彼女は、自分の目的を理解できる分身のような存在を探していた。そんな時、一人の少女を目の当たりにした。直感で感じたのか、彼女はその少女を監視する。
少女は凄い運の持ち主だった。石につまずきそうになると、茂みにまずは助けられる。それはまだ普通だった。
「あー、お財布見っけ!交番、交番!」
少女は裕福な家庭で育っている情報を得ていた彼女だが、監視している中でほとんど金を払っている様子や、お小遣いを貰っている様子を見ない。というより、親に払ってもらうのでもなく、ある意味、ここからが少女の恐ろしいところなのだ。
交番に届けたお金は、既に持ち主は故人で、親戚や家族はいないことが判明し、数日後に少女の家に警察から送られた。その額は一千万にも及ぶ。
そうこうしている中、彼女は色々と幸運を呼ぶ出来事に遭遇。彼女は確信し、少女がいつもの散歩の日、姿を現すことを決めた。
彼女は分かっていた。確かに少女は幸運で裕福な家庭で育っている。けれど、彼女が目指し、幻でもいい。成りたいものがあった。
「お嬢さん、私は魔女よ。見てごらん」
少女は驚く。手には何もなかったはずが、彼女が指を鳴らすと、少女の好きなお菓子が出てきた。
二人が出会ったのは、この時が初めてであった。
マジョスプリングは、地獄の魔女界の女王マジョハーデンに進言する。
「私に案があります。お任せ頂けないでしょうか?」
「いいでしょう。春美ちゃん、サキちゃんたち魔女見習いも手を貸して手伝ってお上げなさい」
翌日の夕方。マジョリンがMAHO堂に馬車で現れ、どれみたちを迎えに来た。代理で女王に就任するマジョトゥルビヨンのため、全ての魔女、魔女見習いが就任式に出席するとのこと。さらに、どれみたち魔女見習いには、別の要件もあるという。
就任式の話は前持ってデラから話しを聞いていたため、ハナちゃん含め、ぽっぷもMAHO堂に来ていた。どれみたちは見習い服に着替え、馬車に乗る。マジョリンは最後に乗ったマジョリカ、ララ、妖精たちを見て、馬車を走らせる。
魔女界に入ると、元老院魔女たちが少し力を取り戻したのか、各地が明るくなってきていた。どれみたちは馬車を降り、マジョトゥルビヨンの待つ謁見の間へと向かう。
「おお、これで揃ったな。皆、これより就任式を執り行う!」
音楽が鳴り、元老院魔女、近衛兵魔女たちは深々と頭を下げる。どれみたちも習い、頭を下げる。
マジョトゥルビヨンが妖精ババを連れ、女王の座に座る。そして、数時間に及ぶ就任式が始まった。
就任式が終わり、城内外でたくさんの屋台や料理が振舞われた。
どれみたちと元老院魔女たちは謁見の間に残り、代理女王のマジョトゥルビヨンとマジョリンの話を聞くことになった。
「マジョリンからの報告で、元老院魔女たちからもたらされた情報を聞き、現在も行方不明になっている4人の元老院魔女の内、1人の名が浮かび上がりました」
マジョトゥルビヨンは、水晶玉を出現させ、映像を真上に映す。
「どうやら、彼女は地獄魔女の1人であり、人間の少女を自分の見習い弟子にしているようです。その名は、春のシーズン魔女マジョスプリング」
「どれみちゃん、もしかして!」
おんぷが気付く。どれみもそれに気付いたか、おんぷを見て頷く。
「その魔女見習いに心当たりがあります」
それを聞き、
「現在、療養中の女王様より聞いています。おそらく、どれみちゃんやおんぷちゃんの推測通りでしょう」
マジョトゥルビヨンは立ち上がり、
「その少女と元老院魔女マジョスプリングは関係あるはずです。どれみちゃんたちは、その少女とどうにか接触して、マジョスプリングの居所を突き止めてくれないでしょうか?」
「分かりました」
どれみはその少女のことを、北風春美だと理解していた。春のシーズン魔法を操る彼女。やはり、これまでのことが少しずつ繋がり始めているのだ。
どれみたちはMAHO堂に帰り、どうして彼女たちが自分たちを目の敵にするのか気になった。さらに、美空市含め、彼女たちに賛同するクラスメイトすら悲しみの雲に捉えようとすること。
「何か、あたしたちの知らないことが原因になっているのかな〜?」
どれみは腕を組んで考える。だが、考える度にどれみの頭が下がり、寝てしまった。それを見たマジョリカはどれみを怒鳴りつける。
