転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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私の学校生活は平穏に

チリチリチリチリン

 

ガチャン

 

 

 

「ん~朝かぁ……」

 

 

 

私がこの学校に入学してから2日目。昨日は思わぬところで坂柳さんと出会い仲良くなれました。

 結局、夜遅くまでチェスをしたり学校のシステムについて考察したり、今後はAクラスとDクラスとしてではなく、個人的に出来る限りの協力関係でというお話をして、ベッドに辿り着けたのは深夜でした。

 

 

 

「うぅ……眠たいです」

 

 

 

眠たいですが……まだ入学2日目です。新たな出会いを求めて、がんばりましょう。そうしましょう。

 私はゆっくりと登校準備をして部屋を出ます。

 今日は確か放課後に部活動の説明会があるんですよねぇ……

 入る気はないのですが、ちょっと面白そうなので行ってみましょう。

 

そんなことを考えながら歩いていると原作でもよく知る女の子が本を抱えて歩いているのを見かけました。

 綺麗な銀髪ロングの彼女は大切そうに本を抱えながら歩いています、椎名ひよりさんですね。

 

椎名ひよりさん、Cクラスの生徒で本が大好きな女の子。勉強も出来て優れた洞察力を持つちょっと凄い子なんです。

 そして私が友達になりたいと思っていた女の子。

 

 

実は私、読書が大好きで病院でもずっと本を読んでいました。椎名さんとは趣味的な観点からいつかお話ししてみたいと思っていたのです。

 とりあえず原作を見て図書館に行けばいつでも会えると思っていたのですが、こうやって登校中に出会えたのはラッキーです!

 せっかくですので勇気を出して話しかけてみましょう。

 

「おはようございます」

 

椎名さんは一瞬戸惑うもすぐ落ち着いて挨拶を返してくれました。

 

「はい、おはようございます」

 

「お持ちになってる本は、アガサ・クリスティのABC殺人事件ですか?」

 

私の言葉に椎名さんは感動したように驚いて、距離を詰めて近寄って来てくれます。

 って、近すぎるよ!?完全に密着してるから!

 

「この本を知ってるんですか!?」

 

「う、うん。実は私、つい最近まで病気で入院してることが多くて読書が趣味だったの。ABC殺人事件も面白いよね。というか、アガサ・クリスティの小説は全部面白い」

 

「そうなんです!それなのに同世代で同じように読書趣味の方がほとんどいなくて、高校では一緒に読書ができるお友達を探してたんです!」

 

椎名さんはそう話ながら気づけばもう離さないと言わぬばかりに、私の手を握っていました。

 

うん、別にいいんだけどね……

 私も椎名さんと仲良くなりたくて近づいたわけだし……けど、思ってたより積極的なんだねっ。

 

「じゃぁ私がそのお友達になってもいいかな?Dクラスの月野栞っていいます。これからよろしくお願いしたいなっ」

 

椎名さんは目を輝かせながら答えてくれます。

 

「はい、わたしはCクラスの椎名ひよりです。ふつつかものですがよろしくお願いします!」

 

んっ?結婚じゃないよね?とりあえずよろしくお願いされとこう。

 

「うん、よろしくね!あと逃げたりしないから手は離して大丈夫だよ?」

 

私の言葉に椎名さんは少し残念そうに手を離しながら見つめてきます。

 

「そうですか……残念です。逃げても捕まえるので大丈夫ですが……」

 

そうですか……どうやら私の逃走経路はすでに封鎖されていたようです。

 

私たちは学校に到着するまで、お互いが読んだ面白い本やおすすめの本などをお話しして、これからは一緒に読書したり、お買い物したり、遊ぼうねと約束をして、それぞれの教室へと向かいました───

 

 

 

 

 

 

教室に入ると私に気がついた櫛田さんが真っ先に挨拶をしてくれます。

 

「月野さんおはよう!」

 

「櫛田さんおはよう!」

 

Dクラスで現在ぼっちの私にとってはとても嬉しいです、是非櫛田さん経由でお友達が増えてほしいです。

 

「お、月野おはよう!」

 

んっ?誰かに挨拶されました……

 よく私の名前を覚えていましたね。

 自分で言うのもなんですが完全に影の薄いキャラでいたと思うのですが……

 

 

挨拶してくれたのは……山内くんですね。

 原作で見たことがあります。

 けど山内くんってあんまりいい印象がないんですよね、退学になりますし……

 それでも挨拶は返さないとですよね!

