7月1日。佐倉さんとお友達になってから半月が過ぎました。
本来であれば、ポイントが振り込まれる日です。
しかし私のポイントは昨日までと変わらないまま。
つまり原作通り須藤くんの暴力事件が発生し、一時的にポイントが振り込まれていない状況です。
この暴力事件。原作ではCクラスの王、龍園くんがDクラスを落とし入れるために、わざとCクラスの生徒を使って須藤くんを挑発し殴りかかった後に殴り返させて、一方的に殴られたと主張するっていうものでした。
あとは、その3人を更に痛め付けてより殴られた感を出したりもしてましたね。
しかしこれを綾小路くんの気転と堀北さんの献身により、訴えを取り消させて解決するというお話でした。
あっ、そういえば昨日までの私のポイントですが、もともと手持ちの5月1日時点での約58万ポイントと堀北会長からいただいた50万ポイント。
そして中間テストの成績による25万ポイントで133万ポイント……ではなく、110万ポイントほど残っております!
え?この23万円の差はなにかって?
カメラって高いんですね……更に三脚とか付属品をいろいろ買うと気がついたらこんなことに……
けど、後悔はしていないっ!
また貯金生活がんばります、あと1900万ポイント……
Aクラスへの道のりは長いのです。
私が教室に入ると、ポイントが振り込まれていないことについてみんなが不安になっていました。
まぁ、そぉだよねぇ……5月、6月と0ポイントだったんだもん、普通に死活問題です。
「あっ、おはよう。月野さん。今月もポイント振り込まれてないみたいなんだよねぇ……なんでかなぁ?」
櫛田さんです。あ、そういえばこの前、櫛田さんとカラオケに行きましたよ!
初めていきましたがやはり人前で歌うのは緊張しました……
そういえば、池くんが王様ゲームをしたいとか叫んで、却下されてましたが面白いのでしょうか?
今度、有栖やひよりちゃんとやってみたいものです。
「櫛田さん、おはよう。ポイントなんだけど、他のクラスも振り込まれてないみたいなんだぁ。なにかトラブルがあったのかも、とりあえず先生が来るのを待つしかなさそうだねぇ」
「そうなんだぁ、みんなに伝えてくるね。ありがとう!」
私も自分の席に向かい始業の合図を待ちました。
「おはよう諸君、今日はいつにもまして落ち着かない様子だな」
ホームルームの鐘の音とともに茶柱先生が入ってきました。
「佐枝ちゃん先生、俺たち今月も0ポイントだったんですか!?あんなにがんばったのに!」と池くん
あれっ、櫛田さんの説明聞いてなかったんですか?
あっ、さっき登校して来たばかりですか、そうですか。
「そう焦るな、お前たちの頑張りはお前たち自身が実感しているように、学校側もしっかりと認めている。これがその結果だ」
茶柱先生は黒板に紙を張り付けました。
Aクラス 1004ポイント
Bクラス 670ポイント
Cクラス 600ポイント
Dクラス 90ポイント
「え、なに?90って、俺たちプラスになったってこと!?やったぜ」
池くんが喜んでいます。
「あれ、じゃぁどうしてポイントが振り込まれてないんだ?」
みんなも同じ疑問を抱いているようで茶柱先生の言葉を待っています。
「今回、少しトラブルがあってな。1年生のポイント支給が遅れている。お前たちには悪いがもう少し待ってくれ」
「え~マジっすかぁ、学校側の不備なんだから、なんかオマケとかないんですかあ?」
「そう責めるな、学校側の判断だ。私にはどうすることもできん。トラブルが解消次第ポイントは支給されるはずだ。ポイントが残っていれば、だがな」
そしてその日の放課後。須藤くんは茶柱先生に呼ばれ、職員室へと姿を消していくのです。
翌日、教室でのホームルーム
「今日はお前たちに報告がある、先日学校でちょっとしたトラブルが起きた。そこに座っている須藤とCクラスとの生徒の間でトラブルがあったようだ、極端に言えば喧嘩だな」
茶柱先生の話を聞いて教室内がざわつきました。
「その……結論が出ていないのはどうしてですか?」
平田くんが質問します。
「訴えはCクラスからだ、一方的に殴られたらしい。ところが真相を確認したところ、須藤はそれは事実ではないと言った。彼が言うには自分から仕掛けたのではなく、Cクラスの生徒たちから呼び出され、喧嘩を売られたとな」
「俺は悪くねえ!正当防衛だ、正当防衛!あいつら俺がバスケ部でレギュラーとれたことの腹いせに殴りかかってきたんだよ」
悪びれた様子もなくいい放つ須藤くんにクラスメイトは冷ややかな視線を向けていました。
「だが証拠がない、違うか?」
「証拠ってなんだよ。そんなもんあるわけねえだろ!?」
