僕のヒーローアカデミア:Be ULTRA 作:マーベルチョコ
アニメやコミックなどで度々見られる超常現象が現実となった世界。
今ではその超常現象の力を『個性』と名付けられ、社会の一部となった。
そんな社会でも今最も脚光を浴びている職業と言えば『ヒーロー』。
個性を用いて悪を倒し、人々を助ける誰もが憧れる職業である。
○
どこかの山奥に存在している研究所から突然爆発が起こり、炎に包まれる。
何人かが研究所から出て来て避難する中、1人が研究所を出入りして職員助けている。
その人物は全身を赤と銀でカラーリングされて胸の中心に青い光を光らせる機械のスーツを着た男性で光の残像を残す速さで助け出している。
全員を助け出したスーツの男は1組の男女に近づく。
男性は白衣を来て博識そうな男性で足を怪我をして血が流れている。
その男性が必死に手当てをしているのは腹から血を流している女性で顔色が悪く呼吸も荒い。
「ラフケル!ヒカリの様子は!?」
スーツの男は同じく機械のマスク越しに自身の妻“ヒカリ”の容態を診せていた眼鏡をかけた博識そうな男性“ラフケル”に切羽詰まった様子で聞く。
「今は無事だがこのままじゃ危ない!急いで病院に運ばないと!」
ラフケルも怪我しているがヒカリの容態を必死に診ていた。
するとその男性が何かを気づいた様子で周りを見る。
「ウルトラマン!子供はどうした!?」
機械のスーツを着た男性“ウルトラマン”は悔しそうに叫ぶ。
「見当たらないんだ!子供部屋にもいなかった!僕の感覚でも見つからない!」
「じゃあ、どこに…っ!?」
言葉を続けようとした瞬間研究所からまた大きな爆発が起こり、避難した職員、ウルトラマン達を爆風で包み込む。
すると炎が激しくなる研究所の中からウルトラマンのスーツとよく似ているが黒と血のような赤でカラーリングされた禍々しいスーツを着た男が出てくる。
「バアルッ!!!」
『ウルトラマン!そんなに怒りを露わにしてどうしたんだ?』
黒いスーツの男、バアルは怒りを滲ませるウルトラマンを見て嬉しそうにしながら、挑発するように声をかけた。
「何故ここを襲う!?」
『そんな知れたことを……』
バアルは悪魔の様に尖った指をウルトラマンに向ける。
『お前がいるからだ。
そう言って愉快そうに笑うバアルにウルトラマンは更に怒りが募る。
それに気づいたバアルは更に追い討ちをかける。
『お前がいつもより怒っているのは研究所を破壊されたからか?妻を傷付けられたからか?それとも……』
バアルは片手をウルトラマンに見せつける様に挙げた。
『子供を拐われたからか?』
その手には傷つき、気絶している幼い子供が握られていた。
「……っ!!今すぐ放せ!!!」
『ふん、ほらよ』
バアルは少年をウルトラマンに向かって放り投げ、素直に解放した。
ウルトラマンは子供に衝撃を与えないように優しく抱き止めるとラフケルのところまで退がり、ヒカリの側に寝かせる。
「この子を頼む」
「待て、今の君の体じゃバアルに勝てない。オールマイトには救援を頼んだ。彼が来るまで戦うな」
ラフケルの提案にウルトラマンは首を横に振って拒否する。
「それまで奴が何もしないという確証がない。それにまだ1人助けていない」
「待て!ウルトラマン!
