猫と風   作:にゃんこぱん

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IFルート:アンブリエル 楽園_No pain life.下

 

 

翌朝、アンブリエルはフォトンを連れて手工店ヴェイプ改め廃墟に戻ってきていた。

 

フォトンの信じる約束通りならば、今日中にフォトンの父親がフォトンを迎えるためにこの場所へ来るはずだ。

 

元は手工店としての作業スペースだったであろう場所に残された椅子に座って、アンブリエルとフォトンは待っていた。

 

10時を回った。ドアが開く気配はない。

 

11時を回った。誰も来ない。

 

12時を回った。フォトンはずっと黙って待っている。

 

13時を回った。フォトンは何かに耐えかねて、立ち上がった。

 

「……わたし、外に出ます。お父さんが、見つけやすいように」

 

アンブリエルも、何となくそれに続いて軋むドアをくぐる。

 

人の気配がしない、寂れた店先にはアンブリエルが乗ってきた小さなバンが停めてある他には、シャッターばかりが閉まっている無人街が広がっているばかりだった。

 

これで人通りでも合ったのなら、多少はフォトンを安心させることが出来たのだろうが──。

 

フォトンはじっと待っている。その間アンブリエルは暇だったので、ポケットに突っ込んだままの拳銃を弄っていた。くるくると回したり、なんとなく装飾を眺めていたり──。

 

或いは車の中から、ターゲットの情報が載っている紙を取り出してきて目を通したり。顔写真がクリップで留めてある。ボイスチェンジャーの依頼主から送られてきたものだ。

 

「……アンブリエルさん、何を見ているんですか?」

 

不安を紛らわすためだろうか、フォトンが顔写真を眺めていたアンブリエルのところまで戻ってきてそう聞いた。

 

「んー、まあちょっとね」

 

まさか殺し屋をやっているとは言えないので、情報の書いてある書類は見せられないが、適当に誤魔化すために顔写真程度ならば構わないだろうと判断して──。

 

「ま、ちょっとお仕事があんのよ」

 

顔写真を見せた。元レオーネで、自身と同じ裏切り者のジィの写真だ。アンブリエルの目標(ターゲット)である。

 

「……! お、お父さんだ! やっぱり、お父さんに用事があったんですね!」

 

────────。

 

(……ああ、そう。そういうこと……。"情報提供者"、ね。いい趣味してるわ)

 

静かに、アンブリエルは空を仰いだ。

 

「アンブリエルさん、どうかしましたか?」

 

昨日と変わって、すっかりと警戒を解いたフォトンに視線を落として、優しく微笑んで頭を撫でた。

 

「何でもないわよ。……」

「そうですか……? えっと……」

 

──足音が聞こえる。

 

灰色の地面を走る靴の音が聞こえる。

 

「……!」

 

フォトンが反射的に振り向いた。

 

「フォトン、フォトン! 無事か!? おい!」

「お、お父さん! お父さん! お父さん、お父さん──っ!」

 

やけにゆっくりと、その親子が抱き合う瞬間を眺めていた。

 

「よかった、無事だったんだな! よかった、よかった……! 約束、ちゃんと守ったぞ……!」

「うん、うん、うん……、よかった、よかった……お父さん……っ!」

 

抱きしめ合って、互いの無事を喜び合っている。とても、感動的な光景だ。

 

「アンブリエルさん! 会えました、約束、ちゃんと守ってくれました!」

 

振り向いて、嬉しそうに叫ぶフォトン。アンブリエルへの感謝の感情を混ぜて、本当に嬉しそうに叫んでいた。

 

こつ、こつ。

 

靴が地面を叩く音、灰色の地面を歩く音。アンブリエルの足音。

 

「……フォトン、そっちの方、は──……」

 

死神の、足音だ。

 

「堕、天使……ピンクの髪、おまえは──、おまえは、あ、あぁ、……ああ、何てことだ」

 

その絶望した顔には見覚えがある。ついこの前、鏡の向こうで見た顔だ。

 

「アンブリエルさん? どうしたんですか?」

「ああ、神よ──。何でだ。なんで、なんだ。どうして俺なんだ。どうして、この子なんだ。どうして……こんな、運命なんだ」

「お父さん、この人はアンブリエルさん。昨日会って、色々助けてくれた人だよ!」

「……ああ、惨いな。この子には、どうして未来が許されないんだ。どうして、こんな」

 

────静かに。

 

アンブリエルは、リボルバーの照準を付けた。

 

「え?」

 

ジィはフォトンを抱きしめて、ゆっくりと両手を離す。瞬間、右腕を背中に回してナイフを取り出し、最後の抗いをせんとしている。それを見逃すほど甘くはない。もう意識は冷え切っていた。

 

「お父さん?」

「逃げろフォトン。どうか幸せに」

 

