思い出の1枚
太陽の陽射しが少しずつ強くなってきた6月中旬。
今、私は新たな趣味を見つけて一人。
校内を歩いたり、自撮りスポットや景色の綺麗なスポットを探したりと、非常に有意義な生活を送っていました。
そう……切っ掛けは一週間前
中間テストも終わり、6月の原作イベントを思い出そうとしていた私ですが、よく考えてみると6月ってそんなに大きなイベントないんですよねぇ……
6月の後半に須藤くんの暴力事件があって、7月にその話し合いって流れですし……
つまり、6月の後半イベントまでは普通の学生生活を満喫できるんです。
そうとなれば須藤くんの暴力事件でも使いそうですし、前々からちょっと気になっていたカメラを始めてみようと思います!
こうして私のカメラ女子への道は始まりました。
そんな6月初旬の教室での出来事……
「月野さんっ、今日みんなでカラオケ行くんだけど、一緒にいかない!?」
櫛田さんからのお誘い。カラオケ、行きたい気もしますが……
今日は先日購入したカメラで写真を撮るためのスポット探しをしなくては。
「櫛田さんごめんねぇ。今日は学校内を周って、自撮りするための撮影スポットを探したいんだ!」
「そぉなんだ、月野さんそぉいうの好きだったんだね、はじめて知ったよ」
「うん、つい最近目覚めたの。カメラも買っちゃったしっ、えへへ~この子が可愛くてぇ」
私は先日購入したカメラを櫛田さんに見せながらにやにやします。
「すごいねっ、思ったより本格的なんだ!これって一眼レフカメラってやつだよね!?」
「うん、だからカラオケはまた今度一緒にいこっ」
「わかったよ、また今度誘うねー!」
櫛田さんは一緒にカラオケへ行くメンバーのもとへ戻っていきました。
私と櫛田さんのそんな会話を教室の中で興味深そうに一人の女の子が聞いていたのでした。
そして6月中旬、今日も私は一人。
自撮りポイントを探しに校内を歩いていました。そして少し探索をしたあと……
夕暮れのオレンジ色の陽射しが降りそそぐ中、私はお気に入りのスポットで自撮りをしていました。
「……綺麗」
少し遠くからそんな小さな声が聞こえた気がしました。
私が声のした方を見るとそこにはピンク色の髪を風になびかせながら、いつもしているメガネを外した佐倉愛里さんが呆然と立ち尽くしていました。
「こんにちわ」
私は自撮りを一度やめて、佐倉さんに声をかけました。
「っあ、す、すみません。撮影の邪魔をしてしまって、すぐ離れますので!」
佐倉さんは手に持ったデジカメを背中に隠して、とても慌てながら走り去ろうとしていました。
「待ってください」
私は走り去ろうとする佐倉さんを呼び止めて声をかけます。
「よかったら少しお話ししませんか?」
佐倉さんは少し迷ったあとに軽く頷きながら私の近くまで歩いて来てくれました。
「同じクラスなのに、こうやってお話するのは初めてですね。佐倉さんもカメラがお好きなんですか?」
「う、うん。自撮りするのが好きで……その、邪魔しちゃってすみませんでした」
佐倉さんは申し訳なさそうに謝ってきます。
「気にしなくて平気ですよ、佐倉さんもここにはよく来るんですか?」
「うん、ここは……とっても綺麗な場所だから」
佐倉さんは優しそうな、そして寂しそうな目をしながら夕焼けを見つめています。
「そういえば、さっきも綺麗……って」
私がそういうと、佐倉さんはびくっと反応して慌てながら口を開きました。
「そ、それは景色じゃなくて……つ、月野さんが」
その声はだんだんと小さくなっていって、最後の方はうっすらとしか聞こえませんでした。
「ありがとうございます。けど、佐倉さんも綺麗だと思いますよ?特に今はメガネも外して、いつも以上に」
「わ、わたしなんか全然!!それに、月野さんはすごいなって……わたしは人と関わるのが苦手で、自分が自撮りしてることとか、恥ずかしくて……人には言えなくて。でも、月野さんはいつも自分に正直というか」
佐倉さんはそこまで話すと、うつむいてしまいました。
「そうなんですね。実は私、今はこうして自由にしていますが、少し前までずっと病院の中で生活していたんです」
私の言葉を聞いた佐倉さんが顔を上げて驚いていました。
「だからこれからは自分が好きなことを好きなだけしたいと思っています。勉強も趣味も恋愛も今まで掴めなかった幸せを……」
静かな風が私たちを包み込みます。
「だから、佐倉さんも一緒にどうですか?私の初めての自撮り友達になってくれませんか?」
そう言って私は手を差し出します、佐倉さんは夕焼けに照らされた私を見ながら微笑んで言いました。
「やっぱり……綺麗です」
こうして私たちのカメラに綺麗な景色が写し出されるのです
氏名 佐倉愛里
クラス 1年D組
学籍番号 S01T004738
部活 無所属
誕生日 10月15日
評価
・学力C+
・知力C
・判断力D
・身体能力D
・協調性D-
担当官からのコメント
相手の目を見て話すことや言葉の組み立てなど、他者とのコミュニケーションの力が高校生たる基準に達していない。学力や身体能力も同じく不足点が目立つ。立派な人間へと成長させ社会に送り出すための教育を施すのが当校の存在意義でもあることから採用とする。問題ある生徒の多いDクラスでの学習で彼女の成長に期待したい。