! ついにフー家とイェ家も融資契約書に署名しましたわ、これでロゥ家は名実ともにエクソリアの一大貴族となりましたの!」

「……ああ、君か。それが?」

「それが、じゃありませんのよ! 憎々しいロゥ家の残骸がようやく一掃されましたの、今日は祝福すべき日ですわ!」

「……少し落ち着きなよ」

 

頭を押さえながら体を起こすエールに構わず、メリィは踊り出しそうな勢いである。それもそのはず、これまでロゥ家に邪魔されてきた回数は数知れず、あのタヌキジジィが死んでくれたというだけでご飯三杯はおかわり出来る。

 

「あら、ごめんあそばせ。休養中でしたかしら」

「……そんなところかな。今の時間は──p.m3:04、か」

「何か用事でもありますの? 今日はわたくしとのお話に付き合ってくれる約束でしたでしょう?」

「え。……そうだっけ」

「そうでしたわ、これからの大切なお話をするお約束をしました。お祖父様も一緒ですわ」

 

どうやらこの婚約者は寝ぼけているらしい。見かけによらず可愛いところもあるものだ。少々寝坊助なところはあるらしいが、それなりに悪くない性格だし、気品もなくはない。それに若く、なかなか格好いいところもある。

 

──最も、それらの要素はそれほど重要ではない。

 

「いつから?」

「まあ、性急ですわ。時間ばかり気にしないで、少しゆっくりした方がいいですわよ。ほら、お顔を洗って。お爺さまがいらっしゃるのですから、外見を整えなければならないわ」

 

──クソ面倒臭いな、とエールが思っていたかどうかは置いておいて、メリィは乗り気だった。

 

「それにしても、せっかく綺麗な白色をしていらしているのに勿体ないですわね。わたくしが整えて差し上げますわ、ちょっとこちらに座ってくださる?」

 

男らしさという観点に立てば、エールは若干中性的な雰囲気の質がある。顔立ちも猛々しさには欠けているし、声も低くはない。何より真っ白に伸ばした髪と、そこから覗く透き通った瞳はどこか少年的な印象を与える。そういう部分もメリィの琴線にヒットしたらしく、エールは使ったこともない櫛などをメリィは持ち出していた。

 

結局エールは言いなりになるままドレッサーの前に座った。

 

身嗜みを整えることなど、通常は使用人の仕事であるのだが──時間の無駄だとエールが普段から断っている通り、この男の髪には誰も触れない。

 

そういう奇妙な優越感がメリィを支配していたのかまでは分からないが、使用人の仕事を嬉々として楽しむメリィと、どうにも内面を読めないエールの顔は対照的だった。

 

貴族らしく、メリィは優雅な姿立ちだった。服飾もそうだが、純エクソリア人らしい色の入った肌にはシミひとつなく、若々しく──また、多くの貴族がそうであるように整った顔の輪郭の持ち主である。

 

「全く、あなたも光栄あるロゥ家の一人となるのですから、普段から身嗜みには気を使わないとダメですわよ。いつものような、野暮ったい変なパンツとTシャツなんて全然相応しくありませんわ。用意はさせますから、ちゃんと家の服を着ること、いいですわね?」

 

実用性と耐久性を追求したカーゴパンツを野暮ったい変なパンツと断じられた。服なんて丈夫なら何でもいい──と、軍人ですらもう少し見栄を気にするはずなのだが、必要な場合を除いてエールは本当に服など何でもよかった。

 

もちろん必要ならそうする。スーツも着ろと言われればそうするし、式典では正装に袖を通すが……正直なところ、メリィのそういうまず見た目から整えていくような貴族らしさは余計なお世話だった。じゃらじゃらした勲章付きの服や、実戦上で何の役にも立たない装飾など御免だった──が。

 

まあそれはそれ。婚姻式までは婚約者に機嫌を損ねられても面倒だし、何より言い返すのも柄ではない。普段からは絶対に着ないが。

 

「あなたは紳士的な性格ですから、それをちゃんと表現しないのはダメです。貴族としての体裁に関わりますわ」

 

メリィは本心で言っている。ロゥと違い、メリィは人を見る目がないらしい。

 

「そうだ、ウィル男爵家のアイさん達とお茶会でエールさんのことを話しましたの。ずいぶん羨ましがっておられましたわ。格好いいって褒めていましたわよ」

「……光栄だね。ところで、君のお節介はまだかかりそうなのかな」

「お節介だなんて、そんな風に言われると悲しいですわ。婚約者なのですから、わたくしに気を遣うことはありませんのよ」

 

──最初はこの政略結婚に対して猛反発していたメリィは一体どこへ行ってしまったのか。

 

メリィが最初、敬愛するロゥの決めたこととはいえ、この結婚に反発したのはエールの身分が関係していた。つまり、どこの馬の骨とも分からない男と結婚するのだけは嫌だった訳である。

 

だがハンナムの要請により、エールがメリィの説得に向かい──そこで初めて、メリィはエールと対面した。結婚三週間前になって、そこで初めて婚約者と出会うというのはかなり異常なことではあるのだが、貴族社会ではそう珍しいことではない。

