起きたら次元将になってたんだが   作:次元獣だもん☆

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自作の様子を見てみたら感想やお気に入りが増えていたときが一番生を実感するって感じでテンション上がってなんか早めに書けました


第11話 相棒

『システム・キドウ』

「お前、元レイヴンかよ」

 

ゼロの策略とカミナのドリルによって地面が崩壊し、瓦礫の山と化した街の上空をフライング・カーラで飛行しながら雷撃で眼下の次元獣を貫いていく。さっきエルガンから贈られた、AIを自称する謎のアタッシュケースと雑談しながらという緊張感に欠ける状態だが、敵が瓦礫に埋まって移動できないので射程外の空中から一方的に攻撃できる今だからそんなこともできる。

 

『分かってくれましたか。傭兵と聞いていたのでやってみたくなりました』

「高い前金で騙されたりはしてないがな……そんな記憶があるってことはやっぱり、機械に取り憑いた人間なのかお前」

『さあ?』

「さあって……」

『こうなる前の自分が()()()()()か、記憶がありません。原作の展開などの知識やそれに対する感想程度なら覚えていますが。おそらくあなたも同じ状態では?』

「……なるほど」

 

割と最近は気にしなくなってきていたが、俺もガヌマと名乗り出す前の記憶はない。ドゥリタラーの記憶ならのぞき込めるが。

 

『いくら考えても分からない上に、分かったところで大して役に立たないであろうことを気にしても得はしません。ここは目の前、もしくは先の事を考えましょう』

「それには同意だ。という訳で、お前って喋る以外の機能あるのか?」

『パイロットのバイタルチェック、機体制御、火器管制、索敵、ジャミング等の各種サポート機能があります。無論、機体との規格が合わなければ使えない機能がほとんどですが。MS(モビルスーツ)やアクシオならともかく、この頭のおかしいゲールティランもどき(人造次元獣)の制御は無理です。何ですかガンメンとATとMA(モビルアーマー)の合成体って。よく合体事故起きませんでしたね』

「リヴァイブ・セルってすごい。お前も混ざってみるか? そうすればさっき言ってた機能も使えると思うが」

『尊厳という言葉をご存知でしょうか。私の受け入れに前向きなのはありがたいですが、やるなら私を普通に接続できるよう機体の方を弄っていただきたい』

「おう、帰ったらやるか」

 

軽い調子で口約束をしてしまったが、俺のやる改造方法だとパーツの形状が勝手に歪むので元の規格を維持したまま接続パーツを組み込むのってかなり難しいのでは? 

まあやってみれば意外といけるかもしれんし、今はZEXISのメカニックたちの意見なんかも聞けるから多分大丈夫だろう。

 

「おおおっ! ストロンガーT4が!」

「へへっ、見たかあしゅら!」

 

視界の端では哀れな機械獣がマジンガーZのブレストファイヤーで蒸発しているところだった。後は残党のタロス像に、何体かのブルダモンと通常ライノダモン一体を仕留めれば終わりだ。

 

「さて、じゃあさっさと終わらせるぞ……っと、おぉ?」

『ぐぇっ』

 

適当なブルダモンに対して再び雷撃を浴びせてやろうとしたところで衝撃と共に操縦席内が大きく揺れる。背後から攻撃を受けたらしい。D・フォルトが抜かれるとは、なかなか強力な攻撃だ。少し慌てて背後の敵を確認する。そしてちょっとだけ嫌な顔になってしまった。

 

「もう出てきやがったかアイム。原作よりちょっと早いか?」

『いえ、確かこのステージにも登場だけはしていたかと。襲ってくるのはもう少し先のはずですが』

 

視線の先には白黒ボディに赤いクリアパーツをふんだんにあしらった凶悪そうな見た目のロボ――実際スフィア込みならかなり凶悪な性能をしている――アリエティスが今まさに攻撃しましたよと言った風情で浮かんでいた。全身からいくらでも生えて来る赤い結晶を飛ばしてきたのだろう。

 

「お初にお目にかかります。傭兵ガヌマ」

「……はじめまして、羊野郎」

「ほう、もう()()()のですか……と、言いたいところですが不正解です」

「ん?」

「私は天秤ですよ」

「嘘つけ」

「フフフ……」

 

出会ってからわずか数十秒でもう話すのが面倒になった。しかも周囲を見れば次元獣の増援まで引き連れてきやがったらしい。通常のブルダモンばっかりだがこの段階では面倒な敵であることは間違いない。

正に踏んだり蹴ったりだが幸いなのは原作知識のおかげでコイツから情報抜こうと四苦八苦する必要がないところだ。

クロウではなく何故か俺を標的にしているようなので仕方がない。相手をしてやろう。まずは通信機で仲間に通達。

 