ラフケルはウルトラマンの本名を叫んで止めようとするがウルトラマンはバアルと対峙しようとする。
すると気絶していた子供が僅かに気を取り戻し、ウルトラマンに手を伸ばす。
「と…と、ぉさ……ん」
息子が伸ばした手を優しくしっかりと握り、マスク越しに慈愛の目を向ける。
「
手を離し、ウルトラマンはバアルと対峙する。
「もう1人はどこにやった?」
『もう1人?俺は知らんなぁ。それよりもだ!!決着を付けるぞ、ウルトラマン!!俺たちの運命にッッ!!』
両手に紫に光る双剣を握り構えるバアルとウルトラマン。
一瞬の静寂が過ぎると両者は一斉に飛び出し、互いの武器と拳をぶつける。
その瞬間、凄まじい衝撃波と光が辺りを包み込んだ。
○
黒煙が立ち込める研究所の周りには多くの警察とヒーローが駆け付けており、事後処理に追われていた。
救急車で手当てを受けているラフケルの側にオールマイトが近づく。
「ラフケル、申し訳なかった。もっと早く駆け付けていれば……」
「向かう途中で敵と戦闘があったんだろう?……その姿を見ればわかる」
オールマイトの体にはいくつかの傷が付いており、戦って救援に遅れたのはわかった。
ラフケルはウルトラマンとバアルが戦った跡に目を向ける。
木々は薙ぎ倒され、山肌が見え所もあった。
更にはいくつかの山が大きく抉れている。
激しい戦いがあったのは誰の目から見ても明らかだった。
「ウルトラマン……明星の行方は?」
「わからない。最後の一撃でバアルごと消えた」
オールマイトの質問にラフケルは気落ちしたように言う。
ウルトラマンは最後の一撃をバアルに向かって放った時に光に包まれバアルと共に消えてしまった。
行方が分からない親友を心配するラフケルに更に追い討ちをかけるような知らせが入る。
「あの、ラフケル・エミューさん。病院から知らせが……明銀 光さんがお亡くなりになりました。お悔やみ申し上げます」
「そんな……」
光の死に深い悲しみに落とされるが、すぐに明星と光の子供である新星の容態を聞き出す。
「息子は!?子供の方はどうした!?」
「お子さんは現在容態が安定して、安静にしております」
「………僕の子供じゃない。親友の子供だ」
ラフケルは悲しみにくれながらも、救えなかった親友達のために自分がするべき事を決心した。
○
ウルトラマン失踪から6年後。
静岡県のとある町で時刻は夕方になっており、買い物している主婦や学校帰りの学生が多く見られる時間帯の中、その人混みを駆け抜ける1人とそれを追いかける一団の姿があった。
「待てやコラァ!」
周りの人達が何事かと走り回る一団に目を向ける。
追いかける一団は制服を激しく着崩した不良達で逃げる1人に向かって叫ぶ。
「しつこいって!!」
追いかけられている少年は不良達に向かって叫ぶが不良達は気にした様子はなく、必死に少年を追いかける。
少年は人混みを避けながら追いつかれないように逃げる。
「おい!アイツ滅茶苦茶足早いぞ!」
「大丈夫だ!このまま行けば……!」
1人の不良が逃げられると思ったが先頭を走る不良が心配ないと言うと、少年の前に不良の仲間達が立ち塞がる。
「げっ、やばっ…!」
少年は咄嗟に横の路地に入るとその先は行き止まりだった。
しまったと思う少年の背後に不良達が息を切らせながら追いつく。
「やっと……追いついたぞ、コラ……はぁ、はぁ」
「し、しつこいなアンタ等も。俺が何をしたって言うんだよ」
「ふざけんな!お前のせいで金取り損ねたじゃねぇかっ!!」
不良達は少年が通う学校や周りの他校の生徒からカツアゲする常習犯で偶々それを見かけた少年が止めに入り阻止したのだが、邪魔された不良たちは少年に怒り追いかけ回していたのだ。
「それはアンタ達が悪い事をしようとしたから俺が止めたんだ」
「なんだ?善人ぶりやがって、ヒーローかっての」
不良の1人が嘲笑い、仲間達もそれにつられて笑い出す。
笑われた少年はそれに臆する事なく一歩前に出る。
「そうだよ、俺はヒーローになりたいんだ」
一切怯まずに見据えてくる少年に不良達は僅かにたじろぐ。
それに気づいた不良達のリーダーが仲間達に叱咤する。
「び、ビビってんじゃねぇーぞ!相手は中坊1人だろうが!囲っちまえばボコれる!!」
叱咤され不良達は少年に近づいていく。
少年は拳を構えて、不良達を睨みつける。
その姿は堂に入っており、不良達は僅かにたじろぐ。
「戦っても良いけど覚悟しろよ」
「ぅ、ぅうおおぉぉぉっ!!」
その言葉に不良達は少年から強者の雰囲気を感じ取るがリーダーが勇気を出して、殴り掛かる。
迫り来る拳を少年は完全に見据え……
「ぐへっ!?」
「え?」
あっさりと殴られて地面に大の字で倒れた。
「弱っ!?あんなに息巻いていたのに!?」
「べ、別に喧嘩が強いとは言ってないし……」
負け惜しみを言う少年に不良達は一斉に襲いかかる。
「ビビらせやがって!」
「何がヒーローになるだ!弱くちゃなれねぇだろ!」
「何だとおま……いてっ!?ちょ、痛いって!」
