おジャ魔女どれみ パニックマジック   作:レイガース

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春美は、マジカルシーズンにより、黒い子ライオンから出てきた黒い雲を種にし、地面に落とす。種は弾いて、種子を分散して、悲しみの芽を生やす。

「春風どれみさん。まずはあなたが最初のターゲット。みんな、他の芽と土はお任せするから」

他の5人のシーズン見習いは頷く。


第5話 : どれみ倒れる? ハナちゃんのただいま!

この何日か、春美やリンゴ、レイラの動きがおとなしかった。どれみたち3人は穏やかな日々を過ごせて、楽しい毎日を送っていたが、心の中では不安が少しずつ溜まっていた。

 

そんな時、和やかなMAHO堂に、ぽっぷが大慌てで飛び込んできた。

 

「はぁ、はぁ。何でこうなのる〜」

 

ぽっぷは椅子に座って、溜め息をつく。

 

「ぽっぷちゃんまでどうしたの?」

 

「ほぇ?」

 

ぽっぷはみんなを見る。

 

「まで、ってどういうこと?」

 

「ぽっぷこそ、どうしたの?」

 

ぽっぷはまた溜め息をつき、顔を上げる。

 

「実は、新学期になって、新しい転校生が来たんだ。北風シャープっていって、あたしと同じくらいしっかりしててさ。でも、その子が来てから、ソナチネとプリムラの元園児たちの中がどんどん悪くなってるの」

 

どれみは自分たちのクラスにも、北風というクラスメイトがいて大変だよと頷く。

 

「その子が原因なの?」

 

とおんぷが尋ねるが、ぽっぷは首を横に振って否定する。

 

「すっごく仲良いよ。転校生してきてから、教室に綺麗なお花持ってきてくれたし、みんなにも優しくて。凄いな〜、って思うほどだもん」

 

いまいち話が見えてこない。

 

「じゃあ、どうして慌ててたのさ?」

 

どれみは再び尋ねる。

 

「そうだった。ハナちゃんから手紙届いてさ。お姉ちゃん、あたしの見習いタップ持ってるんでしょ?はい!」

 

どれみはすっかり忘れていたようで、2階に走る。どうやら、ハナちゃんの部屋だった場所に仕舞いっぱなしだったようで。

 

「ごめん、ごめん。ホント、すっかり忘れてた」

 

もう半月程度経っているというのに、いつまでもタップが戻ってこないぽっぷはかなりムズムズしてきていた。

 

「あ〜、やっぱりどれみママが持ってたのか〜」

 

MAHO堂の入り口から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

どれみたち5人は目を輝かせ、その入り口に向かう。

 

「ハナちゃん、おかえり〜!」

 

どれみはハナちゃんに抱きつき、他の4人も集まる。

 

「おお、やっと来たか」

 

「おかえりなさい、ハナちゃん!」

 

マジョリカとララは連絡をもらっていたようで、奥の部屋から出てきた。

 

「あ、そうだ、そうだ。おーい、パオちゃ〜ん!」

 

ハナちゃんの後ろで、以前の小さな姿のまま走ってきた子像がいた。ハナちゃんはパオちゃんを抱きかかえ、みんなに見せようとするが、ハナちゃんの体が光り、ハナちゃんは園児の姿に戻ってしまった。

 

「あれ、どういうこと、パオちゃん?」

 

ハナちゃんは服からやっと出て、魔法で服を着替える。

 

「大きくなるには、魔力が足りないパオ。さっきまで、公園で遊んでいたパオ。だから、大きなままでは時間制限があるパオ。この一ヶ月で水晶玉もちょっと大きくなったパオけど、まだ6時間ほどで元に戻るパオ。魔力が使えるようになるには、明日にならないと駄目パオ」

 

「そーゆー、ことだって」

 

まだ赤ちゃん言葉だが、魔女界で別れた後からだいぶ言葉の調子が良くなっている。成長の証が見て取れる。

 

「じゃ、ハナちゃん、パオちゃん。お食事しーましょ」

 

ももこはハナちゃんを抱きかかえる。あたしも〜、とパオちゃんを抱きかかえるぽっぷも、今日は午後は学校が休みらしい。

 

ももこの特製シフォンケーキを食べながら、どれみたちは片言幼児言葉のハナちゃんの通訳のパオちゃんから、園児姿に戻った原因を詳しく聞く。

 

「ハムハム。なるほどね〜。パオちゃんと数時間遊んでいたら、気付いてMAHO堂に着いたらこうなちゃったわけね?」

 

どれみたちはハナちゃんを見る。ハナちゃんは頭を下げて、

 

「ごめん、ちゃい」

 

