ストーリー オブ ザ 球磨   作:ヤングコーン

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日を改めて地霊温泉温泉事務所にやって来ました。
心を読まれるというのはやはりあまり気のいいものではありませんね。
でも、彼女はとても好意的でとても助かりました。
今後すべき事についてもとても考えさせられます。
球磨、にとりさんと共に大儲けしてみせます!!


13話 古明地さとりの憂鬱

日を改めて地霊温泉事務所の役員室にやって来た。さとりさんは静かにお茶を飲みながら、マジックミラーごしに温泉街を見守っていた。私たちの気配を悟って振り返ると、一瞬私が誰だか分からなかったようだ。

 

「ああ…球磨さんですか。その眼鏡されてると一瞬分かりかねますが、相変わらずあの鴉天狗への妙な願望ですぐにわかりました」

 

「どんな願望持ってるのよ、あの鴉天狗に」

 

実は膝枕しながら1から99の段までの掛け算をまるで慈母の様な声色で読み上げる射命丸さんを想像していたのだが、どうやらそのビジョンが読み込まれたらしい。いやぁ、お恥ずかしい。

 

さて、今日は色々とお話を伺いに来たのだ。内心を含めてできるだけ粗相のないように質問をしていこう。

 

「ところで聞きたいんですが、その眼鏡はファッションなんですか?この間は眼鏡なくても戦えてたようですけど」

 

「私が小学生の頃、何やっても鈍くさい先生がいたんです。でも、学校でいじめられていつも泣いてた私にただ1人だけ親身になってくれて…。素敵な先生でした。でも人事異動になって…いなくなっちゃ嫌だって駄々をこねる私に1つだけ欲しい物をあげるからそれで我慢して欲しいって言われたんです。それがこの眼鏡です」

 

「へぇ…そんな事があったの」

 

霊夢さんは気まずそうに言った。

 

「でも嘘なんですよね?」

 

「はい」

 

霊夢さんがずっこけた。別にこの眼鏡に大したストーリーはないんだけどね。

 

さて本題に入ろう。私はここへ来るまでの経緯を話した。それからレミリアさんから聞いた助言の事や、にとりの気質の事…。商売についての事を話す。

 

「にとりさんが作る商品のパーツ、これをカッパルーツからにしてくれればいいんですよね。開発費も安上がりで修理代も安くなります。何で人里から取り寄せてるんでしょう」

 

「あまりよく分からないんですけど、どうもカッパ同士のいざこざがあるみたいで…。頑なにパーツをあっちから取り寄せないみたいなんです」

 

人間相手に商売をしているのだから、パーツも人間の里で取り寄せた方がいいように聞こえるけど、にとりさんが作るレベルになると個人の生半可な知識じゃ修理はとてもできないためカッパ製のパーツを使用してあった方が安く済むため人間としてもありがたい様だ。

 

さとりさんは私の記憶を通してにとりさんの人物像を得ようとしている様だ。説明が省けると思うと楽でいい。

 

「大手企業や金持ちの所にあたって専用の製品の依頼を受注するとかどうですか?それで好評なら需要も増えるかもしれません。少なくとも今のままみたいに作りたいものを作ってて待ってるだけじゃ厳しそうですね」

 

さとりさんはにとりさんの店のチラシを見ている。

 

「もっとこう、将来性や有用性があれば…こちらの方もスポンサーになってもよいのですが。他にも縁日のお祭りで射的屋をやって詐欺まがいの事をしていた件についても信頼が十分に回復したとは言えてない状態です」

 

にとりさんは例のお祭りの数日前、香霖堂に赴いた。安くて珍しく射的の景品として扱えるものを探しに。そこで見つけたのはプラモデル。ただし、肝心な中身は作りかけでパーツが足らない状態。それでもなおそれなりの額を要求してくる店主の森近さんに対して舌先三寸…もとい八寸はありそうな弁舌で言い負かして安値で買い叩いた。

 

これをどうするかというと、中のパーツは香霖堂に置いてケースだけ持って帰り重しを入れて射的の棚に置いたのだ。店頭に「外界より取り寄せた最新のトイ」とでかでかと看板を置いた。

 

物珍しさに挑戦する客も多く、お小遣いを使い果たした子供が何人も泣いていたらしい。そこに命蓮寺の聖さんがやってきて900円で射的銃を一度に3つ借り、一発は射的台の最もバランスが悪く傷んでいる所を狙撃。射撃台はぐらりと揺れ、プラモデルのケースがわずかに揺れた所を両手に持ち構えた射的銃でケースの隅を同時に狙撃して落としてしまった。

 