そして、命の弾ける音を聞いた。

 

「え?」

 

硝煙の匂いがする。

 

額に穴が開くのは、頭を丸ごと吹き飛ばすほどの威力がなかったからだ。

 

「……お父さん?」

 

だから、ゆっくりと倒れていった。最後にフォトンに手を伸ばして、頬のあたりに触れた後、あっさりと腕が落ちていった。

 

この灰色の地面に、命の色をした一輪の花が咲いている。

 

「おとう、さん?」

 

鮮やかなほど赤い、かつて生命だったものの残骸が、移動都市の隅に花を咲かせた。

 

10分もしないうちに、その赤は汚れて、そのうちに枯れて腐るだろう。

 

「……アンブリエル、さん?」

 

リボルバーからは煙が上っていた。これはフェイズの試作品、アーツに頼らない最初のリボルバー。

 

フォトンは呆然として、アンブリエルと、物言わぬ屍になった父親の間で、しばらく視線を行き来している。

 

「……なんで?」

 

アンブリエルは静かに見下ろしている。

 

「なんで?」

 

アンブリエルは何も言わない。

 

「お父さんを、殺したの?」

 

フォトンには分からなかった。理解できなかったのだ。

 

銃口から上る煙が消えた頃に、ようやくフォトンは表情を変えた。

 

「……かえして」

 

驚きから困惑へ。

 

「かえしてよ」

 

困惑から悲しみに。

 

「かえして」

 

悲しみから怒りに。

 

「返して……!」

 

怒りから憎しみに。

 

「返してよぉッ! お父さんを返してッ!」

 

憎しみは力を生む。体を動かす原動力となる。たとえそれに、一切の意味など残ってはいないとしても、体を動かしてくれる。

 

「お父さんを返してよぉぉぉおおおおッ!!!」

 

もはや遺品となったナイフを掴んで、フォトンは駆け出した。

 

アンブリエルは一切の焦りや動揺もなく、切先を構えて走ってくるフォトンの両手を掴み、勢いを利用して投げ飛ばした。所詮子供だ。不意打ちでもさればければ、何が怖いというのだろうか。アンブリエルは軍人だった。

 

エール以外の全てを捨てて逃げた軍人だった。

 

「ッ、う、うぅぅぅぅ……ッ! なんで、なんで……」

 

地面へ激しく衝突して、その痛みですぐに動けなくなった。涙が流れるのはその痛みゆえか、或いは悲しみや怒りによるものか。

 

「何で、ですか。なんで、お父さんを殺したん、ですか……」

 

それでも立ち上がろうと、痛みに耐えていた。フォトンはもはや何が原因なのかも曖昧になった涙をぼろぼろと流しながら、その瞳の中に憎しみを宿している。

 

「……この世界は残酷よね」

 

こつ、こつと。アンブリエルは立ち上がろうとするフォトンの元へ歩いていき、かがみ込んで視線を合わせた。

 

憎しみに染まった少女の瞳を前にして、正面から向き合った。

 

「あたしは、この大地の誰を殺してでも守り抜きたい人がいんの。それがたとえ、誰かの大切な人で、誰かの幸せだったとしても関係ない。何を踏みにじったっていい。どんな尊いものを奪ったっていい。あたしはあの光を守るためなら、何だってやる」

 

リボルバーのトリガーに指を掛けて、くるりと回転させた。ちょうど銃口がアンブリエルに向き、取手がフォトンの方を向く。

 

「……なんの、つもり……ですか」

 

フォトンはその銃に視線を落として、何も言わないアンブリエルをじっと待った。

 

「フォトン。あんたには、三つ選択肢があるわ」

 

アンブリエルはそう言い放った。

 

「一つ目。何も出来ずに、このままどうにかして生き延びていくか」

 

指を一つ立てる。

 

「二つ目。そこのナイフで自分の首を掻き切って、ここで自殺するか。あたしのおすすめはこれ」

 

指を二つ立てる。

 

「三つ目。ここで、あたしを殺して復讐を果たすか。この銃を取りなさい」

 

指を三つ立てる。

 

フォトンは僅かに困惑したのち、リボルバーを掴んだ。

 

「そう。両手でしっかりと構えなさい。軽く肘を曲げて、そう。そうやって、しっかりと頭を狙って、トリガーに指を掛けなさい……そう。いい子ね、筋がいいわ。指を引けば弾は出るし、あたしは避けないから死ぬ。そこの、あんたのお父さんみたいにね」

 

──フェイズが作り上げたその銃は、使い手を選ばない。

 

サンクタでなくとも扱える。それはアーツに頼るものではない。

 

誰にでも扱える。男も女も、大人も子供も、種族を選ばない。

 

フェイズの罪は重いと思う。きっとこれから先、あのサルカズがどれほどの善行を積もうとも地獄行きは揺るがないだろう。

 