 

「山内くんおはようございます」

 

私の挨拶を聞いて山内くんがお友達の池くんと嬉しそうに話しています。

 

私が山内くんの名前を覚えていたのが嬉しかったようで、それを自慢しています。

 喜んでもらえてなによりです、気が向いたらまた名前を呼んであげましょう。

 

 

朝のホームルームが終わり、授業が始まりました。

 ただ、授業の初日というのもあってほとんどは勉強方針等の説明だけでした。

 それでも須藤くんをはじめ何人かは寝ていましたし、携帯をいじってる人も多いです。

 

このままではすぐに10万ポイントがなくなってしまいます……

 

毎月1日に支給されるポイントは、私たちはクラスポイントが減少することに比例して減っていきます。

 そしてクラスポイントは試験の結果や、授業態度、欠席など様々な要因で減少していきます。

 その結果、原作ではDクラスが来月に貰えるポイントは0となるのです。

 

すでに坂柳さんと仲良くなって、原作から少しずつ外れていくことは明らかなので、多少目立ってでもどうにかした方が良さそうですね……

 

 

 

授業が終わってお昼になると、ほとんどの人は教室から出て食堂に行くか近くの友達と席をくっつけて仲良く食べています。

 

私?私はいま、教室の左後ろの席で一人で座ってます。

 ちなみに前の席の綾小路くんと堀北さんも一人です。

 なんかここの空間だけ3人のひしめきあった重たい空気が流れてるんですよねぇ……どうしてでしょう。

 

 

そんな重たい空気をはねのけてくれるかのように平田くんの声が響きました。

 

「えーっと、これから食堂に行こうと思うんだけど、誰か一緒に行かないかな?」

 

あっ、綾小路くんが手をあげようとしてます……もうちょっとです、がんばって!!

 

「わたしいくー!」

「わたしも、わたしもー」

 

綾小路くんがもう少しで手を上げきるというところで女子の声が聞こえ始めました。

 綾小路くんは、サッ!とさっきまであげていた手を戻して何もなかったかのようにしてます。

 

ていうか、手を下げる速度おかしくないですか!?

 速すぎて見えませんでしたが……

 けど大丈夫ですよ、綾小路くん。私が敵をうってあげましょう!

 

「私もいっていいですか?」

 

わたしは手をあげて平田くんと他の女子に聞きました。

 

「うん、もちろんだよ。一緒にいこうか」

 

やったぁ、やっとこの空間から抜け出せます!

 綾小路くんが羨ましそうな目で見ているのはきっと気のせいでしょう。

それでは行ってきますね!

 

 

 

平田くんと一緒に行くのは私と、軽井沢さん、篠原さん、松下さんのようです。

 

いわゆる軽井沢さん派閥のメンバーですね。松下さんは力を隠しているのでちょっと違う感じですが……

 今後Aクラスにあがるためには是非とも仲良くなっておきたいですね。

 

 

 

食堂について、4人で食べているとどんどん私に質問が飛んできます。

 まぁ、私は普段一緒にいないメンバーなので謎だらけですもんね。

 

趣味のお話や、改めてお互いの自己紹介のような会話をしたところでポイントの話にうつりました。

 

 

「月野さんはポイントの使い道どんな感じなの?やっぱり家具とか服とか?」

 

「う~ん、家具も服も欲しいんだけど、来月も10万ポイントが入るとは限らないし、少し節約もしよっかなぁて思ってるんだぁ」

 

軽井沢さんの質問に私が答えます。

 3人とも来月も10万ポイントが入るとは限らないと聞いて驚いているようです、平田くんが冷静に質問をしてきます。

 