おんぷやももこはにこりと笑い、

 

「済んじゃったことはしょうがないじゃん」

 

「そうね。ハナちゃんはいつまでここにいられるの?」

 

おんぷが尋ねる。

 

「明日の夜までパオ。今日は久しぶりの休みで、ハナたんと会いに来れたんだパオ」

 

とりあえず、今日は泊まらせるしかないな、とマジョリカとララは頷く。ハナちゃんは大喜び。

 

どれみとぽっぷは、ハナちゃんとパオちゃんと遊びながらお花や鉢植えの手入れをしたりした。

 

ハナちゃんにとって、フラワーガーデンは幼児以来だが、意識してフラワーガーデンが見るのは初めてのことだった。

 

「ハナちゃん、これがバラの種なんだって!」

 

「おー!お花は見るは好きだけど、種は初めて!」

 

幼児姿のハナちゃんは目を輝かせながら、ぽっぷの見せた種を見る。

 

「ぽっぷ、ハナちゃん、遊んでないの!」

 

ぶー、とハナちゃんは不満を言う。

 

どれみたちが帰る時間になると、ハナちゃんは疲れたのか寝てしまったらしい。

 

「ハナちゃんはいいよね。学校行かなくて」

 

「そうかな〜、まだ魔女学校行く歳やないし、幼稚園は行ってるんちゃうの?」

 

確かに。まだ4歳になったばかりだ。人間界の勉強はできても、魔女界の勉強はまだまだだ。

 

「何か、目眩がしてきたよ。今日は相手のMAHO堂の動きもないし、ハナちゃんといっぱい遊んで疲れたのかな」

 

「そうね。また明日、ハナちゃんに会いに行きましょう」

 

どれみの疲れた顔を見て、おんぷはフラワーガーデンの手伝いと並行に、ハナちゃんに会うのを楽しみにしてる。

 

フラワーガーデン・シーズンMAHO堂では、大きな茨の樹が中央に咲いていた。茨の小枝からはたくさんの芽が咲き、かつてのマジョトゥルビヨンの茨を思い出す。

 

「まだ足りぬ。魔女界にはない、悲しみや怒り、憎しみの心を吸収し、この茨は大きくなる。春美よ、もっともっと人間にマイナスの心を増幅させるのだ!」

 

マジョスプリングは、春美に命じる。

 

「はい。スプリング様。既に、人間界のあちこちに茨の鉢が花を咲かすことでしょう」

 

「あやつのほうはどうなっている?」

 

マジョスプリングの期待の星を意味していた。

 

「既に、事件が起きる頃合いかと。今頃はまだ、あの魔女見習いたちは気付いてもいないと思いますが」

 

ちょうど、花になった魔法玉の木から新しい小さな魔法玉が現れた。

 

「お前にこれを渡しておく。女王様がお前に渡してくれと頼まれた」

 

マジョスプリングは、何かの形をしたカードを春美に渡す。

 

「ついに出来たのですね、あの魔法カードが」

 

春美はカードを受け取り、計画を実行に移す時が来た。

 

「来月、地獄魔女界に出向く。見習いたちを集めて、そのカードを扱えるようにしておきなさい」

 

ええ、と春美はカードを仕舞う。スプリングは奥の部屋に消える。

 

春美は机の中から、黒いパソコンを出し、ある者を呼び出す。

 

「ヤミジイ、ついに来たわよ」

 

『オヤジーデに復讐する時がやってきたか』

 

「いいえ、あの占いカードデッキ、出してちょうだい」

 

パソコンの中の黒いオヤジはズッコケる。

 

「分かったわい。相変わらず、使い方が荒いの」

 

黒オヤジはタロットカードデッキを画面に出す。春美は見習い服に着替え、画面のカードデッキを取り出す。

 

「まずは、春風どれみさん、あなたが最初のターゲットよ」

 

翌日、どれみたちはMAHO堂を訪れた。ハナちゃんはまだ幼児姿のままだったが、簡単に大人姿になれないらしい。

 

ぽっぷも今日は休みで、何も予定がないのでお店を手伝うことにしていた。

 

お昼過ぎになり、お店が客が少なくなり静まりかえる頃、元美空小のメンバーのまりな、まさる、新SOS、トヨケンがきた。

 

幼児姿のハナちゃんはそのメンバーに舌ったらずの言葉で挨拶する。

 

ハナちゃんには小6時代に知り合っているが、幼児姿のハナちゃんでは話が違うので、まりなやまさるたちはハナちゃんの幼児姿に見惚れた。

 

「またフラワーガーデンやってるのね。これだと、あのMAHO堂にも負けないね」

 

