起きたら次元将になってたんだが   作:次元獣だもん☆

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前回を書いていて学んだ事:主人公がまだ雑魚なのでワンシーンの登場人物が増えると介入できず空気になる


第5話 次元将、襲撃される

凄かったな、ガンダム達の即席連携。まさかこの段階で真次元獣をボコボコにしてしまうとは。

直接攻撃に参加しなかった連中も素晴らしかった。最後のエクシアに群がろうとするダモン級を次々消滅させていった手腕は見事というほかない。そんな中、俺の攻撃はというとダモン級を消滅させることすらできずその場で膝(?)をつかせる程度。

真次元獣のインパクトが強すぎてそちらへの警戒ばかりしていたが、ダモン級だって不完全とはいえ次元獣には違いない。たかだかブロウバトルで勝ち越していたからと、心のどこかで調子に乗っていたらしい。所詮は中古ATとスクラップをリヴァイブ・セルで固めただけに過ぎない機体だという事を忘れてはいけなかった。

 

……いや、レッドショルダーの連中はATでやれてた。決してATじゃ勝てない相手という訳ではなかった。ストロング・カーラも機体性能だけならATとしては相当いいはずなのだから、今回は機体を動かす俺が弱かったというだけのことだ。まあ、レッドショルダーを比較対象にするのはおかしい気もするが。

 

「とは言え、ATのままでいいって訳じゃないよな……っと」

 

一人でそんなことをブツブツ言いながら手近な瓦礫をその辺に放り出す。

今俺は、()()()()AEUの基地跡を漁っていた。あの次元獣との戦闘が済んだ後、ものすごい速さで撤退していったガンダム達を無事取り逃がして仕方なく帰還したところ、基地はまるで高出力のビームを叩き込まれたかのように焼けただれており、その被害を免れた箇所も何かで切り裂かれたような跡を残してその機能を失っていたのである。

どう見てもあの時遅れてきたウイングとデスサイズの仕業で間違いない。間の悪いことに彼らの襲撃のタイミングでちょうど出撃してしまっていたようだ。思わず空を見上げると「任務完了」とか呟きながらバードモードで飛び去るウイングの姿を幻視したような気がした。

 

怒り心頭のコーラサワー達AEU軍や皮肉げに笑うバイマン達レッドショルダーが各々のお迎えでエリアから退去するのを見届けた後、ナチュラルに置いて行かれた俺は、ヘリオンや輸送機の残骸から飛行ユニットでもでっちあげてやろうかと、こうして廃墟と化した元格納庫を漁りまわっているのだった。

 

「お、ヘリオンの予備パーツ……それと、これまさかアグリッサの残骸か? こんなのあるならなんで使わなかったんだよ。馬鹿なの?」

 

後にあのサーシェスがエクシアをボコボコにするのに使った機体……まあバスターライフルによると思しき破壊跡から見つけ出せたのは機首、つまり特徴的なカニの頭っぽい部分のみで、例の凶悪なプラズマフィールド発生装置を兼ねた脚部は見当たらないのだが。

ひょっとしたら輸送用のホバータイプで、脚なんて最初からなかったのかもしれない。それなら近場への出撃時に置いて行かれるのも分からんではない。

 

ま、輸送用でもなんでもいいんだけどな。今必要なのは武装じゃない……とも言い切れなくなる気分をさっき味わったばかりだが、とにかく今は飛んで移動できることが重要だ。

機首部分の後ろ側……本来ならイナクトの胴体が収まるであろう場所にストロング・カーラを移動させ、膠着姿勢で置いてみる。やや広すぎるが、妙におさまりが良い。これを飛ばすことができれば先端のプラズマキャノンのおかげで一応の攻撃力も備えた、いい感じの飛行ユニットにできそうだ。後はどうやって飛行能力を回復させるかだが、ここは大して悩む必要はない。ゲットーの倉庫の時と違って今回は誰かが来て巻き込んでしまう心配はないので、リヴァイブ・セルを一度に大量放出して半次元獣化させてしまう事が可能だ。たぶんリヴァイダモンが吐き出す名無しの飛行タイプ次元獣みたいな存在として作り直すことができるはず。

 

アグリッサの機首を中心にヘリオンや通常の輸送機の残骸を一箇所にまとめると、降着したストロング・カーラに乗り込んで一気にすべてのパーツを浸食し始めた。

 

「よし、ゲットーの時と違って格段に早い」

 

開きっぱなしのハッチから身を乗り出して下の方を見てみると、虹色の結晶が接着剤のようにアグリッサの機首と多数のジャンクパーツを無理やりつなぎ合わせていくのが見えた。

パーツを全て接合し終えた結晶は次に機体全体を覆い始め、無理やりつなぎとめただけのハリボテ細工に過ぎないそれらを一つの物体として完全に統合していく。

流石は疑似的に真化を行おうと生み出されたリヴァイブ・セル。別々のものを混ぜ合わせるという事に関しては恐ろしい程に有用だ。

 