────小さな子供が"それ"を構えている光景を見れば、きっと誰だって同じことを思うはずだ。フェイズは史上最悪のエンジニアだと。最悪の武器を作り上げたと──そう、思うはずだ。

 

「よく考えて選びなさい。どれを選んでも後悔するから、ちゃんと自分が納得できる選択肢を選ぶこと」

 

フォトンの銃撃姿勢を直したアンブリエルは、フォトンの腕から手を離して、正面からその銃口に向き合った。

 

フォトンは途切れない涙を放ったまま、憎しみの渦巻く両眼でアンブリエルを睨みつけたまま、まだトリガーは引いていない。

 

アンブリエルはそれ以上何も言わなかった。

 

小刻みに銃口の先が揺れている。フォトンの手先が震えているのだ。人を殺すのが今更になって怖くなったのだろうが、それでも銃を下ろそうとはしない。

 

フォトンは目を閉じなかった。

 

涙で霞む視界に、父を奪った仇の姿を捉えて──。

 

何度も、何度も指先に力を入れて、何度も何度もトリガーを引こうとした。

 

何度も、何度も──。

 

どれだけの時間そうしていたかは分からない。だが、最後にフォトンはリボルバーを取り落とした。地面に落ちて硬い音が鳴った。

 

「……そう。優しい子ね」

 

アンブリエルはリボルバーを回収しないまま立ち上がって、車のドアを開いた。

 

それからゴソゴソと小物入れを漁って、龍門幣の札束を放り投げた。

 

「そんだけあれば当面はしのげるから、どうにかしなさい。その後は……まあ、好きに生きるといいわ」

 

フォトンは虚ろな表情で呟く。

 

「……どうしろって、言うんですか?」

 

憎しみが過ぎ去って、残っているのは空虚で冷たい現実だけだった。

 

「好きなように生きりゃいいわ」

「……生きて、どうしろって言うんですか?」

「そんなの知らないっての。自分で考えなさい、あんたの人生よ」

「生きて……それで、何になるんですか?」

「それも分からない。みんな分からないわよ、そんなこと」

 

フォトンには何も残っていない。今しがた、アンブリエルが全てを奪っていった。過去も未来も、たった一つだけ存在していた光も、たった一つだけ残った憎しみさえ消えた。

 

「行きたいところに行きなさい。やりたいことをやんなさい。やりたいようになんなさい。育ちたいように育ちなさい。言いたいことを言いなさい。生きたいように生きなさい。この大地において、生きるも死ぬも、奪うも殺すも、与えるも貰うも、捨てるも拾うも、嘘も真実も、選ぶも選ばないも──その一切合切の何もかも全てが、あんたの自由よ。この大地のどっかに、あんたの答えに相応しい現実が待ってるわ」

 

その果てに絶望し、死ぬのも自由だ。この大地の厳しさに勝てず、ゴミのように朽ちるのも自由だ。もう一度アンブリエルを探し出し、復讐に人生を費やすも自由だ。それでも這いつくばりながら、幸福を追い求めるも自由だ。

 

アンブリエルは車に乗り込んで、エンジンを掛けてアクセルを踏み込んだ。

 

フォトンは父の亡骸の横で静かに佇んだままだったが、やがてエンジンの音も遠くに消えて聞こえなくなり、父の体が冷え切っていることに気がつくと立ち上がった。

 

そしてリボルバーと札束を拾うと、ゆっくりと歩き出し、やがてどこかへ消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

「ジィを始末したわ。これでいいんでしょ」

『了解。そのまま西側三番ゲートの横まで来い』

 

黙って従うことにした。

 

それから交通網に紛れてオンボロ車を走らせて、荒野へと降りるゲートの一つまで辿り着き、車を停めた。

 

背後に近づいてきた気配に気がついて振り返り、そこにいた人物の顔を見て、アンブリエルは驚いて笑った。

 

「あんただったのね、チャーミー。似合わないことするもんよね」

 

レオーネにいた時の親友、チャーミーが立っていた。

 

「……久しぶり、って。そう言うべき?」

 

口を一文字に閉じたままのチャーミーは、そう言われてようやく反応した。

 

「私さ」

 

僅かに迷っていたような表情をしていたチャーミーは、決意を決めて話し出す。

 

「あんたに会ったら、何話そうか考えてたのよ」

「そ。何を話すかは決まった?」

「や、まだ決まってない。っていうか話すことなんて何にもないのよ。お互いそうでしょ?」

「……そーね」

 

移動都市の端にはチャチな柵が付いていた。

 

もうじき夕暮れになろうという時間。柵から身を乗り出せば、眼下にはどこまでも広がる荒野が見えた。

 

「エールさんは、元気にしてる?」

 

そんなことを言い出すものだから、つい笑ってしまった。

 

