転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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夏に向かって

須藤くんの暴力事件を解決してから数日が経ち、私たちは平穏な日常を取り戻していました。

 そういえば原作ではそろそろ、佐倉さんがグラビアアイドルの雫と同一人物であることに気がついた、家電量販店員のストーカーさんが佐倉さんを襲う、というイベントがありました。

 

確か佐倉さんは、今もストーカーさんの被害で毎日変な手紙が届いたりと悩んでいるはずです……

 そして勇気を出して、もうストーカーを辞めてもらうように話し合いに向かった先で襲われるという展開でした。

 佐倉さんがいつ行動を起こすかわからない以上、当分は注意しつつ見守るしかないですね……

 

 

そんなある日の放課後

 

 

「佐倉さん今日はどこいこっかぁ」

 

いつも通り私は佐倉さんと自撮りのため、行き先を決めようとしていました。

 

「ごめんね、月野さん。今日は用事があるんだ」

 

私はすぐにストーカー事件だと気づきました。なにしろ今まで、佐倉さんが私とのお出掛けを断ったことは一度もないですし。

 

「そっかぁ、わかったよ。気をつけてね?」

 

私は優しく佐倉さんを送り出しました。そして少ししてから、私たちも家電量販店へと向かうのです。

 

 

 

家電量販店につくと予想どおり、佐倉さんは店員さんと一緒に奥の搬入口へと向かっていきました

 

「もう私に連絡してくるのはやめてください!」

 

佐倉さんがたくさんの手紙を出しながらいい放ちます。私たちは隠れながらそれを見守ります

 

「どうしてそんなこと言うんだい?僕は君のことが本当に大切なんだ。好きなんだ……君を思う気持ちは止められない」

 

そう言ってストーカーは佐倉さんへと向かって歩いていきます。

 

「こ、来ないでください!わ、わたしには好きな人がいるんです」

 

ストーカーは立ち止まりうろたえ始めました。

 

「だ、誰だいそいつは!?そ、そんなの許さない!」

 

ストーカーは佐倉さんの制服に手をかけて襲おうとし始めました

 

「パシャ、パシャ。おじさんこれ、犯罪ですよぉ?何してるんですかぁ?」

 

私はカメラで撮影しながら姿を表します。

 

「なっ、ち、違うんだ、これは……」

 

「これは?」

 

すこしの沈黙のあと、ストーカーはすごい勢いで私の方へ走ってきました、このまま逃走する気でしょうか。

 しかし私の方へ向かってきたストーカーは、私の後ろから姿を表した彼に捕らえられました。

 

「お疲れ様、須藤くん」

 

「おぉ、これで貸し借りはなしだぜ」

 

私は佐倉さんへと近づき、少し乱れた制服を直してあげます。

 

「がんばったね、佐倉さん」

 

「つ、月野さんっ……うんっ。私がんばったよ……月野さん」

 

私は佐倉さんを優しく撫であげます。

 

「わたしね、つ、月野さんみたいになりたいの……だから勇気をだして、きょうは……」

 

「ありがとう、佐倉さんは立派だったよ。これからは自分に自信を持って歩けるね」

 

佐倉さんは泣きながら頷いて私に抱きつきました。抱きついてくる佐倉さんを褒めながら、私たちは予め呼んでおいた警察の到着を待ちました。

 

 

 

こうして教室にはメガネを外した佐倉さんが座っているのです

 

 

 

佐倉さんのストーカー事件も解決し、私は部屋で考え事をしていました。今までずっと自撮りと景色を撮っていましたが、そろそろ人を撮ってみたいです。ちらっと横を見るとそこには、まるで自分の部屋にいるかのように、涼しげに本を読んでいるひよりちゃんがいました。

 ……きっと今日もお泊まりですね

 

「ねぇ、ひよりちゃん。ちょっといいかなっ?」

 

「なんでしょう、栞ちゃん」

 

ひよりちゃんは本を閉じて嬉しそうに答えてきます。

 

「あのね、ひよりちゃんの写真を撮りたいんだけどいいかなぁ?」

 

ひよりちゃんは清楚な銀髪女子ですし、写真のモデルとしては素晴らしい逸材です!

 

「わかりましたっ、ちょっと待ってくださいね」

 

ひよりちゃんは制服のボタンに手をかけ、脱ぎ始めました。

 

「はい、ストップ!!なんで、脱ぐの!?」

 

ひよりちゃんは首をかしげながら聞き返してきます。

 

「スカートからのほうが良かったですか?」

 

違う、そうじゃない!!

 だからスカートひらひらさせないっ!?

 

「あのね、脱がなくていいの!

そのまま椅子に本を持ちながら座ってくれたらいいから」

 

「そうですか……残念です」

 

ひよりちゃんは不満そうに制服を直してから、椅子に座って本を読み始めました。

 うん、やっぱり絵になるねぇ。

 ひよりちゃんは10分間くらいおとなしく座っていてくれました。

 

「ひよりちゃん、ありがとう」

 

「どういたしまして。栞ちゃん、私も栞ちゃんのことが撮りたいです」

 

「うん?いいよぉ。はい、カメラ貸すね」

 

「いいえ、私は携帯で充分です。今は本の続きが気になるので、また今度お願いします」

 

「わかったよっ、撮りたくなったら言ってねっ」

 

その日の夜、寝静まった部屋の中にパシャっと小さな音が響きました。

 

 

 

こうして私たちは夏を迎えるのです

 

 

 

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