起きたら次元将になってたんだが   作:次元獣だもん☆

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なんか知らぬ間にお気に入り数が2倍くらいになってて困惑 ありがとうございます


第7話 蒼い変態

「あっさり片付いたな……」

 

ラガンと一緒に暴れまわり、襲ってきた獣人たちがパーツだけ置いて残らず逃げだした頃、辺りを見渡せばこれでもかというほどのガンメンのパーツの山が築かれていた。後はカミナのグレンを作るどさくさでストロング・カーラに搭載してしまえば修理と強化が同時に行える。まず間違いなくATではなくなるがそんなのは今更だ。ゲットーに帰ったらボルフの唖然とした顔を拝むとしよう。帰れるかどうかわからんが。

 

「無事かヨーコ!」

 

と、声のした方を見てみれば数人のグループがこちらへ駆けて来る。リットナー村のメンバーだ。

そういえば途中でプトレマイオスに乗った”自軍”たちが乱入して来ると思っていたが、来なかったな。こっちの人数がもとより多かったせいで早く片付きすぎたか?

もしくは分岐でこっちに来なかったかだ。うろ覚えだが、確か転移してきたフロンティア船団の調査か、ここ暗黒大陸に出向くか、って感じだったはずだ。それでもクラッシャー隊とかトライダーとかのスーパー組は来たはずだが。いや、来なかったっけ? まあそんなレベルの記憶しかない。

 

確認する手段がない以上は仕方がないので思考はさっさと打ち切り、今どうするのかを考えよう。見ればカミナが早速メカニック担当のオカマ、リーロンにグレン制作を依頼している。俺も便乗することにした。

 

「もしパーツが余ったら俺にも回してくれないか?」

「あらあなた、さっき生身でガンメンと戦ってた変態ね。あなたが暴れまわってくれたおかげで沢山あるし、大丈夫よ。持って行っちゃって」

「すまんね、あれを直したくてな」

 

俺が親指でストロング・カーラの残骸を指さすとリーロンは怪訝な顔をして、

 

「直すよりも、一から作った方が早くないかしら。あの有様だと……」

 

と呟くもひとまずグレンの方に集中すべく、ベースとする状態がマシなガンメン(ギャンザ)の方へ歩いて行った。まさかストロング・カーラが目撃者さえいなければ部品を適当に放り込んで融合して修理完了などというトンデモ仕様な機体だとは思わなかったようだ。ラガンを併用するならガンメンも大概なんだけどな。

 

さて、ゲットーで手に入るパーツはいくらつぎ込んでもバトリングATの域を出なかったし、AEU基地のスクラップ達は文字通りのスクラップ。対して今回のは初めて手に入るスーパー系のパーツだ。これには心が躍る。少なくともダモン級すら倒せず、さっきみたいに移動だけで大破する現状からは脱することができるはずだ。

 

一応、ストロング・カーラそのものが壁になって俺の手元が他の奴に見えないよう位置取りを意識しつつ、こっそりとリヴァイブ・セルを使ってガンメンのパーツを埋め込んでいく。発生する謎の光も、向こうからは溶接でもしているように見えるはずだ。パーツが増えて大型化したことで装甲板の面積が足りなくなるのでそれもガンメンから取ってくる。そうしていく内、徐々に手足が延長され、全体のシルエットはより生物的に、機体サイズもATの枠をそろそろ突破しようかというくらい大型化してきた。目測だが、立ち上がれば5mちょっとくらいか。ほぼガンメンのサイズに合わせた感じだ。SDからリアル体型に、というほどではないが、かなり印象が変わった。

 

「うーん、元がATだったと言っても信じてもらえるかは半々ってところか?」

 

一応頭部は角が生えているものの、アストラギウスAT特有の半球ドームにターレットレンズという構成のままなのでまだギリギリ分かるレベルだろうか。

 

改造には結構な時間がかかったが、倉庫のストロングバックスを改造し始めたときに比べれば驚くほど早く済んだ。なんだかんだで慣れというか、経験値というか、そういったものは得ているらしい。一息ついてチラリとリーロンたちの方を見ればギャンザの組み直しはほぼ終わっており、あとは例のグラサンがつけばグレンになると言った状態まで行っていた。元々規格の合うパーツ同士だろうとはいえ、次元将パワーとリヴァイブ・セルを合わせた高速作業(反則技)と大してスピードが変わっていない辺りは流石メカニック担当といったところか。

 

「こっちは終わった。なんかそっちで手伝うことあるか?」

「あら……ずいぶん早かったわね。いいえ、こっちももう終わるし、大丈夫よ。それより完成したら早速テストしたいし、そろそろコレ依頼した張本人、連れ戻してきてくれる?」