「話すことなんてないんじゃなかったん?」

「いいじゃん別に。義務みたいなモンよ」

「はいはい。エールね、まあ元気にしてるよ。最近は農業にハマっててさ、りんごの木とか植え出したんよねー。"これはいいりんごの苗木だ"とか言っちゃってさー、いやいやあんた素人でしょっつって」

 

荒野を見下ろすアンブリエルに並んでチャーミーも柵に肘をかけた。

 

「へー、りんごの木? すごいことするわね」

「っしょ? でさー、りんご植えてから実をつけるまで5年かかんだってさ。5年よ、5年。気長すぎっしょ、どんだけ先の話よって感じっしょ? てかそんだけじゃなくてさー、どっから揃えたんだかわかんないけど鍬とかスコップとか揃えてきて、何でもかんでも野菜の種あったら買ってきて、もうマジの農家になる気満々って感じでさー」

「えー、うそ。エールさんが? 農家?」

「マジよマジ、片っぽ腕ないくせに張り切っててさ。料理とかにも手ぇ出すし、なんかガチっててさー。朝早いし、夜も早寝だし。超健康生活っつーの? ちょっと感心しちゃったわ」

「へぇー、あのエールさんがねー……。想像つかないわ。てかじゃああんたは何してんのよ。あんたも一緒にクワ振んの?」

 

いやいやんなわけないじゃん、と笑いながら首を振った。

 

「あたしはんな泥臭いのやだし、ちゃんとお仕事してんのよ」

「お仕事ってあんた、殺し屋なんてやってんじゃないわよ。あんたも一緒に農家やりなさいよ、労働の苦労を知った方がいいわ」

「ぜーったいやだ。農家とかマジ無理だし」

「なーんですって? 私の親とかバリバリの小作人なんですケド。つか私とか小さい頃からみっちり農民やってんだけど。バカにしてる?」

「チャーミーは泥臭いの似合うわよねー」

「なーにー? バカにしてんじゃないわよ、農家がいなくなったら誰も生きてけなくなるっての。小作人舐めんなし」

「バカにしてないって。ご飯食べられんのは、ちゃんと作ってる人がいるから。じょーしきっしょ」

「あら。分かってんじゃない」

 

お互いにどこか懐かしい会話だった。気安い距離感で、どうでもいいような話をずっとして。ダラダラと会話をずっと続けていよう。

 

「……あんたは、どうなの?」

「何? どうなのって」

 

チャーミーは分からないフリをした。

 

きっと分水嶺なのだ。ここで戯けて誤魔化せば、きっとチャーミーは何も言わないだろう。そんな気がした。だからアンブリエルは。

 

「今の……レオーネのこと」

 

振り返らずに逃げたのだ。アンブリエルは逃げ出したのだ。燃え上がる建物を放ったらかして、ただ遠くに逃げたのだ。

 

エクソリアの情勢の情報を、アンブリエルは意識的に避けていた。知ってしまうことが怖かったのだ。

 

「聞くの?」

 

友人の言葉には、その気遣いと、少しの恨み節が含まれているような気がした。

 

「もし私が、もうそろそろレオーネが崩壊するって言ったら、あんたは戻ってくんの?」

 

言葉に詰まった。なぜなら、アンブリエルには今更何か言う資格などないのだ。

 

「あんたがエールさんを連れて行ったせいで、みんな死んでるって言ったら、あんたどうするつもりなの?」

 

そうだ。その事実を知ることが怖かった。だがあの時からすでに八方塞がりだったのだ。

 

「……意地悪するつもりはないって、安心しろし。戻ってこいなんて言わないから」

 

緊迫した雰囲気を緩めるようにそうチャーミーは自嘲気味に言うが、アンブリエルは顔を伏せたままだった。

 

「元々、あの人に頼り切ってたのがおかしかったのよ。内戦は私たちエクソリア人の問題で、エールさんがやるべきことじゃなかった。そんな重たいもの、わざわざあの人が背負うこともなかったのにね。だから正直、あんたがあの人を連れて逃げ出して、ちょっとホッとした」

 

ふと、その友人の顔を見た。

 

「これは私たちの問題で、私たちの責任で、私たちの戦争なのよ」

 

──あの調子者だったチャーミーの瞳は、いつの間にか鋭く尖っていた。戦いを知っているものの顔つきだ。甘さを消した、一人の戦士の顔だった。

 

無論、文官であるチャーミーまでが戦場に出るようになっていればお終いである。だからこれは、きっとそういう心構えの話だ。

 

「知らないなら、きっと知らないままにしときなさい。んで、エールさんがいなくてもなんとかなるだろうって思っときゃいいわ」

 

チャーミーのそれは優しさなのだろうか? アンブリエルには判断が付かなかった。その優しい言葉は皮肉と区別がつかない。

 

