無人島の特別試験を終えたその夜、綾小路くんはベッドの上で横になりながら考えていました。
「月野か……」
Dクラスは今回の試験、Cクラスのリーダーを当てた。
……いや、正確には俺が平田に頼んでCクラスのリーダーだけを当てるように動いた。
Aクラスは坂柳がリーダーだとクラス全員が疑わなかったが、平田だけは説明し納得させた。
Bクラスは一之瀬との同盟により、お互いにリーダーを当てない約束をした。
これでDクラスはリーダーを当てた50ポイントとスポットの占有ポイント、そして残存ポイントから堀北と高円寺のリタイアのマイナス60ポイントを引いた117ポイントが残り、なんとか2位で終えることができた。
だが、このポイントの裏には月野の暗躍が深く貢献している。
時は遡り無人島生活2日目の朝
Aクラスの契約を結んだあとのこと。
「……Aクラス帰っていったね」
誰かがそういった。
「栞ちゃん……」
「みんな、話は聞いた通りだ。僕たちはこの試験中、月野さんとの接触を禁止された。Aクラスに行ってくれた月野さんのためにも、僕たちはこの試験を乗り越えないといけない。まずはテントにいる人たちを起こして、みんなで話し合おう」
俺たちはテントに移動して話し合いをすることになった。
「あ、もう一度言ってみろ!平田!!
月野が拐われただと!?」
「違うよ、須藤くん。契約により、Aクラスの一員になったんだ」
「同じことだろうが!助けにいかねえのかよ!?」
須藤はずいぶん月野にこだわるな……
「煩わしいわ、須藤くん。少し静かにしてくれないかしら」
「んだよ、堀北!?悔しくねぇのかよ!!」
「……っつ、そういう次元の話じゃないの。これは、お互いに同意して契約して決めたことよ。月野さんのことはもう諦めなさい」
「くそがあ!!」
「あっ、待って、須藤くんっ」
須藤は川に走っていった。
頼むからAクラスに殴りこみとかはやめてくれよ。
「櫛田さん今は話し合いが優先よ。これからのDクラスの行動を考えなくてはいけないわ」
「そうだね、ただ悪いことばかりではないよ。堀北さんも言ってくれてたけど、これでAクラスのリーダーは坂柳さんだとわかった。僕たちは最終日にAクラスのリーダーを当てて50ポイントを手に入れることができる」
「だよねぇ、ほんとよかったぁ」
「確かにな。それを考えると月野の犠牲もやむを得なかったのかもしれないな」
だが平田、それは違うぞ。軽井沢と幸村も、いやDクラス全員か……
おそらくAクラスのリーダーは変更になる。
このままだとDクラスは終わるな……
数時間後、点呼が終わったあと
「いやぁ、随分と質素な生活をしてんだなぁ。Dクラスは」
「龍園さんからお言葉だ。楽しみたかったらCクラスのビーチへ来いとな」
Cクラスの二人はそれだけ言って帰っていった。
そして、俺と堀北がCクラスを見に行くことになった。
「なぁ、堀北」
「なに、綾小路くん」
「朝、須藤に悔しくないのかって言われてたが実際どうなんだ?」
いやそんな睨むなよ……
「あなたにいう必要はないわ。ただ、これは私の責任よ。私の行動が原因で坂柳さんにリーダーを見抜かれたのだから」
いや、それを言うならお前と一緒に歩いてた女子に問題が……まぁいいか
「……なによ、これ」
ビーチのスポットが更新されている。
Cクラスはビーチでバカンスか。
まぁ、これも作戦のひとつだな。
「よお、堀北と……てめぇは誰だ?」
「Dクラスの綾小路だ」
「ふっ、そうか。なにしにきた」
「あなたが呼んだのでしょ?龍園くん」
「クククッ、あ~そうだったな。それで、栞はどこだ?」
「月野さんならいないわ」
「チッ、あいつはくると思ったがな」
「……あなた、全部のポイントを使ったの?」
「あぁ、そうだ。こんなちっぽけなポイントのためにうだうだ節約なんざできねえからな」
あそこに置いてるのは無線機か……
なるほどな、帰ったら伊吹の身辺も探してみるか。
俺はこの段階で龍園が全てのポイントを使いきり、龍園とスパイを残してリタイアし、リーダー当てへと移行する展開を予想し動き出した。
こうして俺たちDクラスは次の日を迎えた
氏名 伊吹澪
クラス 1年C組
学籍番号 S01T004714
部活 無所属
誕生日 7月27日
評価
・学力C
・知力C
・判断力B-
・身体能力B
・協調性E
担当官からのコメント
協調性に乏しく口数が少ない。淡々とした性格のため面接時における評価は低いが、学力や運動面においては優れた生徒であり期待が持てる。友人を作りコミュニケーション能力を高めていくことを期待する。