こうしてわずか数時間で、パイロットを取り込んでいないのでやはり完全な次元獣とはならず、しかしそれに近い存在として、意のままに動かせるサブフライトシステムっぽい物が完成した。

元のアグリッサに比べるとかなり小さい……と思われる。それでもAT一機運ぶには大仰すぎるのだが。

 

「うん、我ながらいい出来だ。いい出来なんだが……さてはこれ、街に近づけないな?」

 

ストロング・カーラ以上に”どう見ても次元獣”な見た目になってしまった。人の生活圏に近寄ればほぼ間違いなく撃ち落とされる。ある程度近くまでこれで移動したらあとはどこかに機体を隠して徒歩で街に入った方がよさそうだ。感覚としては必要とあればかなり離れていても呼び出すことができそうで、到着までの時間を考慮しなければ有事の際も安心である。

 

「とりあえず飛ばしてみるか」

 

呟きながらストロング・カーラのハッチを閉めて離陸するよう念じてみる。すると思いっきり次元獣の鳴き声が鳴り響き、PMCに運んでもらった時のようにふわりと宙に浮く感覚があった。そこから飛行ユニット――安直にフライダモンとでも呼ぶか――と視界がつながり、下方に小さくなっていくAEU基地と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が見えた。

 

「ワァット!?」

 

超間抜けな俺の叫び声と共に飛来した大口径ライフル弾の衝撃を受けてあっさりとバランスを崩し、フライダモンは誕生から数分で地面に叩きつけられて重傷(?)を負った。乗ってた俺は無傷。次元将頑丈過ぎない?

 

「なんで今()()()()が襲ってくるんだよ!? 真次元獣といい、こいつらといい、まだ破界篇だっつってんだろ!」

 

思わず叫んだ通り、気づけば第3次に入ってから参戦するはずの”M9”が落下したフライダモンを取り囲んでいた。

 

「いや、ミスリルに関しては破界篇のソレスタルビーイングと画面外でバチバチやってたとか何とか言ってたっけ……」

 

たしかクルツがその件でロックオン(弟)に絡んで困惑させてたはず……いやそんなことはどうでもいい。今は警告なしで発砲する状態のM9に囲まれてるんだ。

囲まれてるってことはフライダモン制作を見られていたと思っていい。ジェニオンがD・フォルト使ってただけで捕縛対象なんだから、目の前で次元獣なんか作ったら完全にアウト。つまり一連の次元獣騒動の黒幕だと誤解されている可能性が非常に高い。黒幕の元同僚なので概ね正しいのだが。

 

さてここでどうすればいいか……

にげる……フライダモンはしばらく飛べない。陸路でM9から逃げられるわけがない。何よりライフルの銃口がずっとこっちを向いている。あと脳内のドゥリタラーがうるさい。

 

たたかう……勝てない、とは言わない。機体から降りて素手で戦えば多分撤退させるくらいはできる。やった瞬間世界の敵だが。

 

こうさん……ぶっちゃけミスリルの事よく知らないのでどんな扱いされるか分かったもんじゃない。ヒビキの時と同様に話し合ってくれるとは限らない。

 

なかまをよぶ……そんな奴はいない。仮にボルフがここに居たとしてもさっぱり見捨ててくれそうだ。アストラギウスの奴を信用してはいけない(一部除く)

 

なんて迷ってるとM9達が一斉に単分子カッターを持って駆け寄って来た。

 

「呼びかけすら無し! 仕方ねえ、こうなったら降りて……」

 

たたかう を選ぼうとした俺だったが、すぐに妙な耳鳴りに襲われる。

 

「なんだ?」

 

思わず首をかしげるが、すぐに理解した。ドゥリタラーの肉体はこの感覚を知っている。

 

「次元震か!」

 

見渡せば周囲の風景が耳鳴りに合わせるように歪んでいるのが見て取れた。

すぐに領域から離脱……は間に合いそうにない。M9達はしっかり離れたようだが。おかげで俺だけがどこかに飛ばされる形でひとまずこの場は切り抜けられそうだ。

 

「助かった……と言いたいが。これは誤解がさらに強固なものになるパターンだな?」

 

傍からは俺が次元震を引き起こして逃げたようにしか見えないだろう。

思わず遠い目になりながら俺はストロング・カーラの操縦シートに身を投げ出すようにして目を閉じ、大人しく飛ばされることにした。

 

「もうなるようになれ、チクショウ」

 

もしこの肉体に乗り移ったことに誰かが関与していたなら思いっきり恨んでやろう、と心に決めながら、俺はそう吐き捨てた。

 

 

「ふふふ……こんなところで終わりなんて()()()()()もんね。せっかく蘇らせてあげたんだから」

 

次元震に呑まれてその場から消え去るストロング・カーラとフライダモンの姿を見届けたあと、その存在は満足げに微笑んだ。




ガヌマ君を見守る謎の存在……いったい何プティなんだ……
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