「ああ、狩りにいったんだっけ。あっちの方か?」

「そ、よろしくね」

 

カミナたちを探して歩きながら今後について思いを馳せる。より具体的にはこのままグレン団の新入りとしてついて行くべきかどうかというところだ。多分だがこの後グレン団ご一行はスーパー組と出会い、いくつか原作イベントをこなした後で暗黒大陸から離脱、そのままZEXIS加入というルートをたどるはずだ。そうなった場合、俺もついでに加入できる可能性は高い。高いのだが、加入してしまえば、フライダモンはどっかに待機させておけばいいとして、それでも確実にストロング・カーラを調べられてしまう。AEU軍の時はMSとATの違いもあって「整備? 自分でやれ」って感じだったので特に問題はなかったがZEXISではそうもいかないだろう。

 

まだヴァイシュラバ(ガイオウ)すら顔を出していない状況で、内部の半分くらいは次元獣と言っても過言ではない機体を持ち込んだらどうなるかはいろんなパターンが想像でき過ぎて実に恐ろしい。次元獣は基本的に駆除されてサンプルなんて貴重品もいいところだろうからストレートにバレるってことは無いと思うが、それでも怪しまれたらうまく言い訳できない。WILLやらルルーシュやらの頭脳派達を全員騙し切るなんて無理ゲーもいいところだ。

 

先に次元将云々の説明(ネタバレ)をしてしまって少しでも信用を得る、というのも手ではあるだろうが、脳内のドゥリタラーが”同胞を売るのかおまえ”とチベットスナギツネのような目を向けてきているように感じて気が進まない。やっぱりこの肉体、俺の意思に染まり切ってるわけじゃなさそうなのが時々厄介だな。

 

であればスーパー組が来る前に別れてしまって、何とかゲットーに帰って傭兵に戻るしかないだろうか。いやそういえばミスリルに正体バレてるんだった。一人でうろついてたら絶対また襲撃されるわ。それどころかリークされたら国際指名手配待ったなしだな?

 

となると、やはりついて行ってエルガン辺りに僕悪い次元将じゃないよと主張してZEXISに入るかクロノ改革派に雇ってもらうか。

クロノの方は折を見て離脱しないと”アドヴェントこそが正義だ!(意訳)”しか言えない真徒にされる危険がある。エルガンを生存させられれば多少は組織寿命は延びるだろうが、生きててもAGに統合されそうだし、そうして結局リーダー不在となったところをアドヴェントに乗っ取られる可能性は高い。あと、破界篇の最後にエルガンがリボンズに捕まるイベントがあったな。そうなったらあいつの命令きかなきゃいけないんだろうか。

 

ZEXISに入る場合、あそこは序盤の時点でギシン星人のタケルが受け入れられてるので次元将とバレても悪意を見せなければ意外といけそうではある。タケルの場合は事情が特殊なので一概には言えないが。

 

「迷うが……どっちにしろエルガンとコンタクト取らなきゃいけないのは確定か。そして今更正体隠すのは無理だ。話聞いてくれるかな」

 

ならこのままグレン団について行ってクラッシャー隊を待つとしよう。

そこまで決めてひとまず思考を打ち切った俺は視界の向こうに見える、原作再現中のカミナたちの方へ駆け出した。

 

 

 

「新手か!」

 

人間掃討軍極東方面部隊長、ヴィラルは突如として飛来してきた何かを間一髪で回避する。標的を失ったソレは地面に激突して大量の土を天高く巻き上げたあと停止した。この時点でまだ不死じゃないヴィラルに当たったらどうするつもりだったのだろうか。

 

「単なる蹴りで、地面にクレーターが! そうか、貴様が報告にあった蒼い変態!」

「え、俺そんな報告されてんの?」

「ああ、うん……それは仕方ないと思うな」

「シモン!?」

 

仲間からの辛辣な評価に愕然とする蒼い変態(ガヌマ)を油断なく見据えながら、ヴィラルは次の一手に思考をめぐらす。ただでさえ油断ならない相手(カミナ)との立ち合いの最中であったというのにこの本当に人間なのか疑いたくなる増援まで加わるとなっては、業腹だが生身のままでは少々厳しいと言わざるをえない。

つまり取るべき選択は一時撤退からのガンメンによる再襲撃。

 

素早く後ろに跳んで距離を取ったヴィラルにカミナが食らいつこうとするが、少し遅かった。

 

「野郎、逃げる気か!」

「剣や格闘はできるようだな人間ども! だがメカの方はどうかな?」

 

