2学期の始まり
「よしっ、じゃぁ行きますかっ!」
長く短かった夏休みを終えて、私こと月野栞は1ヶ月振りの学校へ登校するため、今日はいつもより少し早めに起きて準備を整えていました。
「今日から2学期かぁ」
そう今日から2学期、また新たな試練の連続が私たちDクラス……
いいえ、Bクラスを待ち受けているのです。
「桔梗ちゃんおはよう!」
「栞ちゃん、おはよう!」
「あっ、月野さんおはよ~」
「軽井沢さんおはよ~」
教室に入るとみんな元気そうで、夏休みに何をしていたかの話や「今月から私たちってBクラスなんだよね?」という声なんかもちらほらと話されていました。
しかしそんな光景も一瞬の出来事。
私が席に鞄を下ろしてすぐ、ある人物の登場が教室の空気を一瞬にして凍りつかせました。
「えっ、誰っ?」
誰かがそう問いかけました。
それはきっと髪型のせいでしょう。
教室に入ってきた彼はなぜか坊主頭になっており、その赤髪な坊主頭のせいで更に威圧感が増したようにも見えました。
「おう、月野、おはよう!」
ねぇ、須藤くん……
あなたいつから違うアニメの主人公みたいになっちゃったんですか?
「ギャハハハハハハハ、おい、健!なんだお前、その髪型は!?」
「春樹、俺は生まれ変わったんだ、この前の試験はなんも出来なかったからな!」
「須藤、随分と思いきったな」と三宅くん
「おう、ミッチー!」
「誰がミッチーだ」
これ、ダメだよぉ!?
生まれ変わったってなに!あと、ミッチーはやめて!?
「なにあれ、こわっ」「目を合わせちゃダメだよ……」
どうやら須藤くんは無人島試験で私がAクラスに連れていかれたあと、心を入れ替えてバスケットをしたり漫画を読んだりしながら自分を見つめ直していたようです。
『ガラガラガラガラ』
教室の前方の扉が開いて茶柱先生が入ってきました。
どうやら朝のホームルームの時間になっていたようです。
「席に着け」
私たちは急いで席につきます。
「ふむ、なかなかいい顔つきになってきたな。お前たちも既に知っているだろうが、今月からクラスの変動が行われた。それは先の特別試験の結果を反映してのことだ」
そう言って茶柱先生は黒板に紙を張り付けました
Aクラス 957クラスポイント
Bクラス 580クラスポイント
Cクラス 550クラスポイント
Dクラス 657クラスポイント
「これが先の試験終了後の各クラスのポイントだ。つまりお前たちは今日からBクラスとなる、担任として誇らしいぞ」
「いええええええええええい!」
「やったああああああ!!」
「もうAクラスも目指せちゃうんじゃねぇの!?」
茶柱先生が珍しく誉めてくれたことと、正式な言葉でクラス昇格を伝えられた私たちは、多かれ少なかれみんなが喜びをあらわにしていました。
「あと1つでAクラス……」
それは私の前にいる堀北さんからもそんな声が聞こえる程でした。
「さて、この話は終わりだ。すまんが時間も限られている、次の話に移るぞ。今日から改めて授業が始まった訳だが、2学期は9月から10月初めまでの1ヶ月間、体育祭に向け体育の授業が増えることになる、新たな時間割を配布するためしっかりと保管しておけ。それから時間割と共に体育祭に関する資料も配っていく」
「げっ、体育祭?」
「私、運動苦手なんだよねぇ」
「俺の時代か」
私たちは先生に配られたプリントを後ろに回しながら体育祭について思い思いに話をしていました。
「先生、これも特別試験の1つなんですか?」
平田くんがそう発言すると、みんな静かになり先生のほうを向き直します。
「どう受け止めても自由だ。どちらにせよ、各クラスに影響を与えることに違いはないがな」
先生は肯定とも否定ともとれない曖昧な答えを返しました。
「綾小路くん、これ」
「あぁ……」
私の前で堀北さんと綾小路くんも体育祭のプリントを見ながら話しています。
「既に目を通して気づいた者もいるだろうが、今回の体育祭は全学年を2つの組に分けて勝負する方式を採用している。お前たちBクラスは白組に配属が決まった。そしてCクラスも同様に白組として戦うことになっている。この体育祭の間はCクラスが味方というわけだ」
Cクラスと言うことは……
以前までBクラスだった一之瀬さんや千尋ちゃんのクラスですね……
そして、有栖のAクラスと龍園くんのDクラスが赤組。
プリントを見ると体育祭は赤組対白組で行うこととなっていました。
「うお、マジかよ、そんなことってあるのか!」
池くんが驚いています
池くんが驚くのも無理はないですっ。
今まではクラス毎の対抗戦でしたもんね。
それが今回は初めから完全なチーム戦、それも学年を越えての協力戦となります。
「まず体育祭がもたらす結果に目を通せ。何度も説明する気はないからな、一度でしっかり聞いておくように」
・体育祭におけるルール及び組分け
全学年を赤組と白組の2組に分け行われる対戦方式の体育祭。
内訳は赤組がAクラスとDクラス。白組がBクラスとCクラスで構成される。
・全員参加競技の点数配分(個人競技)
結果に応じて1位15点、2位12点、3位10点、4位8点が組に与えられる。5位以下は1点ずつ下がっていく。団体戦の場合は勝利した組に500点が与えられる。
・推薦参加競技の点数配分
結果に応じて1位50点、2位30点、3位15点、4位10点が組に与えられる。5位以下は2点ずつ下がっていく(最終競技のリレーのみ上記の3倍の点数が与えられる)
・赤組対白組の結果が与える影響
全学年の総合点で負けた組は全学年等しくクラスポイントが100引かれる。
・学年別順位が与える影響
各学年、総合点で1位を取ったクラスにはクラスポイントが50与えられる。
総合点で2位を取ったクラスのクラスポイントは変動しない。
