(番外編)もしCCAアムロが一年戦争にタイムスリップしたら   作:BLAUFALK

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02 オデッサ撤退戦(後編)

 距離5000…4500…4100…3700…3400

 TGTとの距離が縮まっていくが、急に遅くなり出した。地表降下のために制動をかけているのだろう。こちらからはまだ対空砲火のひとつも上がってない様子を見るに地上もさぞ混乱しているのかもしれない。

 

 ≪タリホー!各機散開、増槽投棄し安全装置を解除しろ。一航過で出来る限り落とす、目標はデータリンクで指示した通りだ。スラスターを狙え。その後上へ逃げて俺のケツにつくんだ≫

 

 部下に素早く指示を出し、HLVの尻すなわち目下制動をかけているそのスラスター部の破壊を狙う。この巨大な卵の形の物体をまともに撃破するなどFF-3の搭載火器では相当骨が折れる。FF-3はミサイル付きブースターパックが非対応の地上仕様であり、両翼に懸架するAAMはアクティブレーダー式が4発、赤外線誘導式が2発。FF-3Sと共通なのは機種の25mm機銃である。

 ではその質量と高度を利用し、制御不能にすればどうか。味方の上に落とすなという無茶な点を除けば画期的なアイデアだ。

 

 AAM等の搭載火器が少なく、FF-3より加速の優る友軍のFF-6が先頭に躍り出る。一番槍を持って行かれ早々に1基のHLVがスピンし落下していく。ただしもう1基には浅かったようで、HLVのハッチが開く_この場でMS-05を降ろすつもりだ。

 

 今さら目標変更は出来ない、なおもTGTとの距離は縮まる。レティクルが4基同時にロックし、1800…1600…今!

 

 ≪クロウ1、FOX3 FOX3≫

 

 僚機と他の部隊も次々ミサイルを放ち、白煙が尾を引いて目標に吸い込まれていく。だが他の部隊は特段狙いを絞っている様子がなく、的が大きい分4発程度ならば命中しても爆散する様子はない。その点我が隊は目標の6割方は叩き落とした。みるみる地上へと刺さっていき、逃げ出そうとしたMS-05や兵員や貨物が空へ無軌道にバラけて墜ちていく。

 

 双方の相対速度が速く、インメルマンターンの要領で上にギリギリ避ける。視界の端で何かが空に爆ぜていくのが見えたのは同時だった。

 

 それでもMS-05や06の何機かは射出され、それを横からかっさらっていく機があった。空軍には珍しい宇宙軍用の機体、FF-3Sで。そいつはMS-06を2機仕留めたが同時にブースターパックを掠めて引火、爆発の前に切り離した。同時にFF-3Sの武装は機種のバルカン砲だけとなり、これ以上踏み留まるのは危険と判断したのか東へ方向転換し逃げていく。

 

 ≪各機、生きてるか?…2番機と4番機はどこだ?≫

 

 ≪クロウ1、こちらクロウ3。分かりません、こちらも手一杯で≫

 

 ≪駄目か…識別反応ロスト…管制、輸送機はどうか?≫

 

 ≪各隊持ち場にて奮戦せよ≫

 

 ≪管制?≫

 

 ≪各隊持ち場にて奮戦せよ≫

 

 ≪管制、こちらクロウ1。応答されたし≫

 

 ≪各隊持ち場にて奮戦せよ≫

 

 ≪くそ、逃げたか!≫

 

 どう聞いても録音した音声である。偉いさんが俺らを殿にしたように管制の連中も逃げるつもりらしい。オデッサの滑走路はずいぶん遠くなったが最後のミデアが離陸していく様子に気づいた。ようやく地上が忙しく応戦を始めたようで味方に合図も送らず対空砲火を上げ始め、友軍のFF-3が被弾。イジェクトシートが飛びパラシュートが開いたのは見てとれたが_撃ち漏らしたMS-05と06、HLVが続々と上陸し、ワッパやAFVが降りつつあるこの状況では降りられる場所などない。もはや敵中ど真ん中である。

 MS-06が後ろ向きに砲を撃ちながら逃げるタンクの砲弾を躱し、その手に持つ120mmという恐るべき口径の弾をマシンガンとして軽々扱い、ただ為す術も無く撃破されていく。小石のようにジープが蹴っ飛ばされ、数バウンドのちに爆発。防衛戦のぼの字もなく破竹の勢いで友軍が各個撃破される。

 

 ≪クロウ1、中佐!微弱ですが、西275の方角、ヘビィ・フォーク級が撤退支援要請を受信しました≫

 

 ≪それだ!こちらクロウ1、この空域の全航空隊へ。クロウ隊はこれよりヘビィ・フォーク級の撤退支援に向かう。生き残った者は当隊指揮下に入れ、全速で離脱する≫

 

 ≪ウチの隊長が落とされちまったんだ、置いていけない!≫

 

 ≪ついてくる者だけでいい、もはや我々は帰る家を喪った≫

 

 基地滑走路にMS-06が雪崩れ込み、それに敵のタンクやAFVが続く。ハンガーの連中が逃げてくれたことを祈りつつ西へ急行する。

 

 

*****

 

 結論から言ってワルシャワまでどうにか落ち延びた。無事に撤退できた者は非常に少なく、航空隊も基地の偉いさんもマッハ5で飛ぶ敵機戦闘機の餌食となり…確認する限り撤退できた部隊は以下の通り。

 

・FF-3 11機(うち中破が1)

・FF-6 1機

・ミデア輸送機 3機

・ヘビィ・フォーク級 1隻(ただしブリッジ大破)

・61式戦車 41輌

・ラコタ 52輌

・兵員輸送トラック 6輌

 

 部下のクロウ3はケツにAAMをきっちり2発食らって脱出する時間もなく空に散り、そして、中破したFF-3が俺。無理だろう、どんな耐Gスーツを着込めばそんな速度に耐えられるというんだ。おかげで破片が右腕を抉り、愛機は右主翼と左尾翼が脱落。

 とはいえ最終的な戦果としてはHLV3基、MS-06を1機、MS-05を1機、AFVを13輌、ドップを1機というものとなった。




 ≪多大な犠牲を払ったが、オデッサからの戦術的撤退は完了した。当ワルシャワ基地はこれより基地施設を自爆処理し、戦力再編のためミュンヘンへ後退する。負傷者についてはハンブルクにて臨時開所中の野戦病院が収容する。各自明日0900までに支度せよ、以上だ≫
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