「この白黒は俺を狙ってるらしい。すまんが次元獣は頼んだ!」

「大丈夫なのか?」

「おう、任せろ! それにせっかくMDの同型が居るんだ。キッチリ予行演習していけ、クロウ!」

「フ、ならそうさせてもらうぜ」

「聞こえたな? 各機は次元獣撃破に当たりつつ、可能ならガヌマを援護しろ。だが近づきすぎて雷撃に巻き込まれるなよ!」

 

クロウを筆頭に心配の声が上がったが、最後にオズマが言った通り、雷撃をばら撒くというフライング・カーラの武装特性上、全力でやるなら周囲に味方は居ない方が安心だ。

通信を終えてアリエティスの方へ意識を戻す。

 

『操縦に腕使わないんですよね……? 破損が心配なので持ってていただけますか?』

「……おう」

 

ではいざ戦おうか、としたところで固定とか一切されておらずさっきの衝撃で壁にたたきつけられた自称AIが、これからもっと揺れそうな雰囲気を察したのか焦ったような声で訴えてきたので取っ手の部分を掴んで持ち上げる。ところでコイツさっき、機械のくせに”ぐえっ”って言ってたな。痛覚あるのか? 箱の中は生身とかじゃないだろうな……

気を取り直してもう一度アリエティスの方へ向き直ると既に全身から赤い結晶を伸ばして再度攻撃の体勢に入っていた。こいつの攻撃がD・フォルトを抜ける威力を持っているのはさっきので身をもって確認済みなのでまずは回避行動から始めることになる。

だれか”ひらめき”の使い方を教えてくれ。ダメなら”不屈”でもいい。

 

 

「ブラッディ・ヴァイン」

 

静かに宣言するが如くその名を唱えられた武装……アリエティスの全身に生えた赤い結晶からさらに無数に伸びる、細く引き伸ばされた蔦のような結晶がレーザーのごとき光を放ちながら、宙に浮くフライング・カーラへ迫る。大きく旋回して回避しようとするがあっさりと回り込まれ、左右から挟み込むように着弾、先ほどの不意打ちの時のようにD・フォルトをあっさりと突き抜けてその表皮に突き刺さり、その後一気に肥大化して浅くない傷を作り上げる。

 

「チぃ!」

「たった6%の威力でこの有様とは、期待外れですね」

「嘘つけ」

『そこは43%ではないのですね。完全に舐められているようで』

 

お返しとばかりにフライング・カーラの機体各部から雷撃がアリエティスの方へ伸びるが、こちらは最小限の動きであっさりと躱される。運動性の差は明白であり、さらには相手の攻撃が通る以上、D・フォルトや装甲も大した意味を持たない。無論、即座に撃墜されないという意味ではしっかりとその役目を果たしてはいるが。

 

「レポートの件で揺さぶるか?」

『多少は動揺させられるでしょうが、あれは知りたがる山羊による鮮明なフラッシュバック込みでようやく意味があるものかと。それにユーサーが偽りの黒羊を手に入れてくれなければ、再世篇終盤の演技がバレてシナリオが大きく崩れ、その後の展開がすべてアドリブになる危険があります。画面越しならともかく当事者となった今、おすすめは出来ません』

「だよなぁ……」

 

完全覚醒前の今なら物理攻撃のみで倒し切ることも不可能ではないだろうが、それをやるには命中率に不安がある上に、そもそも自称AIの言う通りここで倒すのは全体で見ればむしろマイナスになりかねない。

つまりここはある程度のダメージをアリエティスに与えて撤退してもらうしかないという事になる。

ガヌマが苦虫を噛み潰したような顔をしていると、手に持った自称AIの箱からホログラムのようなものが投影される。

 

「なんだこりゃ」

『攻撃パターンの提案です。これが決まれば程よい損傷を与えられるかと』

「マジかよ、いつの間に……」

『一応、有用性をアピールしておきたく』

 

ホログラムにはアリエティスのどの位置を狙ってどんな行動をどのタイミングで取ればよいか、また予想されるアリエティス側の対応などのパターンが分かりやすく図示されており、機体と直結しているわけでもないのにこれだけのデータを短時間で収集――おそらく戦術指揮用の通信回線などに無線接続して――し、まとめ切ったこの箱の性能にガヌマは舌を巻く。ただしある一点に目をつぶればだが。

 

「いや、結構無茶じゃねえかコレ」

『真正面からではそれこそ辺り一帯を吹き飛ばすくらいでないと攻撃を当てられないと判断しました。周囲に味方が居る以上その手は使えませんし。ここはこういった小細工が必要です』

 

その一点を突いてみれば冷静にそう返してくるAIに軽く苦笑いを返した後、ガヌマは頷いた。無茶なだけで不可能ではない。どうせ代案もないのだからあとは自分が頑張ればいいだけの話だ。元々ノリや勢い任せだった性格がドゥリタラーとグレン団に染められてさらに悪化してきているのを感じたが今この瞬間においては良い傾向と言えた。