「つまり今のところ真実がわからない、だから結論が保留になっている。とにかく話は以上だ。目撃者のいる、いない。証拠がある、ない含め。最終的な判断が来週の火曜日の審議会で下されるだろう、それではホームルームを終了する」
茶柱先生が教室を出ていくと、各々話をはじめていました。
「須藤の話、最悪じゃね」
「また今月も0円生活かよ」
そんな中、平田くんが声をあげます。
「みんな聞いてほしい、須藤くんはCクラスから喧嘩を売られて正当防衛をしただけだと言っている。僕はそれを信じたいと思う。もし、その現場を目撃した人がいれば手を上げてほしいんだ」
みんなが周りを見渡します、須藤くんも睨むように見渡しています。
「あ、はい!私見ましたよっ、証拠もあります!」
私は教室の真ん中まで歩いていき、自分のカメラで撮った写真を平田くんの机の上に置きました。
すぐに須藤くんや他のクラスメイトも駆けより、その写真を見ました。
そこには須藤くんがCクラスの人を殴りつけている。2枚の写真が置かれていました。
時はすこし遡り、須藤君が暴力事件を起こした日。
私と佐倉さんは放課後、いつものように自撮りスポットを探す旅に出ていました。
そういえば先日、佐倉さんがグラビアアイドルの雫であることを教えてくれました。
佐倉さんのメガネを外して髪を下ろしてあげれば雫になるのです。
「佐倉さん、今日は特別棟にいこっかぁ」
「うん、ついてくね、月野さん!」
この時間に特別棟にいけば須藤くんの事件現場に間に合うはずだしね。
「ちょっとお手洗いに言ってくるね」
特別棟に到着した私は佐倉さんに断りをいれてから、ペン型カメラを現場近くの窓に設置して戻ってきました。
「佐倉さん、おまたせっ。じゃぁまわろうか」
私と佐倉さんは特別棟を探索し、須藤くんたちの現場に到着しました。
すでに須藤くん達は言い争っている状態で、まさに須藤くんがCクラスの人を殴り付けているところでした。
怯えている佐倉さんに証拠写真を撮っておこうと促し、私たちは一枚ずつ写真を撮ってその場を後にします。
特別棟から出ると私はすぐにペンを落としてしまったことを佐倉さんに伝えてペンを回収し、佐倉さんと寮へ帰ることにしました。
「ふぅ、びっくりしたねぇ、佐倉さん大丈夫?」
佐倉さんは3回くらい頷きながら答えます。
「う、う、うん。怖かったけど……月野さんも一緒だったし、大丈夫だよ。この写真どうしたらいいのかな」
「きっと、この事件は学校で問題になると思うから私が預かっとくね。目撃者がいるか聞かれたら私が佐倉さんのぶんも合わせて話しとくからっ」
佐倉さんはほっとしたように息をもらして、デジカメを渡してくれます。
「月野さん、ありがとう……よろしくお願いします」
そして時は戻り、教室の中。
私の出した2枚の写真を見たクラスメイトは須藤くんを睨み付けていました。
この2枚だけを見ると、どう見ても須藤くんがCクラスのメンバーを殴った事実しか残らない。
「おい、月野!!どういうことだよ、なんで俺がCクラスを殴ってるところしか写ってねぇんだよ!」
須藤くんが私に対して声をあららげて聞いてきます。
「なんで……って言われても。この日、私と佐倉さんは特別棟に写真を撮りにいってて、そこで喧嘩を見かけたから念のために撮っておいたんだよ?撮ったあとはすぐに帰ったし、どんな話があったのかもわからないけど……私と佐倉さんが知っているのはこれだけ」
須藤くんは納得がいかないようで厳しい表情をしています。
「おい、やっぱり須藤が殴ったんじゃねぇの?」
「この写真だけ見るともう、そうだよねぇ」
周りではクラスメイトが須藤くんを非難する声が聞こえます。
「みんなちょっと待って。確かにこの写真だけで判断すると須藤くんが一方的に殴ってるように見えるけど、まだそうと決まったわけではないよ。これから目撃者を探して須藤くんの無実を証明しよう」
と平田くんが須藤くんをかばいました。
「みんなそうだよっ、同じクラスメイトだもん。私も須藤くんを信じるよ」
櫛田さんも平田くんに賛同します。
「月野さん、佐倉さん。写真の提供ありがとう。もしその時のことで他に思い出したことや見かけた人がいたら教えてほしいんだ、協力してくれないかな?」
「うん、いいよ。なにか思い出したらすぐ言うね」
私は平田くんにそう言って、佐倉さんも頷いていました。
それでもこの写真の存在で、少なくとも須藤くんがCクラスに暴力を振るった事実だけは確定し、須藤くんとクラスメイトの間には大きな溝が生まれるのです。
こうして私たちは真実を見つけるため行動を開始しました
佐倉愛里
身長:153cm
スリーサイズ:B96(F)/W60/H90