「お前はいつもなぜそこで寝るんじゃ〜!」
「そ、そんなに怒鳴らないでも・・・」
しかし、誰も思い当たる節がない。そんな時、MAHO堂におんぷママが訪ねてきた。マジョリカとララは姿を隠す。
「どうしたの、ママ?お仕事の話?」
おんぷママは首を横に振る。それに、おんぷは?マークを出す。
「思い出したのよ。今人気絶頂のチャイドル、夏野テンポのママさんのこと」
どれみたちは思い出す。ハナちゃんは初めて聞く話だったが、おんぷママは昔は人気絶頂とまではいかないが、確かに人気のチャイドルで、階段事故をきっかけに引退をしたらしい。その話をハナちゃんに話す。
「でも、それとどう関係があるの?」
おんぷがおんぷママに尋ねる。
「引退を決意した日、私は当時、日陰のチャイドルだったもう一人の人気チャイドルがいたの。彼女は確か、雪乃ハイジ。その子とは親友のように一緒に遊んだりしたわ」
ー回想ー20年以上前。
おんぷママの当時の名前、桜井くららは、ようやく声が出るようになり、事故のショックからようやく立ち直った頃。仕事以外の日には毎日お見舞いに来てくれた、雪乃ハイジがいた。
「えっ!引退?」
ハイジはくららからその話を聞き、
「駄目よ、そんなの!あなたのファンはどうなるの?チャイドルを誇りに思っていたじゃない!」
けれど、くららは首を横に振る。
「何度も考えたの。でも、ショックの影響があまりに長過ぎたのよ。あの時のことを考える度に私、悪夢にうなされて、もう忘れたいの」
くららの追い詰めたような顔を見て、ハイジは決意した。
「分かったわ。でも、大人になって、もし子供が生まれても、その子を絶対にチャイドルにしなさい。私はあなたの代わりに、あなたの誇りを背負って人気チャイドルになるから。あなたの子と、私の子供と一緒に世界に通用するアイドルを目指しましょう!」
現在ーMAHO堂。
おんぷママは話を続けている。
「あれから、彼女も人気チャイドルからアイドルになって、私のように子供も生まれたわ。会ってはいないけど、噂では色々聞いていたの。私の知っているのは、それくらいよ」
おんぷはなぜそこまで、自分にチャイドルとして色々してくれたのか、ようやく理解できた。
「じゃあ、どうして今まで私の前に現れなかったのかしら?」
今度はおんぷが腕を組む。
「現れなかったのではなく、奴等も魔女見習いじゃ。もしかしたら、同じ時期に魔女見習いになったのかもしれんのう」
どれみはふと思い出したことがあった。
「そう言えば、ハナちゃんが行方不明になった時、魔女見習い試験をやっていた時があったよね?」
「ぽっぷちゃんはその時、3級だったから関係ないし、もしかしたら、あの子たちの誰かだったのかもネ」
ももこはハナちゃん探しに同行していなかったが、推測と勘で答えたようだった。
その頃、北風春美は部屋の中で精神統一していた。
「春風どれみ。私はあなたに何度も道を阻まれた。五年前のあの日も」
どれみが魔女見習いになったあの日、ここから二人の運命が始まっていた。
五年前ーMAHO堂。
「なんじゃこりゃー!」
マジョリカは自分の魔法堂を改装されて、ララの裏切りによってぐったりしていた。
その翌日からどれみたち3人が作った魔法粘土のグッズが売れ出した。
まだ試験も受けてもいない魔女見習いが揃っただけで、これほどの力を発揮するとはマジョスプリングも考えてはいなかった。
それに、北風春美も素質はいいものの、仲間となる魔女見習いはいなく、春美にとって苦い思いをしたのはこれが初めてだったのだ。
「ようやく、親友の彼女を魔女見習いにしたあの時も、私は出遅れた。そう、天王寺龍子ちゃんをせっかく魔女見習いにしたのに」
やっとシーズンMAHO堂の改装が始まるまでに漕ぎ着けた春美と龍子。もう秋の季節になっていた。とりあえず、飛び級で二級にまで上がった二人。だが、人数がやはり足りなく、改装するのに時間がかかりそうだった。
そんな時、美空市盆木地小学校に通っていた春美と龍子のクラスに、マジョスプリングの仲間のマジョサマーの弟子が名古屋からこの小学校に転校してくるという話を聞いた。その弟子はまだ三級を合格したばかりらしい。
「春美ちゃん、ようやくこのMAHO堂も開店できる日が近いわね」
