最近の推しと言えばやっぱり射命丸さんですね。私も射命丸さんみたいな人になりたいです。にとりさんも射命丸さんが推しだと言ってました。これは完全にブームが来てますね。間違いない。困っちゃいますねー。
…これは夢の中か。これはチルノの夢だ。今日は夢を見た様だ。プライバシー上、あまり夢を覗く良くないが私の体に流れる半分の血はそういう妖怪なので、力を蓄える上ではやむを得ない。
さて、チルノはどんな夢を見ているかな…。
遠くを見ると、何やら巨大ロボットが2体戦っている。
「チルノ!増え過ぎた人間の欲望を、幻想郷は抱えきれはしない!我々が共生するためには人類を淘汰せねばならんという事が何故分からない!」
「神にでもなったつもりか、レティ!命の選別なんて間違ってる!」
「ならばどうする!私を斬ってそれで終わりか!」
ビームソードで凌ぎを削る戦いが繰り広げられる。ガチョイーン!キィン!カァン!ブッピガァン!!
チルノの搭乗機が宇宙に漂う小さな岩陰に入る。レティは一瞬戸惑ったようだったが、すぐに出てきた陰に切りつける。しかしそれは壊れて宇宙を漂う壊れたロボットだった。
「デコイか!」
「もらった!」
「こざかしい真似を!」
「ちぃっ!」
激しい応酬、ついにチルノの機体の左腕がレティのビーム射撃に破壊されてしまう。
「これだけ言い聞かせてもまだわからないのか!大人になるんだよ、チルノ!」
「言いなりになるだけが大人なものかよ!!」
チルノの機体からキラキラと光るものが放出される。
「この光…粉塵の反射光?しまった、これは…」
レティの機体の操作が受け付けなくなる。チルノの搭乗機の腹部のコクピットが開いた。
「レティ、握り拳じゃ手も取り合えない。こんなの、虚しいだけだ!そんな事あんただって…」
その時、極太のレーザーが機体ごとチルノを照射した。
「チルノ!」
割と見入ってしまった。続きが気になるけど大抵の夢はちゃんとキリの良い所では終わらないし、充分に力はもらった。そろそろ出よう。
「あははは!人間なんかに肩入れするからこうなるんだ!姿形は似ていても、中身はまるで大違い!あはははは!」
チルノの声がレティの通信から聞こえる。あのビームを照射した機体の搭乗者もチルノだったらしい。そのチルノ、私の作ったプロトチルノじゃないよね?
さて、チルノの夢を抜け出した。と思えばどうやら射命丸さんも夢を見ているらしい。ちょっとだけ覗いて戻ろう。あまり下手な真似はできないだろうから。だからちょっとだけ…。
私はそう思いながらそろりそろりと夢の中に侵入する。
夢の中では、ツインテールの少女が射命丸さんを縛り上げていた。
「うぐぅぅ、きつく縛り上げられてしまいました…。幻想郷随一のスリスリしたくなる美脚を持ち、清く正しい可憐で美少女な新聞記者のこの射命丸、何たる不覚!」
「くくく…お前の事、前から邪魔だと思っていたのさ。その美貌と貴様の新聞はな!」
「やめてください…私の美貌に罪はありません!」
「くくく、今から貴様のあられもない姿を写真で撮ってやる!そして文々。新聞で発行してやるのさ!」
「うわーっ!自分の新聞の一面に私の写真がでかでかと!脅迫され、勝手に発行されるとは!これが幻想郷随一の美貌を持ってしまった私の美貌ゆえの宿命だというのか!なんて可哀そうな射命丸!」
「くくく…縄をほどいてやったぞ、さあ猫耳とスク水に着替えろ!」
「うわーっ!脅迫されていて命に危険を感じるため縄をほどかれてなお命令に従わざるを得ない!」
「次はセーラー服とブルマだ!ふははは!」
「ああーっ!こんなに屈辱的な事はありません!」
「次はメイド服!」
「ああーっ!」
胃もたれしそう。私は静かに射命丸さんの夢の中を去った。
私は目を覚ました。ガスを捻って火をつけてお湯を沸かす。朝はコーヒーに限る。
「うぇひひひ、姫海棠さんダメですよそんな、んひひひ、のほほほ」
射命丸さんはまだ夢を見てる様だ。それにしてもどんな笑い方だ。私はお湯が沸くまでの間にチルノのカメラを掴んで射命丸さんの元へ向かう。