ケースに入れた重しも、あまりに重くし過ぎれば怪しまれる。なのでバレないように重すぎないように配慮したつもりだったが、それによって見事に撃ち落されてしまった。これは今までなけなしの小遣いで少しずつケースをずらした子供たちの涙と、自信満々でケースの位置を直したりしなかったにとりさんの油断と、それらを利用してピンポイントショットを行った聖さんの正確な射撃によるものだった。

 

ありえない事態に呆然となるにとりさんと、プラモデルケースを拾い上げ中の砂入りのポリ袋を取り出す聖さん。お金は返金となり、1週間のボランティア活動に協力する事になってしまった。

 

嬉々としてインタビューする射命丸さんに対し「金に困ってやった。貧困にあえぐ技術者を出さない世の中になる事を願ってやまない」などと供述していたとの事。私に対して「次はもっと上手くやるつもりだ」と言っていたので反省はしていない模様。

 

でも…にとりさんのそういう所大好きです。

 

「球磨さん…今の関心する所じゃないですよ…」

 

さとりさんが呆れている。

 

「ひとり!にとり!!さとり!!!そして私はこいし!!ヒャッハー!!」

 

知らない人が隣の部屋から乱暴にドアを開きながら現れた。

 

「今のは上手かった。さすがねこいし」

 

「お姉ちゃん!ブルジョワジーに感化された資本主義の犬を見つけるTRPGもう飽きちゃったよ!政治将校も殆どスパイに見えてくるんだあのゲーム!他に遊ぶゲームはない!?」

 

「え…何そのTRPG…お姉ちゃん聞いた事ないよ??」

 

「今やユーラシア大陸は我が手中…。ユーラシア大陸をまたぐ巨人と化したこいしちゃんの風刺画とかでないかなぁ。やっぱりもうちょっと遊ぶね!今月はオルグ強化月間だー!」

 

そう言いながら去っていった。何だったんだろう…。

 

「ああ…ここ最近大人しくて放浪しないと思ってたら、良く分からないベクトルで妹が離れていく…。お願いだからどこもいかないで…」

 

こうしてさとりさんは不眠症になっていくんだろうか。そしてこいしさんは一体何を話していたんだろうか。頭を押さえながらフラフラしているさとりさんは咳ばらいをする。

 

「と、とにかくね…条件が揃ったらスポンサーにはなってあげます。ただし、将来性、有用性、信頼性の3つを揃えてください。また、角が立つような言動は控え長い物には巻かれてください。自身の武器を生かして顧客を確保して死守してください」

 

「わ、分かりました。今後の方向性について考えると同時に、人間の里で私達の作りたいものと欲しい物が合致してる人物がいないか探したりしてみようと思います」

 

さとりさんのデスクに電話がかかってきた。地霊温泉での鬼に関するトラブルはまだ対処に追われてるらしい。これ以上の長居はあまり良くないと思ってその場を後にしようとした所、電話をしながら私の方に何かメモ用紙を渡してきた。

 

それを受け取ると、私は会釈をして霊夢さんと一緒に地霊温泉事務所を出た。

 

とりあえずこれからやる事は決まった。さとりさんから受け取ったメモ用紙の内容は、メールアドレスらしき文字列と「またお願いします」との言葉だけだった。とはいえ、私は携帯電話を持っていないからなぁ…。

 

まずは途中経過を報告しににとりさんの店に向かった。

 

 

 

 

店の中ではにとりさんと射命丸さんが何やら話をしている。霊夢さんは射命丸さんにお札を投げた。やはり回避する。

 

「何するんです」

 

「鴉天狗を見るとつい投げてしまうのよね」

 

「気持ちはわかるぞ人間」

 

「あまり虐めるとなきますよ?」

 

「泣けば?」

 

「カーwwwwカーwwwwwwアホーアホーwwwwwガアッガアッwwwwww」

 

霊夢さんはお札を複数投げる。射命丸さんはものともせず回避する。トドメの大幣をも回避してみせた。決め顔をしていると、後ろから帰って来た大幣に後頭部をぶつけて倒れる。にとりさんと霊夢さんはハイタッチを決めた。

 

射命丸さんは起き上がると、急に草むらに行って雑草を抜きだした。ショックだったんだろうか。

 

私は早速と旧地獄で得た事とこからについてにとりさんに報告した。時には良くうなずき、時には苦い顔をしていた。霊夢さんは丁半で儲けた事やお酒の話もしている。鬼を撃退したのはまるでついでのように話していた。

 

草むらから戻ってきた射命丸さんは気配を消しながら霊夢さんとにとりさんの背後に回りヌスビトハギ、通称ひっつき虫の雑草の果実を2人につけていた。さすが射命丸さん、転んでもただでは起き上がらない。好きです。結婚してください。

 




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