「あの魔女見習いたちに負けるもんですか!来年こそ、私たちの反撃開始よ!」
ここで精神統一を止める春美。部屋の中にあるアルバムが開いている。まだ春美、龍子、レイラの3人がシーズンMAHO堂を開店させた記念写真が張ってあった。
どれみは走っていた。久しぶりの連休で、ハナちゃんと一緒にバス旅行に行けるからだ。
しかし、急に周りが暗くなる。
『全て忘れよ。魔女見習いだったことも、魔女界のことも、友達のことも』
どれみの心に侵入した謎の闇は、どれみの全てを奪った。どれみは倒れ、目には生気が無くなっていた。
ちょうどその頃、ハナちゃんはパオちゃんを連れて、魔女界に繋がる魔法の樹から出てきた。ハナちゃんはどれみの倒れている姿に気付き、急いでみんなに知らせる。
「おそらく、また奴等じゃろう。これは深い悲しみの呪いではない。別の呪いがかけられておる」
どれみは暗い世界を歩いていた。けれど、どれみには何も分からない。
ーシーズンMAHO堂ー黒い魔法樹。
春美は魔法の鏡の泉で、どれみたちのMAHO堂を見ていた。
「もう無駄よ。目覚める頃には、ただの廃人となっているわ」
春美は喜びながらそう言ったが、
「いや、そうとは限らん。以前、飛鳥ももこが操られた際、トゥルビヨンの強力な魔力にも関わらず、魔法を破ったのはあの魔女見習いたちだ」
マジョスプリングが春美の隣に寄る。
マジョリカは水晶玉をテーブルに置き、どれみがどうなっているかを探る。
「これはいかん。ぽっぷを誰か呼んで来い。儂らが総出でなければ、もしかしたらどれみは救えんかもしれん」
「ハナちゃんがぽっぷを呼んで来る。どれみのことお願いね、マジョリカ!」
ハナちゃんは見習い服に着替え、箒に乗ってぽっぷを呼びに行った。
「お前たちはマジカルステージを頼む。儂の勘が正しければ、おそらくどれみを救うことができる」
はづき、あいこ、おんぷ、ももこは見習い服になり、四人でマジカルステージの円陣を作る。マジカルステージの光がMAHO堂の外で作り出される。
「儂らを、どれみと出会ったあの頃の世界、どれみの精神世界に頼む」
魔法は叶ったが、マジカルステージが消えないことを不思議に思ったララ。マジョリカやはづきたちはマジカルステージの光に消えたのに。
どれみが歩く暗い世界に光が差し込む。どれみは気が付くと、自分の家の前にいた。でも、何も分からないですいた。マジョリカは水晶玉を掲げる。水晶玉は光り、どれみを昔のMAHO堂の前に出す。
「来た、ことがある。かも知れない」
どれみの頭に劇痛が走る。どれみは立ち上がり、マキハタヤマリカの魔法堂に足を踏み入れる。どれみの頭の中で、自分の読んでいた魔女についての本の話が頭を遮る。
「それは何でも魔法を叶える魔法のペンダントじゃ」
奥の椅子に揺られている黒いローブを着た老女がそう言う。その時、どれみの記憶が一つ戻り始めた。過去の出来事と記憶の回想が繋がり、どれみは老女が魔女と見破る。このことにより、どれみは自分が魔女見習いだったことの記憶を取り戻した。すると、自分が誰で、どのように過ごしてきたか、魔女見習いになるまでの期間の記憶も蘇る。
「儂が分かるか、どれみ?」
時間が止まり、どれみの前にマジョリカが現れた。
「うん、何となくね。でも、この先がどうだったか、ほとんど思い出せないよ」
大丈夫じゃ、とマジョリカは微笑み。
「儂が魔法を使って、お前の記憶が一部蘇ったことで、どうやら光が見えてきた。お前の記憶はどうやら、魔女見習いだったことや儂やララ、はづきたちのことを中心にバラバラに忘れられているようじゃな」
時間がまた動き出す。
「学校に向かえ、どれみ。きっとお前の記憶を取り戻すために、お前の仲間が助けてくれる。焦らんでいい。さあ、行くのじゃ!」
その頃、ハナちゃんはぽっぷを連れて、ようやくMAHO堂に着いていた。マジカルステージの効力は続いており、ララはその近くで待っていた。
「話はハナちゃんから聞いたよ。みんなでお姉ちゃんの記憶を取り戻そうよ!」
「そうね。ハナちゃん、ぽっぷ。行きましょう!」
ララ、ハナちゃん、ぽっぷはマジカルステージの中に入る。マジカルステージは全員が入り、その時を待っていたかのように、効力が切れて消えていく。