そして掛け布団を退け射命丸さんのスカートを捲ってパンツの写真を3枚撮り、3枚とも射命丸さんに送った。そしてスカートを戻し、掛け布団も戻した。
お湯も沸いたのでカップに注ぐ。
ふと覗いた窓に大妖精さんがいた。
「あ、おはようございます。お早いですね」
「おはよう球磨さん。生き甲斐だから」
「今日もコーヒーはいらないですか?」
「うーん…せっかくなのでいただこうかな」
チルノが起きるまでのわずかな間、しばらく一緒にコーヒータイムを過ごした。大妖精さんは小説を書いているらしい。一度読んでみたいと思ったが、読まない方がいいと言われた。
あの口ぶり、まるで私が一度は大妖精さんの小説を読んだ事があるかの様だったがもちろんそんな記憶はない。はて…。
チルノが起きる少し前、やはり大妖精さんは家に帰って行った。今更どうして起きるタイミングが分かるのかとか聞かないが、あの正確さいつ見てもは凄い。
チルノはぱちりと目を開けるとボーッとした顔でこちらを見る。
「ごめん、水もらっていいかな」
「いいよ」
水を注いでチルノに渡す。携帯で時計を確認すると、またベッドで寝た。二度寝の場合は大妖精さんは来るんだろうか。
射命丸さんはまだ起きる様子がない。電話がかかってきた。にとりさんからだった。集合時間を9時ごろにして欲しいとの事だった。電話を切って椅子に座る。
暇だしチルノからゲーム借りようかなぁ。
「うーん…むにゃむにゃ。次の東方の人気投票、射命丸に清き1票をよろしくお願いします」
「起きてるでしょ射命丸さん」
「ぐーぐー」
「鴉天狗が狸寝入りとはこれいかに」
ガタン!音がして驚いた。振り返るとチルノがベッドから落ちている。
「チルノ、大丈夫?」
「大丈夫。…そうだった、そう言えば今日は出かけるんだった」
そう言いながら鏡の前で大雑把に身嗜みを整えて準備をする。
「今日は寺子屋は休みじゃなかった?」
「友達と皆で遊びに行く用事があるんだ」
そう言いながら携帯とカメラを持った。カメラのデータ整理しようとしたのか、カメラを起動して写真を眺めている。例の写真が真っ先に出た様だ。チルノは私の顔を見ると射命丸さんを指差した。チルノはうなずくと射命丸の寝顔を撮って射命丸に送った様だ。
そして出かけて行った。割と朝早くから集合するんだなぁ、そう思いながらチルノが寝ていたベッドで横になる。
段々と私も眠くなって来た。でもここで眠ると集合時間に間に合わないかもしれない。でもこの耐えがたい眠気をいかんすべき。
「おはようございます、球磨さん」
「おはようございます、射命丸さん」
射命丸さんが起きた様だ。起き上がり目を擦っている。それからコップに水を注いで飲んだ。チルノがいない事に気付いた様だったが、特に触れる事もなくまたソファに寝転がった。
そして携帯電話を取り出す。
「あれ、射命丸さん携帯電話持ってるんですか?」
「持っておく様に言われたんですよ。私はあまり好きじゃないんですけどね、何で電話に出ないんだとか言われたら面倒じゃないですか」
それはまた難儀な。外の世界ではスマホが普及していた。音楽を聞いたり、動画を見たり。SNSをやったり多くの事をあれ1つでできる便利なアイテムと化していたが羨ましいと思った事はなかった。
友達がそばにいるのに、皆取り憑かれた様に画面ばかり見ている。画面に映し出された空を綺麗だと言いながら、見上げた空の色さえ知らない。
生活を豊かにすると言うよりは依存すると言う方が的確な気がした。だから私も射命丸さんの気持ちは少し分かる気がする。
「あれ、私のパンツの写真が送られて来てますね。この型番…チルノからですか」
「あ、それ撮影して送ったの私です。寝顔はチルノですが」
「ロケットペンダントにして2人に売り付けますよ?」
「パンツは2枚目、寝顔は1枚目でお願いします」
「冗談ですって。何まじめに回答してるんですか。怖っ」
何やら嫌悪感を向けられてしまった。
まだ集合時間には早いけど、特にやる事もないので2人で人里に向かった。