転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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有栖の下着

 有栖がシャワーを浴びている間、私はお部屋の中で携帯をいじりながら今後のことについて考えていました。そういえば体育祭の時に保健室で入手した証拠品には龍園くんが弥彦くんから、Aクラスの情報を貰っていた話も録音されていたのです。

 

 戸塚弥彦くん。

 葛城派で葛城くんをとても慕っている人です。この事を有栖に伝えるべきかどうか……

 ただ、クラス間の勝負事と友好関係は別の話。神室さんについては今後の事も考えてお助け致しましたが、弥彦くんの話は伏せておく事にしましょう。

 

 

「それにしてもそろそろチェス以外の遊びもしたいですねぇ……」

 

 

 私が有栖の部屋で今後のことを考案していた時、有栖もまた脱衣場で悩み事をしていました。

 

 

「……困りました。急いでいて着替えを持ってくるのを忘れてしまいました」

 

 シャワーから上がって冷静になった有栖は、着替える服がない現状に戸惑っていました。

 

「洗濯機の中の下着をまた履く訳にもいきませんし、このまま出ていくことも出来ないです。かと言って、栞さんに着替えや下着を届けさせる訳にもいきません」

 

 有栖はしばらく考え込んだ後、諦めたかのように決断し下着以外の服を着始めました。

 

「し、仕方ないです……少し物足りない感じがしますがこれで行くしかありません」

 

 有栖は右手に杖を持ち、左手でスカートを抑えながら脱衣場のドアを開けて出てきました。

 

「あっ、おかえり有栖っ……って、なんでスカート抑えてるの?」

 

「栞さん、すみません。少しの間、目を瞑って後ろを向いていて貰えませんか?」

 

「えっ、どうしてっ?」

 

 有栖は下を向きながら戸惑っています。

 有栖さん、もしかしてそのスカートの中って……

 私はいつの間にか口を開いていました。

 

「有栖、もしかしてスカートの中って……」

 

 有栖は何も言わず小さく頷きます。私はすぐに理解して後ろを向きます。

 

「わ、わかったよ。絶対にそっちは見ないから、は、早く下着を履いて!」

 

「は、はいっ。すぐに履くので少しだけお待ちください!」

 

 有栖は急いで下着を取り出し、そのまま足を上にあげて片手で履きました。ただ、あまりに急いで動いたために杖に力が入らず体勢を崩してしまいました。

 

 

『ガタッッッ』

 

 

 部屋の中に大きな音が鳴り響きます。

 

 

「有栖っ、大丈夫!?」

 

「……っつ。だ、大丈夫ですから見ないで、見ないでください!!」

 

 有栖は私に向けて足を大きく開き、両膝を立てて床に倒れ込みます。有栖は衝撃ですぐに体を動かす事が出来ず、私の姿を見つめながら60秒程、足を開いたまま固まっていました。

 

「……え、えっちです」

 

 有栖の口から聞き取れない程の小さい声が聞こえてきます。

 

「あ、有栖っ。本当に助けなくて大丈夫?」

 

 私は有栖が心配になってもう一度聞きます。

 

「だ、大丈夫ですから。絶対に振り向かないでください……」

 

 それから数分後、ようやく有栖は着替えを終えたようで振り向く許可が降りました。私が振り向いた時、有栖は床にペタッと座っていてとても疲れきっていました。

 

 

 

「ねぇ、有栖。そろそろ元気だしてよぉ」

 

「……栞さん気にしないでください、今はこうしていたい気分なんです」

 

 着替え終わった有栖はベッドの上で体育座りをしながら小さくなっていました。けど二人きりの時の有栖ってなんか甘やかしたくなっちゃうんですよねぇ。クラス対抗の時は過激派であんなに獰猛なのに……

 

 私はベッドの上に登って有栖の隣へと行きます。

 私が隣に来たことを確認した有栖は頭を私の肩にちょこんと置いて満足そうにしていました────

 

 

「有栖寝ちゃった……」

 

 

 私が有栖の隣に座って携帯をいじっていると有栖はすやすやと眠っていました。

 

「疲れてたんだねっ」

 

 私は有栖をそのまま横に寝かせて布団をかけてあげます。このまま帰ったら怒られるでしょうか? きっと怒られますね……

 私は仕方がないので有栖の部屋でシャワーを浴びることにしました。しかし服を脱ぎ始めて私はふと動きを止めます。

 

「……洗濯はどうしましょう。有栖のと一緒に洗っても大丈夫でしょうか?」

 

 ……きっと大丈夫ですよね? 

 私はそのまま洗濯機の中に自分の下着を入れて稼働させました。服は仕方ないのでこれをまた着て寝ましょう。来る前に着替えて来ましたし汚くはないでしょう。

 そしてシャワーを浴びた私は洗濯物を干してから有栖の布団に潜り込み背中合わせに眠ると、そのまま一緒に朝を迎えたのです。

 

「有栖おはよう」

「栞さん、おはようございます」

 

 朝になってベッドから起きた有栖が部屋に干された自分の下着を見て、世界の終わりのような顔をしながらベッドの中へと引きこもった事は言うまでもありません。

 

 

 

 こうして私たちは一緒に朝を迎えたのです

 

 

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