美空小メンバーはこちらのフラワーガーデンを応援しているが、近頃はそれが素で美空中、カレン女学院などで対立が起きている。

 

フラワーガーデンの営業時間が終わり、夕方の時刻になっていた。客や美空小メンバーはもう帰って、どれみたちしかいない。そんな中、1人の女性が入ってきた。

 

「じ、女王様?」

 

ゆき先生の姿ではなく、魔女界の女王様の姿でMAHO堂に出向いてきたのだ。

 

「皆さん、まもなく人間界も危なくなる時期が来ています」

 

マジョリカやララも近くに寄る。どれみたちも集まり、詳しく聞こうとした。

 

「どういうことですか?」

 

おんぷが尋ねる。

 

「魔女界以外にも、人間界から通じる他の世界があることはご存知ですね?」

 

「はい!」

 

どれみたちは頷く。

 

「今、他世界各地で多くの選ばれた、皆さんと同じような見習いの人たちが世界のバランスを守るため頑張っています。もちろん、人といっても例えですから人間ではありませんが」

 

でも、どうして人間界も危ないのか。そう、あいこが尋ねる。

 

「人間界にも、不穏な空気が漂ってきているのです。ですから、今日はハナちゃんとパオちゃんを迎えに来たついでに、この話を聞いてもらいたくて来ました」

 

ハナちゃんとパオちゃんは、また週末に来るから安心してとどれみたちに言う。

 

また学校が始まり、どれみ、あいこ、ももこは、学校で流行っているカードゲームを目にする。

 

「最近、ああいうゲーム多いよね。女の子でもやってる子もいるもんね」

 

ももこは教室で、カードゲームをやってる男の子たちを見てそう言った。

 

「なんかな、新しいチャイドルの夏野テンポとおんぷちゃんがそれぞれ主人公になってな、戦うゲームも流行ってんやて」

 

最近世の中、ヘンテコだね。とどれみは言う。その後、朋北先生が入ってきた。

 

「今日のホームルームは、学級委員を決めようと思います。推薦、立候補、どちらでも構いませんので、5時限目のホームルームまでに決めておいてくださいね」

 

出席番号を次に取る朋北先生。そして、数学の授業が始まるまで、休み時間が入った。

 

春美は例のタロットカードを出して、レイラとリンゴに見せる。

 

「おー、タロットカードだ。好きだね、春美ちゃん」

 

リンゴは春美の向かいに座る。

 

「あたい占ってちょ!2人も知ってるけど、最近あんばようて不安おそがいげな」

 

「いいわ、リンゴちゃん。じゃあ、今後の人生を占ってみるわね」

 

3人の会話を聞いて、周りのクラスメイトたちが集まっていく。しかし、元美空小メンバーは近寄らず、まさるはのんびり、かよこや新SOSなどは知らんぷりしている。

 

この休み時間の間、リンゴを含め多くのクラスメイトを占い、個人のことを当てて驚かせていた。休み時間の終わりの鐘が鳴ると、春美はタロットカードを片付け、集まっていたクラスメイトたちはそれぞれの机に戻った。その後も、春美はタロットカードを出して、休み時間という間を縫って占いを披露していた。

 

そして、午前午後ともに授業が終わり、どれみたちはMAHO堂に向かった。

 

同じく、春美やリンゴ、レイラもシーズンMAHO堂に向かい、それぞれのMAHO堂の仕事に取り掛かる。

 

仕事が一段落した後、春美はタロットカードを並べていた。六芒星の形に並べた春美は、目を閉じる。

 

「そろそろ、この舞台も次の段階へいく時ね。終わりよ、春風どれみさん」

 

手には、裁きのカードであるジャッジメントがあった。

 

翌日、学校は車の追突事故や爆弾予告などのせいで、突如休校になり、どれみたちはMAHO堂に集まった。ところが、

 

「私ね、どれみちゃん。アイドル修行するために、MAHO堂を止めることにしたの」

 

おんぷの急な話に、どれみは驚く。

 

「あたしもな。大阪のおじいちゃんが病気になったゆうから、大阪にお父ちゃんと帰ろうと思うねん」

 

「あたしも!ニューヨークのMAHO堂が一時期使わせてもらえるようになったの。それに、ママがフランスの用事で日本を離れるから、ごめんね」

 

あいことももこは謝るように言う。残るはづきも、話しづらそうな顔をしていた。

 

「ごめんなさい、どれみちゃん。私ね、女学院のほうが忙しくなるみたいだから、MAHO堂やどれみちゃんに会えなくなるの」

 

すると、

 

「わしやララも、魔女界に帰らねばならなくなってのう。すまんな、どれみ」

 

