起きたら次元将になってたんだが 作:次元獣だもん☆
覚えたローラーダッシュを駆使して、先行するイナクトやヘリオンを味方ATの面々と並走して追いかけながら、遠くの方に見える状況を整理する。
まずダンクーガノヴァが既にいる。たしか乱入して来るのはAEUと主人公陣営がぶつかってからだったはずだ。ウイングとデスサイズがまだ居ないのは原作通りだったっけ?
まあそんな細かい違いは正直気にならない。問題は次元獣が湧いていることだ。しかも指揮官らしきポジションに金色ボディの”真次元獣”が当然のように居座っている。お前が出て来るの再世篇の最後だろ。UXのリべル・レギスじゃあるまいし、少しは自重というものを……自我の消滅した次元獣には無理か。
さて、この真・ブルダモンだが、この段階で戦うには少々強すぎる。一応雑魚扱いとはいえ、それは十分に自軍の強化が進んだ最終局面ゆえの事。フル改造したダブルオーライザーで切り刻むから弱く感じるだけで、ほぼ間違いなく無改造であろう現段階のエクシア達からすればこれはもうボスだろう。クロウが二週目以降とかなら希望はあるが見たところそれもなさそうだ。各々の最強武器じゃないとD・フォルトを抜けるかどうかも怪しいんじゃないだろうか? 少なくとも今のストロング・カーラでは絶対に無理。
ここは逃げ……駄目だ。ドゥリタラーとしての意思が”逃げるな”と喚いて頭が割れそうになる。ここまで影響が大きいとは……うるせえよ分かったよ戦うから黙れ。
あ、黙った。何故自分に黙れとか言わなきゃならんのか。アレルヤかな?
「コーラサワー少尉、アクシオンの新型には手を出すなとの通達が……」
「言われなくても、こんな状況で人間に銃を向けるかよ! そんなことする奴は軍人じゃねえ! 次元獣を叩くぞ! ……ガンダムも、今だけは無視だ」
「りょ、了解!」
「傭兵どもも聞こえたな!? 一匹たりとも逃がすなよ!」
「了解ですぜ、隊長殿」
「へっ 噂のガンダムとも戦ってみたかったがな」
「いいだろう。人間相手に吸血部隊をやるよりは気が楽だ」
「……」
コーラサワーの呼びかけに、グレゴルー、バイマン、ムーザが答える。キリコは予想通りの三点リーダー。他の隊員たちも十分な気迫が感じられる。通信での返事が無い事に関しては多分GN粒子が悪い。
「これだけいれば、まあ何とかなるかね……」
バリアというのは本当に厄介だが、発動にはエネルギーを消費する。次元獣のD・フォルトは消費EN5だったか。弱い攻撃だろうが何だろうが、受け止めたからにはエネルギー消費は同じだけ発生するはず。数はそのまま力になる。
「よっしゃぁ! 全機突撃!」
ガンダム達もこちらの意図は察してくれたようで、俺たちを攻撃範囲から外すように動き始めた。
こうして俺の初の実戦は高難易度で幕を開けた。
◆
「どう見てもお前がボスだな! 喰らいやがれ!」
イナクトのリニアライフルが真次元獣に向かって実体弾を高速で吐き出す。
流石はエースとでもいうべきか、飛び回りながら適当にばら撒いているように見えて、その弾丸は他の次元獣や周囲の機体を避け、ひとつ残らず真次元獣の元へ着弾する。ただしこれまたひとつ残らず、まるでそこに見えない壁があるかのように黄金の表皮の直前で弾かれてしまう。
「なんじゃそりゃあ!?」
反撃とばかりに真次元獣の体が帯電し始め、次の瞬間には下から上に向かって雷が落ちる、という奇妙な現象が発生した。落ちた先は当然、イナクトを始めとするAEUの空戦部隊である。
「うぉお!? 危ねえな!」
コーラサワーのイナクトは間一髪で回避行動を取って難を逃れる。しかしその雷撃は近くを飛んでいたヘリオンの一機に直撃した。AEUの誇る主力
「脱出装置のついた機体だったからいいが……ATでアレは死ぬな」
赤い右肩のスコープドッグの中で思わずそう呟いたグレゴルーだったが”敵の攻撃に当たれば死ぬ”などと言うのはいつも通りの事だとすぐに思いなおして鼻で笑い、金色の怪物の注意がいつ自身に向いても良いように回避運動の準備をしつつヘビィマシンガンの弾丸を手近な
幸いにもこの雑兵とでもいうべきタイプの怪物はあの妙なバリアを持ち合わせていないようで、大口径の弾丸をその身中に受け入れたのち、光の中に消えるようにして断末魔と共に消滅した。
「こっちには普通の弾も効くらしいな。なら金ピカの大将はガンダムどもに任せる。キリコ、バイマン、ムーザ。俺たちは邪魔な雑魚をさっさと片づけるぞ」
「了解」
「一匹も逃がすな、と隊長殿も仰せだしな」