 

──結局、メリィは一時間もしないうちに意見を変えた。

 

静謐でミステリアスな青年──御伽噺にでも登場しそうな雰囲気の持ち主に実際に対面することで、明らかに普通ではない何かを感じ取ったのかは分からないが、結局メリィは受け入れた。何のかんの言っても、ロゥの決めたこと、という事実もあったのだろう。

 

「──そうだ。式の会場だが……ロカ院って、どんな場所か知ってる?」

「ええ。由緒正しい寺院ですわ。この国で最も大きな大木がある伝統的な地で、数々の伝説が残されていますわね。30年前に行われた、お父様の結言もロカ院で行われたそうですわ。ストロプメルの大木に刻まれた代々の言葉を魂に刻むのがロゥ家の慣わしですの」

「……儀式ってこと?」

「そうなりますわね。かの大木は200年に渡ってこの地を見守ってきた守護樹ですわ。代々の祖先の魂は、大木の元で眠りについていらしますのよ」

 

──総合すると、祖先の墓の前で結婚式をやるということらしい。随分個性的な習慣である。

 

貴族がこういった非科学的な信仰を保ち続けているのは、ともすれば意外な事実である。だがむしろこういう伝統的で閉ざされた信仰は人々よりも貴族こそが大切にしているのである。特にエクソリアにおいて、信仰は手段ではなく目的であるために、純粋な信仰は貴族のステータスである側面もある。

 

「まさか、僕の骨もそこに埋めるのか?」

 

ゾッとしない話である。貴族と同じ墓に入ることになるなど、誰が想像しただろうか。

 

「──お祖父様も、レオーネへの協力を惜しまないつもりでしょう。それはあなたがロゥ家の一員となるからですわ。それが意味することを、理解していらっしゃらないとは言わせませんわよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()、もちろんわたくしもそのつもりですわ」

 

政略結婚とは利害関係の究極の形の一つである。ロゥはそれを提案し、エールは受け入れた。その過程でちょっとめんどくさい婚約者に自分の髪を玩具にされようと大したことではないのである。

 

──ただ、メリィの言葉の裏には重圧があった。

 

エールが出自不明でも認められているのは、結果で示してきたからだ。それを買われてロゥ家に婿入りするのであれば──無論、その先を期待されている。

 

その先とはとどのつまり、戦争の終結である。

 

本来エールの役目は貴族が行うべきものであった。貴族にはその義務があり、その義務あっての権利であるためだ。

 

そしてエールとレオーネが文字通り血肉を削りながら戦っている横で監督者面をしてエールを引き込もうとしたロゥ家こそ、結構都合のいいことである。

 

「知ってるさ。で、本当に骨は埋まってるの?」

「ロカ院の裏手に墳墓がありますの。ですから大木の根本には何も埋まってはおりませんわ」

「……何だって?」

「ですから、それは御神木への礼を欠くことになりますの。いくらロゥ家といえど、御神木の周りは神聖な地──そこを穢すことになりますわ。わたくしたちも、ロカ院には滅多に出入りしませんのよ」

「……。もしもの話だが、その大木とやらの根元に誰かが埋まっているとして……君たちの感覚では、どういう扱いになるんだ?」

「ありえないことですわね。到底許されざる行為──ですがもしも、そういった事態になるようであれば……埋まった肉体は、きっとどこへ行くこともないでしょう。その魂と同様、地中から身動き一つとれず、永遠に留まることになりますわ」

「比喩かな」

「いいえ、違いますわ」

 

メリィはそう断言した。エールがどんな意図で聞いてきたかは分からない、単なる雑談かもしれないが、少なくともメリィの中ではそれは真実だった。

 

「それは、罰ですのよ。もはや、彼岸を渡ることを許されず、真土を踏むことは永劫有り得えず──永遠にこの大地に留まり続ける、それはいわば地獄──」

「恐ろしい話だね。あの世にも行くことが出来ないって訳だ」

「あの世ではありませんわ。少し観念が違いますの、そうですわね……魂の辿り着く場所、それがこの大地のどこかにありますのよ。真土とも浄土とも言われますが、この世界ではない別の、あの世という訳では決してありませんの」

「……うまく理解出来ないな。僕からしてみれば魂の存在ってのも十分に疑わしいけど……輪廻転生みたいなもの?」

「それも違います。いずれ理解できるようになりますわ、ご心配なく」

 

微笑みと共に、見透かしたような声だけが部屋に響いている。

 

「じゃあ、最後に一つだけいいかな」

「何ですの?」

「さっきの話、大木の根本に死体を埋めたとして、その魂はどこにも行けないって言ってたね。それは何故だ?」

「簡単ですわ」

 

それは伝統的な信仰の観念から出た単なる妄言か、あるいは真実──現代科学の届かない辺境の小国では、そういった法則が支配者であるのか。

 

「──呪われているから。それ以外に、この大地を支配している原理など存在しませんのよ」

 

 




aketon oisii

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