FIS組の挨拶を終えた優斗は、今ウェル博士とナスターシャ教授に別れを告げ携帯を取り出すと弦十郎へと連絡を入れる。
数分すると返事が返ってき、優斗は確認すると画面を消す。そして深呼吸をすると心を落ち着かせる。
優斗「来週か...........」
静かにそう呟き優斗は家に帰宅する。
そして1週間後優斗はいつもの格好で大きな木製の門の前に立っていた。此処は風鳴本邸、つまり翼の実家であり弦十郎及び翼の父である
門は大きく優斗はどうやって叩くかを考えていると大門は自然とゆっくりと左右に開かれていった。
開かれた門の先は石畳が続きその先の家には弦十郎と翼そして奏が待っていた。
弦十郎「コッチだ!」
翼「時間ピッタリです優斗さん」
奏「昨日はよく眠れたか?」
優斗「まぁぼちぼちってところかな........」
奏「そう固くなんなって!気楽に行こうぜ」
翼「奏......それは少し」
といつものように話しているが実は翼と奏もかなり緊張しており、なんなら奏の方は手汗が出ている。
2人なりに優斗の緊張を解こうとしているのだ。優斗は軽く息を吐くと
優斗「悪いな、もう大丈夫だ」
と言って2人の肩を軽く叩く。2人は優斗の方を向くと微笑み優斗の手に自身の手を添えるのだった。
気持ちを落ち着かせた優斗は家内へ入り足を進める、暫く歩くと大きな両開きの襖にたどり着く。
弦十郎「親父!兄貴!俺だ、彼を連れて来た!」
弦十郎は大きくそう言うと襖の向こうから声が返って来た
???「........入れ」
重みのある声に優斗は確信する、この声の主は彼の風鳴訃堂であると
優斗(声だけでここまで威厳が出るのか、蒼汰が言うには外道だって話だったがこの風鳴訃堂はどうなんだ.........)
優斗が少しの不安を抱える中弦十郎が襖を開ける、目の前には左には戸が開かれ綺麗な庭が見え、右は同じ様に襖がありその奥には翼の父である八紘が座っており、正面には胡座を組み腕を組んだ白髪長髪の老人が傍に真剣を携えズンッと座っていた。
優斗(あれが風鳴訃堂.........なんて威圧なんだコレが護国の鬼とも言われた訃堂のプレッシャー.......)
優斗は固唾を飲み込み息を整える、弦十郎の方を向くと向こうは行ってこいと言うように首を前に出す。優斗は一度目を瞑り覚悟を決め一歩を踏み出す。
その時訃堂はギンッと目を開くと優斗は一瞬身動きが取れなくなった、プレッシャーを感じ息が少し詰まったがそれを振り払うように力強く更に一歩足を進める。
するとプレッシャーは途端に消え優斗は不思議に思いながら足を進め座布団が置いてある場所まで進むと正座をする。
訃堂「・・・」
優斗「・・・」
座ったが無言の2人張り詰めた空気に優斗は意を決して話を始める。
優斗「今日はあなた方にお話しがある事、そして翼と奏とのお付き合いの件で来ました。」
訃堂「........申してみよ」
優斗は今一度深呼吸をすると口を開く
優斗「ご存知かもしれませんが俺は奏と翼の他に9名と恋人関係になってます。今日はそのご挨拶に来ました。」
優斗が話すのをやめると訃堂は腕を解くと傍に置いていた真剣を持つと一歩また一歩と近づいてくる。優斗は立ち上がる事無く姿勢を崩さずジッと座っていた。
やがて目の前に立つと訃堂は素早く抜刀し優斗の首目掛け切りかかり、首に寸止めをする。
訃堂「何故動かん?」
優斗「アンタは俺を斬るつもりが無いからだ、斬るつもりなら殺気を俺が見逃すはずがねぇよ。」
訃堂の問いに淡々と答える優斗、緊張の糸が張り詰めそうな時座っていた八紘がため息を吐き口を動かす。
八紘「親父試すのはそれくらいでいいだろ」
八紘の一言に訃堂は刀を鞘に納めると豪快に笑い出した
訃堂「クワッハッハッハ!見事じゃ優斗よ!孫の翼が婿を連れてきた時はコレをしようと決めていたが、流石は翼が見込んだ漢よ!」
と訃堂は言う、要は先程のやりとりは試験の用なものだった様だ。
優斗は殺気などには敏感な為分かっていた、そんな優斗の元へ翼と奏は慌てた様に近づいて来た。
優斗「おぉ、2人ともなんとか許可してもらえた......」
奏「おい優斗!お前傷は無いよな!血とか無いよな!」
優斗「奏?俺はなんとも無いから落ち着け?」
訃堂「ホッホッホ、奏ちゃんは心配性じゃのぉ」
翼「お祖父様!なんて事しているんですか!もし刃が当たってたらどうするつもりだったんですか!?」
訃堂「つ、翼?儂はそんなに信用ならんのか?」
翼「剣術を教えてもらいましたので実力は知っています。しかし!それとこれとは別です!」
奏は優斗を心配し右側から抱きついており、翼は風鳴機関のトップである訃堂を叱責していた。孫であるからこそ出来ることだろう、そしてこの世界の訃堂は翼に弱い様だ。
優斗(なんか無駄に緊張したな、蒼汰からの情報はあまり真に受けない様にしよう)
優斗はコレを機に蒼汰からの情報は少し疑う様になった、訃堂が翼からの説教を終えると優斗に近づき話しかける
訃堂「しかし、先ほどは誠に見事な気配感知であった、コレでもいくつもの戦場を駆け抜け気配の隠蔽は得意だったのだがな」
優斗「まぁ、独学だが気配の感知には自信があるんだ。ノイズの気配は神様からの恩恵みたいなものだが」
訃堂「いやそうだとしても流石だ、勝鬼の血が入っているだけはあるの」
訃堂の一言に優斗は動きが止まる
優斗「訃堂さん........勝鬼って言ったのか?」
訃堂「む?そうだが?」
優斗が少し動揺していると翼と奏が疑問に思い聞いてくる。
奏「なぁ優斗、勝鬼って誰なんだ?」
翼「お祖父様もその方とご面識が?」
2人の問いに優斗と訃堂が答える
優斗「勝鬼........
訃堂「そして勝鬼は儂の唯一の親友とも呼べる者だった。」
ツヴァイウィング『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
とんでもないカミングアウトをくらいツヴァイウィングの2人の叫び声は風鳴邸によく響いた。