「入学式が終わりそれぞれ解散となりましたが
……どこにいきましょうか」
たしか近くのコンビニに行けば綾小路くんと堀北さんのいちゃいちゃしてるところに遭遇してしまうのでそこはダメですね。
それに堀北さんはちょっと刺々しくてまだ近づくのは怖いですし……
神様にもらった同性に好意を持たれやすい特典が全然仕事してくれてないと思うんです。
もうちょっとがんばってほしいです。
仕方ないので、すこし離れたコンビニに行くことにしましょう。
「それにしてもこの辺りはあまり生徒はいないんですねぇ」
私は寮から少し離れたコンビニに到着して店内を確認します。
「あらっ、あの人は……」
コンビニにつくと原作で何度も見たことがある女の子がいました。
間違いなく神室真澄さんですね。
神室真澄さん、Aクラスの生徒です。
原作では万引きの常習犯でそのことをAクラスのリーダーである坂柳さんに見つかってしまい、いつも坂柳さんと一緒に行動してた人です。
……これはチャンスかもしれないですね。
ここで私が坂柳さんよりも先に神室さんの万引きを見つけてしまえばAクラスに対して有利に動けます。
動画の準備をして遠くから様子を見てみましょう……
私は携帯を動画の状態にして物影からこっそりと神室さんを撮影します。
特になにも買うことなく店内をうろうろ、怪しいです……
けど私のほうが盗撮してる人みたいで怪しい気がしてきました。ていうか、してます。
「ツンツン」
んっ?今、誰かに腕をつつかれたような、あっ……
目の前には銀髪の少女が杖を持って立っています。
「こんばんは。はじめましてですね。なにを撮影されてるのですか?」
キャァァァ この銀髪に杖というシルエット……
間違いなく坂柳有栖さんです!!
出会ってはいけない人に会ってしまいました……
坂柳有栖さん、Aクラスのリーダーになる存在で可愛らしい見た目に反して過激派の少女。
Aクラスを目指す上で要注意人物の一人です。
けどこれはこれでよかったかもしれませんね、坂柳さんはいずれ避けて通れない相手ですし早い段階でお近づきになっておくのも悪くないです。
私は意を決して声を出しました。
「えっと……あそこにいる生徒が万引きしそうな雰囲気でしたので、念のために撮影していたんです」
「ふふふ、そうでしたか。あの方はAクラスの神室さんですね。実はわたしも同じことを思っていました」
「そぉなんですね、それにしてもよくあの方がAクラスの神室さんだとご存じでしたね。あなたもAクラスなのですか?」
「ええ、そういえば自己紹介がまだでしたね。Aクラスの坂柳有栖と申します。先天性の疾患を持ってましてこうして杖を持っています。よろしくお願いしますね」
「Dクラスの月野栞です。こちらこそよろしくお願いします」
それにしても原作の絵で見るよりも迫力と可愛らしいさが凄いですね……
容姿は可愛らしいお姫様みたいな感じなのに、不気味な怖さを感じます。
身長は私よりも少しだけ小さいくらいでしょうか。
そういえば坂柳さん派閥の橋本くんが姫って呼んでましたし、ぴったりのあだ名です。
「どうやら神室さんはなにも買わずに帰られるようですね」
私が坂柳さんと自己紹介してる間に神室さんは特になにも盗むことなく帰る事にしたようで、店の外へと出ていきました。
「そうですね……じゃぁ私も帰りますね」
私が帰ろうとすると、坂柳さんが下を向きながら私の制服の袖を掴みました。
「あの……月野さん、まだお時間があるようでしたら一緒にお買い物していきませんか?その……一人では寂しいですし……」
えっ、なにその恥じらった感じ……かわいいです。
……もしかして同姓に好意を持たれやすい特典がついに仕事してくれたんですか!?
ありがとうございます!
「うん、一緒にお買い物しよっか!」
よく考えたら私って精神年齢は前世も合わせたら上だし、坂柳さんは年齢的には妹みたいなものだよね!
ここはお姉さんっぽくがんばらないとっ。
「じゃぁ日用品とか必要なものを買おっか、荷物とか私が持つから気にせずに買っていいからね?」
「月野さん、ありがとうございます。そういってもらえると助かります。お礼にわたしにできることであればなんでも言ってくださいね?」
なんでもっ!?なんでもいいの!?
知り会ったばっかりの人に言っちゃダメだよぉ!
坂柳さんはにやにやしながら私を誘惑するような言葉を放ってきます。
んっ?もしかして私が何を言うのか試されてるのかな?ん~……
「じゃぁ、お願いがあるんだけど……」
「なんでしょう、なんでも言ってください」
坂柳さんが首を横に倒して訪ねてきます。
うぅ、あざとい……
「あのね、坂柳さんとチェスで勝負してみたいな」
「……っつ」
坂柳さんがびっくりした顔をして私を見てきます。
ふふーこれはどっきり作戦成功ですね、知り合ったばかりなのに自分の事を知られているのですから。
「月野さん、どうしてわたしがチェスを嗜むことを知っているのですか?」
「えへへ~それは秘密だよぉ。けど、せっかくお友達になれそうだなって思ったから思いきってお誘いしてみたの、どうかな?」
「ふふっ、月野さんは面白い方ですね。チェスの勝負もちろんお受けいたします」
やったぁ、これで坂柳さんと遊べるよぉ!
原作では坂柳さんがチェス好きですごく強い描写が描かれてたから一回勝負してみたかったんだよねっ。
今までベッドの上でずっと読書と一人遊びに興じてきた私に勝てるかな!
「いつ勝負しよっか?坂柳さんは今日の夜とかでも空いてる?」
「わたしはいつでも大丈夫ですよ。夜も特に用事はありませんし」
「じゃぁ今日買い物終わってから遊ぼっか」
「ええ、楽しみです。ちなみに月野さんはお部屋にチェスをお持ちですか?」
あっ、そうだ……私チェス持ってないや、どうしよう。
自分から誘っておいて持ってませんとかとっても言いにくいです……
申し訳なさそうな顔をしつつ私は声をあげます。
「あの、えっとね……」
「ふふっ、よろしければわたしのお部屋でしましょう」
坂柳さん神ぃ……絶対気を遣ってくれたよね、優しいよぉ。
「うん、是非お邪魔させてください!」
坂柳さんも嬉しそうな顔してるし、よかったぁ。
けど勝負は別だからね、絶対に私が勝って見せるよ!!
こうして私と坂柳さんは、勝負の時を迎えるのです
氏名 坂柳有栖
クラス 1年A組
学籍番号 S01T004737
部活 無所属
誕生日 3月12日
評価
・学力A
・知性A
・判断力A
・身体能力E-
・協調性C+
担当官からのコメント
先天性疾患のため身体は非常に弱く運動の一切を禁じられています。また歩行の問題から常時杖を携帯することを許可しています。くれぐれも無理させないよう各位注意をしてください。