「うぅ……」
桔梗ちゃんの欲求がある程度収まった事により何とか部屋から解放された私は、ようやく自分の部屋へと戻りシャワーを浴びながら先程の事を思い出していました。
「まさか桔梗ちゃんが急にあんな行動にでるなんて……今まで鈴音とは歪み合いこそありましたが、普通に過ごしていたので油断していました……」
私は顔を上げてシャワーのお湯を浴びながら唇を触ります。
「うぅ……だ、だからって、あんなに何回もしなくても……それに途中から、し、舌を入れられて、何も考えられなくなってしまいました……」
結局私の答えは聞かずに、私のとろけた顔を見て満足した桔梗ちゃんが今日のところは解放してくれましたが、もう桔梗ちゃんの部屋にひとりで行くのは控えた方が良さそうですね……
私はシャワーのお湯を止めてお風呂へ入ります。
確か原作だと桔梗ちゃんはBクラスを裏切ることにより、綾小路くんに今後の脅威と見なされて退学にさせられそうになります。そして、それを鈴音が止めます。
今後Aクラスに上がるために桔梗ちゃんの社交的能力がクラスに必要不可欠だと考える鈴音は、桔梗ちゃんを何とか説得して裏切りを止めさせようとするのですが……
私は湯ぶねに顔を半分くらいつかりながら、この先に訪れるであろう事を思い出そうとしてやめました。
「まぁ、この話はとりあえず次の期末試験の時でいいですね、それよりも今は……」
私は鈴音と桔梗ちゃんのことももちろん大事ですが、綾小路くんが今後どのように動くのかわからないことに不安を感じていました。
原作では綾小路くんはこの時期に軽井沢さんを既に手駒に加えており、少しずつ成長していく鈴音を隠れ蓑にしつつ、目立たずに裏で様々な策略を用いて来ました。
ただ、現状に関しては軽井沢さんとの接点もなく、鈴音は早い段階で成長して自分の力で頑張り始めていますし、無人島以後は綾小路くんも特に動いていません。
「そもそも綾小路くんって事なかれ主義ですし、もしかすると平穏な学校生活を送らせてあげれば何も行動しないのではないでしょうか……」
原作で綾小路くんが数々の行動をしなくてはいけない原因になったのは茶柱先生が、Aクラスに上がりたいという思いの為に綾小路くんを脅したことがきっかけでした。
確かAクラスへ上がる協力をしないと退学にするとか、綾小路くんの父親から連絡があったとか、そんな話で綾小路くんを脅迫して行動を強要していました。
だけど現状では私たちのクラスはとてもいいペースで成長していますし、茶柱先生も何かあれば私に教えてくれるはずです。このストレスのない状況であれば、綾小路くんがほのぼの学園ライフを送るのは普通の事なのかもしれません……
逆にこの先、その生活を脅かす問題があれば影ながら手伝ってくれると思いますし、むしろもっと仲良くなっておくべきですね、佐藤さんの応援もしなくてはいけませんし。
「2学期も始まりましたし、これからの戦いに向けて明日からはもう少し色々な人と会話して友好を深めていきましょう」
私は久しぶりに一人のリラックスした時間を過ごしながら、これからの自分の行動について方針をまとめるのでした。
……それにしても、桔梗ちゃんのせいで身体が疼きます。私は先程の桔梗ちゃんとの出来事を思いだしながら、自分の胸に軽く手を当てて触ります……
「……桔梗ちゃん」
それから10分程の間、狭い浴槽の中に私の小さな声だけが響き渡りました。
こうして私たちの学校生活は明日からまた新しい展開を迎えて行くのです