「月野さん、来月も10万ポイントが入るとは限らないっていうのはどういうことなのかな?確か茶柱先生が毎月10万ポイント入るって説明していたと思ったんだけど」

 

「えっとね、茶柱先生が言ってたのはまず、毎月1日にポイントが支給されるってこと。次に学校は実力で生徒を測るってこと。そして入学を果たした時点の私達には10万ポイント分の価値と可能性があるってことだけだよ」

 

平田くんは少し考えて悩んだあとに答えにたどりついてくれたようです。

 

「つまり、今後の僕たちの価値や可能性によってはもらえるポイントが変動するかもしれないってことだね?」

 

 

私は軽く頷き今日一緒にお昼にきた目的を果たすことにします。

 

「まだ入学2日目だからたまたまかもだけど、授業中に寝たりとか携帯いじったりとかしてる人も多かったみたいだからちょっと心配だなぁって……」

 

「そうだね、もしもポイントの変動があるとしたら授業態度も見られてるはずだしね。ありがとう、月野さん。教えてもらえて助かったよ!」

 

「うぅん、あくまで可能性だから。それに服もたくさん買いたいしねっ」

 

平田くんに学校のシステムのことを伝えた後は4人で雑談をして教室に戻りました。

 これで少しはポイント残ってくれたらいいなぁ……松下さんともお話しできたし、がんばってお昼についていってよかったよ!

 

 

 

そして放課後──────

 

 

 

私は一人で体育館へと向かっていました。今日は部活動の説明会があるんだよねぇ、どんな部活があるのか確認と、堀北会長を見学して帰ろっと。

 

「月野さん」

 

一人で体育館に向かって歩いていると、今朝ぶりの椎名さんが呼び掛けてくれました。

 

「あっ、椎名さん。椎名さんも説明会?」

 

「はい、そうです。一人では心細かったので一緒に行きましょう!」

 

そういって、私の手を握って連れていかれました。

もはや私に拒否権はないのだ!

まぁ拒否しないんですけど。

 

 

体育館についたらすでに100人ほどが集まっていて、私達は後ろから立って見ることにしました。

 

「椎名さんは何の部活に入る予定なの?」

 

「わたしは茶道部に入る予定です」

 

そんな話をしていると部活動の説明会がはじまりました。

 なるほど、どれも一般的な高校にある普通の部活のようです。

 次々と部活動の説明が行われて終わっていきます、最後に堀北会長の生徒会についての説明会ですね。

 

 

「私は生徒会長を努めている、堀北学といいます。生徒会もまた、上級生の卒業にともない1年生から立候補者を募ることとなっています。特別立候補に資格は必要ありませんが、もしも生徒会への立候補を考えているものがいるのなら、部活への所属は避けていただくようお願いします。生徒会と部活の掛け持ちは原則受け付けていません。それから、私たち生徒会は甘い考えによる立候補を望まない。そのことを理解できるもののみ、歓迎しよう」

 

 

生徒会長は話し終わると舞台を降りて体育館を出ていきました。

 

話してる時、所々で私と目が合っていた気がするのですが、気のせいでしょうか……

 原作でも堀北会長の情報網はすごかったので、悪い印象を与えていないか心配です。

 近いうちにお話しできる機会があるといいのですが……

 

 

 

こうして私の学校生活は平穏に進み

入学してから早くも一週間がたつのです。

 

 




氏名 椎名ひより

クラス 1年C組

学籍番号 S01T004735

部活 茶道部
 
誕生日 1月21日

評価

・学力A-

・知性A-

・判断力E

・身体能力E

・協調性D


担当官からのコメント

物静かな生徒で、提出された情報によると幼少期から一人を好む傾向が強い。友人と呼べる存在は殆どおらず、またそれを望んでいる様子も見られない。学力、勉強に取り組む姿勢や知性には問題が見られないため、協調性や友人を構築する力を身につけ社会への対応力を上げていってもらいたい。
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