「……あたし、今でも……本当にこれでよかったのか……分からない」

 

だから、その気遣いに耐えかねてそう口にしてしまった。

 

「……これで、正解だったの? 本当にこれが、あいつの幸せなの? あたしはあいつの思いを全部奪った。あのまま前へ進んでいったら、きっとあいつには何も残らない。きっと酷い死に方をするって、きっと何にも報われないって──そう、思ったから」

 

行動のきっかけがあった。

 

エールの部屋に訪ねて行って、会った時──もはやエールは、アンブリエルのことを覚えていなかったのだ。

 

二週間会わなかった。たったそれだけ会わなければ、もうエールは他人を覚えていられないのだと、そう気が付いた瞬間からアンブリエルはエールを連れて遠くへ逃げることを決意した。

 

執務室の机で寝たままのエールを抱えて、車に乗せてそのまま逃げた。

 

──そして、揺れる車の中で目を覚ましたエールには、それまでの記憶の一切を無くしていた。何も覚えていなかった。アンブリエルのことも、レオーネのことも、自分自身のことも、何も。

 

「あたしは、どこで間違えたんかな。どうすれば、あいつは心の底から笑ってくれたんかね。どうするのが最善だったんだろ。それとも最初から正解なんてなかったとか?」

 

きっとそうだ。

 

──アンブリエルとエールが出会って、救われたあの時からこうなる運命は決まっていた。アンブリエルがエールを救うことは不可能なのだと、きっとあの瞬間から決まっていたのだ。

 

エールは死ぬ。鉱石病によって、必ず死ぬ。だが例え、鉱石病がなかったとしてもエールは早死にしていただろう。きっと死に場所を求めていただろうから。

 

「……あたしは、これが正解だとは思わない。けど、あのままレオーネに居るってことも正解だとは思わないの。きっとエール自身はそれを望んでいたとしても……あたしは、受け入れられなかった」

 

いつの間にか、握る拳に力が入っていた。

 

「……あいつに幸せになって欲しかった。あいつを守りたかった。そのためならなんだってやるつもりだった。それだけがあたしに残されたものだって、そう信じてた。だから、あたしは──」

 

『かえしてよ』

 

「あたし、は──」

 

『返してよぉッ! お父さんを返してッ!』

 

自分の大切な人を守るためなら、誰かの大切な人を奪ってもいい。生きるとはそういうこと。

 

ジィは全く自分と同じ境遇だったと言っていい。娘を逃すために、そのほかの全てを捨てて逃げ出した裏切り者だ。

 

きっと罰が下ると思う。ジィはともかくとして、フォトンに罪はないはずだ。彼女はこれからどうなるのだろう。生き延びることができるだろうか──とか。こんなことを思う資格などないのに。

 

「どうすれば、良かったの?」

 

何も分からない。正解などどこにもない。どれを選んでも、何かが壊れてしまう。

 

「じゃああたしは、何をすれば良かったの? 何もしない方が良かったの?」

 

『僕と共に戦えッ! この世界を変えるぞッ!』

 

あの時の顔を覚えている。ずっと覚えているのだ。

 

あんな風に──なりたかった。エールは英雄だった。憧れていたのかもしれない。ただ恩を返したかったのかもしれない。横にいたかっただけなのかもしれない。きっと全部だ。

 

「ねえ、教えてよチャーミー。あんたは、あたしに何をさせたかったの?」

 

アンブリエルを探し出して、わざわざ脅迫までしてジィを殺させたのはチャーミーだ。単なる恨みだと思っていた。裏切りに対する報復──それしかないと思った。

 

「私は……きっと、知りたかったのよね」

 

曖昧な言い方だった。

 

「知りたかったって、何が知りたかったのよ」

「んー、なんていうか……知りたかったって言うよりは、納得したかったんだと思う」

「……納得?」

「そ。なんて言うのかしらね……あんたがエールさんを連れて行った代償って、なんだかんだ言ってもかなり大きいわけよ。ああ、安心して。エールさんが消えた原因なんて、みんな分かってないし、暗殺だって思い込んでるから」

 

だがチャーミーは直感的に思い当たった。アンブリエルも同時に消えていたからだ。

 

「でさ。なんつーの? そんだけデカい代償を払ったんなら、ちゃんとその分報われてほしいのよ。じゃなきゃ釣り合いが取れないじゃん。あたしらは大変なことになって、んであんたとエールさんも幸せじゃありません、とか。そういうの嫌なのよ。あたしらは大変なことになったけど、あんたとエールさんは幸せに暮らしました、とかなら……私の中で、納得できるってわけ。じゃあ仕方ないねって」

 

チャーミーは全て本心を話し、アンブリエルは黙ってそれを聞いていた。

 

「──だから、私は知りたかった。あんたがそれ以外の全部を捨ててでも、幸せになる覚悟を持っているかどうか」

 

