「栞ちゃん、あ~ん」
「あ~ん」
「……美味しいですか?」
「うんっ、美味しいよ!」
「よかったです、栞ちゃんのために朝早く起きて作ってきたんです」
「千尋ちゃんありがとう、嬉しいよ」
午前中の競技を終えた私たちは、騎馬戦メンバーと一緒にお昼を食べていました。
そこには先程まで体育祭を戦っていたとは思えないほどの穏やかな空気が流れておりました。
「栞ちゃん私にもあ~んしてっ」
「櫛田さん。栞ちゃんは今、私とあ~んしてるんです。邪魔しないでください」
「栞、私もお弁当を作ってきたの。一緒に食べましょう?」
「堀北さんも栞ちゃんを取ろうとしないでください」
どうやら私の穏やかな時は終わってしまったようです……
「ねぇ、あんたらっていつもこんな感じなの?」
「そうだよっ、軽井沢さん。Bクラスには軽井沢派閥の他にも栞派閥っていう大きな派閥があるんだから」
えっ、そうなの? 知らなかったよ……
私は千尋ちゃんに餌付けされながら大人しく聞いていました。
「ふ~ん、その派閥って誰が入ってんのよ」
軽井沢さんがウィンナーを食べながら桔梗ちゃんに聞きます。
「私だけだよっ?」
「まさかの桔梗ちゃん一人!?」
あっ、傍観しようと思ってたのについつい突っ込んじゃったよ……
「ふっ、櫛田さん一人しかいないなんてたかが知れてるわね。私の月野派閥の方が強いわ」
ねぇ、それ両方私の派閥じゃないの?違うの?
「ふ~ん、月野派閥には誰が入ってんのよ」
「私だけよ」
「さっきと同じじゃん!?」
無駄に派閥分けるのやめてくれないかな!?
「それって同じ派閥なんだし、一つに纏めたらいいじゃん」
そうなんだよ、さすが軽井沢さんだよ。
『それは無理「ね」』
どうやら早くも派閥内で争いが起こっているようです……
「ふふっ、みなさん仲良くしてください。栞ちゃんは私のですよ?」
「ちょっと!? なんで敵の総大将が混じってんのよ!」
軽井沢さんもなかなかいい突っ込みをしてくれますねっ。
「椎名さん……。いえ、総大将。あなたよくも抜け抜けとこの場に来れたわね」
鈴音っ、椎名さんで合ってるよ?
そもそもひよりちゃん大将じゃないし。
んっ? 軽井沢さん、ウィンナーくれるの?
「あ~ん」えへへ、美味しいですっ。
「ふふっ、私は栞ちゃんがいるところにはすぐに移動できるんですよ?」
えっ、ルーラ? ルーラ使えるの?
「私も椎名さんみたいにルーラ使えるようになりたいです。そうすれば栞ちゃんのところまですぐに行けるのに」
あっ、やっぱりルーラだったんですね?
最近ひよりちゃん最強とかスペック高すぎとか言われてるので少し自重してほしいのですが……
「ふふっ、ルーラとまでは行きませんが、勘で何処にいるかくらいはわかりますよ?」
私の心の声が届いたようですね。
それでも高スペックですけど……
えっ? 卵焼きもくれるのっ?
「あ~ん」えへへ、軽井沢さんありがとぉ。
「栞ちゃんっ、私にもあ~んしてよっ」
あっ、桔梗ちゃんのこと忘れてました……
けど手持ちがまたサンドイッチしかありません。飽きないのでしょうか……
「桔梗ちゃん、サンドイッチしかないんだけどいいっ?」
「栞ちゃんから貰えるなら何でもいいのっ!」
あっ、この上目遣いの桔梗ちゃん可愛いです。
撫でてあげますねっ。
だから私の指まで食べようとするのはやめてください。撫でるのやめますよ?
「栞ちゃんの指はいつになったら食べさせて貰えるのっ?」
「私の指が桔梗ちゃんのお口に入ることはないですよっ?」
「じゃぁ私の指を栞ちゃんの……。お、お口に、入れてもいいかなっ?」
「櫛田さんだけずるいです、私も栞ちゃんの中に入れたいです」
「……栞、優しくするわね」
「へ、へぇ~月野さんがそんなにほしいなら仕方ないかっ」
「栞ちゃん、自分で開いてくださいね?」
あれっ? どうしてそうなったの!?
ちょっとみんな近寄ってこな……
に、逃げないと。る、るーら、ルーラー!!!
こうして私たちは美味しい昼食を頂いたのです