執拗に少年を蹴りつける不良達に大声が聞こえてきた。
「ヒーロー!こっちで人が襲われてる!早く来て!」
「っ!?ヤバイ!逃げるぞ!」
ヒーローが駆けつけてくると知ると不良達は一斉に少年を置いて逃げ出した。
少年は不良がいなくなったのを確認すると立ち上がって、少し気落ちした様子で体についた汚れをはたき落とす。
「はぁ……」
「まーた厄介事に首を突っ込んだの?」
落ち込む少年に少女が話しかけてくる。
「キョーカ、ありがとう。助かった」
「どういたしまして」
少年を助けたのは耳からプラグが伸びる個性を持つ少女、耳郎 響香。
「で、今回は何したの?シンセー」
そう言ってじろうは少年の名前を呼ぶ。
少年の名前は
6年前の被害にあった少年だった。
新星は困ったように頭をかいて説明する。
「ほら、最近この町の学校がカツアゲの被害にあっているって噂になっていただろう?たまたまその現場に居合わせてさ」
「それで止めに入ったわけね」
耳郎は新星の頬に汚れが付いていることに気づき、ハンカチを取り出して拭いてあげる。
「体が頑丈なのは知っているけど、こっちも心配なんだよ」
「ごめん、でも怪我はしていないさ」
新星の制服は暴力を振るわれたせいで傷ついてはいるが新星自体に傷はない。
「それでもだよ。アンタ、昔から無茶するんだから」
「ははっ、ごめん」
耳郎の忠告に新星は困ったように苦笑いする。
汚れを拭き終わり大通りに戻ろうとした時、新星が耳郎を呼び止めた。
「ハンカチ洗って返すよ」
「いいって、幼馴染なんだし遠慮しなくてさ」
2人は幼馴染で家が近かったが、6年前の事件で新星は両親の親友であったラフケルに引き取られ育てられており隣同士ではなくなってしまったが親交はそれ以来もずっとあった。
2人は大通りに出て帰路につきながら、今後の進路について話し合う。
「ウチらも今年で3年生じゃん。進路とか決めた?」
「俺は雄英高校を目指すよ。昔からの夢だ」
「そっか、昔から父さんみたいなヒーローになるんだって言ってたしね」
「うん、まぁ……」
新星は昔のことを思い出し、少し感慨深そうな表情になる。
「キョーカはどうするんだっけ?音楽の方面を目指すのか?」
「……ウチも雄英を目指す」
「え?」
「ウチもヒーローを目指すって言ったの」
意外そうな表情をする新星に耳郎は聞き返す。
「どうしたの?そんな顔して」
「いや、てっきり音楽関係を目指すと思ってたから」
「まぁ、そっちを目指してるもよかったんだけどね……好きなことで人を救けたいって思ったから。……それにシンセーのこともあるし」
「……………」
「どうしたの?黙っちゃって」
「え!?い、いや!何でもない!あっ、そういえばこの間頼まれていたヘッドホンの修理!終わったよ!」
「う、うん……ありがとう」
耳郎の最後の言葉を個性のせいで聞き取れてしまった新星は恥ずかしさで顔を僅かに赤くして話題を変えた。
その後は新発売するCDのことや他愛もない話をして、耳郎の家に着いた。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
耳郎を見送り、新星も帰路に着こうと踵を返すが歩こうとせず立ち止まる。
「ふぅ……帰るか」
そう言って新星はその場でしゃがみ込んでく
○
耳郎が家に入ると耳郎の母が出迎えてくれた。
「お帰りなさい。今日は新星君と一緒だったの?」
「ただいま。今日はって何?」
嬉しそうに聞いてくる母親を耳郎はジト目で睨むが母親は楽しそうにクスクスと笑った。
「だって響香、新星君と一緒に帰ってくる日はいつもより楽しそうなんだもの」
そう言われた耳郎は段々と顔を赤くして慌て出す。
「ちょっ!何言ってんの!?そんな訳ないじゃん」
顔を赤くしながらそっぽを向く娘に対して、いつ素直になるのかとキュンキュンしながら期待して、ある事に気付いた。
「少し聞こえたのだけれど、新星くんはここまで来たの?」
「そうだけど」
「でも、新星君のお家ってここから真逆の方向じゃない。相当距離があるわ」
新星の家は学校を挟んで耳郎の家とは真逆の方向で、かなりの距離がある。
勿論耳郎もそのことは知っている。
「それなら問題ないよ。その方が
「?」
耳郎の言葉に母親は首を傾げたが、耳郎は振り返って玄関越しに、帰ったであろう新星の家の方向を見た。
○
夜の街を飛び跳ねるように移動する影がチラつく。
一飛び一飛びが力強く、踏み込まれた地面にはヒビが入る。
ビルからビルへと飛び移る影の前に一際高い建物が現れ、ぶつかりそうになるがビルの出っ張りに指を掛けて自分の体を引っ張りあげるとビルの屋上まで登った。
足を手摺に引っ掛けて街全体を見渡すのは耳郎と別れた新星。
家までの道をビルを飛び越えて来たのだ。
ビルからビルへと軽々跳躍する脚力、僅かな出っ張りを引っ掛けて体を屋上までなてた引っ張りあげる腕力。
その身体能力は正しく超人。
明銀 新星
個性:超人
これは