森がさざめき立っている…?
意識を取り戻したアレカは一人森の中を歩いていた。
その足取りは重く、まだ体が完全には回復していない証拠であった。
そんななか、森の様子がおかしいことに気づく。
恐怖……?まるでなにかに怯えているみたい……?
一度、森の魔力を取り込むことで一体化したアレカは森の感情のようなものが感じ取れるようになっていた。
その森をさざめかす原因とは“なにか”、アレカは我がことのようにして足早にその地へ導かれるようにしてその歩を進める。
「……ひっ!?」
その途中で、思わず悲鳴が漏れる。
意識を森の方に向けていたことで遅れたが、自分のすぐ近くに巨大な像があることに気づく。
見るとその辺り一面も赤黒く染め上げられていることに。
「な……なに…これ?」
エルフの弓使いはおそるおそるといった様子で巨像のようなものにぐるりと一周するようにして“それ”が何なのかを探ろうとする。
「-----っっ!?」
今度は悲鳴を上げなかった。
いや上げれなかった。
そのあまりの光景に言葉を失った。
見たのだ。アレカは。
地面に転がるオークの首を。
「こ、これって…」
今まで靄がかかっていた記憶の部分が全て晴れていくのを感じる。
そしてアレカは思い出す。
自分がオークに追われていたことを。
そしてオークに捕まったことを。
そしてその後……。
「も、もしかしてこれボッボが…?」
最後に思い出される仲間の小ゴブリンの姿を見たことからそう推測するアレカ。しかしすぐに自ら否定に入る。
そもそも体格差のありすぎるオークを相手にどう戦うと言うのか。
「でも…なら誰が…?」
物言わぬ巨像と化したオークの骸に問い掛けるように、エルフの弓使いは一人呟くのだった。
◎◉◎◉◎◉
ドゴォッ!
大地が揺れる程の振動。
「ハァアアアアッッ!!」
激声と共に放たれる少年の拳から繰り出される大槌の如き一撃は巨大な手のような生物を地面に叩きつけていく。
「ハァ……ハァ……くっ」
少年の疲労もピークに達しかけているのか、膝をつく。
対して。
『うぇべbぐがぎるばpぶばがぐふrほべぐぎwめびがaぎがごぉおおおおおoおおおrおおっっっっ!!!!』
巨大な手のような生物の無尽蔵のような体力は未だ顕在だった。
「化け物かよ…ははっ」
あまりの荒唐無稽さに少年の口元から笑みがこぼれる。
もはや彼も限界は近かった。
斬ってもダメ。叩いてもダメならあと何をすればコイツを倒せる?焼くのか?参ったな。調理道具は全部置いてきちゃったよ。炎魔法も使えないし。
幾度の試行も通じず、万事休すかと思われた。
心なしかコイツさっきより大きくなってるように見えるんだよな…。ははっ、僕もいよいよか。というかなんでコイツからは魔力の一つも感じられないんだ?魔力無いのに動くとか動力源何だって話……。
そこまで少年の思考が進んだところで。
魔力……?
少年は気づく。
巨大な手がいる辺り。その指の周りにある草花が。
触れた途端にみるみる枯れて萎んでいく様を。
「まさか……!」
すぐさま少年はなけなしの魔力で魔眼を開眼する。
視るのは巨大な手、ではなくその周辺。
すると巨大な手のような生物の触れている地面から、大気中から含まれる魔力が全て指や手首から吸い出され、消えている。
さらには本来魔力の元となる魔素までもが全て著しく巨大な手の方に流れ消えていた。
「まちがいない…コイツ」
そして少年は確信する。
「周りから…魔力を吸って……動いてるんだ……!!」