だから、ああやって突きつけたのだ。

 

エールを守るためならば、あの子の幸せを奪えるか、と。そしてアンブリエルはその銃弾を以って答えた。その後ろにフォトンを一人残して。

 

「……テストは合格?」

「うーん、分かんない」

「わ、分かんないってあんた、そりゃないっしょ!? じゃなきゃあたしは何のためにあの子の未来を奪ったの!?」

「だって分かんないでしょ。そりゃ、あんたに覚悟があんのは分かったわよ。けど、他人の幸せを奪えるからって、他人を幸せに出来るってわけじゃないでしょ?」

「……そりゃ、そうだけど」

「だから、あんたに聞くわ。……っつーか、最初からこう聞けば良かったか。私も馬鹿よね──ねえ、アンブリエル。一つだけ質問に答えなさい」

 

チャーミーは、この時だけはただどこまでも純粋に、友の幸せを願った。罪に汚れた姿で願った。

 

「あんた、幸せになれる?」

 

──なんて残酷な質問だろうか。

 

それを答えるには、あまりに時間が経ち過ぎている。もはや戻れないのだ。アンブリエルもチャーミーも、その両手は血で汚れ、もはや罪を重ね過ぎていた。

 

「────」

 

だから、いまだに優しい友人を見ていると、アンブリエルはいつの間にか涙を流していた。嗚咽の混じった声で、精一杯の勇気で──。

 

「うん。なるよ」

 

そう答えた。精一杯の笑顔を浮かべて、何によるものかも分からない悲しみと、胸に込み上げてくる感情のままに。

 

「そう。なら……良かったわ」

 

チャーミーはそんな友人を一度だけ力強く抱きしめて──。

 

それから、腕を解いた。

 

「さよなら、アンブリエル。あんたと出会えて良かったわ」

 

踵を返してチャーミーは背中を向けた。

 

「あたしも、チャーミーが友達で良かった」

 

その背中に向かって、感謝の言葉を──。

 

「そ。……元気でやんなさい。じゃね」

 

無骨な車両の運転席に入って、それがゲートを通って荒野へと消えていくのを見送って、アンブリエルはもう一度だけ呟いた。

 

「……さよなら」

 

──きっと、もう二度と会うことはないだろう。

 

そしてまた一つ、アンブリエルは過去を捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ。おかえりなさい、アンブリエル」

 

──呑気に掃除とかしてた。雑巾掛けをしている。

 

「……え? 何で覚えてんの?」

 

一週間も家を空けていたのだ。正直、絶対に自分のことなど忘れていると思っていた。それを覚悟していたため、一気に気が抜けてしまった。

 

「覚えてんの……って。僕は忘れないよ、君のこと」

「……ホントに?」

「ホントホント。それより、君が居なかった間にもまたちょっと野菜が育ったんだ。ちょっと農園に来てよ、見せたいものがあるんだ」

「え、何よ──」

 

適当な言葉で誤魔化されたのだ。だからアンブリエルは気がつかなかった。

 

楽しそうに、林檎の苗が何センチ育ったとかを延々と語るエールに呆れて、ただ安心してしまった。

 

それから1週間が経たないうちに、エールが倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エールッ!」

 

部屋に飛び込んだ時、エールは真っ白なベッドに寝ていた。側に医者が来ている。

 

「ねえ、エールは!? 何があったの!?」

「落ち着いてください、静かに……」

 

真っ青な顔色をしているエールに気がついて、すぐにクールダウンする。

 

「往診中に突然意識を失ったんです。そのまま吐血して──」

「詳しいことは分からないの!?」

「落ち着いてください。本格的な設備があれば別ですが、ただの往診ではそこまで詳しいことは分かりません。ですが、ここから移動させても体力が持つかどうか……」

「……ッ、何、そんなやばいの」

「以前からこういったことはありませんでしたか?」

「なかった。少なくとも、あたしの前では──」

 

本当に、なかったのだろうか。

 

仕事で家を空けている間、エールは一人だけだ。その時に何かあっても分からない。もしかして、心配をかけないように──例え体に激痛が走っていても、涼しい顔で堪えていたんじゃないか? 掃除をしていたのは、吐血の汚れを残さないため?

