転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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Aクラスのリーダー

私たち3人が探索から戻ると、平田くんと池くん、須藤くん、山内くんが話し合いをしていました。

 

「川だよ!川!あの川なら絶対飲めるし行くべきだよ!」

 

池くんが叫んでいます。

 

「そうだね。確かに水は大切だし、いいかもしれないね。よく見つけてくれたよ」

 

平田くんが3人を労っています。

 

「ただいま戻りましたぁ、こっちはスポット見つからなかったよぉ。あと、高円寺くんが一人でどこか行っちゃった。ごめんねぇ?」

 

私は平田くんに報告します。

 

「うぅん、お疲れ様。探索に出てくれただけでも嬉しいよ。池くんたちが川のスポットを見つけたみたいなんだ。今からそこに移動しようと思うんだけど、どうかな?」

 

平田くんは私に確認してきます。

 

「うん、いいと思う!水は大事だもんね。ちょうどみんな集まってるし全員で行こっか!」

 

『な、なぁ、月野。オレが最初に川に気づ「栞ちゃん行こっか!」』

 

あれっ、何か聞こえたような……

 私は桔梗ちゃんに引っ張られて川のスポットに向かいました。

 

川のスポットにたどり着くと、原作通りの光景が広がっていました。

 まず、川。この川は学校がしっかりと管理しているので飲めます。

 そしてこの場所には不自然なほど大きな岩があり、そこのスポットにリーダーカードを当てることでスポット更新ができます。

 今はちょうど真昼の12時頃、ここから8時間おきに更新するので、次が20時その次が4時となります。

 このスポットの占有権は文字通り川。スポットを占有し続ける限り、この川はDクラスのみが無料で使用可能となります。

 

「さっそくスポットを占有しようぜ!」

 

池くんがスポットに近づいていきます。

 

「池くん待って、万が一スポットを占有しているところが他クラスに見られれば、私たちはリーダーを当てられて大きなダメージをうけるわ。リーダーがわからないように、私を中心に人で囲って、誰が更新したかをわからなくするというのは、どうかしら?」

 

堀北さんが提案してくれます。

 

「うんっ、いいと思う。じゃぁさっそく始めよっか!」

 

私は堀北さんの提案に賛成します。みんなも同意してくれたのか、堀北さんを中心にみんなで輪になり、カードが見えない状態でスポットの占有を行いました。

 

 

 

こうして私たちはサバイバルを始めるのです

 

 

 

スポットの占有を終えた私たちは、ここで暮らしていくためにテントの設営や仮設トイレの設置。そして食糧の捜索など、クラスメイト全員で協力して今日の夜を迎えるための準備をしていました。

 

「ごめぇん、そっちの枝とって~」

 

「おーい寛治、テントってどうやって立てるんだよぉ」

 

「じゃぁわたしたちは食べれそうなもの探してくるねー!」

 

みんながそれぞれの仕事を行っているようです。

 確か原作では火を起こすための枝を取りに行った綾小路くんと山内くんと佐倉さんが、Cクラスのスパイである伊吹さんを連れて帰ってくる、という展開のはずです。

 ちなみに伊吹さんはちょっと気の強い運動系女子です。スパイになるために龍園くんに本当に殴られて顔にアザを作った状態でやってきます……

 クラスのためとは言え恐ろしいです。

 

そして夕方頃、原作通り伊吹さんがDクラスへとやってきました。

 

「平田ぁ、ちょっといいか?」

 

平田くんやクラスメイトが山内くんの方を見ます。

 

「あれっ、Cクラスの伊吹さんじゃない?」

と佐藤さん

 

佐藤さんは軽井沢さん派閥のメンバーで綾小路くんに恋をする人です。

 

「あ~うん、なんかCクラスで揉めたみたいで森に一人で座りこんでてさあ、ほっとけなくて連れてきたんだよ」

 

山内くんは頭をかきながら言います。

 

「なるほど。それは正しい判断だね、放ってはおけないよ」

 

平田くんが賛同しています。

 

「でも、平田くん。スパイかもしれないよ?リーダーを当てるってルールもあるし……」

 

「あっ、そういう可能性もあるのか……」

 

佐藤さんの言葉に平田くんは考えています。

 

「少し時間をいいかな?伊吹さん、詳しい話を聞きたいんだけど……」

 

平田くんの言葉に伊吹さんは答えます。

 

「邪魔だろ、私は。世話になったな」

 

「ちょっと待って!何があったか聞かせてほしい。力になりたいんだ」

 

「話してどーにかなる問題じゃないっつーか。それに、そっちの作戦が筒抜けになるのも嫌だろ?」

 

それでも平田くんは伊吹さんを説得した結果。

 龍園くんと意見が対立し、殴られて追い出されたことを話してくれました。

 話し合いの結果、このまま伊吹さんを放り出すことはできないという判断になり、Dクラスの端のほうで滞在してもらうことになりました。

 

 

 

伊吹さんをどうするかの話も落ち着いて時は夕方。

 私たちは今後のことについて話し合っていました。

 

「今回の試験について、僕なりに目安となる数字を考えてみたんだ。それは試験終了時に120ポイント残っているかどうか。それがDクラスにとっての戦いだと感じているんだ。」

 

「つまり180ポイント使うってことか?簡単には納得しないぞ、平田」

 

幸村くんが平田くんの意見に抵抗しています。

 