どれみはよく分からないまま、みんなと仕事を終え、1人でとぼとぼと家に向かった。家に着くと、家族が忙しそうにしていた。

 

「ああ、どれみ。急ですまんが、北海道に転勤になったんだ。転校の手続きは明日取るから、今はママもぽっぷも荷物も整理だ。どれみ、お前も荷物の整理しておけよ」

 

「嘘!そんな〜」

 

どれみは自分の部屋に行き、ぐったりと倒れる。どれみはタップを取り出すと、タップが消えていくのが分かった。そして、どれみはそのままベッドに倒れ込む。

 

 

「・・みちゃん。・・・ちゃん!どれみちゃん!」

 

MAHO堂で、目覚めないどれみを慌てて起こすあいこの姿。ももこはステーキの匂いを嗅がせるため、焼いて煙をどれみの鼻に向かわせる。おんぷやはづきはマジョリカやララとともに、魔法以外で何とかできないか、魔女界の本を頼りに探っていた。

 

「奴らに間違いないの。標的をどれみに向けおった」

 

マジョリカはシーズン見習いたちにかなり激怒している様子だった。

 

「ええ、学校が始まって、まだ一週間よ。春美って子が何かしたんだわ。話じゃ、タロットカードが怪しいわね」

 

そう、全てはどれみの夢や幻だったのだ。翌日、どれみは学校に、あいこやももこと登校途中、ちょうど校門前で倒れた。朋北先生は心配して、保健室で寝かせたが様子がおかしく、あいこやももこはどれみをMAHO堂に運んだのだ。

 

どれみは登校途中の倒れる直前に、既に夢幻だった世界に落とされ、とても辛く悲しい気持ちになるような世界に閉じ込められ、まるであのマジョトゥルビヨンのような眠りについてしまったのだ。

 

「パオ〜」

 

MAHO堂の外で、聞き覚えのある声がした。扉も開き、大人姿のハナちゃんが現れた。

 

「ハナ、どうしてここに!」

 

「ずっと、水晶玉で見ていたの。そしたら、どれみが倒れて、心配になって!」

 

小さくなっているパオちゃんを抱いて、ハナちゃんはどれみに近寄る。

 

「もしかしたら、あの時みたいに、ハナちゃんとパオちゃんでしか、どれみちゃんを助けられないのかも」

 

はづきはハナちゃんに助けを求める。

 

「行くよ、パオちゃん!どれみママを助けないと!」

 

ハナちゃんの手とパオちゃんの鼻が合わさり、パオちゃんの首からアコーディオンが現れる。ハナちゃんはアコーディオンを弾き、パオちゃんは踊る。どれみから、大きな黒雲が出る。

 

黒雲は小さいミミズのような姿に変形して、散らばる。

 

「同じや、あの時と!みんな、集めるで!」

 

あいこを筆頭に、はづき、おんぷ、ももこが箒を振って、黒ミミズを一つの場所に集める。パオちゃんは黒ミミズ軍団を吸い取り、周りは一段落した。

 

どれみは目を覚ます。

 

どれみの目から涙がこぼれ落ち、ハナちゃんに抱きつく。

 

「もう心配いらないよ、どれみ。みんな、どこにも行かないから」

 

ハナちゃんはどれみの頭を撫でる。どれみは落ち着き、正気に戻る。

 

「あたし、どうしてMAHO堂に?家に帰ったはずなのに・・・」

 

あいこやももこ、マジョリカからそれは夢だと聞かされ、これまでの経緯を説明された。どれみは涙を拭き、笑顔に戻った。どうやら、夢の中で記憶や思い出を改変され、ハナちゃんはMAHO堂に戻っていなかったと分かった。記憶が改変されていて、春美はタロットカードを登校初日に持ってきており、それをどれみに投げたこともあったと聞く。

 

どれみはハナちゃんのほうを向いて、

 

「おかえり、ハナちゃん!」

 

「どれみ、はづき、あいこ、おんぷ、もも。ただいま!」

 

ーシーズンMAHO堂ー地下広間。

 

「まさか、奴らにも動物の子がいたとはな。春美、次から失敗は許されぬぞ!」

 

「はい、マジョスプリング様。サキちゃん、ガオちゃん。ご苦労様」

 

「ママたちの頼みなら、サキちゃん頑張る」

 

「ガオもサキちゃんと一緒なら、お手伝い頑張るガオ!」

 

小さな子ライオンを抱いた謎の少女は満面な顔で笑った。次なる計画は、もう進行していたのだった。

 

【ー第6話に続くーいよいよ子ライオンと謎の少女の正体が明らかにー】

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