荒廃したこの世界で白鳥は踊る   作:通りすがりの錬金術師

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とりあえず年内最後の投稿!

色々と考えた結果、2nd breakやろうかなと。(ウコンバサラ先に出しちゃったけど問題はないかな。三巻はメルト突っ込むところないしね。強いていうならエリナ&エミール編?)
クレイドル設立やら、エリナ、エミール加入の話も同時に出来て一石二鳥だよね、と。
……決して2までのネタが無くなった訳じゃないよ?ホントだよ?
というわけで2nd break編一話です。

(卒研忙しくて更新止まってました)


7

 2074年。メルトがアナグラの仲間になって二年と少しが経過した。既に彼女の名は第一部隊の一員としてアナグラ内で広く知られている。

 そんな彼女は今何をしているかというと……。

 

 

 

「……いったいここはどこなのよ?それに、アリサとソーマは無事なのかしら……」

 

 

 

 この世界に降りたって以来、約二年ぶりのサバイバルが始まろうとしていたのだった。どうしてこうなったかを知るためには数時間程度、時間を遡る必要がある。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「君たちには新しいサテライト居住区の候補地を探してきてほしいんだ」

 

 

 ここ、フェンリル極東支部の支部長代理を勤めている榊博士に呼び出された私、アリサ、コウタ、ソーマ。そこで告げられた新たな任務がこれだった。

 

 

「……博士、正気なの?」

 

「アラガミとやり合うならまだしも、住みやすい土地とかわかんないすけど!?」

 

「いや、君たちにはその前の下準備をお願いするよ」

 

 

……?それは、どういうことかしら?

 

 

「新しい居住区を建設するにあたって、アラガミの存在は無視できない。じゃあまずは基本的な質問をしようか」

 

 

 そう言って、博士はプロジェクターに一体のアラガミ――私が初めて戦ったアラガミであるオウガテイル――の画像を映し出した。

 

 

「アラガミとは、何かな?」

 

「オラクル細胞の集合体……ですよね?」

 

 

――説明しよう!

 オラクル細胞はあらゆるものを取り込み、喰らう細胞である。そのオラクル細胞の集合で構成された生命体、アラガミは食べたものの特徴を取り込み進化する。

 アラガミのオラクル細胞はコアと呼ばれる指令細胞群を中心に形を作っている。このコアを摘出しない限りアラガミは再生する。なので、摘出する手段を持たないメルトはオールドレインの力でアラガミのコアを構成しているオラクルを吸収することで倒しているぞ!もちろん、吸収するとメルトの経験値となりコアは得られないので、基本的にメルトはコアを回収可能なゴッドイーターと一緒に出撃しているぞ!――

 

 

 え、何よ今の……。頭の中に声が?

 

 

「アラガミの心臓とも言えるコアを加工したものは我々の生活にも、多大な恩恵をもたらしている。その一つがアナグラをぐるりと囲んでいる、この対アラガミ装甲だね」

 

 

――対アラガミ装甲とは!

 アラガミには偏食傾向と呼ばれる共食いを避ける行動の特性がある。この特性を外壁に利用し、アラガミに「食べたくない」と認識させているのが対アラガミ装甲である――

 

 

 また出たわね!?これくらい前に習ったわよ!

 

 

「コアは他にもさまざまな形で使われているが……。さて、既存の通常兵器ではコアどころかまわりのオラクル細胞ですら破壊することはできないよね。どうやってアラガミからコアを取り出しているのかな?」

 

「いや……だから俺たちがいるんじゃないすか」

 

「そう。同じオラクル細胞を組み込んだ神機に適合した戦闘員、ゴッドイーターが人類最後の砦となってアラガミと戦い、コアを摘出しているんだね」

 

「博士――俺らこうみえてももう中堅っすよ?今さらこんな新人講習みたいな……」

 

「さて、ここからが本題だ」

 

 

 コウタのボヤキを遮り、笑顔になって体をこちら側につきだして博士が話を続ける。

 

 

「実は最近、アラガミの行動にはそれぞれ規則性ごあることがわかってきたんだ」

 

「……規則性、ですか?」

 

「例えば君たちも、朝起きて歯を磨いて……なんて毎日のリズムや通る道なんかが決まっていたりするだろ?アラガミにもそういう行動が見られるんだ」

 

 へぇ?なるほどね……。

 

 

「……だから?」

 

「あ、もしアラガミの生活のリズムがわかれば、アラガミが普段近づかない場所もわかる……?」

 

「そこに居住区を建てればアラガミに襲われる確率も少なくてすむ、か」

 

「さらに守るための人員や費用もこれまでより抑えられる、ってわけね」

 

「ご名答!」

 

 