「まず最後まで聞いてほしい。仮に全ての食事をポイントでカバーするとして、一番支出が少ない形にしようと思ったら、栄養食とミネラルウォーターのセットになる。これだと一食10ポイント。1日2食だとして20ポイント。今日の夜と試験終了日が1食ですむのなら合計で12食。合わせて120ポイントだ。ここに仮設用トイレの20ポイントと、男子用テントの2つが20ポイントで160ポイント。そして残りの20ポイントは一週間で生活する上で必要なものを揃えて180ポイント。ただ、ここには川もあるし、さっき池くんが確認してくれたら飲めるって話もあった。そうなれば更にポイントを残すことも可能だと考えているよ」

 

池くんはボーイスカウトをしていたことがあったようで、火をおこしたり食べられる食材を見つけたりと、今回の特別試験で大活躍中なので信用があがっているようです。

 

「なるほどな。理解はした。とりあえず、その方針に従う」

 

幸村くんも他のクラスメイトも平田くんの説明に納得したようです。

 そんな中、声が聞こえてきました。

 

「ねぇ、ちょっといい?ここはDクラスであってる?すこし話を聞いて貰えない?」

 

声のする方を見るとそこには、Aクラスの神室さんと杖を持った有栖が立っていました。

 

「うん、もちろんだよ。どうしたんだい?」

 

平田くんは有栖たちのほうへ駆け寄っていきます。

 「あれってAクラスの…」「月野さんとよくいる人だよね…」

 Dクラスのみんなはいきなり現れた二人について話をしています。

 

「実はAクラスなんだけど、ここよりもまだかなり先のスポットにいて。なんとかここまでは歩いて来れたんだけど、見ての通りうちの坂柳がもう限界なんだ」

 

有栖は杖を持っているので周りから見ても『あ~』って声があがるくらいに共感を得ています。

 

「だから、勝手で申し訳ないんだけど、今日はここに泊めてやってくれないかな?私はこのままAクラスに一度戻って、みんなに事情を伝えてから明日の朝また迎えに来るから」

 

「みなさん、ご迷惑をお掛け致します」

 

有栖が申し訳なさそうに言います。

 

「そういうことなら仕方ないぜ!なっ、平田。困ってる子を見捨てるわけにはいかねえぜ!」

 

池くんが平田くんに言います。

 

「うん、そうだね。僕も賛成だ。みんなはどうかな?」

 

「平田くんがいいと思うならいいんじゃない」

 

軽井沢さんが平田くんの判断を肯定します。

 

「月野さんはどうかな?」

 

平田くんが聞いてきます。

 

「んー……そうだね。このまま放り出すってことはさすがに出来ないし、いいんじゃないかな……?」

 

「月野さん、ありがとうございます」

 

有栖はそう言って近くのテントで腰を下ろしました。

 神室さんはすぐにAクラスへと戻っていきます。

けど、有栖だし警戒はしておかないと……

 しかし有栖はすこし体が辛いとのことで、テントの中で眠ってしまいました。

 

そして、夜8時。点呼とスポット更新の時間。

 私たちは点呼に並びました。

 

「あれっ?高円寺は?」

 

何処からともなくそんな声が聞こえてきます。

 その疑問に茶柱先生が答えました。

 

「ん?高円寺なら夕方頃にはリタイアして船にいるぞ」

 

「ええぇぇぇぇぇぇ!?」

 

みんなの叫び声が響きます。

 

「これでマイナス30ポイントじゃねぇか!高円寺のやつふざけんなよ!!」

 

そんな高円寺くんのリタイアに驚きながらもスポットの更新が終わり落ち着いた頃、軽井沢さんが声をあげました。

 

「てか、伊吹さんと坂柳さんって点呼出てないしマイナス5ポイントになるんじゃない?」

 

「ほんとだぁ、このままDクラスにいてくれたらそれだけでAとCクラスのポイントかなり減るよね!」

 

佐藤さんが言います。

確かにその通りなのですが……

 

「えっと、堀北さん。ちょっといいかなっ?」

 

私は堀北さんに話しかけました。

 

「ええ、どうしたの?」

 

「ちょっと有栖のことが気になってて。堀北さんがリーダーなのをバレないように気をつけて欲しいんだ」

 

「そうね、私もそれは思ってたわ。明らかに怪しいもの。伊吹さんも坂柳さんも」

 

うんうん、そうなんだよ!

 これなら大丈夫そうかな。

 後は明日の朝に神室さんに引き取ってもらおう。

 

その後、無人島生活の初日ともあって、私たちは早めに就寝しました。

 次のスポット更新は朝の4時なので、その頃に堀北さんを含めた数人でも起きることが出来れば、早めにスポットの更新をしようという判断でした───

 

 

 

 

 

少しずつ日が上り始めた明け方の4時。

 目を覚ました私と堀北さんと数名の女子は、テントから出てスポットの更新へ向かいます。

 するとそこには、朝の日に照らされた有栖が一人で立っていました。

 

「みなさん、おはようございます。いい天気ですね」

 

有栖はまるで当たり前かのように挨拶をしてきます。

 

「坂柳さん、どうしてあなたがここにいるのかしら?」

 

堀北さんが尋ねます。

 

「ふふっ、そろそろスポットの更新のためにDクラスのリーダーが来られるかと思いまして……こちらでお待ちしておりました」

 

堀北さんが呆れたように溜め息をつきながらいいます。

 

「はぁ……Aクラスの人がいる前で更新すると本気で思ってるの?」

 

平田くんも起きたようでこちらに向かって来ます。

 有栖は微笑みながら言います。

 

「そうですか……残念です。それでは、私が代わりに占有して差しあげますね」

 

そして有栖はポケットから坂柳有栖の名前が刻印されたカードを取り出し、スポットに押し付けました。

その時の有栖の顔は

Aクラスのリーダーそのものでした

 

 

 

こうして私たちのスポットは

Aクラスに奪われるのです

 

 

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