起きたら次元将になってたんだが   作:次元獣だもん☆

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興味深い設定と言ってくれた人が居たので続きました。


第3話 次元将、傭兵になる

俺のバトリング初試合から1か月ほどが過ぎた。順調に数試合勝ち抜き、操縦にもそれなりの自信がついてきた(なんとローラーダッシュを会得した!)ところに、借金をなんとか返し終えたらしく良い笑顔のボルフがこんな話を持ち掛けてきた。

 

「ガヌマちゃん。実は俺、傭兵の仕事も斡旋してるんだけどよ、ちょいとそっちでも雇われてみない?」

「ほう」

 

その辺で買ってきたホットドッグを頬張りながら話を聞くと、なんでもAEUがアフリカ大陸のとある地域でブリタニア・ユニオンと火花を散らしており、そこの基地の陸上戦力としてアストラギウスのATを雇い入れたがっているとのこと。時空振動の影響で巨大な傭兵集団と化したギルガメス軍から何部隊か向かう予定だが、その辺の傭兵にも一応声がかかっているらしい。

 

ブロウバトルに出て来る程度の連中では大した経験値にならなくなってきたところだし、そろそろリアルバトルでも組んでもらおうかと思っていたところに実戦の依頼。悪くはない。

そう思って俺はこの仕事を受けることにした。そしてPMCトラストに機体ごと運んでもらい、現地入りして盛大に後悔することになった。

 

「隊長があのパトリック・コーラサワー……しかも味方にレッドショルダー。ドンピシャで大ハズレの仕事持ってきたなボルフのやつ……」

 

記憶が確かなら”破界篇”最初あたりのステージに登場する敵キャラポジション。それが今回の仕事だった。初めての実戦の相手がガンダム8機――ソレスタルビーイングと、五飛を除いたコロニーのガンダム――そしてブラスタ。しかもそのうちダンクーガノヴァが乱入してきたはずだ。言外に負けイベントですと宣告された俺は、死んだ目のまま格納庫で苦いコーヒーをすすっていた。

他の傭兵たちが”アレと一緒に出て本当に大丈夫かよ”って目でこっちを見ながらヒソヒソ話しているが、それに構っている心の余裕はない。

 

「せいぜい一般ナイトメアとか、量産型フラッグ辺りの相手ができればいいかな~程度に思ってたんだけどな」

 

ヴァイシュラバといい、ヴィルダークといい、俺といい、次元将は主人公と敵対しなきゃ気が済まない呪いにでもかかっているのだろうか。アポロニアスやゼウスと肩を並べて戦ってた連中のはずだよな?

まあ今回はろくに確かめもせずにこの仕事を受けた俺が悪いってだけの話なんだが。

これでウィルパーシャまで蘇って連獄篇辺りで襲ってきたら笑えるな。などとアホな想像をして心を落ち着けようと努めていると、基地全体にアラートが鳴り響く。

 

「あーあ、始まっちまった」

 

軍用トラックに積まれたストロング・カーラに乗り込み、通信機をオンにするとアラートの詳細が知らされた。

このエリアで競り合っていたブリタニア・ユニオン基地の壊滅が確認され、さらに周囲で不審な反応が見つかったとのこと。間違いなくサンドロックとヘビーアームズのコンビだ。

AEUも、どの機体かはともかくガンダムが絡んでいることは感づいているようで、防衛が手薄になることを承知で基地の全戦力の投入を決意した。当然俺も含まれている。

 

「やるしかない、か……」

 

戦闘のどさくさに紛れて逃げるという発想が出ても、それを選ぶ気が全くしない辺り、今の俺の人格はドゥリタラーとしての部分がかなり強く出ているらしい。勝てないから逃げる、なんてのはありえない事だと心のどこかから訴えかけてくる。そんなだから戦死したんだぞ。逃げたヴァイシュラバは賢かった。

 

さて、逃げられないのであれば、するべきは戦ったうえで、死なない事。いくら次元将の肉体が下手なモビルスーツより頑丈だからと言って、GNバズーカやバスターライフルを最大出力でブチ込まれたら流石に命にかかわる。

せっかく小回りのきくATに乗っているんだ。上手く躱してみせよう。この辺りは砂地で岩や味方AT等の障害物も多いし、相手の半分は障害物のほとんど無い空中からバカスカ撃ってくるけど、きっと躱してみせる……やはり早くも2度目の死か?

 

再び死んだ目になりかけていると、出撃の命令が無情にも下される。

 

「チッ 仕方ねえ! やぁってやるぜ!」

 

俺は少しでも気合を入れるため、戦う相手の台詞をパクりながら出撃した。流石というべきか、この台詞を言うと力が湧いてきて、朔哉が言いたがる理由が分かった気がした。

 

 

 

「犬も歩けばって言うが、当たる棒がスタンロッドより凶悪な代物じゃあシャレにもならねえ」

 

そう呟きながら、クロウ・ブルーストは何度目かのため息をつきながら引き金を引く。発射された弾丸は直線上に居た()()()()()()()に突き刺さり、その姿を消滅させる。

 

謎の特殊動力機関を搭載した4機のガンダムを擁する”ソレスタルビーイング”から逃走している最中にコロニーのものと思われる2機のガンダムと遭遇してしまい、仕方なく交戦していたら案の定ソレスタルビーイングのガンダムに追いつかれ、いよいよ混沌としてきた所にぶちまけられたさらなる混沌。