「フン、あの軽薄な隊長の言う事に従うのは正直癪だが、仕方あるまい」
そうして4機のスコープドッグが砂煙を噴き上げながら突出し、互いの射線を遮らないようにしつつ固まって爆走し、順番にヘビィマシンガンやミサイルポッドに火を吹かせる。4組の火器が互いの射角をカバーしあった隙間の無い弾幕によって、まるでゴミの散らばった床を箒で掃くように、グレゴルー小隊の通り過ぎたあとには一匹の次元獣も残らない平坦な砂地が形成されていく。
その光景を空中から見下ろすロックオンは、ほうと息を吐く。
「大したもんだ。あれが一騎当千のレッドショルダーか。あんな小さい機体でよくやる……おっと、呆けてる場合じゃないな。狙い撃つぜ!」
周囲のダモン級をGNミサイルで牽制しつつ、デュナメスの頭部ブレードアンテナを下げて額の狙撃用望遠カメラを露出させる。
そのまま手にしたGNスナイパーライフルを構え、照準を真・ブルダモンの表皮、先ほどエクシアのつけた傷に合わせ、いつでも撃てるように準備する。
「クロウ・ブルースト。合わせられるか?」
「任せな。狙撃も俺の数多い特技の一つだ」
ロックオンの狙いを察し、同じ場所にクロウのブラスタも照準を合わせる。
「そうかい、期待させてもらうぜ……だが、まずはあのバリアだ。ティエリア!」
「言われなくとも!」
言葉と共に、GN粒子チャージの済んだヴァーチェがバズーカを太陽炉に直結させ、さらに両肩のキャノンも展開した最大火力を真・ブルダモンに向かって放つ。当然それを阻むように見えない壁――D・フォルトが展開される。
「くっ! これを耐え抜くとでも言うのか!?」
バリアとビームが拮抗状態となりかかっているのを見て取ったティエリアの目つきがいつにも増して険しくなる。
「突破にはとにかく火力が必要か。手を貸そう」
そこへ全身に満載された火器のセーフティ・ハッチをフルオープンにしたヘビーアームズが乱入し、ヴァーチェとは別方向からビームガトリング、ミサイル、マシンキャノンによる破壊の豪雨を横殴りにたたきつけた。そちらにもD・フォルトが展開されるが、流石に通常時ほどの出力は無い。
―断空砲・スタンバイ―
畳みかけるようにそんな声が響き、発生源たるダンクーガの元からヴァーチェに匹敵するか、それ以上にもなろうかという圧倒的な光量のビームが何条も走る。
結果三方向から、合計すれば都市の一つや二つを軽く消し飛ばせるのではないか、というほどの圧倒的な火力が真・ブルダモンの元に集中され、ついに抑えきれなくなったのか、その堅牢さに反してパキンと軽い音を立てながらD・フォルトは砕け散った。
「今だ!」
「おうさ!」
その瞬間を逃さず、ブラスタとデュナメスのライフルの引き金が引かれる。
先に着弾したデュナメスのビームが傷部分の表皮を強く熱し、強度が下がったところにブラスタの対次元獣に特化した実弾が叩き込まれ、小さな傷は一瞬にして大きな亀裂となった。
そこでD・フォルトの存在しないわずかな時間は終了し、堅牢なバリアは再展開されてしまう。
だが最早、そんな物は関係ない。
「やれ! 刹那ぁ!」
「目標を……駆逐するッ!!」
少年の叫びと共に右腕のGNソードを前方に突き出すように構えたエクシアが中世の騎士さながらの突進を敢行する。
司令塔の危機を感じ取ったのか、進行を阻害するように多数のダモン級が群がろうとするが、それらは一匹たりともエクシアの進行ルートに到達することは無かった。
「邪魔はさせない!」
ある個体はサンドロックのヒートショーテルで真っ二つにされ、
「遅れて参上! ここはあのガンダムを手伝うところだな?」
ある個体は突如として現れた
「いつの間にかデスサイズが居る……今まで何してたんだ? っと、そんなことよりエクシアの援護だ」
ある個体はストロング・カーラの帯電した角やバトルアックスを受けて行動不能に陥り、
「ターゲット、次元獣」
ある一角に集まった集団は上空を飛ぶ
「ウイングも来た……助かるが、ずいぶん遅かったな? まあいいか」
そうして妨害されることなく一直線に標的の元へたどり着いたエクシアのGNソードは
「うおおおおおおおおおおお!! ガンダアアアアアアアアアアアアアアム!!!」
刹那の闘志に突き動かされるままに、エクシアは敵を貫いたGNソードをそのまま真横に振りぬく。
体の上半分を切り離された真・ブルダモンは他のダモン級と同じように断末魔を上げながら光の中へと消えていった。
ハブラレルヤ「世界の悪意が見えるようだよ」
多分残ったレッドショルダーやコーラと一緒にちょっと遠めの位置にいるダモン級狩ってた。