 

「意識は、あるの?」

「朦朧としているようです。かなり危ない状況です。一人にしておくのは危険ですが、ここから私の診療所となると時間がかかります。手持ちの薬で何とか手を打ってはいますが──」

 

今すぐ診療所に運ぶべきだが、車での移動が負担になるかもしれない。判断に迷っていた。そのくらい衰弱していたのだ。

 

「……ぅ」

 

わずかな呻き声。

 

「エール! エール!? 大丈夫、大丈夫なのッ!?」

「……アンブリ、エル……──」

 

聞き取るのも難しいような、掠れた声でそう言った。

 

「だい、じょうぶ……だから、ね」

「……ッ、くそ、くそっ……! 死ぬんじゃないわよエール、あたしを残しておさらばしようなんて、絶対ダメだからね……ッ!」

「ひとりに、しないよ……──」

 

──その日は、持ち直した。

 

意識が完全に回復し、飯は自力で食べ、歩こうとしたので全力で止めた。

 

たびたび、こういうことが起こった。

 

アンブリエルが市場に買い出しに行こうとして、エールがそれを見送った。玄関の先までエールが来て、微笑みながら行ってらっしゃいと言った。

 

アンブリエルも笑い返してドアを閉じた。ドアを閉じた瞬間に、向こうからどさっという重たい音が聞こえて、焦ってドアを開いたらエールが意識なく倒れていた。

 

段々と衰弱していった。

 

死期が近いと、誰が見ても分かった。

 

意識が回復して、エールが目を開けて、アンブリエルが必死に呼びかけていた。

 

「起きろ、起きなさいバカエール! 目を覚ましてよッ!」

「……ん、君、は──」

 

エールは。

 

「だれ────……?」

 

アンブリエルの存在を忘れていた。

 

記憶の消失とリンクするように、症状は悪化していった。

 

記憶は不安定なようだった。一時は忘れていても、またその日の夕方には思い出している。

 

アンブリエルはずっと家にいるようになった。

 

エールは寝室で、カリカリと何かを書いている。日記のようだったが、エールはそれをアンブリエルに見せたがらなかったので、何が書いてあるのかはわからない。

 

左手一本で器用に書いている。確か利き腕は右だったと思うが、その辺は器用だった。

 

「ねえ、アンブリエル。一つ頼みがあるんだけど」

「ん。何?」

「農園の様子を見てきて欲しいんだ」

 

エールはそう言った。

 

「なーに? また林檎の苗木?」

「うん。……また、大きくなったかなぁ。ちゃんと育ってるといいなぁ」

「はいはい、分かったわよ」

 

穏やかに微笑んでアンブリエルは席を立った。

 

部屋を出て、裏口を開いて、裏庭の農園に出る。小さいながら、よく手入れされた畑だ。何種類もの野菜が植っていて、また実をつけているものはない。

 

林檎の苗木は2本。言われてみるとちょっと伸びているような気もするが、毎日見ていると違いは分からない。最初の状態を写真にでも撮っておけば良かった。

 

苗木は元気そうだった。

 

今日も太陽の光を浴びて、またちょっとずつ大きくなろうとしている。

 

「……うん。大丈夫そうね」

 

その生命力に満ち溢れた様子は、まるでエールの生命力と引き換えであるかのように────。

 

「戻んないと」

 

ゆっくりと、アンブリエルはエールの元へと帰っていった。

 

カーテンから差し込む午後の光が、優しく部屋に差し込んでいる。

 

「……もう。何寝てんのよ」

 

エールは目を閉じていた。眠っているようだった。人をお使いにやっておいて、その隙に眠るとはいい度胸である。

 

ベッドの横の椅子に座って、穏やかに眠るエールを優しく見下ろす。

 

「林檎、元気だったわよ。人参の葉もちょっとずつ育ってる。ちゃんと毎日雑草抜いてたおかげね。やっぱり根菜は育ちがいいわ」

 

エールの手を握った。

 

「そうそう、ソラマメ用の柵、買ってきといたから後でつけとくわね。あれ付けたら一気にそれっぽくなるっしょ。あとは冬を越せるかが鍵よねー。やっぱそこを越せるかどうからしいわよ、林檎の苗木もそうなんだって。根がちゃんと張り切るまでの三ヶ月で、ちゃんと育つか決まるらしいわ。でも構い過ぎるのもダメだから、信じて待つのが一番なんだってさー……」

 

エールの手が、段々と冷たくなっていくのを感じていた。

 

「……一緒に、見たかった。あんたと一緒に、林檎の実が成るとこ、見たかった」

 

満足したような、穏やかな顔で、エールは永遠の眠りについていた。

 

「もっと一緒に、いろんなことしたかった。もっといろんなこと、話したかった」

 

声だけが静かに響いていく。

 

「あんたの料理、もっと色々食べたかった。今度からはちゃんとあたしも手伝うわよ。一緒に作って、一緒に食べよう」

 

ぼろぼろと流れる涙が頬を伝って、シーツにシミを作っていった。

 

「……もっと、一緒に……あたしは、あんたと一緒に──この場所で、いつまでも一緒に暮らしていたかった……っ」

 

──ああ。

 

この日が来た。

 

あたしはこれから耐え切れるだろうか。

 

あんたのいない暮らしに耐え切れるだろうか?