 私たちの解に満足しただろう博士は日本地図を下ろし、その左半分を指し示す。

 

 

「今回はその行動の特性を広域的に定点観測することで、比較的安全な地域の割り出しを行いたいんだ。君たち第一部隊は西日本を中心に観測装置を設置してもらいたい。第二、第三部隊は第一部隊の支援にまわってもらうことになっているよ」

 

「我が第一部隊のリーダー、神薙ユウ君をお忘れじゃないですか?」

 

 

 そこでコウタが手を挙げて質問をする。アリサも横でうんうんと頷いている。

 

 

「ああ、彼女には別件でツバキ君、リンドウ君と出征してもらうからね」

 

 

 なるほど、だからここにユウがいないのね。

 

 

「極東各地をまわる長期の遠征になってしまうだろうけど、よろしく頼むよ」

 

 

 アラガミとの交戦は少なくなるだろうけど、まあ頑張ろうかしら。

 

 

「長期かぁ……」

 

「あ」

 

「こりゃ、おみやげどっさりと買って帰ってやんないと」

 

 

……ああ。そういやコウタには家族がいるんだったわね。何回か聞かされたことがあるわ。

 

 

「あ、コウタ君はここに残ってね」

 

 

 え?と、全員の声が揃った。

 

 

「各員の状況を把握してバックアップする司令官が必要でしょ?」

 

「…………でも」

 

「それだけじゃない。君にしかできない重要な任務があるんだ……」

 

「……!」

 

「呼んでくれ」

 

 

 博士が通信でそう言って少し。部屋のドアが開いて男女二人入ってくる。

 

 

「はじめまして。エリナ・デア=フォーゲルヴァイデです」

 

「僕の名はエミール。エミール・フォン=シュトラスブルク」

 

 

 少女――エリナの方は簡素に、男の方――エミールは髪を揺らし、キメ顔で自己紹介をした。

 

 

「よろしく」

 

「キッモ」

 

 

 そして唐突に始まる二人の口論。それを見たコウタは声にならない声を出し、博士に詰め寄る。

 

 

「はは……二人の家は犬猿の仲というやつらしい」

 

 

 博士は笑顔を崩さずにコウタに返した。

 

 

「新人育成。よろしく頼むよ」

 

「なるほど、これはコウタにしかできませんね」

 

「がんばれよ」

 

「応援だけはしてあげるわ」

 

 

 私たち三人はコウタの肩や背中に手をポンと当ててそう告げた。

 

 

「お前らな……」

 

 

 コウタの恨めしげな声は無視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、コウタってば失礼ですよね。何が「この三人のコンビってなんとなく不安」ですか!?候補地のひとつやふたつ、ぽぽーんと見つけちゃいますよ」

 

 

 移動用のヘリに乗り込み飛び立った後、アリサがそう言った。そのヘリの中だけど、なんというかその……。

 

 

「――おい、アリサ」

 

「はい?」

 

「なんだこの荷物」

 

「着替えですけど?」

 

 

 そう、アリサの荷物で床のほとんどが埋まっている。え、私?リヴァイアサンパーカーは着てるし、あの服(初期霊基の服)はいつでも呼び出せるから、アリサの荷物に一部の生活用品だけ入れさせてもらったわ。まあ、さすがにアリサのこの荷物は多すぎるような気もするのだけど……。

 

 

「……チ」

 

「あ、なんですか!?言いたいことがあるならハッキリ言ってください!ソーマの悪い癖ですよ?」

 

 

 さて、移動中は暇だし少し寝させてもらいましょうか。ではお休みなさ

 

 

「ユウだったら良かったのにッッ!!!」

 

 

 うるさいわね!?

 

 

 

 そしてそれからしばらく経って、警報音で私は目覚めた。どうやら新種のアラガミがレーダーにかかったらしい。そしてパイロットの困惑の声が聞こえてくる。

 次の瞬間、爆音と共にいきなりヘリが激しく揺れたかと思うと、目覚めたばかりなのに私はそのまま意識を失った。

 

 

 

 再度目覚めると、そこはどことも知らぬ森の中。まわりには誰もおらず、アラガミに襲われただろうヘリの残骸すらない。恐らく、墜落の途中で私はヘリから投げ出されたのだろう。

 

 

「……いったいここはどこなのよ?それに、アリサとソーマは無事なのかしら……」

 

 

 とりあえず、二人を探しつつ食料……はドレインでなんとかすればいいわね。見つからなかった時用に寝床の確保は必要、後はアナグラへの連絡手段の捜索。はぁ、新任務開始早々これは気が滅入るわね。




次の投稿は天擊と同じく、一月末から二月頭になるかと。卒研の〆切が一月中旬だから、たぶん。
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