荒廃したこの世界で白鳥は踊る   作:通りすがりの錬金術師

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お気に入りを適当に見直してて、なんか思い付いたので息抜きに書いてみた。


荒廃したこの世界で白鳥は踊る

――愛に溺れた瞳は語る(女の話をしよう)

 私の全ては、貴方のために(愛を守る時、女は女神と等しくなる)

 

 おまえの体が目当てだ、と男は笑った。まるでケダモノね、と女は言った。

 おまえの心は俺のものだ、と男は笑った。ええその通りよ、と女は言った。

 助けてくれ、と男は言った。ケダモノではまだ足りない、と女は笑った。

 愛しているのに、と男は言った。ええその通りよ、と女は笑った。

 男女はヴェールの向こうで一つになる。癒着する肌のように。熱に溶ける氷のように。

 溺愛を具現する女は笑う。すべてを支配してこそ、真実の愛たり得るのだと。――

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「鬱陶しいのよ!」

 

 

 振り抜いた脚による一閃が周囲に存在する白い獣の内の一体を切り裂く。そのまま吹き飛んで倒れた一体に他の獣は見向きもせず、私に襲いかかってくる。それを()()()()()()()()()()()()避けつつも反撃の蹴りをいれていく。

 既に何度この作業を繰り返したかしら。なのに数が全く減っている気配がない……というより、これは私の攻撃がそこまで効いてないんじゃないしら?これが本当なら不味い処じゃないわよ。

 

 

「……これは切り札の解放も考えないといけないかしらね」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

………なんでこんなことになってるのか。それは少し時間を巻き戻してみよう。

 

 

「……ここは、どこ?」

 

 

 彼女が目覚めたのは鉄塔の森と呼ばれている場所。しかし、彼女はそこに住んでいる訳ではない。というか、人が住めるような環境ではない。では、何故そこで目覚めたのか。それは彼女にもわからない。

 

 

「それに、()は誰?」

 

 

 更に、彼女には記憶が無かった。自分が平和な2000年代の日本に産まれた人間だということはわかる。しかしそれ以外の、名前、性別、年齢、家族構成、その他諸々についてはほとんど何も覚えていない。

 だが、幸い(?)な事に彼女の()()身体の事についての記憶……いや、記録は彼女の頭の中に存在した。

 

 

「私の名前はメルトリリス……ハイサーヴァント……そして、ムーンセル」

 

 

 その記録から、彼女は様々な情報を理解していく。しかし、断片的に覚えている事とこの記録を照らし合わせても、今の状況や自分という存在についてはあまりよくわからないようだ。

 

 

「たぶん、この『メルトリリス』という器に『私』という人間が入った……?」

 

 

 なんとなくそうではないか、という結論を一先ず出して一旦の納得を得る。その次に彼女が行ったのは、あやふやな自己の確定。記録に残る『メルトリリス』という存在を自分に重ね合わせ(インストールし)ていく

 

 

「………まずは周囲の情報を得るのが一番かしら」

 

 

 そして、彼女は出会う。この時代を生きる人類の不倶戴天の敵、()()()()に。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ああもう。ほんとになんなのよ、こいつらは!」

 

 

 あのまま暫く戦い続けて十数分。一向に倒れる気配のない獣に私はイライラしていた。悲鳴を挙げるのであれば、蹴り飛ばすだけでも愉しめるだろうけど獣であるこいつらでは、ストレスが貯まる一方。近くの水場に飛び込んで逃げるのも手だとは思うけど、それは『私』らしくない。

 

 

「いいわ、私の毒で甘く溶かしてあげる!」

 

 

 だから決めた。『(メルトリリス)』の『id-es』を解放する事を。

 その名前を『メルトウイルス』。有機物・無機物問わず何でも溶かし、私の養分として吸収する甘い毒。

 

 

「さあ、私の糧となりなさい!」

 

 

 

――skill:クライムバレエ発動――

 

――id-es:メルトウイルス発動――

 

 

 

 相手の数は多い上、ドレインにどれだけの時間がかかるかはわからない。故にクライムバレエによる一時の無敵効果を得てから、脚甲の棘を獣に突き刺す。

 その効果は意外とすぐに現れた。これまでの攻撃ではほとんどダメージを与えられなかった獣が簡単に溶け落ちた。それに触れて私の一部として吸収していく。その瞬間、私の身体に激痛が走った。

 

 

「ッ!?な、なによ、これ……」

 

 

 私の内側から何かが食い破ろうとしてくる感覚。これは、メルトウイルスで吸収した獣の反抗……かしら。冗談じゃないわ。黙って私に溶かされなさい!

 

 

「―――ッ!ふぅ……」

 

 

 なんとか溶かしきったのか、痛みが消える。そして、吸収した獣の情報が私の糧となり、この獣の事が理解出来る。

 

 

「オラクル細胞……へぇ、そういうカラクリだったの」

 

 

 まさか、この獣は単細胞生物だったなんてね。そしてこの細胞の結合は非常に固く、同じオラクル細胞で出来た物以外をほとんど通さないとは。攻撃が効いている気がしなかったのはこのせいね。でも、もう問題ないわ。

 この力も私の一端となった。だったら『私』を構成する一部でもあるこの脚の棘にオラクル細胞の力を流し込めば……。

 

 

「セイッ!……ハハッ!」

 

 

 斬れた。それも真っ二つに。それをみて私は嗤った。これでこれまでの鬱憤を晴らせると。

 

 

「さあ、いくわよ、いくわよいくわよいくわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 観測班からフェンリル極東支部へ。

 

 

 ◯月△日正午頃、鉄塔の森にて正体不明の笑い声らしき声を確認。データベースに存在するアラガミのどの音声データとも合致しなかった事から、警戒しつつ現場へ向かった所、至る所に斬撃痕と多数のオウガテイルを確認した。なお、そのオウガテイルは全てが既に息絶えており、我々が現場に到着した直後にオラクルに霧散して消滅した。

 

 新種のアラガミの発生の可能性も考えられる為、ゴッドイーターの派遣による詳しい調査をすべきと考える。




全てを溶かすメルトウイルスと全てを喰らうオラクル細胞、どっちが強いだろう……

以下、メルトリリス(偽)の設定(一部)

クライムバレエ:メルトリリスの戦闘スタイルそのもの。今回発動したのは『さよならアルブレヒト』(少しの間外部からの攻撃に対して無敵)
なお、使い放題だと強すぎるので、彼女はメルトリリス本人ではないので能力的に未熟であるから(という建前の下)一公演(戦闘)につき一回制限。

メルトウイルス:メルトリリスのid-es。有機物・無機物問わず何でも溶かし、養分として吸収する。今回はオラクル細胞をも飲み込んだが、一度に大量に吸収し過ぎると逆に捕食される可能性がある。
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