そう言い残して撤退するヴィラルを見送った後、ニヤリと笑ったガヌマはカミナに告げる。

 

「カミナ、リーロンから伝言だ。そろそろお前のガンメンが完成するから戻ってこいってな」

「ちょうどいい、早速グレンの初陣だ! 気合入れろシモン!」

「グレン……? わ、わかった!」

 

今でも戦うとなれば怯んでしまうシモンだが、カミナが信じてくれているという事が、震えて奥深くに隠れようとする心を引きずり出してくれる。やや頼りないながらもしっかりと闘志を固め、愛機ラガンの置いてある場所まで走り出そうとし、()()()()()()()()()()()()()

 

「あれ?」

「飛ばすぞ。しっかりバランスとれよ」

「おう。よくわからんが頼むぜ、ガヌマ!」

 

振り返れば自分を片手で引っ掴んでいるガヌマと、その傍に堂々と仁王立ちするカミナ。そして何やら不可解な会話が聞こえる。

 

「えっ……何?」

「ちょうどこの真下で自己修復が終わったらしくてな」

 

せっかくの闘志の出鼻をくじかれたようで困惑するシモンの問いにガヌマがそう答えると、それに合わせるようにして地面が不規則に揺れ始める。

すわ地震かと身構えようとするも、掴まれて宙ぶらりんな状態であることを思い出してそれは諦め、代わりにすがるような目をガヌマに向ける。返ってきたのは出会って以来たびたび見せてきた無駄に良い笑顔。この厳つい見た目で意外と親しみやすいのだと知らせてくれたこの笑顔は、しかしこの時ばかりは不吉の象徴のように思えてならなかった。

 

「ねえ、この揺れ……ていうか今、真下って! ()()()()()()()()の?」

「「うろたえるなシモン! 男ならどっしり構えてろ!」」

「アニキまで!」

 

元凶っぽいガヌマはともかくカミナまで自信たっぷりにハモってくると、もしかしておかしいのはうろたえている自分の方なのだろうか、という考えが心の片隅に芽生えかけたシモンだったが、少なくとも獣人にすら変態呼ばわりされるガヌマよりは一般的な思考のはずだと、何とか持ちこたえる。

 

やがて揺れがガヌマに掴まれていなければ倒れ込んでいただろうというくらいに大きくなった時、足元の地面が崩れ去った。

 

「スナイパーM9は多分いない! これが真の初飛行だ! 行くぞフライダモン!」

 

ガヌマが叫ぶと同時に崩れた地面の中からガンメンより二回りほど大きい”何か”が上昇して来てガヌマとカミナの足場となる。足場となった”何か”はそのまま上昇を続け、ある程度の高さに到達すると獣の叫び声のようにも聞こえる奇怪な音を上げながら空中を移動し始めた。

 

「うわああ!? 飛んでる!?」

 

脚が無く、翼の生えた虹色の蟹、と地上の人間なら表現するだろうか。そんな見た目の怪物に運ばれながらシモンは未だ自分を掴んでいるガヌマの腕にしがみついて絶叫する。

地下から地上へ出てきたばかりだというのに今度は空ときた。土の中からガヌマを掘り当ててからというもの、あまりにも目まぐるしく変わる状況にそろそろ眩暈がしてきたシモンだったが、空に上がったことで地上の、仲間たちを待たせている場所の状況が見えてきて、すぐにその眩暈は吹き飛んだ。

 

「ガンメンがあんなに……皆が危ない!」

 

人間掃討軍極東方面部隊とやらはいつでも出てこられるように待機していたようで、ヴィラルが一旦退却してからほとんど時間が経っていないはずだというのに、先日の戦いをゆうに超える数のガンメンが仲間たちのキャンプ地を包囲するようにじりじりと進軍しているのが上からは良く見えた。

彼らはこれまでも獣人のガンメンと戦ってきたと言っていたが、あの数に襲われればひとたまりもないだろう。

 

「や、やるんだ。皆を……守るんだ!」

「おもしれえ、派手な初陣になりそうだぜ。かかってきやがれ、あの野郎!」

「今回は俺もメカ使うからな。蒼い変態は今日で廃業だ。絶対にだ」

 

三者三様に渦巻く闘志を背中(?)に乗せて、フライダモンは彼らの乗機がある場所まで急降下していった。




ヨーコは別のところで狩りやってて先に戻ってます

ガヌマが蒼いせいで一瞬カミナが蒼い変態ではないかという謂れなき風評被害がヴィラルの中で起こっていたとかいないとか
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