総合点で3位を取ったクラスはクラスポイントが50引かれる。
総合点で4位を取ったクラスはクラスポイントが100引かれる。
「簡単な話、手を抜かず全力で競技する必要があるということだ。最悪、白組が負けた上にBクラスが総合点で4位だった場合は200クラスポイントが引かれるからな」
「あの、先生。勝った組は何ポイント貰えるんですか?記載がないみたいですが」
「何もない。マイナスの措置を受けないのみだ」
「うげえええ、見返りなしかよ」
池くんが言います、他のクラスメイトも少しやる気を削がれている感じです。
「クラス別のポイントもしっかりと計算されるようになっているから注意するように。仮にCクラスが飛び抜けて活躍してお前たちの属する白組が勝ったとしても、Bクラスの総合点が最下位だった場合には100ポイントのペナルティを受けることになるからな」
「なるほど、つまり僕たちが楽して白組が勝ったとしてもBクラスが最下位になってしまえばポイントが減ることになる。結局のところ全力で戦って勝つのが一番と言うことですね」
平田くんがまとめてくれた答えに先生も頷いて答えます。
「そうだ、平田。それと、特別ボーナスや反則事項も存在する。プリントの続きを見ろ」
・個人競技報酬(次回中間試験にて使用可能)
各個人競技で1位を取った生徒には5000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で3点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で2位を取った生徒には3000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で2点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で3位を取った生徒には1000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で1点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で最下位を取った生徒にはマイナス1000プライベートポイント(所持するポイントが1000未満になった場合には筆記試験でマイナス1点を受ける)
・反則事項について
各競技のルールを熟読の上遵守すること。違反した者は失格同様の扱いを受ける。
悪質な者については退学処分にする場合有。それまでの獲得点数の剥奪も検討される。
・最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た生徒には10万プライベートポイントを贈与。
・学年別最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た学年別生徒3名には各1万プライベートポイントを贈与。
「マジかよ、点数もらえるなんてすげー!!」
「おい待てよ寛治、まだ続きあるぞ!」
池くんの言葉に山内くんが返しました。みんな続きを読み始めます。
・全競技終了後、学年内で点数の集計をし下位10名にペナルティを科す。
ペナルティの内容は各学年ごとに異なる場合があるため担任教師に確認すること
「佐枝ちゃん先生、このペナルティってなんですか?」
池くんが聞きます
「お前たち1年に科せられるのは次回筆記試験におけるテストの減点だ。総合成績下位10名の生徒は10点の減点を受けるから注意するようにな。どのような方法で減点を適用するかは筆記試験が近づいた時に改めて説明するためここでは質問を受け付けない。また、下位10名の発表も同様に、筆記試験説明の際に通告することになっている」
「ゲエエエエエエエ、マジ!?」
赤点組の人にとっては辛いペナルティですよねぇ、いつもの赤点ラインより10点プラスで取らないと退学ですし。そして、プリントには競技種目も載っていました。
・全員参加種目
①100メートル走
②ハードル競走
③棒倒し(男子限定)
④玉入れ(女子限定)
⑤男女別綱引き
⑥障害物競走
⑦二人三脚
⑧騎馬戦
⑨200メートル走
・推薦参加種目
⑩借り物競争
⑪四方綱引き
⑫男女混合二人三脚
⑬3学年合同1200メートルリレー
「ええええええ!?こんなにヤるんですか!?」
「それから、ここに参加表と呼ばれる物がある。お前たちはこの参加表に自分達で各種目にどの順番で参加するかを決めて記入し担任である私に提出してもらう」
「先生。自分達で参加する順番を決めるって一体どこまでですか?」
「平田、全てだ。体育祭当日に行われる競技の全て、何組目に誰が走るかまで全部お前たちが話し合って決める。締切時間以降はどんな理由があっても入れ替えることは許されない。それが体育祭での重要なルールだ。提出期間は体育祭の1週間前から前日の午後5時までの間。もしも提出期限を過ぎた場合はランダムで割り振られるので注意するように」
「先生質問をよろしいでしょうか」
「いいぞ、堀北」
「例えば、当日欠席者が出た場合はどうなるのでしょうか?個人競技はいいとして、二人三脚などは一人かけると競技が成立しないと思うのですが」
「堀北、その通りだ。全員参加の競技において必要最低限の人数を下回る形で欠員が出た場合は続行不能と見なし失格となる。だが特例もある。体育祭の花形である『推薦競技』には10万プライベートポイントで代役が可能だ」
「なるほど、ありがとうございます」
「他に質問がなければ話は打ち切るぞ?午後からは第一体育館に移動し各クラス他学年との顔合わせになる以上だ」
こうして私たちの2学期は始まったのです