Cクラスの偵察を終えた俺と堀北は、Dクラスの拠点にもどり報告を終えてからそれぞれの時間を過ごした。
その後、DクラスはBクラスとリーダーを当てない同盟を結んだ。
どうやらBクラスもCクラスからのメンバーを一人保護していて一緒に生活しているらしい。
伊吹と同様、おそらくスパイだろう。
そして無人島生活をなんとかこなしつつ3日目を終え、4日目を迎えた。
「綾小路くん、Cクラスにいくわ。ついてきなさい」
「なんで俺が……」
「あなたに拒否権はないわ、行くわよ」
Cクラスの拠点についた俺たちはすぐ異変に気づいた。
「どういうこと?」
「どうやら見た通りのようだな」
ビーチにはAクラスのメンバーが遊んでいた。2日目までは間違いなくCクラスの拠点だったはずだ。
つまりCクラスがいなくなったあとにAクラスが占有したか、それとも……
「契約か……」
AクラスがCクラスと同じポイントの使い方をするとは思えないからな。
それに、もし全ポイントを使うならそれこそCクラスのように初日から使うだろう
それに2日目に来たときに見かけた遊具がそのまま置いてある。
この時点で俺は、AクラスとCクラスがなんらかの契約をしたと判断した。
だが、俺が一番驚いたのは……
「堀北あそこを見ろ」
俺はビーチの真ん中を指差した。
「……あれは、月野さん」
月野がAクラスに行ってからまだ2日ほどしか経っていない。普通に考えるならば片身の狭い生活を送っているはずだ。
だが……
月野はビーチの真ん中のテント付近でパラソルの下、ビーチチェアに座りながら優雅に本を読んでいた。
あれはAクラスに無理やり連れてかれた顔じゃない
まるで……
まるで、月野がAクラスのリーダーであるような……
俺にはこの異常な光景にそんな気がしてならなかった。
「堀北これ以上はまずい」
「そうね、月野さんとの接触は禁止事項。偵察は諦めましょう」
いや、充分だ堀北。これでAクラスとCクラスが契約したことがわかったからな
あとは契約の内容だが、あの龍園がメリットのない契約を結ぶとは思えない。
なにか契約するに至った決定的な項目があったはずだ。
俺は少し考えてある仮説を思い付いた。
……もしも月野がAクラスをまとめているとして、俺と同じようにリーダーのリタイアが可能なこと、そしてCクラスの作戦を気づいているとしたら。
おそらく、Cクラスの現時点のリーダーは島に残る龍園というのにも気づいているはずだ。
スポットの更新が行われていた以上、スパイの二人がリーダーはない。
いくら龍園といえど、そこまで気づかれていてリーダー当てに勝つのは不可能だ。
だから契約をして月野にCクラスのリーダーを当てさせないことと、物資の交換をしたか……
だがこれだけだと理由としては弱い。
おそらくDクラスのリーダー情報は龍園に伝わっていると考えた方がいいだろう。
俺は振り返りもう一度ビーチを見た。
なぁ、月野……
なんでお前はビーチの中央に座っているんだ?
まるで俺たちがここに来るのを知っていて、この光景を見せるためのように。
拠点に帰った俺と堀北はそのまま解散した。
その後DクラスはCクラスのスパイである伊吹に軽井沢のパンツが盗まれる騒動などを乗りこえ、6日目を迎えた。
この日、俺は伊吹が堀北からリーダーカードを盗むように仕向け、CクラスがDクラスの堀北をリーダーとして指名するように誘導しようとした。
そして堀北を体調不良でリタイアさせ、代わりに俺をDクラスのリーダーに変更させた。
そして7日目
DクラスはCクラスのリーダーに龍園の名前を書いた。
あの日。月野があの光景を見せたのに意味があるのなら、Aクラスを掌握していることを伝えて来たのなら……
それは何かのヒントだ。
月野が今Dクラスを裏切ることはデメリットしかない。
おそらく月野はDクラスにCクラスのリーダーを指名させるためにあえて、龍園の生活を支援する契約を結んでいるはずだ。
そうすることによって、龍園の行動を制限しリタイアさせないようにした。
月野がAクラスで発言力がない状態であれば、そんな契約を付け足すことはないが、あの光景を見せてきたということはそれが出来ると暗に示してきたのだろう。
そして万が一、龍園がリタイアしたときは何かしらの行動でそれをDクラスに伝えにくる予定だったんだろう。
7日目の現在。月野からはなんのアクションもない。
だから俺はCクラスのリーダーに龍園の名前を書いた。
Aクラスのリーダーが月野の可能性も視野にはいれたが、不確定要素が多すぎるので書くのは留めた。
……だが、今回の作戦は恐ろしいほどに歪なものだ。
もしもDクラスがAクラスのリーダー変更に気づかず坂柳を指名していたら、そしてビーチでのお前の意図に気づかなければ、リーダーの堀北をリタイアさせなければ。
……Dクラスは確実に敗北していた。
月野、お前の今回の行動はDクラスがその全てに気付き、行動することができるという信頼がなければ成り立たない作戦だったはずだ……
なぁ、月野。お前は誰を信用していたんだ?
こうして私たちの夜は更けていくのです