マジョリカの次ははづきの番だった。まるで、ももこの時のデジャヴのように。はづきは魔法を唱え、どれみの世界に入っていく。懐かしきあの思い出。はづきは憶えている。あの時のこと。どれみが魔女見習いになり、はづきと入れ替わったあの頃から、どれみが変わり始め、自分も成長を始めたきっかけ。
どれみの中に、はづきの魔法の力が入っていく。幼稚園のうさぎの話、二人で仲直りのきっかけが音楽だったこと。どれみの前にはづきが現れる。
「どんなに辛くても、私はどれみちゃんの親友よ」
どれみの奥底にある謎の黒いドクロにヒビが入っていく。どれみの体から一つの水晶玉が飛び出し壊れる。
「今度はあたしや!パメルク ラルク ラリロリ ポップン!」
あいこは憶えている。最初に出会った頃、どれみやはづきをからかい、怒らせてしまったこと。でも、そのおかげで友達になれ、そして。
「あたしは魔女見習いになれたんやー」
どれみの中にあいことの思い出が蘇っていく。初めての出会いはもちろん、MAHO堂改装や一緒に店の手伝いやピュアレーヌになったこと。
あいこがどれみの世界に現れる。
「あいちゃん、思い出したよ。あたし、一人じゃないんだね」
そして、ぽっぷとハナがおんぷのところに着く。
「次はぽっぷの番よ。私は魔法でどれみのところに先に待ってるから」
ララは魔法を唱え、どれみの世界に入り込む。ララが入ったことで、どれみの前にドド、レレ、ミミが姿を現す。
「ピピットプリット プリタンペペルト」
あたしは忘れないよ。確かにお姉ちゃんより賢いとか凄いとかいわれているけど、お姉ちゃんは分かってくれていた。
どれみの記憶にぽっぷの思い出が入っていく。どれみが生まれたばかりのぽっぷにピアノを弾いて、泣き止ませたこと。そして、マジョルカの呪いを解くためにマジカルステージを見て、ぽっぷが魔女見習いになったこと。
ぽっぷがどれみの世界に入っていった。どれみはここで、ほとんどの記憶を思い出してきていた。あと少し、埋まっていない記憶の欠片。残りは、おんぷとももこだけである。しかし、忘れてはならない。もう一人、魔女見習いが残っていることを。
おんぷとももこは一緒に魔法を唱える。
「プルルンプルン ファミファミファ」
「ペルタンペットン パラリラポン」
最初に出会った頃は、本当にライバル視してごめんね。でも、どれみちゃんのおかげで、私は変わったのよ。だって、そうじゃなきゃずっとこうして一緒にいられないもの。
おんぷの魔法がどれみの心に光をまた差し込む。どれみの中の黒い玉がまたいくつも飛び出し割れる。ドクロのカードにヒビがより強く刻まれる。
あたしもね、どれみちゃん。日本語が上手く話せなかった時、きっと伝わっていなかったと思うけど、クラスで初めて転校してきて友達ができたのは、どれみちゃんだけだったの。お菓子作りが上手になれたのも、きっとどれみちゃんのおかげだよ。
黒い玉がまた飛び出し割れる。ドクロのカードにヒビが大きく入る。
おんぷとももこがどれみの世界に入る。ロロやニニも現れる。
はづき、あいこ、ぽっぷ、おんぷ、ももこが叫ぶ。
「ハナちゃん、どれみちゃんを助けて!」
ハナちゃん、とどれみがゆっくり言う。
「いっくよー!ポロリンピュアリン ハナハナピー!呪いよ、解けろー!とおー!」
あんまり生まれたばかりの頃はほとんどよく覚えてないんだよね。だって、意識しだしたのは魔女幼稚園からだったから。でも、聞いたよ。ハナちゃん育てるのに、毎日大変だったんでしょ。ハナちゃんみんなに迷惑かけて、それでも愛されているって、ハナちゃん分かってるから、どれみを助けたいんだ。だって、ハナちゃんのママだもの。
どれみの世界が崩れていく。最後の黒い玉が割れ、どれみの中から禍々しいバッドカードに似たものが出てくる。
マジカルステージの効力が働き、元の世界に戻るどれみたち。そこに、北風春美が待ち構えていた。
どれみは寝ているが、手に持っていたドクロのカードから禍々しい力が抜けて、春美の持つカードケースに入っていく。
「結束は高まったようね。でも、あなたたちとの戦いは始まったばかりよ」
春美はそう言い残し、その場を去っていった。
「どれみちゃんの持ってるカード。これが原因だったとしたら」
