(番外編)もしCCAアムロが一年戦争にタイムスリップしたら 作:BLAUFALK
ここのところひどく大雪が振り続くオデッサの空は晴れていた。なるほど大方スペースノイドにとって初めての地球。足場が悪くなるのを避け、降下には絶好の日和を選んだと言うわけだ…
そう独り言散るはこの俺、万年中佐でも構わず、同期らに出世を抜かれながらも空に在ることを選んだパトリック・ジョン・ローゼンバーグ51歳。コールサインはPJ。
月の貨物用マスドライバーを転用した質量弾攻撃で大気圏外まで届くはずのミサイルやコロニー落とし阻止のためにやむ無く連邦軍が使用した核ミサイルの基地のことごとくが叩き潰されており_そう、現在オデッサ司令部が真っ青になりつつ出撃待機を命じたのは俺を含むFF-3『セイバーフィッシュ』の部隊である。
各自がめいめいにロッカーで着替えし、俺もまたそれを済ませ愛機佇むハンガーへと向かう。
おお_見えるぞ、地平線スレスレに小さく見えるあの火球が…全部ソレなんじゃないか?
それは次第に大きくなりつつ、しかもこっちに向かってきているのは火を見る如く明らかである。原作知識においてジオンがこの第一次降下作戦をしてくるのはとうに知っていたが、やはり知識と目で見るのは全く違う。
かつ幾ら南極条約を結んだからといって敵軍を信用するほど甘くはない、それは長年戦地の空を飛んできたことから来る考えであった。
≪管制、こちらPJ。発進許可はまだか!?≫
≪PJへ、こちら管制。駄目だ、輸送機の退避が先だ。各隊タキシングにて待機せよ≫
≪ち…クロウ隊各機、機体チェックは終わったか?この状況だ、いつでも発進できるようにしておけ。一つ目野郎満載のHLVが迫っている≫
≪クロウ1、こちらクロウ2。AAMが使えないという話ですが、何故我々に搭載指示を出したんです!?≫
≪こちらクロウ3、同意見です≫
≪同じくクロウ4、こんな重いもん持ってったって当たらないんでしょう?外すべきじゃないんですかPJ≫
ミノフスキー粒子散布下における誘導兵器があまりに脆弱となることは既に知られている。では何故か。
≪野郎ども、よく考えてみろ。敵さんが降下する前に散布できる機会があると思うか?戦艦でも降りてくるんなら別だがな、今はまだコイツは使えるはずだ…駄目だったら増槽よろしく棄てれば良い。おそらくミサイル基地を叩いたりしたのはこういう理由のはずだ≫
≪こちら管制、たった今滑走路が空いた。クロウ隊離陸せよ、後がつかえてる≫
≪了解!聞いたな野郎ども、一番槍は我が隊がいただくぞ。クロウ1、発進する≫
滑走路からFF-3、そして別の滑走路からFF-6『TINコッド』が続々離陸する。しかし降下してくるHLVのゆうに100を数えさらに増えつつあるのに対し、上がった機数はあまりに少ない。せいぜいが16個編隊というところであり、1個編隊が伝統の4機であることを踏まえれば明らかだ。
これはコロニー落としの豪州そして太平洋沿岸地域への被災地援助と同時に来るべきジオンの地球侵攻作戦に対し目標が不明であることから航空隊を分散させてしまったことにその理由がある。
≪…クロウ隊各機上がったな?よし、各機聞け。チャンネルを147に合わせろ≫
≪こちらクロウ2、了解……合わせました、どうぞ≫
このほかクロウ3、4も同チャンネルに合わせ、部隊間のみの交信に移る。
≪…気づいているだろうが、あまりにこっちの頭数が足りない。他の基地から増援が来るのかさえ分からんし、ここいらで近いワルシャワとベオグラードを含めたとしても無理だ≫
≪こちらクロウ3、それは…そうですがしかし、どうします!?≫
≪管制あたりでももう気づいてるはずだ、ミデアなりを先に逃がしたのも司令部がとっとと逃げるためだろうよ…奴さんが基地から十分離れたのを見計らって俺らも東へ逃げるぞ、地上部隊はどうやっても逃げ切れん≫
≪友軍を見捨てると言うんですか!?≫
≪バカ言え!これは撤退戦だ、鼻からそのつもりで出撃させられたんだよ俺たちは。…各機、燃料を使いすぎないよう気をつけろ≫