それが突然の次元震と共に現れた、目の前の次元獣軍団。

 

これには流石のガンダム達も一時休戦の提案を受諾。たった1人で四面楚歌の状況から一気に世界有数の強部隊と相成ったが、それでも楽観はできないほど、とにかく次元獣の数が多い。乗機ブラスタが格闘戦も十分にできる機体でなければ弾切れを起こして詰んでいたかもしれないというほどの大軍団である。

 

「しかも奥に控えてやがるあの()()()()()()……あれはやばい」

 

明らかに軍団の長といった雰囲気で群れの後ろに待ち構える異様な次元獣。ダモン級に巨大な角が生えたようなシルエットをしているが、何より目を引くのはその体色。クロウが呟いたように派手な黄金色に輝いており、その存在感をこれでもかと主張して来る。これがモビルスーツ等であれば趣味が悪いと一笑に付したかもしれないが、未知の怪物たる次元獣においてはその不気味さを増すことに一役買っている。

 

「目標を破壊する」

 

ソレスタルビーイングの重火力型ガンダム(ヴァーチェ)がその黄金の個体が控える方向に向けて手に持ったバズーカと肩のビームキャノンを一斉射し、邪魔な下級次元獣を排除する。

 

「目標を、駆逐する!」

 

そこへ近接戦闘型(エクシア)が一気に接近して右手の実体剣を振りかぶった。

 

「まず大将を狙うことにしたって訳か。それには同意だが、一応共闘中なんだから通達くらいしてほしいぜ……」

 

そうぼやきつつも援護するためブラスタの銃を狙撃タイプの銃身に素早く切り替え、エクシアを追いかけようとする下級個体を撃ち落としていく。

その甲斐あってエクシアの攻撃に邪魔が入ることは無く、実体剣が黄金の次元獣を捉えた。

 

そしてその表皮をわずかに傷つけた。

 

「何っ!?」

「おいおい、冗談だろ?」

 

思わず声を上げたソレスタルビーイングの面々はもちろん、モビルスーツを両断してしまうほどの切れ味を先日の軌道エレベーターの件で見せつけられているクロウからしても、この結果は想定外だった。一撃で倒すとはいかないまでも、角の一本でも切り落としてしまうかと思っていた。

 

黄金の次元獣がその巨大な角を反撃とばかりに突き出す。エクシアは左手のシールドで何とか受け止めた後、狙撃型(デュナメス)からの援護射撃を受けながらいったん後退した。

 

「こいつは骨が折れそうだ」

「火力を一点に集中させるぞ」

「待って。また何か来る」

 

可変型(キュリオス)に乗った青年(アレルヤ)が言うように各自のレーダーがこの地点へと向かう動体反応を複数捉えた。

 

「まさかもうAEUの部隊が出てきた? くっ 次元獣の相手で手一杯なのに……」

 

重装甲(サンドロック)少年(カトル)の予想通り、視認した部隊はAEUのイナクトを先頭に空戦型モビルスーツが数機、後続には多数のATを引き連れた大部隊。緊張感が高まる中、全身火器(ヘビーアームズ)少年(トロワ)が小さく警告した。

 

「別方向からもう一つ。挟まれるぞ」

 

そしてAEUの部隊とは比べ物にならない速度で接近して来る40m級の巨体。ほとんどの者はその姿に見覚えがあった。

 

「ダンクーガまで出てきやがったか」

 

戦場に突如として現れ、負けている方に味方して戦況を膠着状態に戻し、去っていく厄介者。目的は不明だが、紛争幇助勢力としてソレスタルビーイングでも警戒対象となっている。

 

「こういう場合、誰に着くんだ?」

 

これまでダンクーガが現れたのは人同士の戦場。こういった化け物が相手の場合どのように行動するのか全く予想がつかなかった。AEUの動向以上に各々が緊張を高めていると、ダンクーガはスピードを落とさないままクロウ達の元を素通りし、手近な次元獣を殴りつけた。通常モビルスーツの倍以上の巨体が持つ重量をそのまま乗せたパンチを受けた下級次元獣は同胞たちを数匹巻き込みながら吹き飛び、跡形もなく消滅した。

 

「化け物相手ならそっちを優先してくれるらしいな」

「もしくは、僕たちが負けてると思われてるのかもね」

「真意はどうあれ、敵対してこないならば奴はいったん放っておく。問題はAEUの部隊がどう動くか……」

 

その問題のAEU部隊の中、とある奇抜な姿をしたAT(ストロング・カーラ)に乗った男は心の中でこうつぶやいていた。

 

(なんで真次元獣がこの段階で居るの? 俺の知ってる破界篇と違う)

 

そもそも自分が破界篇に居ない存在であることなどすっかり棚に上げ、ただひたすら困惑しつつも、彼は先頭のイナクトについて混沌の戦場に身を投じるのであった。




今更書く主人公名”ガヌマ”の由来
次元将の中で序列をつけるとしたらまとめ役のヴィルダークが1、御使いと戦って一応生存したヴァイシュラバが2、討ち死にしたドゥリタラーとウィルパーシャが同率で3という事で3番目を意味するγ(ガンマ)をもじってガヌマとなりました。

しかしこの主人公が瞬時にそこまで考えつくのは不自然なのでテキトーに思いついた”ガンプラ沼”という単語を略したという後付け設定が1話投稿後につきました。なおこの設定は今後一切触れられません。
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