なんかお気に入りが微妙に伸びてるし評価までついてる……?気のせいか(´ω` )zzZ
「……いったいどうなってるのよ、この世界は。人の気配が全くしないんだけど!」
この世界で目覚めてから三日。私は現地の人との交流を求めて、目覚めた場所から水路を伝って港と思われる所へと移動していた。
目的としては、そうね。まずは食料ね。本来の『
「どこもかしこも朽ちているわね……。あの獣共の事もあるし、これじゃ最悪人類が滅びてる可能性もあり得るわね」
一先ずの拠点とする予定のこの港らしき場所にある建物の内、比較的ましな建物の中に入って安全の確認を行う。あの獣の痕跡はなかったが、念のため瓦礫の一部を蹴り動かし簡易のバリケードを作成しておく。たまに力加減を間違えて瓦礫を砕いてしまうこともあったけど、それ以外に特に問題はなかった。(※所要時間:1時間。筋力Eは伊達じゃない)
さて、それじゃあ今日の分の探索といこうかしら。食事は人と出会えるまではメルトウイルスによる獣や木の実の吸収でとりあえず済ましている。毒とかあるとどうなるかわからないし、その分メルトウイルスなら私の一部だし、栄養だけを吸収することも可能なのだから。幸いな事に、何故か食欲を抑える事が出来ているし。ちなみに睡眠欲はそこそこ……っていうか、この状況だとまともに眠れもしない。もうひとつのは余り無いとだけ言っておくわ。
「はぁ………」
港に拠点を移して早一週間。今日も特に進展は無し……っと。まあ、成果を強いて挙げるなら電気を放つ大きな虎と交戦して勝ったって所かしら。大きい体格しといて、中々の俊敏さも持っていたから倒すのに時間がかかったわ。まあ、私のトップスピードには及ばなかったのだけど?電撃はウザかったわね。迂闊に近づくとビリビリよ。感覚障害で触覚がほぼ死んでるとは言え、身体が動かなくなるのには変わらないもの。
「……さて、少し疲れたから休憩、という訳にもいかないみたいね」
拠点としている港に戻ってくると、そこには白い竜のようなやつが居座っていた。虎と戦った後だから休みたかったのだけど、既に竜は私を見つけて交戦の構えに入っている。どうやら戦いは避けられないらしい。
「いいわ。蹂躙してあげる!」
――――――――――――――――――――――
しかし、彼女はメルトリリス。その敏揵値はA+とかなりのものを持っている。彼女的には自然に、見るものが見れば綺麗な踊りのようにも見える、華麗なステップで槍を躱し、ハンニバルの身体を思い切り蹴りつける。
「『
更に彼女は身体を素早く回転させ、脚から十字の斬撃を飛ばす。オウガテイルのような小型ならこれだけで終わるのだが、流石は大型アラガミ。大したものではないと言わんばかりに左手で裏拳を放ってくる。
それを大きく飛び上がって躱した彼女はハンニバルの左手の籠手に向けて踵落としを叩き込んだ。籠手が砕ける事はなかったが、そこを攻撃されるのを嫌がったのか、ハンニバルは悲鳴にも聞こえる咆哮を挙げ身体を震わせた。
「あら?そう、貴方はそこが弱いのね?」
それを見た彼女は笑みを浮かべた。しかし、安易にそこに攻め込む事はせず、様子をみる。ハンニバルは二足で立つと、両手に炎の剣を生み出しての連続斬撃を放つ。アルブレヒトを発動させて突っ込むという選択肢も彼女にはあったが、流石にまだ早いと判断して自慢のスピードで尽く斬撃を躱していく。そして攻撃が終わったと見ると彼女は、籠手に向けて一直線に膝蹴りの形で突撃し脚の棘を突き刺しに向かう。
「『臓腑を灼くセイレーン』!」
ハンニバルは攻撃後の隙を晒していた為、それは見事に命中。だが、その攻撃は籠手に突き刺さる事なく弾かれた。
「え?どういうこと!?」
先ほどの踵落としは明らかにダメージを与えた。ならばとただの踵落としより威力のある技を彼女は放ったのだが、予想に反して効かなかった事に混乱してしまった。それをハンニバルは見逃さず、籠手の側に居た彼女を殴り飛ばす。それにより意識が一瞬飛び、近くにあった建物に叩きつけられる事で意識を取り戻す。
「痛……くはないわね。体質のお陰かしら」
ちなみに攻撃が効かなかった理由であるが、ハンニバルの籠手は破砕属性に弱く、刺突、斬撃属性にはそこそこの耐性を持っている。故に結果的な威力では、破砕属性に分類されたのだろう踵落としの方がダメージになったのである。ついでに言えば、セイレーンには炎属性もあるためそれによる軽減もデカイと言える。
「とりあえずメルトウイルスを撃ち込みましょう。正面からでは間違いなく殺られる……ってマズッ!?『アルブレヒト』!」
体勢を立て直した所へ、ハンニバルの口から火球が飛び出し彼女へと襲いかかる。流石に避けられないと、無敵化を使い耐えしのぐ。そして、そのままハンニバルへと駆ける。トップスピードまで一気に加速した彼女は、ハンニバルの周囲を走りながら連続で蹴りを入れていく。