 

想像した。何度も想像した。一人で起きて、一人で朝ごはんを食べて──この家で、たった1人で。

 

「……無理よ」

 

耐えられるはずがなかった。

 

「あんたがいない世界になんて、何の価値も……」

 

無理だ。

 

無理だ。無理だ。無理だ。絶対に無理だ。絶対に耐えられない。もうアンブリエルにはエールしか残っていなかった。

 

そうだ、分かっていたことだ。エールを救うつもりが、救われていたのはずっとアンブリエルの方だった。何も出来なかった。アンブリエルは、何一つ──。

 

ふと、エールが書きかけていた日記が目に入った。生きている間は見せてくれなかったけど、今では──。

 

そのノートを手に取って──。

 

「……そっか。そう、だったんだ」

 

事細かに書かれていた。

 

その一日に何があって、どんな気持ちだったか。アンブリエルは笑っていたか、怒っていたか。

 

それが一日一日、欠かさず毎日──。

 

「……このノートに全部、書いてたんだ。だから、あたしのこと……覚えて、たんだ」

 

厳密には、エールはもはや朝に起きるたびに全てを忘れていた。そして横にあるノートを手に取り、自分の名前を知って──。

 

「……あたしに笑っていて、欲しくて」

 

最初のページに書いてある。アンブリエルは自分を助けてくれた人だから、助けたいと。

 

このノートは手紙だ。明日には全てを忘れている自分に向けて書く手紙だ。毎日毎日、それを書いていた。その上で、ずっとエールは、ただアンブリエルに笑っていて欲しくて────。

 

涙がずっと溢れている。

 

視界の文字が歪んで読めそうにない。

 

無理だ。

 

無理だ。無理だ。無理だ。無理だ。無理だ。無理だ。無理だ。無理だ。

 

────エールがいない世界にこれ以上耐えられない。もう、無理だ。

 

ふらふらと立ち上がって、リビングのテーブルに置きっぱなしにしていた拳銃を手に取った。もう精神の限界だった。

 

その銃口を自分のこめかみに当てて、アンブリエルはついに自分を殺す勇気を出して──。

 

『きっと大きく育って、いい林檎の実をつけてくれる』

 

思い出してしまった。

 

『ああ、楽しみだな──』

 

拳銃を取り落とした。力なく膝をつく。

 

小さな窓から裏庭が見える。冬を控えた野菜がある。

 

林檎の苗木は、まだ幼いままだ。

 

「……育て、ないと」

 

誰かが世話をしてやらないと、農園は三ヶ月もしないうちに雑草に埋もれて、原型も無くなってしまう。エールが毎日毎日手入れをしていたそれが、跡形も無くなって消えて──。

 

「……生き、ないと。生きて……実を、つけるまで……」

 

他に出来る人は誰もいない。あの林檎の苗木を育てられるのはアンブリエルしか居ないのだ。他は全て捨ててきたから。

 

「……やる。あんたの代わりに……見届けるわよ。あの苗木が育って、実を……つけるまで」

 

震える声、震える体。

 

「あんたの、分まで──」

 

そして、アンブリエルは立ち上がった。

 

いずれ楽園に辿り着く、その日を目指して。

 

 

 

 

 

 

 

 

IFルート:アンブリエル 楽園_No pain life 《了》

 

 

 

 

 





前回の投稿がいつだったか見てみたら8月でした。ウマ娘が全部悪いです。

・アンブリエル
堂々のメインヒロイン。
きっと林檎の苗木がなかったらあっさり自殺してました。この後のことは大体想像に任せます。私はハッピーエンド信者なので(嘘偽りない本心)、なんだかんだで新しい友人だとか知り合いだとかに恵まれて、多少賑やかな未亡人生活を送ると信じています。バッドエンドの方は適当に妄想しといてください。

・林檎
やはりアップル……アップルは全てを解決する……
私はipad信者です
なんですかね、楽園=アダムとイブ=林檎……っていうのはやっぱり安直だったかなと反省。でもわかりやすいモチーフだからやりやすかったです。

・チャーミー
シリアスから逃れきれなかった一般覚悟ガンギマリウーマン
エクソリア南部はおそらく滅びますが、国が滅んだって民族が滅ぶわけじゃないしまあ何とかなるでしょ……(楽観)

・フォトン
本名はホア・ラ・ファンと言います。
これマジ? この大地に散らばる苦難の数々が一度に襲って来すぎだろ……

・エール
最近MTR(看取らせ)という単語を知りました。おまえ記憶を無くした途端にぐう聖になるよな、なんで?(素朴な疑問)
ずっと死ぬ死ぬ詐欺をやっていましたが、ちゃんと死亡。死亡確認! ヨシ!

次からようやく新章です。投稿頻度もエールくんと一緒に死んだので許してください。


「ねえ、これでよかったんよね?」

  • 別の道があったかもしれない。
  • 一つの結末だ。
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