A Wish ~星に願いを~   作:あらほしねこ

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夢一夜『来訪者』

 わたしは、あんまり夜ふかししない。

 別に、健康のため、とか。美容のため、とか。

 そんな理由じゃなくて

 眠ったら、夢を見れるから

 夢の中で、あの町に帰れる時があるから

 だから

 わたしは、なんにもなければ早く寝る

 だから

 おやすみなさい。

 

 

 座り慣れた椅子、使い慣れたPCデスク、使い慣れた工具、使い慣れた紙粘土。

 嗅ぎなれた部屋の空気、片付けそびれたゴミ袋

 大好きな怪獣たちを並べたキャビネット。

 また、帰ってこれたんだ

 そんなに長くいられないけど、目が覚めたら消えちゃうけど

 でも

 やっぱ、うれしい

 なにしよっかな

 ひさしぶりに新作作ろうかな

 それとも

 町を散歩してみようかな

 どうしてかわからないけど

 みんなには全然会えないけれど

 しかたないよね、夢なんだから

 

 いろんなことを考えてたら、玄関のチャイムが鳴った

 誰だろう

 なんだろう

 もしかして

 ヤダ、なんか急にドキドキしてきた

 また、チャイムが鳴った

 わかりましたー

 今いきまーす。

 

「ウソ・・・なにこれ・・・」

 ドアを開けて、なんでこうなったのかわからなかった。

 っていうか、なにこれ

「なんで・・・マジで?」

「私は、ウルトラマンタロウ。M87星雲、光の国から来た」

 それは知ってる

 なんで

 なんで、わたしんちにウルトラマンがくんの?

 ってか、ホントにいたんだ

 いやいやいや、これは私の夢

 いたって別にあたりまえじゃん

 なにいってんだか、わたし。

「驚かせてしまって申し訳ない」

 あれ、割と常識人?

「新条アカネ君、君に会いに来たんだ」

 いやいやいや、あり得ないし

 やっぱコレ、マジ夢だし。

 

 

 変な夢

 マジあり得ないし

 わたしは、怪獣が好きだから

 ウルトラマンって、怪獣やっつけちゃうし

 でも

 なんでだろう

 ちょっとだけ

 おもしろかった。

 

 

「おっはよー!アッカッネッ!」

「あ、おはよ、クマっち」

「ねぇねぇ、アカネ、今日数学の豆テストあるじゃん」

「そうだね」

「あのさ、ヤマとか教えてくんないかな」

「え?」

 わたしの友達、樋熊エミリ

 だから、クマっち

 だって、クマっちってカンジだったから、自然とそうなった

 なんていうか

 しらないうちに仲良くなってた子

 それはそうとして

「っていうかさ、豆テスト、今日だし。今からヤマって・・・」

「アカネって頭いいじゃん、だから、そこをなんとか」

「マァジでぇ・・・?」

 クマっち

 得意技は逆立ち

 こないだの体育の時間に、片手で逆立ちしてみんなをびっくりさせてた

 それくらい超フィジカルエリートなのに帰宅部。

 でも、勉強は全然ってカンジ

 なんていうか、おバカの子

 あ、それはちょっとヒドイか

 だけど

 なんでか知らないけど、一緒にいると楽しい。

「いいけどさ、ファミレスおごってくれるなら」

「え!?・・・うー、あー、セブンじゃ・・・ダメ?」

「ダメ~」

「そんなぁ~!!」

「うっそー、へへへ。いーよ、いっしょにやろっか?」

「うぁあん!ありがとぉー!アカネぇ!!」

「ちょっ!わかったから、ハズいから!」

 だから、外で抱きつくのやめて

 ってか、すっごい力

 なんか、すっごくグイグイくる

 最初は、ちょっとウザかったけど

 今は、一緒にいて楽しいし

 一緒にいてくれてうれしい

 

 

「よかったぁー、さっすがアカネ先生。ヤマ当てばっちしだったじゃーん」

「そうだねぇ、よかったねー」

「うんうん、これでブースカにイヤミ言われなくてすむよー」

 ブースカ

 クマっちがつけた数学の先生のあだ名

 理由は、先生の見たまんまのカッコ

 マジそっくり

 っていうか、最初聞いたとき、めっちゃウケた。

「ホント、マジありがとねー、アカネー」

「どういたしましてー」

「だーかーらー、お礼にぃセブンとぉ・・・スタボおごっちゃう!」

「え、いいの?」

「いいよーいいよー、じゃんじゃん飲んでよー」

「いや・・・じゃんじゃんとか無理だし」

 

 

 放課後、約束通りっていうか

 クマっちに引っ張られてスタボに寄った。

「っでっさぁー、コーネリアスったらさー、マジありえなくなーい?」

「うん、それはちょっとヒドいよね」

「だっしょー?“樋熊さん、あなたは将来、建設作業員しかなれないわね”ってー、それって工事のオジサンにめっちゃ失礼じゃーん」

 コーネリアス

 これも、歴史の先生のあだ名

 理由はやっぱり、みたまんまそっくりだから

 でも、女の先生にそれはどうかなって

 ちょっとだけ思う、確かにオバサンだけど

 っていうかクマっち、先生たちにおこられすぎ

 クマっちは映画が好き、だから、特撮とかもわりと知ってる

 だから、先生にいろんなあだ名つけまくってる

「工事のオジサンがいなきゃさー、道路も建物もなんにも出来ないわけじゃん?」

「そうだねー」

 クマっち、変なとこでマジメ

「あ、そーだ。アカネ、こないだゲーセンで取ったやつ、超いっぱいあるんだけどさ、アカネもなんか欲しいのある?」

「え?」

「なんか、大漁だったからさー、おすそ分けってやつー?」

 そういって、クマっち、鞄の中からプライズとかのフィギュアを取りだして、テーブルの上にひろげだした。

「ちょ、クマっち、ここで?」

「なんで?べつにいいじゃん、なんも悪いことしてないし」

「えぇ・・・まあ、そうだけどさぁ・・・」

 テーブルの上に並ぶ、キーホルダーとか、ちっちゃいぬいぐるみとか

 クマっちは、ゲーセンが大好き

 よくプライズゲームとかで遊んでるけど

 景品が欲しいって言うより、取れたことが楽しいってカンジ

 勝った、って気がするんだって

 だからたまに、こうしておすそ分けとかいって、もってきてくれるんだけど

「へぇ・・・」

 っていうかクマっち、がんばったね

 なんかいろいろある

 どれにしようかな

「何個でもいいよー、ってか、全部もってっちゃっていいし」

「いや・・・そんなにいいよ・・・あ」

 いろんなマスコットの中に、一個だけウルトラマンがあった

 タロウだ

 真っ赤な体

 騎士みたいな銀色の顔

 二本の三日月みたいな角

「あのさ、これ、もらっちゃっていい?」

 

 

「フフーン、フフフン、フンフーン、フーン」

 鼻歌うたうなんてひさしぶり

 ベッドの上に寝転びながら

 今日クマっちからもらったキーホルダーを

 プラプラ揺らして遊んでみる

 あのあとほかにもいろいろもらったけど

 なんかこれが、一番に気になってるカンジ

 タロウ

 またこないかな。

 

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