「さあ、いくわよいくわよいくわよいくわよ!!『王子を誘う魔のオディール』!!」
頭、首、腕、腹、足、尻尾、背中……残像が見えるほどの速さでの蹴り。それにハンニバルは反応出来ず、ただただ受けるしかなかった。彼女の内に宿る加虐体質により攻撃性が高くなってはいるが、それでも彼女は理性的な面を残していた。相手の反応を見て、どこに攻撃を加えるのが一番なのかを探っていたのだ。
結果、足にはブレードによる斬撃、籠手には踵落としのような打撃、頭は満遍なく、背中の逆鱗も同様だが特に刺突が一番通っていた。
「ウイルスを撃ち込むなら背中ね。理性が飛ぶ前に決めましょう」
これで最後とばかりに彼女はハンニバルの上へ躍り出た。そして棘を背中の逆鱗へと突き刺し、メルトウイルスを撃ち込むと同時に逆鱗が砕けた。
その瞬間に背中からは炎が吹き出し、その勢いで彼女は飛ばされ強制的に距離を取らされた。
「っ!?危ないわね。でも、これで終わ……!?」
メルトウイルスを撃ち込まれたハンニバルだが、最初は苦しんでいた。しかし、しばらくすると押さえつけたのか彼女の方を強く睨んでいる。この時彼女はハッキリと感じていた。
「ウイルスが喰われた!?……これは本気でヤバイわね」
逆鱗を壊された事により活性化したハンニバルは、炎の羽を広げて二足で立ち上がるとそのまま宙へと浮かび上がった。そして、自身の周りに炎を集めている。
「これなるは五弦琵琶、全ての洛を飲み込む柱」
それが大技だと認識した彼女も、対抗するために自分の魔力を全力で解放する。その身を構成している神の一柱、サラスヴァティーを源流に持つ弁財天の権能を元に形にした宝具を。
「消えなさい!『
ハンニバルの放つ炎の竜巻と彼女の放つ渦巻く激流の二つがぶつかり合う。溢れた水によって火は消されるが、その水も水蒸気となって消えていく。最後まで技を保てた方の勝ちとなる。
「これでフィニッシュよ!」
競り勝ったのは水だった。ハンニバルは激流に飲まれ、その中を高速で動く彼女の蹴りを受けていく事しかできない。そして、とどめのソバットが放たれる。
「ふぅ、とんでもない相手だったわね」
地に伏せるハンニバルとそれに背を向ける彼女。勝負は決まった………かと、思われた。
ここでハンニバルの別名を告げておこう。『不死のアラガミ』。倒してコアを摘出しても、再びコアを生成し甦る事からついた名前だ。これはゴッドイーターの方で神機に対策を施した事で問題がなくなった。しかし、彼女はゴッドイーターではない。不死性を知らず、それに対する対策も当然行っていない。故に………。
「Gaaaaa!!!」
「!?」
復活し、即座に殴りかかってきたハンニバルに対応することが出来なかった。地面を転がり、露出してある部分に傷を作る。
「この……理由は分からないけど、甦ったならもう一回倒すだけよ!」
そう意気込み、戦闘を再開するも彼女の動きには先ほどまでのキレはない。当然だろう。全力で宝具を展開した上に、これまでの疲れとダメージが貯まっていて、そして先ほどの不意打ちを無防備に受けたのだから。
それでも彼女はしばらくは戦えていた。時間はかかったが宝具を使わずにもう一度倒す事が出来た。しかし、ハンニバルは再び復活し、ついにその時は来た。
「……え、あ、れ?」
彼女はまだまだ戦える
「な、んで?」
神経障害の影響で、彼女は痛みをほとんど感じていなかった。故に攻撃を受けた回数は理解していても、自分がどれだけダメージを受けたかわからなかったのだろう。
彼女が最後に見たのは、勝ちを確信してゆっくりと近づいてくるハンニバルの姿だった。そこで彼女の意識は途切れた。
実質ヴァジュラ一頭とハンニバル三頭との連戦。流石に多すぎた?(汗)
メルトが拠点にしたこの港(仮)は愚者の空母の近くにある設定です。つまりエイジス島も見えない事もない。
メルトウイルス:アラガミにも効くが、個体毎に効き目が変わる。
小型→すぐさま溶けていく。
中型→弱っていれば溶けていく。
大型→弱体のデバフは入るが、倒さないと溶かせない。
と、しています。理由としては個体の大きさとか、内包するオラクルの量とかですね。ウイルスの方が強ければ溶かし、オラクルの方が強ければ捕食するって感じで。
当然ながら、宝具はFGO仕様です。本来のCCC仕様はSE.RA.PHでないと使えないので。
ハンニバルのファイアストームを強く書いたけど、ゲーム的な威力だと、炎の剣による切り払いとか火球とかの方が上なんだよなぁ()
ちなみにこのメルトリリスがハンニバルを一人で倒す方法ですが、普通に倒した後、復活するまでの間にメルトウイルスで吸収すれば終わります。