A Wish ~星に願いを~   作:あらほしねこ

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ツイッターで投稿されたピクチャードラマのSS化を快く了承して下さった『がもり』氏に、心からの感謝を捧げます。


夢零夜『幻肢痛』

 いつもの時間に起きて

 いつもの制服に着替えて

 いつものバスに乗って

 いつもの道を歩いて

 いつもそこにある校門をくぐって

 いつもの校舎

 いつもの下駄箱

 いつもの廊下を歩いて

 いつもの階段をのぼって

 また廊下を歩いて

 教室のドアを開けて

 自分の席に座る

 今日も、普通の一日のはじまり。

 

 授業はたいくつ

 先生の話もたいくつ

 でも

 たまに、はっとするようなことをいう時があって

 それが、先生自身の言葉なのか

 受け売りなのかはわからないけれど。

 

 いつもの放課後

 友達が話しかけてくる

 帰りにカラオケいこうって

 そうだよね

 楽しそうだもんね。

 わたしもいきたいな

 うん

 わたしも、いくよ。

 

 家に帰って

 お風呂入って

 ご飯食べて

 部屋に戻って

 スマホで音楽聞きながら宿題

 おわったら、ベッドの上でゴロゴロする

 なんていうかさ

 特にやることないしさ。

 

 ふと目を向けて

 カラーボックスの上に置いてある

 小さいころ使ってた粘土箱

 なかの粘土は、さすがにあのころと同じじゃないけど

 新しい粘土が入っているから

 いつでも使おうと思えば、使える

 道具だって、まだ引き出しのなかにはいってる

 でも

 なんかそんな気になれない

 なんでだろう

 お母さんにしかられたから?

 友達がひいちゃうから?

 ううん

 たぶん、そうじゃない

 そうじゃない・・・かもしれない。

 

 わかんない

 どうしてなのか

 ここに帰ってきてから

 全然気持ちがなくなった

 キライになったわけじゃない

 あきちゃったわけじゃない・・・とおもう

 でも、わかんない

 本当に

 たったひとつわかってることは

 痛い

 怖い

 悲しい

 だから、手が動いてくれない

 だから、気持ちが動いてくれない

 わたしの心の中の怪獣は

 どこいっちゃったんだろう

 そんなこと考えてたら

 なんかすこし寂しくなって

 だんだん眠くなってきた

 今日は、もういいかな。

 

 そんなカンジの、だいたい同じ毎日

 別に、不満なんてない

 学校には、友達だってちゃんといる

 成績だって、そんなに悪くない

 体育は、ちょっと苦手だけど

 たいくつなのは、満たされてるからなんだって

 たいくつなのは、恵まれてるからなんだって

 なんかテレビでいってたっけ。

 

 ホントに、そうなのかな

 満たされてるのかな

 恵まれてるのかな

 わたし

 だったら

 この痛みはなんなんだろう

 あの時から

 ずっと消えない見えない痛み。

 

 どこもケガなんてしてないのに

 どこも悪くなんてないはずなのに

 どうして、なんで

 いつまでも

 この痛みは消えてくれないの?

 

 ウソ

 ホントはわかってる

 わかっているんだ。

 

 会いたい、みんなに

 帰りたい、あの町に

 でも

 わたしは

 この世界で生きていくって約束したんだ。

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