転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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習ってたんです

勉強会を終えて帰路についた私は、疲れた体に鞭をうちながら次なるイベントのために寮の裏手へと向かっていました。

 到着すると、ちょうど堀北さんが寮の裏手の角を曲がったところでした。

 そして綾小路くんが隠れて堀北さんを見ています。

 その綾小路くんを更に隠れた私が見ています。

 現在、私はストーカーのストーカーみたいな立ち位置になっています。

 あれ、なんかさっきも同じようなことが……

 

きっと、堀北さんは生徒会長であるお兄さんとお話中なのでしょう。

 そしてお兄さんに暴力を振るわれそうになったところを綾小路くんが助けにいく、というシチュエーションです!

 

あ、綾小路くんが動き出しました。

 私も綾小路くんがいたところまで移動します、寮の裏手では激しい戦いが始まっていました。

 綾小路くんが会長の攻撃をことごとくかわしています、かっこいいですね。

 

「いい動きだな、立て続けに避けられるとは思わなかった。それに、俺が何をしようとしたのかもよく理解している。何か習っていたのか?」

 

「ピアノと書道なら。小学生の時、全国音楽コンクールで優勝したこともあるぞ」

 

あっ、私もそのセリフ言ってみたいです。

 

「鈴音。お前に友達がいたとはな、正直驚いた」

 

「彼は、友達なんかじゃありません。ただのクラスメイトです」

 

「相変わらず孤高と孤独を履き違えているようだな。では、そこに隠れている生徒もクラスメイトか?」

 

あれっ、見つかった……

 私、隠れる才能がないのでしょうか。さっきも綾小路くんに見つかりましたし。

 

「こんばんわ、堀北会長。クラスメイトの月野栞です」

 

「月野……さん?」

 

堀北さんは私がここにいることに驚いています。

 

「そうか、お前が月野か。橘から毎日のように話は聞いている、非常に優秀な後輩だとな」

 

うっ……茜先輩がうきうきで話してる姿が目に浮かびます。

 

「そう思ってもらえているなら光栄です、ところで堀北会長このようなところで暴力事件はよろしくないと思いませんか?」

 

「あいにくここには、監視カメラも証拠もない」

 

生徒会長が笑いながら歩いてきます。

 

「ありますよ?ここに……」

 

私は先日購入したペン型の監視カメラを堀北会長に見せつけます。

 その瞬間、堀北会長が跳ぶような速度で私に近づきペンに手を伸ばしてきますが、私はその堀北会長の手を掴みました。

 

「……何!?何だ、この力は」

 

「私も習ってたんですよ?ピアノと書道」

 

堀北会長は私の目をじっと見ながら、ふぅ……と息をはいて腕の力を抜いてくれたので、私も堀北会長の手を離しました。

 

「その証拠を50万ポイントで買おう」

 

私は堀北会長にポイントをもらい、ペン型カメラを渡して会長自ら証拠を消してもらいました。

 

「堀北会長ありがとうございました、それではお先に失礼します。」

 

 

こうして私の長い一日が終わり

束の間の休息が訪れるのです。

 

 

 

気づけば夜の10時。

 堀北会長とのやりとりを終え、部屋に戻りお風呂に入って、落ち着いたらもうこんな時間です……

 

「ピロン」私の携帯が鳴りました、坂柳さんからメールが来たようです。

 

「月野さん、今からお部屋に伺ってもよろしいですか?」

 

そういえば最近は坂柳さんと会ってなかったから久しぶりかも……チェスしたくなったのかなぁ?

 増えたポイントでちゃんとチェスも購入したしね!

 

「いいよぉ。待ってるね」

 

「もうお部屋の前にいるのでドアを開けてください」

 

なんで部屋の前にいるの!

 ってか、それならインターホン鳴らした方がはやくないっ!?

 ガチャ。坂柳さんが入ってきます。

 

「こんばんわ、月野さん。お邪魔しますね」

 

「うん、どうぞぉ~」

 

私は紅茶を用意して、座りました。

 

「こうやって月野さんにお会いするのは久々な気がします……」

 

「そぉだねぇ、最近は中間テストの勉強会で帰りも遅かったし」

 

「ええ。Dクラスは大変ですね、Aクラスは個人個人で勉強してますから、特に勉強会というのはないんです」

 

まぁ、それができるならその方がいいよねぇ……

 

「ところで月野さん、どうしてわたしだけ名前で呼んでくれないのですか?」

 

えっ、急に?特になんの理由もないんだけど……

 

「Aクラスの情報網によるとCクラスの椎名さんや橘先輩は名前で呼びあっていると調査報告があがってきています」

 

ねぇ、Aクラスの情報網ってそぉいうことに使うものだったの?もっと、こう、クラスのために有効活用してよっ!?

 

「えっと……有栖って呼べばいい?」

 

「……っつ、もう一回お願いします」

 

「ありす?」

 

「はい、栞さんっ」

 

有栖は嬉しそうに肩を揺らします。

 なんか、揺れてると止めたくなるなぁ……

 私は有栖の両肩に手を乗せて強制的に揺れるのを止めてあげます。

 

「!?」

 

あっ、有栖と見つめ合うような体勢になってしまいました……

 ねぇ、なんで目を閉じるの?

 

そのあと、私と有栖はいつものようにチェスをして解散しました。

 明日からもまた中間テストの勉強会です、あまり気は進みませんが頑張るとしましょう。

 

 

 

そして中間テストまで残り1週間となりました。

 

 




氏名 堀北鈴音

クラス 1年D組

学籍番号 S01T004752

部活 無所属
 
誕生日 2月15日

評価

・学力A

・知力A-

・判断力B-

・身体能力B+

・協調性E


担当官からのコメント

小学校の段階から毎年高い成績を収めており、面接時の態度なども良好。進学を見据えて学力向上に取り組む姿勢も十分に評価できる。また中学校では3年間無遅刻無欠席を記録するなど自己管理も問題なし。この点だけで言えばAクラス相当の実力者である。しかしながら他者を思いやる気持ちや協調性においては多少欠けている部分があり、中学校では度々クラスメイトや教師と衝突することがあった。社会に送り出すには強い矯正が必要であることからDクラスへの配属とする。
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