おんぷはどれみの手にあるカードを見て、嫌な予感を覚えていた。
「まずは、どれみを中に運ぶぞ。ももこ、栄養のあるお菓子を作って、どれみに食べさせてやれ」
マジョリカはどれみの精神的状態を思い、気遣っていた。ももこは急いでキッチンに走る。
ハナちゃんはどれみの口に美味しいコーンスープを含ませる。
「ハナ・・・ちゃん・・・」
どれみが目を覚ます。マジョリカは、どれみの持っていたドクロのカードをじっと睨みつけていた。
「これは、ただの魔法のカードではない。儂ら魔女たち一人一人の魔力では太刀打ちできん強力な魔力が宿っておる。しかし、今はほとんど力を失っているようじゃが」
MAHO堂の扉が開く音が聞こえ、3人の人物が入って来た。一人は魔女界の女王様、二人目はマジョリン、最後はオヤジーデだった。
「女王様!」
マジョリカは驚いて呆然としていた。
「まさか、人に取り憑く魔力のカードが現れようとは思いませんでした」
女王様は階段を降りて、どれみたちの下に近付いてきた。
「お目覚めになったのですね、女王様!」
マジョリカは感激していた。しかし、
「ゴホッ、ゴホッ。まだ完全ではありませんが。皆さんに力を貸してもらいたいのです。マジョリン、例のものを」
「はっ!」
マジョリンは魔法で、ノートパソコンのようなものを取り出す。
「でも、どうしてオヤジーデまで?」
おんぷが女王様に尋ねる。マジョリカは椅子を女王様に寄せ、気遣う。
女王様は椅子に座り、少しほっとしたようだった。
「まだ私の魔力は、あの事件以来ほとんど戻ってはいません。どうにか歩けるようになりましたが、トゥルビヨン様に今も女王の座を守ってもらっています」
女王様はどれみの様子を見て、にこりと笑った。
「再びピュアレーヌになっていただきます。このマスターピュアレーヌパソコンは、そのカードを封じ込めるために考案したものです」
オヤジーデがどれみたちの前に立つ。
「王様と女王様のお力をもらい、ハナちゃんに助けてもらったお礼を返したいと思いまして、私が再びこのパソコンで皆さんをお助けしたいと願いました」
女王様はマジョリンからパソコンを受け取り、電源を入れる。
オヤジーデは昔の頃の姿になり、パソコンに入っていく。あいこは驚き、パソコンを見つめる。
「オヤジーデ、自力で入れんの?」
『当たり前です。昔とは違いますよ。さあ、早くそのカードをこの中に!』
はづきはマジョリカからカードをもらい、そのカードをパソコンに入れる。
「それでは、ももこちゃん、ぽっぷちゃん、ハナちゃんにもピュアレーヌの力を授けましょう。ももこちゃん、ぽっぷちゃんはポロンを、ハナちゃんはリストバンドを近くに」
女王様は二つのポロンとハナちゃんのリストバンドに魔力を与える。それに呼応して、どれみ以外のはづきとあいことおんぷのポロンも輝く。
「これで、3人以上が揃えば、マジカルステージでピュアレーヌの力を発揮できるでしょう。どれみちゃん」
女王様は立ち上がり、どれみの前に寄る。
「頑張りましたね。苦しかったでしょう」
女王様はどれみを抱きしめる。どれみは温かい女王様の体の中で泣いた。
女王様はどれみから離れ、オヤジーデとパソコンをどれみたちに託し、MAHO堂を後にする。
「どれみ、お前は2、3日、心体を休めろ。あれほどの魔力を受けたんじゃからな」
夏休みに入る直前だっただけに、今日の出来事はかなりみんなも堪えたようだった。夏休みの旅行は数日後となり、延期となった。
どれみたちがいない間、マジョリカやハナちゃんは、パソコンでオヤジーデと共に謎のカードを調べるつもりらしい。
あいこやはづきたちはどれみを家に送り、事件は幕を閉じた。だが、春美の言ったあの言葉がみんなの胸に突き刺さっていた。
「戦いは始まったばかり」
必要に心の闇を狙うシーズン魔女見習いたち。はづき、あいこ、おんぷ、ももこ、ぽっぷ、ハナちゃんは、いつ自分の心の闇を狙われるかもしれないと思い、こぶしを胸に当てる。そう、戦いは始まったばかりなのだ。
【ー第8話に続くー】
どれみ編一時終了。次回予告として、お知らせ。
謎のカードの正体、ハナちゃんの転機、そして、はづき編開幕。立ち塞がるのは、天皇寺 龍子。いよいよ舞台は、カレン女学院と魔女界に。乞うご期待。