 

「まあ確かにな。仕方ねえ、これで行くぞ……っと、お前名前とかあるのか?」

『ありませんので今考えました。機体名から取って、カーラと名乗らせていただいても?』

「OKだカーラ。じゃあここは一緒に」

『ええ。一度言ってみたかったところです』

「『やってやるぜ!』」

 

ガヌマは気合を入れ直すとフライング・カーラにこれまでよりも強い雷撃を纏うように発生させ、アリエティスの方向へ突撃する。その雷撃の密度はすさまじく、光でその姿がかすんで見えるほどであった。傍からは光の砲弾がアリエティスに向かって発射されたようにも見える。

 

「ちょっとあいつ、あのまま突っ込むつもり!?」

「安心しなカレン! 俺にはわかる、あれは何かを思いついたって顔だ!」

「顔は見えないでしょ……」

 

地上で次元獣の相手をしていた紅蓮弐式の内部から驚きが半分、残りが呆れと心配の入り混じった声をカレンが上げるが、返答する暇のないガヌマに代わり、並び立っていたグレンラガンから力強い声でカミナが宣言する。最後の突っ込みは誰の耳にも届かなかった。

 

「破れかぶれの突撃……呆れたものですね、裁かれる聖者」

『……裁かれる聖者?』

「アイムの言う事だ。ほっとけ!」

 

アイムの口からガヌマやカーラからしても聞きなれない単語が飛び出したが、既に彼との会話を諦めているガヌマはそれを無視してさらに加速する。アイムは嘲笑をもってそれを迎え、アリエティスはあっさりとその突撃を躱す。

 

「曲がれェ!」

 

しかし光の砲弾と化したフライング・カーラは無理やり急反転し、アリエティスの回避先へ再突撃を敢行する。

 

「当たるまでやるつもりか!?」

「無茶苦茶だ……」

 

味方からの驚愕、もしくは呆れの声を背景に何度も反転と突撃を繰り返すフライング・カーラ。そのたびに回避していたアリエティスだったが流石に業を煮やしたのか、何度目かの突撃に対して迎撃を試みる。

 

「いい加減に止まっていただきましょうか。マリス・クラッド!」

 

アイムの宣言と共にアリエティスの全身から大量の赤い結晶が広範囲に伸ばされ、突撃を阻む壁となる。しかしそんなものは見えてもいないとばかりにフライング・カーラは一切速度を落とさず真紅の針山に正面から突っ込んだ。すさまじい轟音と共にその動きが止まるが、次の瞬間から結晶に罅が入り始め、徐々に押し込むように再び進み始める。そのデタラメなパワーに驚愕する周囲の面々だったが、そのパワーを向けられている張本人であるアイムの目は冷めたもので、冷静かつ無慈悲に次の一手を打つ。

 

「終わりです。ブラッディ・ヴァイン」

 

宣言と同時に大量の結晶から蔦のような結晶が伸びてフライング・カーラに突き刺さる。纏っていた雷撃によっていくらかは破壊されたがそれでも次々と損傷を与えていくのが傍から見ても分かる。

やがてあれだけ激しかった雷撃と突撃の勢いが嘘のように消え去り、光に包まれていたフライング・カーラがその姿をさらした。

 

「……? 操縦席のハッチが開いている?」

 

思わず呟いた通り、光が収まったところでアイムが見た物はフライング・カーラ上部の玉座に座っているストロング・カーラの頭部ハッチが跳ね上げられ、内部が無人になっている光景。

そして次の瞬間にアリエティスの視覚に飛び込んできた、今から素手で殴りかかるつもりであることが一目で分かる形相の、拳を引き絞った青髪の大男の姿であった。

 

「なっ!?」

「せえええええええええええええい!」

 

先ほどに倍するような轟音が響き渡り、アリエティスの30mを超す巨体が信じられない速度で後方に吹き飛んだ。攻撃のために伸ばしていた赤い結晶が砕け散り、アリエティスの飛ばされた軌跡を幻想的な、煌めく赤色に彩っていく。

飛ばされたアイムはもちろん、その場に居た全員が愕然とした表情で――カミナだけはニヤリと笑っていたが――数秒間、その赤色の弧を見つめていた。




キャラ紹介
・カーラ
謎の箱改めガヌマの相棒AI。強化パーツとしてのハロに匹敵する恩恵があるかは未だ検証中だが、最大のメリットは原作知識を前提とした行動について相談ができる点。

呼びかけると戦場で女の名前を呼ぶことになるが恋人でも女房でもないので神の世界へのインド王を渡されたりはしない。
あと両手両足を義肢にして機体と一体化(絶望)できるシステムを開発したりはしてこない。多分。
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